地下鉄千代田線の混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査)

かつては混雑の代名詞だった地下鉄千代田線。そんな千代田線もつくばエクスプレスや地下鉄半蔵門線の並行ルートの整備で混雑が緩和されています。では、現在の混雑はどの程度でしょうか。最混雑区間で実際に確認しました。

千代田線西日暮里

写真1. 混雑した状態で西日暮里を発車する

地下鉄千代田線の混雑状況のまとめ

地下鉄千代田線の混雑状況の概要は以下の通りです。

・車両ごとによる混雑の違いは少ない
 ※あえていえば、10号車(進行方向後ろ寄りの車両)が混んでいる

・最混雑時間帯は7:35~8:34の60分間である

詳細は以下の章で記しています。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊ブログではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊ブログでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は西日暮里到着時の混雑を確認しています。千代田線の最混雑区間は西日暮里到着時の町屋→西日暮里ですので、最混雑区間を確認したことになります。

地下鉄千代田線の混雑状況の生データ

まずは7:30過ぎから9:10過ぎの100分間の混雑データを示しましょう(表2)。

表2. 千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、生データ)

千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、生データ)

けっこう混んでいて、車両の違いによる混雑の違いはそう大きくはなさそうです。この100分間の平均混雑率は120%程度ですが、以下の章で、このデータを詳細に解析することにしましょう。

地下鉄千代田線の混雑状況の分析

写真5. 西日暮里の駅名標

さて、生データだけでは混雑状況がよくわからないこともあるでしょう。そこで、親切な私は混雑状況を詳細に分析いたします。

混雑時間帯の分析

一般にラッシュ時の混雑は最混雑時間60分を抽出します。では、どの60分が最も混雑しているのでしょうか。10分ごとに分析してみましょう(表3)。

表3. 千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、時間帯層別)

千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、時間帯層別)

7:55~8:24が最も混雑が激しい最ピーク時(実際の生データを見ると、8:00~8:19が最ピーク)であり、その前後を含めた7:35~8:34が最混雑60分ととらえることができます。その60分間の混雑率は125.9%です。

念のため、7:40~8:39の60分間で混雑率を計算すると125.4%であり、7:35~8:34の125.9%よりも低く、7:32~8:31でも同様に混雑率は125.4%でした。そのため、今回の7:35~8:34の60分間というのは妥当であると結論づけることにしました。

最ピーク時の前後の各10分で混雑が異なることに気づかされます。いいかえると、最ピーク前の7:45~7:54の10分間は127.3%であるのに対し、最ピーク後の8:25~8:34の10分間は119.4%と、この10分間の混雑が異なります。これは、時間軸と混雑の分布が一般に正規分布になっていないことに起因します。正規分布というのはピークに対して同じだけずれると、同じだけ変化するというものです。しかし、混雑の時間分布は非対称です。

これは、難しい数学的理論ではなく、一般常識で考えればそう難しいことではありません。職場なり学校にやってくることを想像してみましょう。その組織の空気もあるでしょうが、出社時刻の直前に多くの人がやってきますが、出社時刻を過ぎてやってくる人はそういません。電車での輸送は現実世界の重ね合わせですから、多くの人の出社時刻を過ぎると急に空くのです。

「電車の混雑」について書かれているサイトは多くありますが、ここまで書いているサイトはありません(多くの人はそこまで気づいていないのでしょう)。そのような意味で弊サイトは貴重な存在なのです!

号車による混雑の違い

上の章の検討で、7:35~8:34が最混雑時間帯であるとわかりました。では、この時間帯の号車別の混雑状況はどうでしょうか(表4)。

表4. 千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、号車別)

千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、号車別)

10号車がやや混んでいる印象がありますが、おおむね分散しており、特段混む車両や空いている車両はありません。しいていえば、1号車(女性専用車)と7号車がやや空いている印象があります。

10号車が混んでいる理由は北千住駅にありましょう。北千住駅では東武線からの乗りかえが多いです。この乗りかえ客にとって便利な車両は1号車と10号車です。このうち1号車は女性専用車のため、避ける人も多いでしょう。そのため、10号車が混雑します。

北千住での乗りかえが多い理由は後述の始発駅の違いのデータ解析でも明らかになります。

始発駅による違い

E233系2000番台

写真6. 常磐線の車両がやってきた

さて、始発駅による混雑の違いはあるのでしょうか。千代田線の電車は近い場所では綾瀬始発、遠くは茨城県の取手始発が混在します。その違いを考えてみましょう(表5)。ここでは、最混雑時間帯の60分(7:35~8:34)としています。

表5. 千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、始発駅層別)

千代田線混雑状況(朝ラッシュ時、町屋→西日暮里、現場調査結果、始発駅層別)

遠方の始発駅の取手、我孫子と柏では混雑が変わりません。むしろこの中では近距離の柏始発がより混雑していますが、柏始発は混雑する時間帯に限定されているという側面も大きいでしょう。常磐線各駅停車の取手から柏まではそう混んでおらず、この間の始発駅の違いはあまり大きくありません(新松戸あたりから混む印象があります)。

また、比較的近距離の松戸始発でもそこまで混雑に違いはありません。常磐線各駅停車の松戸以北の各駅から乗車した場合、松戸で快速に乗りかえ、千代田線を利用しない人もいます。また、松戸利用者は松戸始発を狙うという側面もあります。

ここで気になるのは北綾瀬や綾瀬始発が若干空いていることです。これは距離の短さもあるでしょう。それでも、「若干」で留まっているのは、北千住での乗りこみがかなり多いことを示しています。極端な話、北千住(と町屋)での乗車だけであれば、始発駅の違いによる混雑の違いはないでしょう。一方、北千住(と町屋)での乗車がなければ、始発駅による混雑の違いは顕著でしょう。現実は(綾瀬や北綾瀬始発がピーク時に多いとはいえ)常磐線始発よりもそこまで空いていません。これは、北千住での乗りこみが多いことを示しましょう。また、綾瀬や北千住での狙い乗車という側面もありましょう。

混雑状況からダイヤを考える

写真7. 小田急直通は準急もある

混雑状況から理想のダイヤを考えてみましょう。新型肺炎ウィルスの脅威が語られたことにより、在宅勤務などが浸透し、2019年の混雑率179%からは3割程度減少しています。とはいえ、いつまでも新型肺炎ウィルスの脅威だけにとらわれる世の中ではないでしょう。2019年の混雑率まで戻ることはないでしょうが、126%のまま推移するとも思えません。実際には140%強となりましょう。

その際、2019年よりも混雑が緩和したからといって、本数を減らすことは止めてもらいたいです。可能であれば、列車停車直前にホームドアを開くことで停車時間を削減、それで生み出した運用減少ぶんで1本程度増発ということも考えてもらいたいです。

以前のダイヤ改正で、霞ケ関行きを廃止したのは褒められる施策です。このおかげで混雑のむらが生じることがなくなりました。今後もそのような施策を継続してもらいたいものです。

千代田線の混雑データ

ここまで特定の駅での混雑調査という「深くて狭い」情報をお伝えしました。では、「浅くて広い」情報はないのでしょうか。そのような声にお応えして、以下の記事を用意しました。

地下鉄千代田線(混雑基本データ)

このページでは地下鉄千代田線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。また、私が実際に現場で調査した結果へのリンクも記しています。

また、混雑に関する一般的な傾向をまとめました。

電車の混雑の一般的な傾向

多くの通勤電車は朝ラッシュ時に混んでいます。多くの現場で調査した結果からみられる一般的な傾向をまとめました。
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