桜が美しい季節に叡山電車に乗りました。何の変哲のない春の平日はどのような姿なのでしょうか。登場から1年経過した「ひえい」号に乗って、叡山電車の実態を見てみました。
写真1. 特徴的な外観の「ひえい」号
復習:叡山電車の概要
叡山電車は京都の北西部を走る私鉄(民鉄)です。叡山本線と鞍馬線の2路線から構成されています。
図1. 叡山電車の路線図(公式ホームページより)
叡山本線は出町柳から八瀬比叡山口までの路線で、その途中の宝ヶ池から鞍馬までが分岐しています。それが鞍馬線です。叡山本線は5.6kmで、鞍馬線は8.8kmです。叡山本線よりも鞍馬線のほうが長いのです。
日中時間帯の本数は以下の通りです。
平日:出町柳-鞍馬口、出町柳-二軒茶屋、出町柳-八瀬比叡山口、いずれも各20分毎
※鞍馬線の二軒茶屋までは10分間隔で運転
休日:出町柳-鞍馬口、出町柳-八瀬比叡山口、いずれも15分毎
鞍馬口や八瀬比叡山口に向かうのであれば、休日のほうが便利そうですね!私は平日に利用しました。いわば、「日常」の姿を確認できる日です。
実際の前面展望を楽しむ
私は行程の兼ね合いで茶山から乗ることになりました。茶山は無人駅です。そのため、ICカードにタッチするのを忘れてはいけません。私は都電の感覚で車内でタッチしようとして、駅でタッチし忘れそうになりました(他の人がタッチしているのを見て気づきました)。
写真1. 叡山電車のエースきららがやってきた
叡山電車のイメージキャラクターといえば、きららです(写真1)。クロスシートが配置されていて、窓も大きいです。そのため、観光向きの車両です。ただし、私はこのときは鞍馬に行く予定がありませんので、乗れませんでした。
写真2. 奇抜な外観の改造車がやってきた
昨年、少し話題になった最新の観光電車です(写真2)。ただし、この車両はオールロングシートですので、きららのほうが観光向けでしょう。会社の人にデビュー当時に「GWにこれに乗るのか?」と聞かれましたが、「京都に行かないでしょうね」と濁しました(その時は中欧に行きました)。
写真3. 732がやってきた
私が向かう八瀬比叡山口に行く電車がやってきました(写真3)。登場から1年経過して、結果的に乗ることになりました。
写真4. 2018年改造の732号車
この車両は700系といいますが、その32号車です。32号車が2018年に改造されて、「ひえい」に生まれ変わりました(写真4)。乗るまで新車だと思い込んでいたので、走行音がインバーター車のそれではなく、驚きました。「きらら」と異なるコンセプトということですが、どちらかというと利用者としてはきららのようなコンセプトの車両のほうがありがたいですね。乗ってしまえばロングシートで車窓は眺められないし。
そのため、前面展望を楽しむことにしました(そればっかり)。
写真5. 複線区間を行く
京都の住宅街を走ります(写真5)。このように見ると、京都らしさは感じません。
写真6. 出町柳行きとすれ違う
出町柳行きとすれ違います(写真6)。この区間は20分に3本運転されますから、すれ違う電車もそれなりに多いです。
写真7. 宝ヶ池に近づく
宝ヶ池に近づきます(写真7)。住宅街を走るのに1両編成で足りてしまうのが実態です。この理由はさまざまありますが、その1つに京都市営地下鉄烏丸線の存在があるでしょう。宝ヶ池は国際会館にほど近いです。
図1. 国際会館と宝ヶ池の位置関係
京都市営地下鉄は京都の中心部や京都駅に直結、叡山電車は出町柳までしか行かない、となると、京都市営地下鉄を選ぶ人も多いでしょう。
写真8. 叡山本線側が直線
鞍馬線のほうが距離が長く、有名なため本線という感じになったところもありますが、分岐器を見ると叡山本線側が「本線」格であることがわかります(写真8)。叡山本線は全線複線です。
宝ヶ池の出町柳よりに分岐がありますので、出町柳行きは2つのホームから出ることになります。もしも、終点側に分岐があり、宝ヶ池が単純な島式ホームであれば、乗りかえが簡単で、出町柳行きのホームにも迷うことはありませんでした。このような線路配線のほうが使う土地も狭く、利用者の利便性が向上するので、検討すべきでしょう。
写真9. 複線が2つ並ぶ
このあたりは鞍馬線も複線です。その鞍馬線と並ぶ区間は複々線区間にも見えます(写真9)。
写真10. 山が迫ってきた
宝ヶ池を出ると、山が迫ってきます(写真10)。比叡山に近づいてきたのです。
写真11. 最後の中間駅、三宅八幡が見える
叡山本線の最後の中間駅が三宅八幡です(写真11)。桜の季節に行ったので、桜の花が美しいですね。
写真12. 山が迫ってきた
いよいよ最後の1駅です。山が迫ってきました(写真12)。
写真13. 八瀬比叡山口に近づく
写真14. 八瀬比叡山口に近づく
いよいよ終点の八瀬比叡山口です。ドーム型の天井がホームを覆っていて、ターミナル駅の風格が見られます(写真13-14)。ただし、基本は無人営業です。
写真15. 八瀬比叡山口の駅舎
このような山あいまでやってきたのです(写真15)。
2018年に新たなスタートを切った「ひえい」号。その車内を軽く撮影できましたので、収録いたします。
写真16. 叡山電車ひえい号の先頭形状
楕円の飾りが大きなアクセントです。このアクセントで前面展望が若干悪化している点は指摘せねばなりません。ただし、京都や比叡山にふさわしい和の外観が実現しているのは間違いありません(写真16)。
写真17. 電球色の照明が美しい車内
電球色の照明が美しい車内が見えます(写真17)。しかし、オールロングシートで、機能面も忘れてはいません。地元の人にとっては、乗りおりしやすい車内であることも重要です。
写真18. 美しい天井
写真19. 美しい天井
このように、美しい天井が車内を貫いています。この車両のデザインにはさまざまな感想があるでしょうが、私は古い車両を機能性を損なうことなく、ここまでリニューアルした事実に敬意を示したいです。