スイスで人気の路線、ゴールデンパスライン。そのゴールデンパスラインは3つの鉄道会社に分かれており、中間の区間はある意味地味です。その地味な区間であっても、風景には素晴らしいものがあります。そんなBLS鉄道区間を堪能しました。
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写真1. チューリッヒやベルン方面からの列車との接続も良好
復習:3つの鉄道会社で構成されるゴールデンパスライン
ゴールデンパスラインはモントルーからルツェルンまでの観光コースです。沿線風景が美しいため、このように呼ばれるのでしょう。
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図1. ゴールデンパスラインの地形図(OpenRailwayMapより引用)
ゴールデンパスラインの地形図を示しました(図1)。左下がモントルー、右上がルツェルンです。ツヴァイジンメン、シュピーツ、インターラーケン東に矢印で示しました。会社ごとの区分けは以下の通りです(図2)。
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図2. 区間ごとの会社、軌間の概要
それぞれの区間の概要です。
また、そのうちの1つのZBが作成した概念図を示します(図3)。
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図3. ゴールデンパスラインの概要(ZB公式サイトより引用)
この図は北から見た設定ですので地図と左右が逆(左がルツェルン、右がモントルー)でやや困惑しますが、最もわかりやすいと思います。湖と山が多くあり景観に優れています。
ルツェルンはスイスの古都、モントルーはスイス近代観光の礎を築いた都市という特徴があります。そんな両都市を風光明媚な路線で走ることができます。
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写真2. ルツェルン
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写真3. モントルー
余談ですが、ルツェルンはドイツ語圏、モントルーはフランス語圏と雰囲気が全く異なります。そのような意味で両都市を訪問するのは変化にとんだ旅行を実現するという意味で、大変重要なプランです。
この3区間のうち、最も印象の薄い区間がBLS鉄道区間です。それもそのはずで、この区間はインターラーケン-ツヴァイジンメンの通し運転よりもベルン-インターラーケン-とベルン-ツヴァイジンメンの運転が主なためです。スイス国鉄と線路幅が同じであることから、ベルンなどからインターラーケンなどへの直通運転が主体で、ゴールデンパスラインを乗り通す需要よりも重視されているのでしょう。
ICやICE(ドイツまで直通!)がやってくるインターラーケンに比べ、ツヴァイジンメン方面は基本的にローカル列車しかやってきません。
表1. シュピーツからツヴァイジンメンの時刻表
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シュピーツとツヴァイジンメンの間の時刻表を示しました(表1、BLSの公式サイトより引用)。毎時1本の普通が走るだけが基本です。ただし、REがある程度走り、その一部はモントルーまで直通します。ツヴァイジンメンからレール幅は異なりますが、フリーゲージトレインが走るのです。
ゴールデンパスラインのほかの区間については以下の記事をご覧ください。
- シュピーツ→インターラーケン東(2019年乗車)
- インターラーケン東→ルツェルン(2019年乗車)
- シュピーツ→ツヴァイジンメン:この記事
- ツヴァイジンメン→モントルー(2023年乗車)
ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。
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Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト
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また、その予約にはクレジットカードが便利です。
個人的にはエポスカード![](https://tetsudoulab.com/wp-content/themes/simplicity2/images/1x1.trans.gif)
海外旅行に使えるカード:エポスカードで詳細を紹介しています。
シュピーツからツヴァイジンメンの乗車
御託はこの程度として、実際に乗ってみましょう!
使用される車両とその内装
私はユーレイルパスグローバルパス(1等車)を使いました。今回は受取の手間などを考え、モバイルパスを使いました。そのため、インターネット環境も事前に準備することは重要と思います。
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写真2. BLSの汎用電車が使われる
BLSの汎用電車が使われます(写真2)。本来、この運用はMOB車によるフリーゲージトレインの豪華列車なのですが、フリーゲージシステムの動作不良でBLS鉄道区間はBLS鉄道車による運転となっていました。そのため、この車両の行先のツヴァイジンメン行きではなく、フリーゲージトレインの行先のモントルーが電光掲示板に表示されています。
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写真3. 2等車の様子
2等車の様子です(写真3)。スイスの列車らしくボックス席が多いです。
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写真4. 2等車の様子
2等車の様子を別角度で撮影しました。車端部には台車があり、そこは床が高くなっています。欧州の低いプラットホームに対応する車両です。日本とは異なり、ホームをかさ上げする発想はありません。
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写真5. テーブル付きの座席もある
テーブル付きの座席もありました(写真5)。ここは軽食をとる場所としてこのような配置となっているのでしょう。
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写真6. 近くのビストロ
この近くにはビストロもありました(写真6)。いれたてのコーヒーをいただけます。
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写真7. 食事もある?
食事もあります?いや、軽食レベルでさえありません。スイスはこの程度の設備で「ビストロ」と言ってしまうので、大胆というか何というか。いれたてのコーヒーをいただけるだけ良いのかな?
