中央・総武線各駅停車(ダイヤパターン紹介)

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そこまで有名でないものの、山手線を横切り、都心部と新宿など重要な場所を通る、中央・総武線の各駅停車。都心部を横断することもあり、本数もそれなりに確保されています。そんな路線のダイヤを紹介しましょう。

E231系(御茶ノ水)

写真1. 2020年3月までは早朝と深夜に御茶ノ水どまりが多く設定されていた

復習:ダイヤパターンとは

具体的なダイヤパターンを紹介する前に、ダイヤパターンの基本概念について紹介しましょう。

多くの路線では鉄道ダイヤを作成する際に、基本的なパターンを形成しています。例えば、20分間隔で快速1本、各駅停車が2本が運転されている場合は、20分サイクルのパターンダイヤと呼びます。サイクルとは、列車の運転順序が1回りする時間を示します。例で示した路線の場合は、20分サイクルと呼びます。本記事ではこのような路線の場合、「20分サイクルで快速が1本、各駅停車が2本」というように呼ぶことにします。

多くの路線では、1サイクルを60の約数(何サイクルかすれば60分になる)としています。そうすると、毎時の発車時間が一定になります。

多くの路線では1サイクルに何本かの速達列車と各駅停車を混ぜています。(快速が各駅に停車する場合も含めて)各駅停車は平均10分に1本以上運転するようにしている路線が多いです。これは、どの駅でも10分程度待てば次の電車がやってくることを実現させるためです。

また、1サイクルの間に細かな繰り返しがあるパターンがあります。例えば、20分サイクルで快速2本、各駅停車2本が運転されていて、都心側は快速、各駅停車双方が10分間隔で運転されていて、郊外側で枝分かれするパターンです。この場合は厳密には20分サイクルですが、都心側のダイヤを論じる場合は10分サイクルと考えても差し支えはありません。このような、1サイクルの中で小さな繰り返しがある場合は疑似サイクルと呼ぶことにします。今回の例では、「疑似10分サイクルの中で快速1本、各駅停車1本が運転されている」と呼ぶという具合です。

ダイヤの実態は路線によって異なりますので、疑似サイクルの表記の方法については、適宜対応することにします。

中央・総武線各駅停車の運転系統

中央・総武線各駅停車はもともと異なる2路線(中央線と総武線)を直通させた運転系統です。そのため、運転系統はやや理解しにくい面があります。そのため、運転系統を紹介します。

中央・総武線各駅停車の路線図

図1. 中央・総武線各駅停車の路線図

御茶ノ水から西側は中央線の各駅停車、東側は総武線の各駅停車という区分です。しかし、現在は御茶ノ水で折り返すことはほとんどありません。それだけ一体化して運転されています。

御茶ノ水から西側は中央線の快速が、錦糸町から東側は総武線の快速が、それぞれ運転されています。そのため、中央・総武線は各駅停車の運転しかありません。御茶ノ水から錦糸町は並行する運転系統はありません。一応、中央線快速と総武線快速は東京で乗りかえられますが、乗りかえの距離は長く、一般的なルートではありません。したがって、御茶ノ水-錦糸町はどうしても中央・総武線各駅停車に乗客が集中します。

中央・総武線各駅停車の朝ラッシュ時のダイヤパターン

E231系(両国)

写真2. 朝ラッシュ時の両国の様子

この路線の中央線側は三鷹に、総武線側は千葉まで伸びていて、それぞれの方向から都心に向けた流れがあります。そこで、両方向のダイヤについて触れることにしましょう。

千葉→都心の朝ラッシュ時のダイヤパターン

千葉から都心に向かうメインルートであり、錦糸町→両国の混雑は統計上、日本で混雑する電車のトップ5に入っています。それだけに、多くの電車が運転されています。

錦糸町断面で7:42~8:41の間に24本運転され、平均2分30秒間隔です。ただし、本当に2分30秒間隔なのは7:42~8:34と見られ、その直前は2分40秒間隔、直後は3分間隔に見えます。意外なことに津田沼始発の中央・総武線は7:27~9:10の間は設定がなく、津田沼始発は全て東西線直通です。津田沼の着席サービスと総武線各駅と東西線の直通拡大による利便性向上のために、東西線直通のうち一部を千葉まで延長し、そのぶん津田沼始発の中央・総武線を設定することも手です。

