京王の混雑状況(夕方ラッシュ時、明大前-下高井戸、現場120分調査結果)

記事上部注釈
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首都圏でも有数の混雑路線、京王線。この路線の夕方ラッシュ時下りの混雑はどの程度なのでしょうか。最混雑区間の明大前-下高井戸で実際に調査しました。夕方の帰宅時間帯で混んでいる列車や混んでいる車両がここで明らかになります。

都営車による区間急行

写真1. 意外と空いている区間急行

京王夕方ラッシュ時の混雑状況

以下、長い文章を読みたくない人のために、簡単に結論をまとめます。

・特急(京王八王子行き)と準特急は混雑している
 ※平均的な混み具合として、かろうじてドア付近に圧迫が生じない程度ですが、吊革は埋まっています。
・先頭車両は比較的空いている
・新宿基準で18:30~18:50ごろが一番混んでいる

京王夕方ラッシュ時のダイヤのあらまし

京王夕方ラッシュ時のダイヤがわからないと、以下の内容がわかりにくいので、簡単にダイヤについてまとめます。

20分間隔で以下の列車が運転されています。

・特急京王八王子行き
・準特急京王八王子行き(特急と合わせて調布からは約10分間隔)
・特急橋本行き
・急行橋本行き(都営新宿線から直通、特急と合わせて調布からは約10分間隔)
・区間急行高尾山口行き(都営新宿線から直通、調布からは各駅停車)
・各駅停車橋本行き(2本運転)

新宿基準では20分間隔で特急京王八王子行きが発車します。この特急は新宿から京王八王子まで40分で結びます。日中時間帯の特急の所要時間が38分ですので、そこまで遅くなっていません。その間に準特急京王八王子行きと特急橋本行きが挿入されます。明大前基準で特急の直後に急行や区間急行がはさまります。これらは調布まで後の準特急や特急よりも先に到着します。急行は調布で特急京王八王子行きを待ち合わせて発車、区間急行は調布で準特急を待ち合わせて発車します。本来の区間急行は調布から東府中まで通過駅がありますが、夕方の区間急行は調布から各駅に停車します。そのため、夕方の区間急行は調布から各駅停車に種別変更します。

各駅停車は全て橋本行きです。急行や区間急行の直後に発車します。直後に準特急と特急が控えている各駅停車は、桜上水と八幡山で双方の通過待ち、直後に特急が控えている各駅停車は、八幡山で特急の通過待ちを行います。その後、つつじヶ丘で急行(または区間急行)と特急の待ち合わせます。

この記述をよく読むと、調布から京王八王子方面には各駅停車が20分間隔しか設定していないことに気づかされます。これを補う目的で、調布始発の各駅停車が設定されています。これはつつじヶ丘から調布まで回送で設定されています。

混雑調査の概要

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

調査区間の選定

混雑調査は最混雑区間で行うべきでしょう。最混雑区間は明大前→下高井戸(明大前から1つ終点寄りの駅)です。新宿からの乗客で混んでいる車内に、渋谷からの井の頭線を利用した乗客が合流する区間です。そのため、この区間が最も混雑します。具体的には、明大前発車時点での混雑を観察しています。

調査方法と調査結果

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

混雑調査結果とその分析

生データを示した後に、詳しい分析をしましょう。

混雑状況の生データ

まずは、各列車の各号車ごとの調査結果を示します(表2)。各列車の混雑率も示すことにしましょう。

表2. 京王線夕方ラッシュ時混雑状況

京王線夕方ラッシュ時混雑状況(生データ)

※19:20発の急行橋本行きは都営線内から遅れあり、そのため混雑が激しい

京王線は20分サイクルのパターンダイヤになっていますので、1サイクルの平均混雑率も算出しています。サイクルの区切りは私の行動に合わせていますので、その点について議論することはやめておきましょう(笑)。18:34からの1サイクルが混雑の最ピークであることが読み取れます。

混雑状況の分析

生データだけ示しておしまい、というのはあまりにも不親切です。やさしー私はそのようなことをせずに、混雑状況を分析します。

混雑時間帯の検討

今回は17:30~19:30までの2時間も調査しました。では、その2時間がまるまる混んでいるのでしょうか。答えはきっとNoでしょう。その点を疑い、混雑が激しい時間を抽出して、その時間帯を分析することにします。

