東武アーバンパークライン(東武野田線)の急行に乗る

記事上部注釈
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2020年ダイヤ改正を機に全線に渡って急行運転を開始した東武アーバンパークライン(東武野田線)。この路線の急行に乗り、運転の様子や単線区間のダイヤ上の工夫を実感しました。

写真1. ダイヤ改正を宣伝する中づり広告

東武アーバンパークライン(東武野田線)の運転系統

東武アーバンパークライン(東武野田線)の急行の停車駅の概要を復習しましょう。

東武アーバンパークライン(野田線)停車駅

図1. 東武アーバンパークライン(野田線)停車駅(東武鉄道公式サイトより引用)

停車駅一覧を示します(図1)。中央のやや上側に大宮があり、左下に船橋があります。この間を結んでいるのが東武アーバンパークラインです。2020年3月13日までは急行の速達性はそこまでありませんでしたが、2020年3月14日からは急行の速達性が大幅に向上しています。

停車駅は以下の通りです。以下、特に記さない限り、夜間に若干の本数が運転されるだけの特急については記さないことにします。

・急行:大宮、岩槻、春日部-運河の各駅、流山おおたかの森、柏、高柳、新鎌ケ谷、船橋
 ※日中時間帯は大宮-船橋の運転、朝夕は柏-船橋の運転

・区間急行:大宮、岩槻、春日部-柏の各駅
 ※柏-船橋は設定なし(区間急行は大宮-柏の運転)

・普通:各駅

急行は速達性を重視して、通過駅のある区間では停車駅を最小限にしぼっています。一方、春日部-運河は各駅に停車します。これは、春日部-運河は10分ごとの運転を行っていて、これ以上の増発が難しいためです。通過駅のある区間では急行停車駅は原則として乗りかえ駅にしか停まりません。そのほかに岩槻と高柳にも停車しています。岩槻は旧岩槻市の代表駅であるために停車、高柳は急行と普通の乗りかえのために停車という面があります。

区間急行は以前の急行と同じ停車駅です。大宮-春日部だけに通過駅があるパターンです。ダイヤの関係上、以前の急行のタイプの電車を運転するために必要な措置と理解しましょう。

急行は大宮-船橋の系統が日中時間帯に30分間隔で運転されます。そのほかの時間帯は基本的に柏-船橋の系統が30分間隔で運転され、大宮-柏は普通ばかりです。ただし、朝ラッシュが終わった時間帯や夕方ラッシュが始まる直前の時間帯については区間急行が30分間隔で運転されます。

区間急行は大宮-船橋を通しでは運転せずに、大宮-柏でのみ運転されます。区間急行と急行(柏-船橋で運転)の柏での接続はそこまで良好ではありません。可能であれば、区間急行を大宮-船橋で運転するように改めてもらいたいものです。つまり、区間急行を大宮-柏から大宮-船橋に変更し、柏での乗りかえを解消しつつ、柏-船橋では急行の停車駅に停車するのです。

実際に急行に乗る

では、実際に急行に乗ってみましょう。今回は大宮から船橋までの乗車としました。途中の柏で途中下車しています。

大宮→柏の様子

私は起点から乗るのがマナーと思い(そんなマナーなどない!)、大宮に向かいました。

写真2. 大宮の電光掲示板

電光掲示板を眺めると、燦然と「急行船橋」と表示されていました(写真2)。急行船橋行きが表示されるのはダイヤ改正前も同じです。しかし、停車駅案内が異なります。ダイヤ改正前であれば、春日部から先の駅は特に表示されるわけではありませんでした。流山おおたかの森、柏、高柳、新鎌ヶ谷、と明らかにダイヤ改正後の停車駅表示です。

東武10030系(大宮)

写真3. 急行船橋行きの表示

正面に回り、急行船橋行きの表示を撮影してみました(写真3)。

東武10030系(大宮)

写真4. 急行船橋行きの側面表示機

側面も撮影します(写真4)。伊勢崎線の種別は縦書きですが、野田線は横書きと東上線と同じです。

写真5. 大宮を発車!

先頭に陣取りました。ダイヤ改正2日目ですが、ファンの姿はいませんでした。そんな中、大宮を発車しました(写真5)。2番線から発車しましたので、渡り線を通って下り線に入ります。

写真6. 北大宮を通過!

