2020年3月ダイヤ改正における中央線の変化(終日快速運転実施における変化は?)

2020年3月ダイヤ改正で終日にわたって快速運転を行った中央線。終日快速運転することで、東京から中央線沿線への住宅街にスムーズにアクセスできるという利点があります。では、通過駅の乗車チャンスは減少していないのでしょうか。その点を中心に考察しました。

E233系各駅停車立川行き

写真1. 中央線の東京発着の各駅停車がなくなった(ダイヤ改正1週間前に撮影)

ダイヤ改正の概要

今回のダイヤ改正における中央線の変化は「早朝と深夜の中央線各駅停車の廃止」というものです。JR側の公式発表の図をご覧いただきましょう(図1)。

2020.3ダイヤ改正中央線輸送体系変更概念図

図1. 2020.3ダイヤ改正中央線輸送体系変更概念図(JRのダイヤ改正プレスリリースから引用)

東京発着の中央線各駅停車を快速運転として、通過駅については総武線からの各駅停車でフォローするというものです。これは、そのほかの時間帯と同じ運行形態に変わるということです。これは、ホームドアの設置と、中央線快速のグリーン車連結が関係しています。

ホームドアの設置には車両のドア配置の統一が重要です。現在は中央線快速も中央・総武線各駅停車のいずれも10両4ドア車の車両に統一されています。しかし、中央線快速は12両(うち2両グリーン車)となり、車両のドア配置が異なるようになります。早朝と深夜には快速の車両が各駅停車の線路を通ります。そうすると、各駅停車のホームには2種類の車両が来ることになり、ホームドアに対応できません。そのため、完全に運用を分離し、各駅停車のホームに快速用の車両が来ないようにしたのです。

JR側は具体的には述べていませんが、各駅停車の車両を三鷹以西で運転することも取りやめます。これは快速のホームに各駅停車用の車両が来ないようにするためです。

本記事ではその様子を詳細に取り上げて、変化点を考察することを目的とします。

ダイヤ改正前後での本数の比較

今回のダイヤ改正のプレスリリースには「早朝・夜間帯の列車で時刻が変更となるほか、運転区間や運転本数が変更となります。」としか書かれていません。本来であれば列車1本1本の延長区間、停車駅の数などを比べるのが筋というものです。しかし、私にはそのような情熱はありませんので、代表的な駅の発車時刻を取り上げて、増減を比べる程度とします。

各駅停車の運転本数の比較

今回のダイヤ改正で告知の対象となっていたのは、早朝と深夜です。そうであれば、早朝(~7:00)と深夜(22:00~)で事足りるでしょう。そこで、4~6時台と22~0時台(※)を比較対象とします。

※24時台と0時台の両方の表現が考えられますが、鉄道の時刻表示は0時です(24:00は到着の表示、0:00は発車の表示)。そのため、本記事では0時台と表記いたします。

また、各駅停車の通過駅の本数が確保されているかどうかの比較ですので、下りは御茶ノ水、上りは中野(中野-三鷹は快速が各駅に停車するので各駅停車そのものの本数は重要ではないと推定)を選択しました(表2)。

表2. 2020.3ダイヤ改正(中央線、各駅停車発車時刻表)

2020.3ダイヤ改正(中央線、各駅停車発車時刻表)

表には各時間帯の増減をわかりやすく示すために1番右側に増減を示しています。

・御茶ノ水下りでいうと、早朝は1本減少、深夜は増減なし
 ※ダイヤ改正前の5:59を6:02にシフトと考えると、早朝の減便は5:14のみ
 ※ダイヤ改正前の23:01→22:59、0:01→23:57と考えると、22時台~0時台の減便はなし

・中野上りでいうと、早朝は4本減便、深夜は2本増発
 ※5時台は2本減便といえども3分続行の便の1本を削るので、待ち時間の極端な増加はなし
 ※深夜は23:20以降について2本増発、全体的な運転間隔を見直し

全体的に減便は早朝のみとなっていて、あからさまな減便ではないことに安心しました。御茶ノ水下りでは早朝に5:04~5:25と21分のダイヤホールが開くことと、中野の上りは4:25~4:52と27分のダイヤホールが開くことが気になります。