最高速度は長らく90km/hから変わっていません。駅間距離が長い区間もあり、車両も120km/h対応なのですから、せめて110km/h運転をするべきでしょう。

2022年ダイヤ改正以前

錦糸町断面で7:36~8:35の間に25本運転されています。平均2分24秒間隔です。実態は2分30秒間隔と2分20秒間隔の組み合わせでしょう。日本で有数の混雑なのですから、2分20秒間隔に統一してもう1本増発するのが筋でしょう。幸いなことに、性能の悪い209系電車は引退しました。また、現存する車両はみな6M4Tと以前の4M6Tよりもモーター車の割合が増えています。ということは加速性能を向上させることができます。そのため、ホームドア設置後も運転間隔を確保できるでしょう。

意外なことに津田沼始発の本数は少なく、7:26~9:10の間は津田沼始発はありません。あるにはありますが、津田沼始発は東西線直通です。始発チャンスを増やすのであれば、東西線直通電車の一部の始発を千葉に振り替えるとともに、そのぶんの津田沼始発を設定するくらいでしょう。

津田沼始発の東西線直通は9本設定されていますが、そうすると西船橋から都心よりの本数が減ってしまいます。それを補うために、西船橋始発が設定されています。素人目には東西線直通は不要に思えますが、混雑する西船橋の乗りかえを回避するための意味があるのでしょう。

三鷹→都心の朝ラッシュ時のダイヤパターン

新宿断面で8:00~8:59の間に18本しか運転されていません。平均3分20秒間隔です。平均的に運転されれば10分に3本となるはずですが、実際にはもう少し不均等な間隔です。新宿断面で8:20ごろが手厚く、その前後は運転間隔が開いていて4分間隔の箇所も見られます。

基本的に三鷹始発ですが、東西線直通も一定本数があり、一部はそれと対になるように中野始発があります。新宿断面で8:00~8:59に設定されている東西線直通が6本、中野始発が4本ですので、三鷹-中野より中野-新宿のほうが本数が少ないです。

2022年ダイヤ改正以前

三鷹はそこまで都心から離れていないため、(それだけ集客力が乏しく)そこまで混んでいません。そのため、新宿断面で8:00~8:59の間に22本しか運転されていません。平均2分43秒間隔です。新宿断面で8:10~8:40を中心に2分30秒間隔運転で、その前後は3分程度の間隔になっていることでしょう(分単位の時刻表からの推測です)。

基本的に三鷹始発ですが、一部は中野始発です。中野始発と対になるように東西線直通があり、三鷹→中野と中野→新宿で本数が変わりません。

西船橋側での東西線直通は(西船橋で東西線と総武線が同一ホームにできない以上)意義がありますが、中野側での東西線直通は不要でしょう。現在は東西線直通があるせいで中野から新宿方面に向かう際のホームがバラバラでかえって不便です。中目黒で同一ホームで乗りかえられることを理由に、東急東横線と地下鉄日比谷線は直通運転をやめました。ましてや経由地が似ている中央・総武線各駅停車と地下鉄東西線です。

直通をやめても大きく不便になるとも考えにくいです。そのかわり、中野での配線を以下の通りとすれば、直通がなくなってもそう不便になりません。

1番線:中央・総武線各駅停車(三鷹方面)
2番線:地下鉄東西線中野どまり
3番線:地下鉄東西線大手町方面
4番線:中央・総武線各駅停車(新宿方面)

また、現在は中央線の快速が高円寺、阿佐ヶ谷と西荻窪に停車しているために、中央線(快速)だけが混雑してしまいます。ここを通過すれば、これら3駅の利用者が各駅停車を利用することになり、快速の混雑が分散されます。確かに、これら3駅から新宿への所要時間は伸びてしまいます。これは加速性能を向上させて、若干所要時間を短縮させれば良いだけです。また、中野での時刻調整もなくせば西荻窪からであれば、新宿までの所要時間は従来の快速並みとなるでしょう。

中央・総武線各駅停車の日中時間帯のダイヤパターン

E231系(両国)

写真3. 両国に停車する様子(これは朝ラッシュ時の様子でしたね…)

平日と休日のダイヤパターンが異なります。平日は中野-三鷹の本数が少ない一方、休日は中野-三鷹の本数が多いです。これは、平日は快速が中野-三鷹を各駅にとまるので、この系統の本数がそこまで必要なく、休日は高円寺、阿佐ヶ谷と西荻窪のフォローのために本数を確保する必要があるためです。そのため、平日と休日を分けて紹介します。

平日日中時間帯のダイヤパターン

基本的に5.5分間隔のダイヤで運転されます。中野-津田沼で5.5分間隔、津田沼-千葉は11分間隔が基本です。そのため、毎時の発車時刻は一定ではありません。これは不親切なダイヤです。