北大宮を通過します(写真6)。大宮の次は岩槻で、4駅を通過します。東武アーバンパークラインの急行は比較的通過駅が多いです。

写真7. 郊外を走る

大宮を出ると、ほどなくして郊外的な景色に変わります(写真7)。東武アーバンパークラインは東京から放射状に延びる路線沿いは発達していて、その中間は郊外的な景色が広がります。つまり、大宮という「アーバン」を抜けたわけです。

写真8. 郊外を走る

このように郊外を走ります(写真8)。

写真9. まもなく岩槻に到着

そして、最初の停車駅である岩槻が近づきます(写真9)。ここでは下り方向だけ追い抜きが可能です。線路を移設して上りも追い抜きが可能になれば、急行(か区間急行)の運転時間帯が拡大することができそうですが、そうはなっていません。

大宮-春日部の通過駅は7駅です。一般的には7駅通過で7分速達化が可能です。いいかえると、急行をはさむ場合は最低でも10分間は普通の運転間隔が開いてしまいます。これではラッシュ時間帯には急行の運転は難しいです。岩槻で待ち合わせができるようになると、大宮-岩槻の4駅通過を考慮すれば良くなります。すると、急行をはさむ普通の運転間隔は7分となり、朝ラッシュ時の外れにも急行(か区間急行)を運転できます。

写真10. 郊外の住宅街を走る

岩槻を出ると、郊外の住宅街を走ります(写真10)。岩槻を出ると急に田園風景が広がるということはありません。

写真11. 郊外の住宅地を走る

やはり郊外の住宅街を走ります(写真11)。電車は速くもなく遅くもない速度で走ります。この走りを見ると、スピードアップの余地があるように思えます。

写真12. 春日部手前のカーブを曲がる

春日部手前のカーブを曲がります(写真12)。この付近では注意信号も点灯していました。先ほどスピードアップの余地がありそう、と述べましたが、現在のダイヤではいたずらにスピードを出すと前の普通に追いついてしまうという問題があります。

写真13. まもなく春日部

もうまもなく春日部です(写真13)。スカイツリーラインの急行が停車しています。

写真14. 春日部に停車

春日部に停車します(写真14)。春日部の野田線のホームは1面2線で、先を走る普通春日部行きが引上線に入るまで、急行は春日部に入線できません。春日部は高架化が予定されており、そのあかつきには2面4線化されます。そうすると、春日部のオペレーションが改善され、急行をはさむ普通の運転間隔が縮まることでしょう。

春日部までは15.2kmです。この春日部から単線区間に入り、18.0km先の運河まで急行は各駅に停車します。

写真15. 春日部を発車

春日部を発車します(写真15)。ここまで複線でしたが、ここからは単線に収束します。18.0km先の運河までは単線区間です。

写真16. 伊勢崎線をまたぐ

伊勢崎線をまたぎます(写真16)。この線路は浅草方面に向かいます。つまり、春日部では大宮方面-浅草方面、日光方面-柏方面の直通は進行方向を変えずにできますが、大宮方面-日光方面、浅草方面-柏方面の直通は春日部で進行方向を変える必要があります。

写真17. 藤の牛島に停車

単線区間で最初の駅、藤の牛島に停車します(写真17)。上り電車はやや停車していますが、その時間は1分ほどとそこまでロスタイムは大きくありません。

写真18. 南桜井に停車

藤の牛島の次は南桜井です(写真18)。藤の牛島-南桜井は複線化用地はすでに用意されているように見えました。

写真19. 単線区間だけと複線のように見える

その南桜井から先は一見して複線化が完了しているように見えます(写真19)。実は、これは駅構内の複線区間が長くとられているものです。南桜井のやや先ですれ違うことで、次の七光台での行き違いがスムーズにいくのです。

写真20. 急行どうしのすれ違い

そのなんちゃって複線区間で急行どうしがすれ違います(写真20)。

写真21. 江戸川手前で単線区間に戻る

しかし、なんちゃって複線区間はすぐに終わります。江戸川の鉄橋の前で単線に復帰します(写真21)。

写真22. 江戸川を渡る

ここ江戸川で埼玉県から千葉県に入ります(写真22)。このあたりの江戸川はそこまで川幅が広くありません。

写真23. 千葉県最初の駅、川間に停車

その千葉県最初の駅は川間です(写真22)。その川間から先も単線区間です。ただし、複線化用地はすでに確保されています。

写真24. 七光台ですれ違う

七光台に停車します(写真24)。よく見てみましょう。上り電車も七光台に入線しています。つまり、行き違いによるロスタイムはほとんどないのです。南桜井で行き違いをしていたら、川間で上り電車を待たされる羽目になっていました。南桜井近くの「なんちゃって複線」が大いに機能を発揮していることを実感します。