また、中野発上りの深夜時間帯の増発も実施されています。「深夜の上りなのになぜ?」という疑問も持ちますが、それは少し考えるとその疑問は氷解します。中野上りはそのまま乗ると、新宿から千葉方面へと変わります。新宿から総武線方面への帰宅需要を考慮したのでしょう。また、総武線方面の人にとっても朗報です。新宿から総武線方面へは従来は乗りかえが必要でしたが、今度からは不要になります。また、速達性を望むのであれば、御茶ノ水まで快速に乗るという手もあります。

話は変わりますが、御茶ノ水4:44の下りと4:29の上り(千葉行き)は御茶ノ水始発です。一方で、御茶ノ水行きは深夜の1本しかありません(三鷹発、御茶ノ水着は0:54)。対になる御茶ノ水行き(順当にいえば千葉方面からの電車)がありません。津田沼から回送されるのでしょうか。そうであれば客扱いしたほうが良さそうに思えます。

快速電車の運転本数の比較

では、快速の運転本数はどうでしょうか。「各駅停車と快速を合わせた本数が同じだから輸送力は維持されるでしょ?」ということにはならなさそうですが、いちおう運転本数を比べます。

各駅停車では御茶ノ水下りと中野上りのそれぞれ4時台~6時台と22時台~0時台で比べました。比較の基本は同じ条件で行うのがセオリーです。そのため、同じように比べます(表3)。

表3. 2020.3ダイヤ改正(中央線、快速発車時刻表)

2020.3ダイヤ改正(中央線、快速発車時刻表)

ダイヤ改正後の御茶ノ水の発車時刻に下線が引いてある電車が2本あります。これは、ダイヤ改正前は新宿始発であったことを示します。また、ダイヤ改正前の中野の発車時刻に下線が引いてある電車が2本あります。これも新宿行きであることを示します。

ダイヤ改正前に設定のなかった早朝はまるまる増発となっています。ただし、早朝の設定のある時間帯については増発も減便もありません。また、23時台はおおむね10分間隔だったものが5分間隔まで縮まっています。これに伴い、深夜時間帯の中央特快も増発されています。これにより、遠方との行き来も速達化されています。

ただし、ここには示していませんが、総武線発着の三鷹以西の便については三鷹以西はまるまる減便となっています。いいかえると、三鷹-立川は減便の憂き目にあっているのです。多くの利用者が快速を選択するのが現状とはいえ、そのようなフォローはなされませんでした。新宿時点で21時台と22時台前半で新宿始発の快速立川行きや快速武蔵小金井行きを増発するとより親切でした。

終電の比較

深夜で重要になってくるのが、終電の時刻です。東京と新宿で行先別の終電の時刻を比べてみましょう。

まずは、東京発の終電です(表4)。今回のダイヤ改正で高尾行きの最終の後に豊田行きの最終が割り込むことになりました。これは立川への終電時刻を維持するためでしょう。

表4. 行先別終電時刻の比較(東京)

行先終電時刻
(改正前)
終電時刻
(改正後)
大月23:3123:30
高尾0:200:15
豊田0:20(高尾行)0:25
武蔵小金井0:270:35
三鷹0:350:35(御茶ノ水乗換)

大月までの終電時刻は1分繰り上げ、高尾への終電は5分繰り上げ、豊田への終電は5分繰り下げ、武蔵小金井への終電は8分繰り下げとなっています。三鷹までの快速通過駅への終電は変わりません。つまり、今回のダイヤ改正で東京発で見ると八王子、西八王子、高尾の終電は繰り上げ、そのほかは維持か繰り下げとなっています。豊田行きと高尾行きの順番を入れ替えれば、高尾までの発車時刻維持、高尾到着時刻は変化なしと誰でも喜ぶ展開になっていました。それは残念ですね。

では、新宿発の時刻はどうでしょうか(表5)。

表4. 行先別終電時刻の比較(新宿)

行先終電時刻
(改正前)
終電時刻
(改正後)
大月23:4523:45
高尾0:410:30
豊田0:41(高尾行)0:40
武蔵小金井0:500:50
三鷹1:011:01(16番線)

