北海道新幹線について考える~ダイヤ素案考案

記事上部注釈
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E2系(盛岡で撮影、2013年8月)
写真1. 320km/h不可能なE2系車両(2013年に盛岡で撮影、この車両の引退が前提です)

北海道新幹線について考える~考察の前提と将来の所要時間の記事で東京と札幌を4時間10分で結べると結論づけました。何か強引な気がしますが、技術的には可能でしょう(貨物列車は何とかなるでしょう)。現実的には、4時間40分で結べるとしています。この場合のダイヤ概要を考えます。

利用客の概算

ダイヤの詳細を考える前に、どの程度の利用客が見込まれるか計算してみましょう。私の計算では新函館北斗-札幌で9100人/日と考えていますが、その根拠は以下に示します。年間日数を400日としていますが、これは年3回の繁忙期(大型連休、お盆、年末年始)に利用が集中するぶん、他の時期の乗客が減少するためで、それを私なりに考慮しているためです。

東京-札幌の利用客

現在、東京-札幌を航空機で利用する客(羽田-千歳で計算)は年間1000万人いると言われています。4時間10分で結ぶということはシェアは43%程度と仮定しますと、年間235万人(片道)の利用客が見込めます。1日片道当たりの利用客は5375人(年間400日と計算)となるでしょう。

一方、東京-札幌を4時間40分で結ぶ場合は、年間115万人(片道)の利用客が見込まれます。1日片道当たりの利用客は2875人(年間400日と計算)となるでしょう。

仙台-札幌の利用客

現在、仙台-札幌を航空機で利用する客(羽田-千歳で計算)は年間72万人いると言われています。仙台-札幌は3時間程度で結べますから(東京-仙台のスピードアップは3分なので、4時間10分から1時間29分を引けばよいです)、シェアは70%程度(東京-新大阪よりやや低い)と見積もられます。

このことから、年間72万人×0.7÷400日÷2(往復から片道への変換)=630人。つまり、1日片道当たりの利用客は765人(年間400日と計算)となるでしょう。

函館-札幌の利用客

上の2つのセグメントは航空機からの転移を考察したものです。この区間は北斗号からの転移と仮定して計算しましょう。私の経験上、北斗号は札幌に向かうにつれて混雑していきます。また、長万部以東だけの区間利用客(洞爺・東室蘭・登別-札幌の利用客が多いように感じます)はこの計算から排除します。

2015年度の北斗号の利用客は函館-大沼公園で3727人/日とされています。大沼公園-長万部ではもう少し少なくて、3000人/日となるでしょう(これは私の推測です)。これを片道当たりにするために2で割ると、1日片道当たりの利用客は1500人となるでしょう。

新函館北斗-札幌の利用客の推移

新函館北斗-札幌を乗り通す乗客は、東京-札幌、仙台-札幌、函館-札幌の合計と仮定します。その条件で以上をまとめますと(盛岡・青森-札幌は少ないので無視できると仮定)、北海道新幹線の輸送量は5140人/日(片道)~9640人/日(片道)と計算できます。実際は札幌寄りの区間利用客や新幹線ができたことによる輸送量増加が見込まれて、20%増加の6100人/日~11500人/日となるでしょう。

※幅があるのは、東京-札幌が4時間40分の場合と4時間10分の場合を考慮しているためです。

ダイヤ素案考案

ここで、詳細なダイヤ案を考察するのではなく、どの程度の本数が必要かを考えることにします。

輸送人員が少ない場合の想定

現在のE5系10両編成の定員は731名です。後継車両でも大きく定員は変わりないでしょう。適正な乗車率が45%とした場合(混雑しているとされている東海道新幹線でも60%程度といわれています)、以下の計算式で適正本数が求められます。ここでは、少ない場合の6100人/日と仮定しています。

6100人÷731人/本÷0.45=18.5本

よって、1日19往復程度が適正と考えられます。早朝や深夜は毎時1本、その他の時間帯は毎時2本というのが現実的な答えでしょう。

例えば、以下の運行形態ですね。

<速達はやぶさ>:毎時1本(所要時間4時間40分)
停車駅:東京、大宮、仙台、盛岡、新青森、札幌

<準速達はやぶさ>:2時間に1本(所要時間4時間58分)
停車駅:東京、上野、大宮、仙台、盛岡、八戸、新青森、新函館北斗、新小樽、札幌

<地域密着型はやぶさ>:2時間に1本(所要時間5時間30分程度)
停車駅:東京、上野、大宮、仙台、盛岡から札幌まで各駅

また、東京から仙台まで利用する利用客をはやぶさに乗せないようにするために、現在のやまびこ号のうち毎時1本を速達化して(宇都宮通過と320km/h運転)、東京-仙台間の先着というテクニックが必要になるかもしれません。繁忙期は毎時4本の速達枠がありそうなので、速達はやぶさ(上野停車)を適宜運転すれば何とかなるでしょう。

輸送人員が多い場合

現在のE5系10両編成の定員は731名です。後継車両でも大きく定員は変わりないでしょう。適正な乗車率が45%とした場合(混雑しているとされている東海道新幹線でも60%程度といわれています)、以下の計算式で適正本数が求められます。ここでは、多い場合の6100人/日と仮定しています。

11500人÷731人/本÷0.45=34.9本

よって、1日35往復程度が適正と考えられます。毎時2本~3本というのが現実的な答えでしょう。

<速達はやぶさ>:毎時1本(所要時間4時間10分)
停車駅:東京、大宮、仙台、盛岡、新青森、札幌

<準速達はやぶさ>:毎時1本(所要時間4時間28分)
停車駅:東京、上野、大宮、仙台、盛岡、八戸、新青森、新函館北斗、新小樽、札幌
※列車によっては長万部(洞爺湖への入口)、倶知安(ニセコへの入口)に追加停車する可能性はじゅうぶんにあります

<地域密着型はやぶさ>:2時間に1本(所要時間5時間程度)
停車駅:東京、上野、大宮、仙台、盛岡から札幌まで各駅

北海道新幹線の将来像の場合

北海道新幹線が札幌に延伸した場合、道中のスピード次第、いいかえれば東京-札幌の所要時間によって、北海道新幹線の利用客数は大きく変化することがわかりました。可能であれば全区間320km/h、さらにいえば360km/h運転をすることによって、JR北海道のドル箱路線に変身させてほしいものです。

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