写真25. 対向列車が停車中

ここ七光台で運転士さんと車掌さんが交替します(写真25)。今までの車掌さんは船橋までの停車駅を放送していましたが、今度の車掌さんは柏までの停車駅しか案内しません。確かに柏で多くの乗客が入れ替わるので、そこまで問題ありません。

写真26. 清水公園は1線は使用停止

清水公園に停車します。昔は日中時間帯は毎時2本が清水公園で折り返していました。その名残で2面3線の配線となっていますが、1線は使用停止になっています(写真26)。昔は春日部-清水公園は毎時4本しかありませんでしたが、現在は毎時6本確保されていて、清水公園で折り返す必要はありません。

写真27. 清水公園はホームが新しい

清水公園のホームは新しい装いを示しています。清水公園は名前の通り「清水公園」という公園の最寄駅です(ただし若干歩きます)。アーバンパークラインの「パーク」の名前の由来でしょうね。

写真28. 清水公園から高架化工事区間

清水公園からは高架化工事区間を走ります(写真28)。ここは野田市の中心部に近い場所であり、高架は渋滞解消に効果的なのです。

写真29. 高架化工事区間を行く

その高架化工事区間を走ります(写真29)。高架化工事区間は全体的に複線化ができる空間があります。

写真30. 愛宕に停車

愛宕に停車します(写真30)。野田市よりも中心部に近いイメージがありますが、乗降人数は野田市よりも少ないです。

写真31. 野田市も高架化工事区間

次の駅が野田市です(写真31)。ここは高架化完成後に2面4線になります。現在の(実質的に)普通のみが運転する現在の運転系統では不釣り合いなくらいに立派な配線です。清水公園-梅郷は複線化が可能ということも考えると、将来的にはこの区間も毎時8本にして、急行をそれらしく走らせると邪推してしまいます。

写真32. 野田市-梅郷で高架化工事区間は終わる

次の梅郷手前で高架化工事区間は終わります(写真32)。

写真33. 梅郷手前で部分的な複線区間が始まる

野田市-梅郷で「なんちゃって複線」区間があります(写真33)。

写真34. ここで急行とすれ違う

この複線区間で急行どうしがすれ違います(写真34)。奇しくも急行どうしは駅間ですれ違うことになっています。

写真35. 梅郷からも単線区間

次の梅郷からは単線区間です(写真35)。ただし、もう対向列車行き違い待ちは生じません。次の運河からは複線区間のためです。

写真36. 単線区間を行く

その単線区間を走ります(写真36)。正式名称は野田線なのに、その野田市内は単線ばかりです(次の運河は流山市内の駅です)。

写真37. 利根運河を渡る

利根運河を渡ります(写真37)。江戸川と利根川を結ぶ運河を利根運河といい、「運河」という駅名はその利根運河からとったものです。

写真38. 運河に停車

18.0kmの単線区間が終わり、運河に到着します(写真38)。ここ運河からは複線区間に入ります。少なくとも藤の牛島-南桜井、川間-七光台、清水公園-梅郷は複線化が可能であることを認識しました。逆にいうと、単線で残る区間は春日部-藤の牛島、南桜井-川間(ただし途中までは複線区間)、七光台-清水公園、梅郷-運河です。これらも特に障壁となるものはなさそうです。つまり、条件が整えば、春日部-運河も複線化が可能とわかります。

写真39. 普通大宮行きがやってきた

運河に停車中です(写真39)。運河はそこまで拠点性のある駅ではありません。それなのに、急行停車駅に選ばれたのは、(将来的には急行の通過駅のある区間を変更する可能性があるとはいえ)当面は春日部-運河は各駅にとめるという決意のあらわれととらえることもできます。ここから29.5km先の船橋まで複線区間かつ急行の通過駅のある区間です。

写真40. 住宅街を走る

ここからしばらくは落ち着いた住宅地を走ります(写真40)。江戸川台はそれなりに高級な住宅街であると聞いたことがあります。しかし、拠点性はないので急行は通過します。江戸川台はダイヤ改正で急行停車駅から急行通過駅に変わった駅の1つです。とはいえ、区間急行は停車します。

この付近はスピードも出しています。警笛を鳴らしていました。これはダイヤ改正後ではじめて通過列車が設定されたので、注意喚起を促すためでしょう。ダイヤ改正に対しては利用者の慣れも必要なのです。ちゃんと慣れるのかって?大丈夫です。多くの人は進学や就職などで環境が変わっていますが、ちゃんと慣れているでしょ?

