481形電車の車内(ドイツ鉄道)(ベルリンSバーンの主力車両の車内)

記事上部注釈
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ドイツの首都ベルリンの都市交通で活躍するSバーン。そのSバーンの主力車両が481形電車です。欧州では変わった車内ではありませんが、日本との車内の違いを探求してみました。

写真1. ツォー駅に到着した481形電車

重要

本記事で詳細に解説しますが、ドイツの鉄道に関する内容を一通り、そして詳しく解説した書籍を出版いたしました。同人誌の流通ルートで販売していますが、いわゆる萌え絵は一切なく一般的な同人誌に嫌悪感を示す人でも抵抗ない内容・体裁になっています。

復習:481形電車とベルリンSバーンの概要

いきなり、「481形の内装です」と言われてもわからない人も多いと思います。そこで、481形電車の概要を紹介します。

481形電車の概要
  • 製造初年:1995年
  • 車体:3ドアセミクロスシート
    車体長は36.4mとwikipediaに書かれていますが、日本でいう2両の長さだと思います。日本の感覚では18.2m車です
  • 活躍路線:ベルリンSバーン

ドイツ鉄道の481形電車はベルリンSバーン向けに大量に導入された車両です。この車両が導入される前はベルリンSバーンは旧式車両が多かったのが特徴です。これは冷戦時代のベルリンは東西に分割されており、1980年代まで西ベルリンを東ドイツ国鉄(ドイツ国有鉄道)が運営していたり、(西ベルリン地区の運営を西側に移管した後も)西ベルリンはSバーンの運営に積極的ではないなどの事情があるのでしょう。

このような旧式車両の置き換えに導入されたのが481形電車です。wikipediaの日本語版を眺めると481系でなく、481形と書かれています。これはドイツ鉄道が正式に定めた称号ではなく、日本語の訳しかたの問題です。そのため、弊サイトでは481形でも481系でも良いことにしましょう。

この車両は起動加速度が高く、1.0m/s2です。日本でよく使う起動加速度の単位に変換すると3.6km/h/sです。日本の地下鉄車両の多くは3.3km/h/s、JR車で加速度が高いほうの山手線でも3.0km/h/sであることを認識すると、加速度の高さがわかると思います。

写真2. もともとの車体色

もともとの車体色です(写真2)。赤と黄色が濃く、私のイメージではこれがベルリンSバーンの標準塗装です。

写真3. 近年の塗装変更車

近年は黄色部分の彩度を低くしています(写真3)。そして、塗分けも単純になっていますね!ベルリンのSバーンの伝統を崩さない程度にイメージを変えていきたいのでしょうか。

図1. ベルリンSバーンの路線図(公式サイトより引用)

ベルリンSバーンベルリン都市圏交通を担う国鉄(実際はドイツ鉄道という民営会社だが)の近距離電車です。山手線・京浜東北線などの都市圏交通を担う路線の運営にJR東日本が携わっている、と考えるとわかりやすいと思います。

ドイツには各地にSバーンと称する都市圏交通がありますが(マクデブルクSバーンのように30分間隔で1系統というところもある)、ベルリンSバーンの集電方式は第3軌条であることが大きな特徴です。そのため、他の路線との直通運転ができず、専用の車両と専用の線路が必要です。したがって、この車両がベルリンSバーンの範囲を超えて運用されることはありませんし、逆にベルリンSバーンに他の路線の車両がやってくることもありません。

481形電車の内装を実際に見る

御託はこの程度にして、内装を実際に見てみましょう!

写真4. 塗装変更車の車内

塗装変更車の車内です(写真4)。オリジナル車と内装のレイアウトは変わりませんが、座席の色が変わっています。ドア間には2組のボックスシートが並んでいます。

写真5. 塗装変更車の車内

入口付近から車内を撮影しました(写真5)。このように眺めると、吊革と荷棚がないことが日本の通勤電車と異なる点です。そして、クロスシート主体であることも日本との違いを感じさせます。また、ボックスシートの上に透明な仕切りがあり、冷気が車内まで入らないように配慮している様子が伝わります。

写真6. 車端部の様子

車端部の様子です(写真6)。この車両は2両1組といったほうがわかりやすいでしょうか。2両の片方に運転席、もう片方の先頭は客室です。この客室は通り抜けができません。バスの最後部に例えるとわかりやすいでしょうか。

写真7. 先頭部の様子

ドア間はクロスシートが並んでいると書きましたが、運転席よりのドア間は折り畳みのいすが並ぶロングシートです。

写真8. ロングシート部分を眺める

そのロングシート部分です(写真8)。バリアフリー対応スペースとわかります。

写真8. 塗装変更前の車内

塗装変更前の車内です(写真8)。床の色が塗装変更よりも明るく、座席の彩度も低いことがわかります。

写真9. 車端部の様子

塗装変更前の車端部の様子です(写真9)。このあたりの機能は塗装変更(客室リニューアル)の前後で変わっていません。

写真10. 車内の様子

塗装変更前の車内の様子です(写真10)。ボックスシートは意外と狭く(都市内交通だから当然か)、ある程度の圧迫感があります。

写真11. 車端部の様子

2両1組の1両目・2両目の先頭部分については記してきました。今度は1両目と2両目の境の車端部です。ここは3人掛けのロングシートとなっていて、日本の4ドア通勤車に似たレイアウトです。ただし、ドアと座席の間に大きな仕切りがあり、風が入らないような配慮があります。

写真12. 客用ドアの様子

客用ドアの様子です(写真12)。日本の通勤電車とは異なり、ドアはプラグドアが採用されており(日本の多くはドアが戸袋に格納される)、戸袋部分はありません。日本でプラグドアを採用した際、雨でドアが濡れると不評だったと聞きます。ドイツは日本より雨が少なく、混雑度も日本より低く(=ドアに寄りかからなくて済む)、プラグドアの欠点がそこまで目立たないためでしょうか。

ドアは赤く、窓の下辺が斜めになっているのが興味深いです。

写真13. ドアの窓は複層ガラス

ドアの窓は複層ガラスです(写真12)。結露を防ぐ意味で複層ガラスは重要です。ベルリンの冬は厳しいので、防寒対策としても重要でしょう。

ベルリンの主力電車を見てみて

写真14. 後継の483形電車

ベルリンSバーンの主力の481形電車。後継の483形電車が登場し、最新型車両の称号からは外れました。しかし、一部車両は車内の色彩を現代的に改装し、483形電車に見劣りしない車内にリフレッシュされました。個人的にはリニューアル前のグレーな車内と彩度の高い外観が好みですが、現代のニーズはリニューアル後の白・黒・青の車内なのでしょう。

これからもベルリンのSバーンの主力として、旅行としての手段・地元の人の移動手段として多くの人に親しまれてほしいものです。

前後を読みたい!

(←前) ベルリンの街歩き観光

481形電車の車内:現在地

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★全体のまとめ:23年GWドイツ・スイス旅行のまとめと振り返り

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