箱根を特徴づけるものの1つが芦ノ湖です。その芦ノ湖には2つの船があり、1つが海賊船、もう1つが遊覧船です。どちらかというとマイナーな存在の遊覧船に乗ってみました。
写真1. 遊覧船が湖尻港にやってきた
復習:海賊船と遊覧船
芦ノ湖には2つの交通手段があります。1つが海賊船、もう1つが遊覧船です。ここでは整理のために両者の概要を紹介しましょう。
図1. 芦ノ湖周辺の関係図(箱根町観光協会から引用)
登山電車-ケーブルカー-ロープウェイの「箱根ゴールデンコース」のロープウェイの終点が桃源台(図1の上側)です。ここから船に乗り、元箱根地区に向かうのです。
その船には2種類あり、1つが海賊船(芦ノ湖を赤い点線で示す)で、もう1つが遊覧船(芦ノ湖を青い点線で示す)です。このうち海賊船はロープウェイに近い桃源台に発着し、遊覧船はロープウェイからやや遠い湖尻に発着しています。では、なぜ遊覧船は桃源台から離れた湖尻発着なのでしょうか。
そもそも箱根の交通は2大勢力です。1つは小田急系列、もう1つが西武系列です。登山電車-ケーブルカー-ロープウェイに接続する海賊船は小田急系列、遊覧船は西武系列です。遊覧船側の立場からしてみれば、(敵陣営である)小田急系列の箱根ロープウェイに接続する意味はないのです。なお、小田原や箱根湯本から元箱根地区まで(西武系の)伊豆箱根鉄道バスで移動できるので、遊覧船は孤立無援ではありません。
海賊船、遊覧船ともにおおむね40分間隔で運行されています。いずれも日没前後以降は運転されていません。私が見た限り、小田急系の海賊船は大混雑、湖尻-箱根園の遊覧船はがら空きでした。海賊船は箱根園を通過します。これは、箱根園近くに行くと納得します。箱根園には箱根プリンスホテルなど西武系の施設が多く、小田急系の海賊船にとってみたらアウェイなのです。
この点は利用者にとってみたら重要ではありませんが、ポイントを整理するうえで重要な考えかたですから、あえて述べさせていただきました。
実際に遊覧船に乗る
さて、実際に遊覧船に乗ってみましょう!
桃源台から歩いて乗船!
私は箱根ロープウェイで桃源台に到着しましたから、桃源台から湖尻まで歩く必要があります。
図2. 桃源台と湖尻の間の経路(googleマップより引用)
桃源台と湖尻の間は1kmもありません(図2)。そのため、歩いて移動が可能です。
写真2. 桃源台から湖尻の風景
道中の様子です(写真2)。ややさびれた風景のようにも見えますが、素敵なレストランなども散見され、やはり観光地であることを認識します。
写真3. 遊覧船の時刻
遊覧船の時刻です。湖尻と箱根園の間は限定運行で、運休する日もあります(箱根園から先は毎日運行)。私は今まで箱根では小田急陣営としてふるまってきましたが、ついに敵陣営となる西武側に足を踏み入れたのです。そう、利用者は最も強く、課金さえすれば両陣営に足を踏み入れることができます。
写真4. 遊覧船とその周辺の案内図
遊覧船とその周辺の案内図が掲載されていました(写真4)。ここでは当たり前のように海賊船の案内は省略されています。そう、敵陣営の情報はシャットアウトされるのです。なお、私は船の片道+駒ヶ岳ロープウェイ(往復)のセットきっぷを購入しました。
写真5. 遊覧船がやってきた
ゴテゴテとした装飾のある海賊船と異なり、シンプルな装いです(写真5)。
(参考)写真6. 海賊船の様子
1km先に海賊船がとまっています。その様子も撮ってみました(写真6)。あちらは人が多いですね。
写真7. 大人しい装いの遊覧船
大人しい装いです(写真7)。
遊覧船の船内
簡単に船内を紹介しましょう!
写真8. シンプルな入口
シンプルな入口です(写真8)。
写真9. クリスマスツリーも飾られる
入口にひっそりとクリスマスツリーが飾られていました(写真9)。
写真10. 船内の様子
客室と出入口の境界を撮影してみました(写真10)。
写真11. 客室の様子
客室の様子です(写真11)。前向きの座席が並んでいます。前面展望もばっちりですね!
写真12. 上に登れる!
上に登れます(写真12)。
写真13. 妙な小部屋があった
上には妙な小部屋がありました(写真13)。さまざまなキャラクターが置いてあります。子供受けを考えているのか?
写真14. ひな壇がある
ひな壇があります(写真14)。写真11の空間よりも風景を堪能できそうに見えます。
写真15. ひな壇の上には空間がある
そのひな壇の上には空間が広がっています(写真15)。ここにはお子さんが多かったですが、最終的にお子さんは客室に入っていました。
写真16. ひな壇に座る
今日の定位置はここにしました(写真16)。この写真の人たちはじきに去っていきました。風が冷たかったからね!
遊覧船からの風景を楽しむ
遊覧船からの風景を楽しんでみましょう!
写真17. 紅葉が美しい
湖近くの紅葉が美しいです(写真17)。このあたりは湖沿いに建物もなく、自然が豊かです。
写真18. 九頭龍神社が登場!
そんなことを考えていたら、九頭龍神社が登場しました(写真18)。竜を退治したら竜が9つに分かれたとかそんな説明がありました。かえって事態が悪化していないか?
写真19. 遊覧船がいた!
芦ノ湖に目を向けると、遊覧船がいました(写真19)。遊覧船のがら空きっぷりを目の当たりにして西武陣営の経営状態を懸念してしまいましたが、箱根園より南側はそれなりに繁盛しているようです。
写真20. 海賊船も満員御礼!
海賊船も満員御礼のようです(写真20)。つまり、この芦ノ湖上で空いている船はこの遊覧船だけです。
写真21. 箱根園に到着!
そんなことを考えていたら、20分の航海時間はあっという間で、箱根園に到着します(写真21)。
写真22. 箱根園で並んだ2つの遊覧船
箱根園は前述の通り、伊豆箱根鉄道の遊覧船だけが発着します。そのため、湖尻-箱根園と箱根園-元箱根の両系統が接続します(写真22、乗りかえが可能です)。湖尻-箱根園は運休日が多く、箱根園-元箱根は毎日運転ですが、その差が生じる理由を理解した瞬間です。
遊覧船に乗ってみて
今回、紅葉が美しいシーズンに芦ノ湖を船で移動してみました。逆光で風景が見えにくい場面があったのも事実でしたが、このような風景そのものが観光名所になりえると思いました。
また、湖尻-箱根園が空いているのも気になりました。これは小田急陣営と西武陣営の狭間であることを理解すると納得できます。西武陣営の交通機関は箱根湯本-元箱根がベースとなり、湖尻地区はどんづまりの位置にあります。よって、湖尻地区が目的地ではない限り、この遊覧船に乗る人は想定しにくいです。私のような箱根ロープウェイから箱根園に向かいたいというニーズはごく少数なのでしょう。ある意味、この船が空いているのは(この船そのものは西武陣営ですが)西武陣営と小田急陣営の両陣営の連絡路だったのかもしれません。
ただし、遊覧船・海賊船ともに見える風景は同じです。混んでいる海賊船に乗ることに抵抗がある場合、あえて遊覧船に乗るもの手です。そして、駒ヶ岳ロープウェイと組み合わせるのであれば、実質200円で乗ることができます。