写真41. 流山おおたかの森が近づいてきた

流山おおたかの森が近づいてきました(写真41)。この駅はつくばエクスプレスが開業するともに開業した駅です。つくばエクスプレスが開業したての頃は森が広がっていましたが、現在は若い街という風情です。

写真42. つくばエクスプレスと交差する

つくばエクスプレスが見えてきました(写真42)。野田市内の駅から都心に向かう際の重要な乗りかえ駅ですので、急行も停車します。

写真43. 先の信号は注意信号が灯る

先の信号は注意信号が灯っていました。これは先行の普通が運河で3分停車していて、追いつきつつあるためです。そうであれば、先の普通を運河で3分停車させずにすぐに発車させれば良いだけです。3分停車するのは江戸川台、初石、豊四季の普通の運転間隔を10分にそろえるためですが、それよりも時刻調整をなくしたほうが喜ばれるように思います。

写真44. 豊四季を通過

運河-柏で最後の通過駅である豊四季を通過します(写真44)。豊四季団地など大きな団地が開発された地域です。

写真45. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真45)。大宮-船橋の途中駅で最も利用の多い柏が近づいているにも関わらず、そこまで都市に近づいた感じはありません(柏市は人口40万人を超える大きな都市です)。これは柏駅の東側がより発達した街であることもありましょう(この区間は柏駅の西側です)。

写真46. 柏近くのカーブを行く

左にカーブします(写真46)。常磐線の向きに合わせるようにカーブするのです。

写真47. 船橋方面からの線路が近づいてきた

船橋方面からの線路が近づいてきました(写真47)。その先に伸びる線路は常磐線です。この区間は常磐線の複々線、大宮-柏の複線、船橋-柏の複線が合わさり、8線区間のようにも見えます。多くの電車が柏で分断されていること、進行方向を変えることから柏が終点のように見えますが、途中駅に過ぎません。

写真48. 船橋行きが発車した!

船橋行きが発車しました。前を走る普通柏行きの到着を待っているので、この急行の到着直前に発車するダイヤになっています。前を走る普通柏行きを3分前倒しして、この普通船橋行きも3分前倒しすれば、ここまで意地悪なダイヤになりません。

このように、10:44に大宮を発車して53分後に柏に到着しました。大宮から柏まで武蔵野線経由で理論上は49分で行けます(乗りかえ時間や待ち時間を無視)。乗りかえ時間で各5分かかるとすると、59分かかります。これに対して、アーバンパークラインの急行は53分なので、大宮と柏の行き来には東武アーバンパークラインが早くなりました。混雑する武蔵野線の混雑緩和には良いことでしょう。

柏→船橋の様子

柏で別の用事を済ませて船橋まで再度乗ることにしました。柏-船橋はダイヤ改正前は急行運転は皆無、ダイヤ改正後は終日(6:30~22:00過ぎ)まで急行の設定あり、と最も変化があった区間です。

写真49. 急行船橋行きがやってきた

柏で待っていたら、急行船橋行きがやってきました(写真49)。柏からは進行方向が変わります。そのため、今回は大宮-船橋で乗りとおさずに柏で降りたのです。野田線の最新型の60000系ですが、残念ながら前面展望はあまり良くありません。

写真50. 柏を発車!

