名取(実質的には仙台)と仙台空港を結ぶ仙台空港アクセス線。地方都市圏としては比較的本数が多く、仙台市内から仙台空港に向かうことができます。その仙台空港アクセス線に乗ってみました。
写真1. 仙台空港に停車中の普通電車
復習:仙台空港アクセス線の概要
まず、仙台空港アクセス線の概要を紹介します。
- 区間:名取-仙台空港
- 距離:7.1km
- 形態:単線電化
仙台空港鉄道線は名取-仙台空港の路線です。ただし、東北本線と直通することにより、仙台と仙台空港の間を結んでいます。一般にこの系統を仙台空港アクセス線と呼んでいます。
図1. 仙台駅と仙台空港の位置関係(googleマップより引用)
仙台空港アクセス線の電車は毎時2~3本です。特に仙台発10:30~16:50(仙台空港発10:48~17:08、ただし12:08ではなく12:16発)は完全20分間隔で運転されています。ほとんどが普通電車ですが、1日1往復だけ快速が運転されています。その快速は仙台-仙台空港で名取だけに停車します。
途中駅も20分間隔(快速が入ると40分間隔)ですが、仙台-名取は別系統の電車も20分間隔で走っていますので、仙台-名取は10分間隔で運転されます。仙台空港アクセス線の電車が都市圏輸送も担っていることになります。
写真2. 仙台空港を中心として路線図(仙台空港で撮影)
参考までに仙台空港を中心とした路線図を示しました(写真2)。仙台に直通する過程で関わるJR線だけでなく、仙台市営地下鉄の2路線も描かれており、とても分かりやすいように感じます。
仙台-名取はJR東日本による運営、名取-仙台空港は仙台空港鉄道による運営です。そのため、名取-仙台空港ではJRの企画乗車券(青春18きっぷなど)は使えません。ただし、何も考えずにICカード類で乗るだけでしたら、会社間の違いは感じません。
車両はJR車、仙台空港鉄道車の双方が使われますが、内装は3ドアセミクロスシート車で大きな違いはありません。
写真3. JR車の車内
JR車の車内は青系の座席が並んでいます(写真3)。
写真4. JR車の車内(仙台空港鉄道車も同様のレイアウト)
JR車のボックスシートです(写真4)。居住性に配慮してか、シートピッチが広めにとられています。居住性に配慮するのであれば、転換クロスシートのほうが良さそうです。
写真5. 仙台空港鉄道車の車内
仙台空港鉄道車の車内です(写真5)。座席の色合いが赤紫系になっています。
写真6. 前面展望は良好!
前面展望は良好です(写真6)。
写真7. JR車(手前)と仙台空港鉄道車(奥)が連結される
両者が連結されて運用されることもあります(写真7)。
仙台空港アクセス線に乗る
御託はこの程度にして、実際に乗ってみましょう!
ステージ1. 仙台→名取(JR東北本線)
写真8. 仙台に停車中の仙台空港アクセス線
仙台に空港アクセス線の仙台空港行きがとまっていました(写真8)。私が乗ったのは4両編成で、前2両は空いていました。2両編成と4両編成の混合で20分間隔であれば、2両編成に統一し、15分間隔に増発しても良いように感じます。
写真9. 仙台を発車!
仙台を発車しました(写真9)。仙台-名取はある意味仙台都市圏の花形と呼べる区間で、普通電車が10分間隔で運転されます。
写真10. 住宅街を走る
仙台駅の南側は住宅化が進んでおり、その住宅街を走ります(写真10)。
写真11. 左から線路が合流する
左から線路が合流してきます(写真11)。東北本線は仙台駅周辺で西側に迂回しており、それをショートカットするバイパス線です。仙台駅に用のない貨物列車が通ります。
写真12. 宮城野貨物線と並走!
その宮城野貨物線と並走します(写真12)。
写真13. 宮城野貨物線と合流!
宮城野貨物線と合流します(写真13)。大幹線の東北本線のこと、立体交差と思っていましたが、実際は平面交差です。地味にダイヤ作成上のネックにならないのでしょうか?
写真14. 長町に停車!
長町に停車します(写真14)。ここは仙台の副都心とも称され、近年発達しているとも聞きます。
写真15. 高架区間を走る
高架区間を走ります(写真15)。都市鉄道としての表情を感じさせる情景です。
写真16. 高架区間を走る
高架区間と高い住宅、まさに都市鉄道の空間です(写真16)。そして10分間隔の電車もその印象を強くします。名取以南の利便性を考えると、15分間隔×2組にしたほうが良いと思いますが、それは別の話でしょう。
写真17. 名取川を渡る
名取川を渡ります(写真17)。
写真18. 南仙台に停車!