大月までの終電は変わらず、高尾までの終電は11分も繰り上げ、豊田まででも1分繰り上げ、武蔵小金井と三鷹への終電は変化なしです。つまり、新宿発の終電は維持か繰り上げで、とりわけ八王子、西八王子、高尾の終電は11分繰り下げという仕打ちです。せっかくの快速運転です。所要時間短縮ぶんだけ新宿の発車時刻を繰り下げることも可能でしたが、それをしませんでした。

そこまでやらなくとも良いですが、せめて豊田行きの最終は高尾まで延長すれば、「終電の発車時刻は維持、快速運転のぶんだけ高尾到着時刻は早まる」という乗客側-会社側双方がwin-winの結果となりました。せっかくの快速運転ですから、そのような配慮も欲しかったです。ただし、乗客の多い立川救済のために豊田行きを新設してフォローするなどの親切さも感じることができます。

早朝時間帯の後の中央線快速のダイヤ

快速のダイヤをよく見てみると、朝時間帯の中央特快(や通勤特快)の新宿発の時刻は以下の通りです。

6:36、6:45、7:01、7:41(通勤特快)、7:55(通勤特快)、8:44(通勤特快)、8:58(通勤特快)、9:23(通勤特快)、9:48、10:02、…

7:01~7:41の40分のダイヤホール、7:55~8:44の49分のダイヤホール、8:58~9:48の25分間隔が気になります。7:55~8:44の49分のダイヤホールは仕方ありません。この間はラッシュ時のピークであり、速達列車の設定が困難なことはわかります(速達列車を設定すると、速達列車目的でピーク前後を利用している人がピークに移行してしまう)。

しかし、7:55~8:44の49分のダイヤホール、8:58~9:48の25分間隔はいただけません。ラッシュピークから乗客をシフトさせるのに7:10ごろに中央特快を増発してラッシュピーク時からの乗客誘導をするのが良いでしょう(7:16と7:27に特急の設定があります)。同様に、9:23の通勤特快を何分か前にシフトして、9:30過ぎに中央特快を増発することも重要です。これによって、ラッシュピークから乗客をシフトさせることができます。今回のダイヤ改正でこの点についても手が加えられることを期待しましたが、それは期待に終わってしまいました。

2020年3月ダイヤ改正のまとめ

中央線各駅停車の運転が終了し、終日にわたって快速電車と各駅停車の分離が実現した中央線。この施策は、長らくにわたって行われてきた東京発着の各駅停車がなくなるという革命的なできごとです。この革命の影の部分-快速通過駅の減便-も実害があるのは早朝時間帯だけとデメリットも目立ちません。また、これに伴って深夜時間帯の中央特快が増発され、遠方への速達性も向上しました。各駅停車から快速への振り替えによる中央線の速達性向上、総武線-新宿地区のアクセス改善と全体としては改善傾向にあります。

ただし、細かなフォローがなされていない点は気になりました。高尾への終電、深夜時間帯(あるいは早朝時間帯)の三鷹-立川の減便という点です。JRは他の私鉄よりも素晴らしいインフラを持ち合わせています。それだけにきめ細かなフォローの姿勢があるとなおさら使いやすい鉄道になると確信しています。大きな組織なのでなかなか細かなところまで手が伸びないでしょうが。細かなフォローまで手が回るように工夫してもらいたいのです。

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コメント

  1. しこっち より:

    元々あったものを廃止する時点である程度の不満は出てくるのは想定してるだろうけど
    総武線直通の千葉行きがなくなった事で朝5時の電車の時点で満員なのはもう笑うしかない
    時間は掛かるけど空いていた各駅停車の千葉に乗れなくなった時点で朝早い時間帯に行く意味がなくなった

  2. tc1151234 より:

    しこっちさま、コメントありがとうございます。

    最近は「時差通勤」という制度が多くの事業所で取り入れられていることもあり、早朝の電車も混雑することが予想されます。しこっちさまがどの区間のことを示しているのかは不明ですが、確かに早朝時間帯は各駅停車そのものは減便となったのは事実です。

    今回のダイヤ改正の手直しとして、(総武線直通の)三鷹-立川の減便ぶんの補填としての新宿-立川の設定(早朝と深夜の減便ぶんに相当)、早朝の中野-西船橋の区間列車の増発などのフォローを期待したいところですね。