柏を発車します(写真50)。柏のホームは常磐線から遠い側が1番線、近い側が4番線です。昔はJRと通しの5番線~8番線でしたが、時代は変わりました。

大宮方面と船橋方面の通しの電車は2番線か3番線しか使えません。また、大宮方面行きは1番線と2番線を、船橋方面行きは3番線と4番線を使います。この線路をたどると、1番線(一番右の線路)から船橋方面には向かえませんし、4番線(一番左の線路)から大宮方面に向かえないこともわかるでしょう。

写真51. 1回右に曲がる

船橋方面に向かうには左に曲がらねばなりませんが、1回右に曲がります(写真51)。その次に左に曲がります。

図2. この付近の地図(googleマップより引用)

よくわからない?そうであれば、この付近の地図を示します(図2)。下に向かうのが船橋方面です。1回常磐線の西側を回りこむように線路が伸びていることがわかります。

写真52. 常磐線をまたぐ

常磐線をまたぎます(写真52)。この写真では見えませんが、ここから進行方向左側を眺めると、柏の中心街がよく見えます。このあたりで車内放送が流れ、ダイヤ改正について宣伝と告知していました。ダイヤ改正への評価こそいろいろありますが、各自の生活リズムが変わることは事実だからです。

写真53. 新柏を通過!

柏の隣は新柏です。その新柏を通過します(写真53)。東武アーバンパークラインでは珍しい島式ホームの駅です。

写真54. 起伏の多い土地を行く

柏市内の住宅街を走ります(写真54)。ここで1つ気づかされることがあります。それは、大宮付近や柏手前とは異なり、小さな起伏が多いことです。線路は若干勾配は緩和されていますが、周辺の道路はもっと坂が多いです。

写真55. 細かな坂が多い

このように細かな坂が多いです(写真55)。

写真56. 逆井-高柳の真新しい複線区間

逆井を過ぎると、真新しい複線区間を走ります(写真56)。逆井-六実は2019年12月まで単線で残っていた区間です。沿線風景も自然が豊かなものに変わります。まさに最後まで残った単線区間は沿線があまり発達していなかったのです。

余談ですが、この付近の跨線橋には道路幅が狭い場所がある記憶があります。ひと昔前はこの付近の道路は未発達だったのです。

写真57. まもなく高柳

そんなことを思い出しながら、電車は快調に走ります。以前は林の中に駅がある、そんなイメージの駅が高柳です(写真57)。その高柳は前後の逆井や六実を差し置いて急行停車駅に選定されています。これは未発達がゆえに駅の規模を2面4線にすることができて、急行と普通の接続ができるためです。

写真58. 高柳に停車!

そんな高柳に停車します(写真58)。昔よりも駅前は発達したように見えます。

写真59. 高柳で普通を抜かす

その高柳では普通を抜かします(写真59)。また、高柳の柏側には電留線があり、高柳は運転上の拠点であることがうかがえます。

写真60. 高柳-六実の真新しい複線区間

真新しい複線区間を走ります(写真60)。高柳までは柏市ですが、次の六実は松戸市にある駅です。東武アーバンパークライン沿線にはいくつかの地方自治体がありますが、急行が全ての駅を通過するのは松戸市だけです。

写真61. 六実を通過!

その六実を通過します(写真61)。六実は2面3線の駅ですが、うち1線は使用停止となっています。隣の高柳が2面4線である以上、六実は単純な配線で充分ということでしょう。

写真62. 住宅街を行く

六実からは再び住宅街が増えます(写真62)。もうこの辺りは柏よりも船橋のほうが近いはずです。

写真63. 新鎌ケ谷に停車!

新鎌ケ谷に停車します(写真63)。新鎌ケ谷は北総線、新京成線とのジャンクションで、急行は停車します。東武野田線に新鎌ケ谷が設置された直後は駅前は未開発地区でしたが、今はある程度街ができあがっています。そのため、急行が停車しても疑問はありません。

写真64. 鎌ケ谷を通過!

一方、鎌ケ谷は通過します(写真64)。速達性の向上の犠牲になった感触です。「鎌ケ谷」と都市名を名乗った駅ですが、近くには新京成線の初富駅があり、利用者は分散されている格好です。そのためか、利用客も新鎌ケ谷よりも少ないです。

写真65. 住宅街を行く

鎌ケ谷市南部から船橋市北部は人口も多く、沿線の風景は住宅地が目立ちます(写真65)。

写真66. 住宅街を行く

このような住宅街を走ります(写真66)。新鎌ケ谷から先は何となくスピードが落ちたように感じます。もう少しスピードを出せば、新鎌ケ谷-船橋で1分くらい短縮できそうなのにもったいないです。