以前は津田沼-千葉でも毎時6本が確保されていましたが、現在は毎時5本の時間帯もあります。以前は11分間隔を基本としつつ、毎時6本を確保するために5.5分間隔となることもありました。これだと利便性はそこまで高くありません。そこで、11分等間隔としました。これはこれで1つの見識です。ただし、列車本数の少ない千葉よりで毎時の発車時刻が一定ではない点はどうかと思います。

中野-三鷹は毎時4本です。かわりに東西線からの直通が毎時4本走ります。東西線直通は15分の等間隔ですが、純粋な中央・総武線は15分間隔ではありません。5.5分間隔はどうやっても15分等間隔にはできません。

運転間隔を30秒短縮して、三鷹-津田沼は5分間隔、津田沼-千葉は10分間隔とするのが最もわかりやすいです。朝のダイヤパターンでも述べた通り、東西線直通は廃止でも差し支えないでしょう。中野断面で5分等間隔であれば、東西線との接続も一定になり、直通していないことによるデメリットもそう多くありません。

休日日中時間帯のダイヤパターン

休日は5.5分間隔ではなく、5分間隔で運転されています。そのため、とてもわかりやすいです。三鷹-津田沼は5分間隔、津田沼-千葉は10分間隔です。毎時の発車時刻も一定で利用しやすいです。

ただし、三鷹-中野は3本中1本は東西線直通です。中野では別のホームでの乗りかえですので、東西線直通と中野発着の乗りかえは困難です。そうであれば、東西線直通をなくしたほうがすっきりします。3本に1本が接続しないのであれば、実質的な待ち時間が10分になってしまいます。これではサービス上好ましくありません。東西線直通をなくして、三鷹-津田沼を5分間隔で運転すれば、快速通過駅の利便性も向上します。

中央・総武線各駅停車の夕方ラッシュ時のダイヤパターン

錦糸町に到着する各駅停車(209系500番台)

写真4. 夕方ラッシュ時の様子(なつかしき209系)

この路線の中央線側は三鷹に、総武線側は千葉まで伸びていて、都心からそれぞれの方向に向けた流れがあります。そこで、両方向のダイヤについて触れることにしましょう。

都心→千葉方面のダイヤパターン

秋葉原断面で18時台はおおむね3分間隔で運転されています。日本でも有数の混雑区間をかかえますので、この程度の本数は必須です。千葉まで向かうのは2~3本に1本だけで、そのほかは西船橋折り返しと津田沼行きが半々程度の設定です。

朝ラッシュ時と同じく、東西線直通電車が西船橋-津田沼で設定されています。これは西船橋での乗りかえをなくして、西船橋構内の乗りかえ客の混雑を緩和するためです。西船橋行きから東西線から津田沼行きに乗りかえはできませんが、3分間隔で運転されているので、そこまで悪い感じはありません。

都心→三鷹方面のダイヤパターン

新宿断面で18時台はおおむね4分間隔で設定されています。2~3本に1本程度は中野行きですが、他は三鷹行きです。中野から三鷹までは東西線直通が加わり、中野を境に本数が変わることはありません。いいかえると、中野行きと同等の本数ぶんだけ東西線直通があるということです。

ただし、(中野行き)から(東西線からの三鷹行き)に乗りかえることは難しいでしょう。つまり、新宿から高円寺以遠の駅へは実質8分待ちが生じるということです。これは使いにくいです。中野で東西線と同じホームで乗りかえることを条件に東西線直通を廃止するのが最も使いやすいダイヤです。

中央・総武線各駅停車のダイヤパターンまとめ

都心を横断する運転系統である、中央・総武線各駅停車。両側で東西線と直通していますが、その実態は両側で異なります。西側は全面的な直通である一方、東側は朝・夕の補助的な役割という違いがあります。

平日と休日で日中時間帯のダイヤが異なることも紹介しました。平日のダイヤは使いにくい面もあります。これは改善の余地は大いにあります。

とはいえ、潤沢な本数が確保されていることも事実です。都心を縦貫する京浜東北線よりも地味な印象は隠せませんが、これからも都心を横断する重要な路線であり続けるのでしょう。

過去のダイヤの変更点に関する記事

過去の特定のダイヤ改正について、改正前後の時刻を比べるなど、深い考察をしています。

2020年3月ダイヤ改正における中央線の変化(終日快速運転実施における変化は?)

終日にわたって快速運転を行った中央線。東京から中央線沿線への住宅街にスムーズにアクセスできるという利点があります。では、通過駅の乗車チャンスは減少していないのでしょうか。
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