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写真8. 1等車の車内
1等車の車内です(写真8)。基本的に広めのいすが並んでいます。連結部分は2等車と同等の座席幅ですが。
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写真9. 1等車の様子
1等車の様子です(写真9)。明度の高い壁、明度の低い床といす。近年に多い配色パターンです。
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写真10. 1等車の様子
別の角度からも撮影しました(写真10)。
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写真11. 連結面の様子
連結面の様子です(写真11)。
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写真12. 座席の様子
座席の様子です(写真12)。
実際の車窓を楽しむ
では、シュピーツからツヴァイジンメンまでの車窓を楽しみましょう!
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写真13. ベルン方面からのICと同じホームで連絡
ベルン方面からのICと同じホームで連絡し、乗りかえは非常に考慮されています(写真13)。
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写真14. シュピーツを発車!
シュピーツを発車しました(写真14)。ベルン方面と並走します。
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図3. シュピーツ付近の配線(OpenRailwayMapより引用)
シュピーツ付近の配線です(図3)。オレンジ色の線がベルン方面と連絡する路線、黄色の線がゴールデンパスラインです。矢印付近から左手に進んでいます。ベルンからツヴァイジンメンに直通する列車はシュピーツで進行方向が変わることになります。それでも、進行方向の変わらないインターラーケンからの列車よりも、ベルンからの列車のほうが多く設定されているのは需要の違いでしょうか。
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写真15. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真15)。
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写真16. 川を渡る
川を渡ります(写真16)。
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写真17. 山がある
のどかな風景に独立した山。さっそくゴールデンパスラインの名に恥じない風景が飛び込んできました。
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写真18. Wimmisに停車!
Wimmisに停車します(写真18)。
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写真19. ごつい山がある
ごつい山があります(写真19)。
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写真20. のどかな風景が広がる
そう思ったら、のどかな風景が広がります(写真20)。
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写真21. のどかな農村部を走る
のどかな農村部を走ります(写真21)。
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写真22. のどかな農村部を走る
のどかな農村部を走ります(写真22)。
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写真23. のどかな場所を走る
のどかな場所を走ります(写真23)。このあたりの建物は別荘かな?
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写真24. 牧場も見える
牧場も見えます(写真24)。
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写真25. 反対方向とすれ違う
反対方向とすれ違います(写真25)。
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写真26. 進行方向左側も美しい!
進行方向左側も美しい風景が広がります(写真26)。
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写真27. 素晴らしい風景が広がる
素晴らしい風景が広がります(写真27)。
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写真28. のどかな風景とごつい山
のどかな風景とごつい山の対照がスイスらしいのでしょうか(写真28)。
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写真29. 牛の大群
牛の大群です。
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写真30. スイスらしい風景を走る
スイスらしい風景を走ります(写真30)。BLS鉄道区間はどちらかというと地味な印象がありますが、車窓は決して劣るものではありません。
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写真31. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真31)。
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写真32. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真32)。
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写真33. 建物が増えてきた
建物が増えてきました(写真33)。まもなくツヴァイジンメンです。
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写真34. ツヴァイジンメンに到着!
ツヴァイジンメンに到着しました(写真34)。
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写真35. ツヴァイジンメンで乗りかえる人々
ツヴァイジンメンは地球の歩き方先生でさえ掲載されない程度の場所で、ここを目的地とする人はそう多くありません。そのためか、ツヴァイジンメンで多くの人々が乗りかえます(写真35)。この列車が本来はインターラーケンからモントルーまで直通するのです。
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写真36. 標準軌とメーターゲージ
そのツヴァイジンメン駅の一部は標準軌とメーターゲージが並んでいます(写真36)。ここまでのBLS鉄道区間が1435mm幅、ここから先のMOB鉄道区間は1000mm幅です。
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写真37. 軌間変換装置?
軌間変換装置でしょうか(写真37)。このときはこの装置に不具合があり、数か月間はツヴァイジンメン乗りかえとなっていたのです。狭軌車両を狭軌区間だけで走らせるのは問題ないので、パノラマエクスプレスはツヴァイジンメン以西のMOB鉄道区間で運転されていたのです。スイスの立派なところは、別列車にしてでも、きちんと代替列車を確保することです。
シュピーツからツヴァイジンメンまで乗ってみて
今回、MOB鉄道へのつなぎの意味合いでゴールデンパスラインのシュピーツからツヴァイジンメンまで乗りました。ただし、地味な印象があるのは鉄道会社の営業施策の面があり、車窓面は決して劣っていませんでした(ZB区間と異なり湖がないのがちょっと残念ですが)。
また、地域鉄道の性格が強いがゆえに車両面も地味に見えますが、決して旅行向けではないことはありません。車窓を楽しめる大きな窓、快適な座席、そして(一応は設置されている)ビストロと旅行に必要な車両の条件を満たしています。
そんなことを実感したシュピーツからツヴァイジンメンまでの旅程でした。
(←前) ブルクドルフからシュピーツの列車旅
ゴールデンパスラインの中間部分の乗車(シュピーツ→ツヴァイジンメン):現在地
ゴールデンパスラインのパノラマ席の前面展望(ツヴァイジンメン→モントルー)(次→)
★全体のまとめ:23年GWドイツ・スイス旅行のまとめと振り返り