写真67. 新船橋駅近くに大型ショッピングセンターがある

最後の通過駅、新船橋です。この近くには大型ショッピングセンターがあります(写真67)。鉄道側にとっては、このような商業施設が駅前にあることは大いにありがたいことでしょう。買い物客や従業員のいくらかが鉄道を利用してくれるためです。

写真68. 船橋手前で左にカーブする

船橋手前で左にカーブし、総武線と並行になるように向きを変えます(写真68)。

写真69. 船橋手前で左にカーブする

さらにカーブを描き、船橋に到着します(写真69)。なぜか総武線よりも目線が高いです。目線が高いのはそれはそれで気持ちの良いものですが、かわりに電車に乗るまでに登る量は多いです。総武線と同じ高さにホームを設置しなかった理由はあるのでしょうか。

写真70. 折り返しは急行大宮行き

折り返しは急行大宮行きになります(写真70)。ダイヤ改正前の急行大宮行きは春日部まで各駅に停車で、実質的に普通と同じでしたが、ダイヤ改正後は異なります。

柏での観察

柏で多少の観察ができました。

東武60000系(柏)

写真71. 最新の60000系が停車中

最新の60000系が停車していました(写真71)。これは別に珍しい光景ではありませんが、何かの装飾が見えます。

東武60000系(柏)

写真72. 全線急行運転開始の案内

全線急行運転開始の案内がありました(写真72)。ただし、春日部-運河は各駅に停車しますが。

東武8000系と10030系(柏)

写真73. 急行の並び

急行の並びが見られます。急行は柏で長時間停車します。また、柏では2番線と3番線を使いますから、必然的に急行の並びが実現するのです(写真73)。

急行の運転を見てみて

急行は大宮-春日部、新鎌ヶ谷-船橋でやや流しきみで運転していました。両者でそれぞれ1分ずつ短縮できそうです。また、柏での停車時間が5分と長く、これも(進行方向を変えるとはいえ)2分で済みそうです。これらを全て組み合わせると、大宮→船橋は現在の(標準)78分から73分に短縮できます。逆方向は80分で結んでいますが、同様に短縮(柏での停車時間は6分から2分に短縮、船橋→柏は20分から18分に短縮)すると、こちらも73分で結べます。

このようにスピードアップを実現すると、大宮-柏-船橋の都市間輸送がさらに便利になり、武蔵野線利用から乗客を引き込むことができます。幸か不幸か武蔵野線で対応する南浦和、新松戸、西船橋は中距離電車が停車しません。したがって、大宮より郊外側の駅(たとえば蓮田)・柏より郊外側の駅(たとえば取手)・船橋より郊外側の駅(たとえば千葉)を結ぶ利用も考えられます。

当面は30分間隔の運転で良いでしょうが、じきに20分間隔運転も期待したいです。そうしないと、(日中時間帯でも)10分間隔で運転される武蔵野線よりも見劣りしてしまいます。さらなる将来は春日部-運河の完全複線化によって、春日部-運河の急行運転も期待したいです。6駅通過によって6分短縮、さらに行き違いのロスタイム解消による1分短縮となれば、7分短縮となります。すると、大宮-船橋の所要時間は66分になり、かなり「速い」イメージが定着します。

今回は全線で急行運転という「革命」的なできごとを実現しました。そして、単線区間のオペレーションも工夫して、なるべく短い時間で結ぼうという気合も感じることができました。しかし、このような革命は地道な複線化という施設改良があってのものです。地道な準備が今回の革命に結び付けたと解釈することもできます。

ただし、「革命」そのものはそれで終わりではありません。革命後も地道な改善がなされてこそ初めて革命が実を結びます。今後も少しでも使いやすい路線に進化し、首都圏の外側を結ぶ環状線という重要な使命を果たしてもらいたいものです。

コラム.東武鉄道の宣伝に見る気合

東武鉄道は今回の「全線で急行運転」に対して気合が入っています。それは、ニュースレターや宣伝動画に現れています。

東武アーバンパークライン特設PRページ

上のページは東武鉄道が開設したサイトですが、動画(ストーリ性のあるものです)が公開されています。ダイヤ改正で初恋の人と再会して…というものです。終電繰り下がりで「良い感じ」とありますが、終電はある程度早いほうがお泊りに持ち込めると思うよ!

なお、この動画は東武側から私に掲載を持ち掛けてきました。

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