東北地方に多く生息する701系電車。その多くはオールロングシート車ですが、一部にセミクロスシート車が存在します。その車内を探ってみました。
写真1. 秋田に停車中の701系セミクロスシート車
復習:701系電車の概要
まず、701系電車の概要を紹介しましょう。
- 概要:交流通勤型電車
- 編成:2~4両編成(複数編成を連結することもあり)
- 車内:原則オールロングシート
- 運用線区:東北本線(新白河-盛岡)、奥羽本線(米沢-青森)、羽越本線(鶴岡-秋田)など
701系電車は東北地区のJR線で走っている通勤電車です。新白河・米沢・鶴岡以北の電化路線で運用されており(仙石線には使われません)、仙台地区以外はこの車両しかありません。仙台地区・秋田地区・盛岡地区(※)で飾り帯が異なっていますが、基本的にはオールロングシート車です。
※山形県の羽越本線は秋田地区(一部新潟地区)、奥羽本線以東は仙台地区、そして青森県は基本的には秋田地区と区分けされます。
もともとは北東北地方に残る客車列車を置き換える目的で投入されました。そのため、南東北よりも北東北に集中しています。この前後に投入された719系電車やE721系電車のほうがローカル輸送に適しているように感じますが、これは時期が悪いというばかりです(仙台地区に719系を継続投入し、仙台地区の電車を北東北に転属であれば良かったかもしれません)。
なお、オールロングシート車ではない車両が2つあり、1つが田沢湖線用の5000番台、もう1つが秋田地区(主に奥羽本線の新庄-秋田で運用)の0番台です。
ブレーキ方式で1000番台だの1500番台だのという区分けはありますが、車内に大きな違いはありません。そのため、本記事では番台ごとの区別は行いません。
701系セミクロスシート車の車内
では、秋田地区に少数しか在籍していない701系セミクロスシート車の車内を見てみましょう!3編成存在しますが、3編成とも新庄寄り先頭車だけがセミクロスシート車であり、青森寄りの先頭車は安心のオールロングシートです。当初は新庄-秋田の快速に運用されていたとも聞きますが、現在はそのような運用固定化もなく、当たるかは運次第です。
写真2. 車内全景
車内全景です(写真2)。ドア間にロングシートとセミクロスシートが並んでいます。通常のロングシートの半分にボックスシートが並び、1両に4組のボックスシートが並びます。
写真3. ボックスシートの様子
ボックスシートの様子です(写真3)。通常のボックスシートよりもシートピッチは広く、向かい側の人と足が干渉しにくく感じました。ここまでのゆとりを実現するのであれば、転換クロスシートを配置し、向かい合わせの席を減らすことも手でした。
写真4. テーブルを広げる
テーブルを広げました(写真4)。ペットボトルの飲み物を置けます。このときに相席になったグループはこのスペースを上手に活用していませんでした。(気分的な問題で)意外と使いづらいのかな?
写真5. ボックスシートの様子
別のアングルからもボックスシートを撮影してみました(写真5)。窓割と座席は一致しており、そのような意味では好感が持てます。
写真6. ボックスシートから眺める車内
ボックスシートから車内を眺めます(写真6)。運転席の仕切りはそれなりに開放的で701系電車の長所の1つに数えらえましょう。
写真7. ボックスシートから車端部を眺める
ボックスシートから車端部を眺めます(写真7)。こちら側の車両にトイレが付いており、収容力がやや劣ります。どうせ1両をボックス化するのであれば、トイレのない車両のほうが(2両の間で)収容力が均等化して、バランスが取れそうです。そうしなかった理由は何でしょうか?
写真8. 車端部の様子
車端部の様子です(写真8)。ステンレスむき出しのドアが目立ちます。また、車両間のドアが両開きです。これはワンマン運転の際の車内通り抜けを考慮した結果と推定いたします。
写真9. ドアはステップ
ドア部分にステップがあります(写真9)。仙台地区の車両には「あつい!」と表示がありますが、秋田地区の車両にはそのような表示はありません。
写真10. 運転席後ろの様子
運転席後ろの様子です(写真10)。キャラクターのラッピングがなされていますね。
写真11. トイレの様子
トイレの様子です(写真11)。標準的な洋式です。
写真12. トイレの手洗い場
トイレには手洗い場もあります(写真12)。蛇口の下を押すと水が出てきます。近年の車両と異なり、国鉄型に近いものを感じます。
写真13. 青森よりの車両はオールロングシート
青森寄りの車両はオールロングシートです(写真13)。
701系セミクロスシート車の感想
701系セミクロスシート車は2両編成で、混雑にも対応できるセミクロスシート車という意味ではそれなりの車両です。
しかし、地方都市圏でオールロングシートを要求されるほうが異常です。地方都市圏であれば、地上設備的には増発や増結は容易でしょう。秋田地区の在来線も日中でも30分間隔で運転すれば、オールロングシート車にしなければならないほど混雑することもないでしょう。乗客の要求には多様性がありますから、次期車両は転換クロスシートも組み込んだ車両でゆとりある輸送サービスを実現してもらいたいものです。