南仙台に停車します(写真18)。高架区間が終わり、南仙台は地上にホームがあります。
写真19. 景色が少しのどかになってきた
風景が少しのどかになってきました(写真19)。
写真20. 名取に停車!
名取に停車します(写真20)。ここで東北本線のステージは終了し、仙台空港鉄道線のステージに突入します。ただし、ICカードで利用している利用者にとってみては関係ありません。
ステージ2. 名取→仙台空港(仙台空港鉄道仙台空港線)
名取を発車しました。
写真21. 名取の時刻表
名取の時刻表です(写真21)。仙台空港行きと岩沼方面行きが同じ1番線から発車するのはわかりにくいです。
岩沼方面-仙台空港方面の乗りかえを便利にするのであれば、上り電車は2番線からの発車が親切(同じホーム乗りかえが可能)です。行先ごとのホームであれば、仙台空港行きは2番線に変更するのが親切です。民鉄系であればそのような工夫がなされるのですが、JR東日本にはそのような工夫が足らないように感じてしまいます。
写真22. 東北本線から分岐
東北本線から分岐します(写真22)。仙台空港鉄道には踏切がないという先入観がありましたが、名取駅近くには踏切があります。
写真23. 高架線に上がる
高架線に上がります(写真23)。このあたりも住宅が多いです。近年の高架線という事情か、防音壁が高めです。
写真24. 杜せきのしたに停車!
杜せきのしたに停車します(写真24)。写真22でも見えていますが、この駅周辺近くには大型のショッピングモールがあります。快速が縮小された原因の1つになりそうです。
写真25. 東北自動車道を渡る
東北自動車道を渡ります(写真25)。
写真26. 美田園に停車!
美田園に停車します(写真26)。杜せきのしたでは行き違いはできませんが、ここでは可能です。そのため、少々停車しました。名取-美田園の所要時間は6分で、両駅での行き違いを最適化した場合、往復の12分が最小運転間隔です。現在の20分間隔はそれを上回っており、(現実のダイヤとして成立していることから明白ですが)実現可能なダイヤであることがわかります。
写真27. 高架線を走る
高架線を走ります(写真27)。ここも住宅が並びます。駅が設置されてから15年程度で、ここが宅地化されたのはその程度の歴史でしょうか。仙台地区は自動車社会でもあるので、鉄道駅設置とは関係なく宅地化される可能性もあり得ます(実際は鉄道整備に合わせて区画整理されたのでしょうが)。
写真28. 空港近くになり緑が増える
空港近くになると緑が増えます(写真28)。
写真29. トンネルを走る
トンネルを走ります(写真29)。
写真30. ジェットスターの機体が見える
ジェットスターの機体が見えました(写真30)。ジェットコースターは黒系の機体ですので、インパクトがあります。多くの人はこのような光景を見て、航空機への期待を高めるのでしょう。
写真31. 仙台空港に到着!
仙台空港に到着しました(写真31)。私はこの電車に乗りに来たのでここが終着駅と感じますが、多くの人にとってはここから航空機というメインがスタートします。
写真32. 仙台空港の駅名標
仙台空港の駅名標です(写真32)。JR東日本仕様に似ています。
写真33. 仙台空港への連絡橋
仙台空港への連絡橋です(写真33)。多くの人が航空機を目指して歩く様子を確認できました。
仙台空港アクセスに乗ってみて
今回、仙台空港アクセス線に乗ってみました。車外カメラ搭載を前提とした都市型ワンマン運転を実現し、最小限のコストで最大限のサービスを提供するという姿勢を感じました。また、日中時間帯は20分間隔で運転し、地方の空港としては破格の運転本数であることも実感いたしました。
ただし、4両編成では輸送力過剰に見え、逆に2両編成だと輸送力不足に見えました。片道25分、往復50分ということは3~4運用であることが読み取れます。4運用中3運用が2両編成、1運用が4両編成であれば、4運用を5運用に増やし(75分で一巡)、4両編成の1運用を2両編成に減車することも手です。そうすれば、20分間隔から15分間隔に増発できます。仙台-名取の20分間隔と辻褄が合いませんが、東北本線・常磐線合わせて15分間隔とすれば問題ありません。
今後はこのようなサービス向上も考えてもらいたいです。
宿泊情報
仙台に着いたときの宿泊地の候補を2つ示します。2つともリーズナブルながら良いホテルでした。