阪急で第3の地位を占める宝塚線。起伏が多く、独特の景色が楽しめます。そんな宝塚線の急行に乗ってみました。前面展望を満喫しています。
写真1. 大阪梅田に停車中の宝塚行き急行
復習:阪急宝塚線の概要
まず、阪急宝塚線の概要をおさらいしましょう。
・区間:大阪梅田-宝塚
・距離:24.5km
・所要時間:33分(日中の急行の場合)
正確には阪急宝塚線ではなく、阪急宝塚本線です。阪急としては、箕面線も含めて宝塚線と称して、その中での本線格と呼べるこの路線を宝塚本線としているのです。
その宝塚本線は大阪梅田と宝塚を結んでいます。大阪梅田から宝塚へはこの路線ではなく、神戸線経由のほうが速達性に優れます(乗りかえは必要)。また、並走するJR線のほうが速達性に優れるという側面もあり、大阪と宝塚をまっすぐ結ぶ役割よりも途中駅の利用を重視している面も強いです。
図1. 阪急宝塚線の停車駅(阪急電鉄公式ホームページより引用)
基本的に阪急宝塚線は急行と普通の運転です。朝夕ラッシュ時に特急(能勢電鉄直通)が加わり、朝ラッシュ時に通勤特急と準急が加わります。そのため、基本的に速達輸送は急行が担います。
阪急宝塚線の急行の実乗
さて、実際に乗ってみましょう!
写真2. 大阪梅田に停車中の急行宝塚行き
停まっていたのはクロスシート車ではなく、ロングシート車です(写真2)。これでは車窓を満喫できません。
写真3. 運転席後ろに特等席がある
運転席後ろに特等席がありました(写真3)。前面展望専用席という趣です。関東にはここまで前面展望に優れる車両は多くないので、このような車両が行きかう関西がうらやましいですね。
写真4. 車内の様子
阪急らしいカラーリングが取り入れられた車内です(写真4)。ホームの反対側にはクロスシート車が停車していました。神戸線と宝塚線の一部の車両は、2両だけクロスシートが採用されています。京都線のようにクロスシートを効果的に運用しようという感じはなく、「たまに当たる」程度です。
写真5. 大阪梅田を発車!
大阪梅田を発車しました(写真5)。
写真6. カーブがある
梅田をでると、ゆるいカーブがあります(写真6)。このような都心部に6線も建設するのは豪勢ですね。関東の私鉄ではターミナル駅が複々線以上の線路がある路線はありません。
写真7. 中津を通過!
中津を通過します(写真7)。ここと大阪梅田の行き来は神戸線と宝塚線のどちらが多いのでしょうか。それよりも難波方面にも迎える地下鉄のほうが多いのかな?
写真8. 神戸線特急が先行!
神戸線特急が先行していました(写真8)。向こうは特急、こちらは急行だから仕方ないね!
写真9. 淀川を渡る
淀川を渡ります(写真9)。大阪から東に行くにも西に行くにも渡らねばならない川です。京阪だけは避けられていますが。
写真10. まもなく十三に停車!
まもなく十三に停車します(写真10)。十三と書いて「じゅうそう」と読みます。これは知っていないと読めない地名ですね。京都、宝塚、神戸への分岐点ですので、全種別が停車するターミナルです。
写真11. 十三に停車中
十三に停車中です(写真11)。ホームの先頭は各方面に向かっているので、他の路線の姿を意識することはあまりなく、単独の駅のようにも見えます。
写真12. 高架に上がる
十三を出ると、高架に上がります(写真12)。
写真13. 三国を通過!
三国を通過します(写真13)。急行は十三-豊中はノンストップです。豊中までの各駅の輸送は普通に一任しています。
写真14. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真14)。これだけ住宅が多ければ、普通が10分間隔で設定されていることも納得できます。
写真15. 庄内を通過!
庄内を通過します(写真15)。ここは2面4線で追い抜きが可能です。列車本数の多い朝夕にはこの設備が大いに活用されるのでしょう。ただし、日中時間帯は普通は終点まで先着するので、この設備は使われません。
写真16. 服部天神を通過
服部天神を通過します(写真16)。私の不勉強かもしれませんが、「天神」と付く地名は東日本には少ないように感じます。
写真17. 地平から高架に上がる
地平から高架に上がります(写真17)。曽根付近は高架化されています。
写真18. 曽根を通過!
曽根を通過します(写真18)。ここも2面4線の立派な駅です。この規模の駅で普通しかとまらないと不便なのか、準急も停車します。
写真19. 引上線がある
曽根には引上線もありました(写真19)。
写真20. 高架区間を走る
高架区間を走ります(写真20)。このあたりは豊中市で大阪のベッドタウンです。住宅が非常に多いですね。
写真21. まもなく豊中に停車!
まもなく豊中に停車します(写真21)。ここから宝塚までは急行といえども各駅にとまります。
写真22. 豊中に停車中!
豊中に停車中です(写真22)。豊中は急行の通過区間と各停区間の境界駅ですが、日中時間帯はこの駅発着の普通はありません。もう少し先の雲雀丘花屋敷発着です。
写真23. 大阪モノレールが見える
いつの間にか地上に降りていました。豊中の次の蛍池は大阪モノレールとの連絡駅です。その大阪モノレールと少しだけ並走します(写真23)。
写真24. 蛍池付近の景色
蛍池付近は普通の住宅街という感じです。この中に大阪モノレールの未来的な線路があります(写真24)。総武本線の都賀付近の景色をふと思い出しました。
写真25. 住宅街を走る
大阪モノレールと分かれたら、再び住宅街を走ります(写真25)。前方が減速信号を示しています。これによって駅停車時に手前から減速せざるを得なく、スピードアップの障害になってしまいます。
写真26. まもなく石橋阪大前
そうしているうちに石橋阪大前に停車です(写真26)。ここでは箕面線と接続します。
写真27. 高架に上がる
再度高架に上がります(写真27)。
写真28. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真28)。大阪梅田から多少距離はありますが、ここまで住宅街が広がっています。これであれば、このエリアの各駅にとまる急行が10分間隔で運転されていることも納得できます。
写真29. 池田に停車!
池田に停車します(写真29)。いつの間にか豊中市から池田市に入っていました。
写真30. 池田を発車
池田を発車します(写真30)。この次の川西能勢口までは駅間距離は1.3kmとやや短いです。
写真31. まもなく川西能勢口に停車!
まもなく川西能勢口に停車します(写真31)。ここでは能勢電鉄と接続していますが、大阪梅田からだと進行方向を変えなければならないのが輸送上のネックです。
阪急宝塚線に乗ってみて
阪急宝塚線やその沿線は個人的にはとても縁の薄い箇所で、あまり乗ったことはありません。そんな私が乗って感じたのが、沿線の住宅の多さでした。これほど家が多ければ、各駅の利用も多いことでしょう。そして、豊中などの都市の代表駅と運転上の拠点駅が一致しないという、運転上の難しさがあります。そのような理由があるのでしょう。宝塚線の速達列車は大阪梅田より以外は各駅にとまります。これは、宝塚への速達性を放棄していることも意味します。
宝塚への速達性を確保するために、現在の急行を特急に変更するのは得策ではないでしょう。となれば、各駅に進入するときの速度を上げて地道に所要時間を短縮するのが得策です。こうすれば、通過駅が増えることによるデメリットも発生しません。所要時間を短縮すれば人件費も減少します。
今後はこのようなコスト削減と乗客サービス向上の両立を求められることになりましょう。