今回は各サイクルの混雑も計算しています。この計算結果は生データに示していますが、もう一度ご覧いただくのは心苦しいので、必要なところだけ抽出した表をつくってみます(表2)。

表2. 京王線夕方ラッシュ時混雑状況(時間帯ごとの層別)

京王線夕方ラッシュ時混雑状況(時間帯ごとの層別)

今回の調査では19:20発の急行が遅れのために混雑していること、そして最後のサイクルは空いている各駅停車の混雑が入っていない(調査もれ!)ことから、実際の混雑はもう少し低くなることでしょう。このことから、混雑しているのは18:14からの4サイクルと決めつけることにします。別のいいかたをすると、新宿基準で18:10~19:20ごろが混雑する時間帯で、18:30~18:50ごろが混雑が最も激しい時間帯ということです。

以下の分析にはこの時間帯のデータを活用することにします。

列車種別ごとの混雑傾向

時間帯ごとに混雑状況を分析しましたが、同じ時間帯であればどの種別でも混雑状況は同じなのでしょうか。答えはNo!です。それでは、どの種別がどの程度混雑しているのでしょうか。先ほどの混雑している4つのサイクルで分析します。

表3. 京王線夕方ラッシュ時混雑状況(種別ごと層別)

京王線夕方ラッシュ時混雑状況(種別ごと層別)

最も混雑しているのは、特急京王八王子行きで混雑率157.2%です。特急京王八王子行きの平均的な混雑率をわかりやすく言い直すと、「ドア付近に圧迫が見られる」というものです。次に混雑しているのは、準特急京王八王子行きです。これも特急と同等の混雑です。特急と準特急が停車駅が違うにも関わらず同等の混雑にとどまっているのは、特急は調布で急行橋本行きに接続するため、相模原線に向かう乗客も乗っているためです。準特急にはそのような乗客がいないので、千歳烏山で降りる客を乗せる余裕があるのです。

特急橋本行きは混雑率136.6%です。特急橋本行きが八王子方面の特急よりも空いているのは、相模原線の利用客が八王子方面の利用客よりも少ないためです。相模原線内で同等の停車駅の急行橋本行きもこの程度の混雑率です。ただし、急行といえどもそれなりに混雑します。神保町などのビジネス街から帰宅する人にとっては、都営線から橋本まで直通することは魅力的です。この魅力が急行に乗客を惹きつけているのでしょう。

各駅停車は空いています。特に、区間急行の後の各駅停車は空いています。区間急行は各駅停車停車駅のうち利用の多い駅をマークするため、各駅停車を選択する意味合いが薄れることが大きな原因です。また、各駅停車は12分間隔と8分間隔の交互です。8分空いたあとの各駅停車よりも12分空いた各駅停車のほうが混んでいることでしょう。区間急行の直後の各駅停車は、前の各駅停車から8分しか空いていないため、そこまで利用されません。この双方の原因のために、区間急行の直後の各駅停車が空いているのです。

区間急行は急行よりも空いています。調布までの区間急行と急行の停車駅の違いは仙川だけです。仙川を通過することに価値を見出して、急行を利用する乗客が多く、ここまで混雑に差があるとは考えにくいです。ということは、調布からの列車の性格の違いから混雑に差が生じていると考えることが自然です。つまり、急行は橋本までの速達列車で利用が集中し、区間急行は調布までの速達列車でしかないことから利用が集中しにくいということです。利用が集中しないとわかっているからこそ、区間急行はあえて仙川に停車させているのでしょう。

混雑状況からダイヤを考える

特急に乗客が集中していることは明らかです。だからといって、各駅停車を特急に格上げすることは得策ではありません。また、区間急行や急行を削減すると、残った各駅停車の混雑が激しくなってしまいます。現在は1時間に21本の設定でしかありません。以前は都営線からの八幡山行きが設定されていました。これを廃止にする前には1時間に24本を運転していました。そのため、1時間に24本運転可能と想定できます。

現在のダイヤでは特急京王八王子行きは調布で急行橋本行きに接続しています。このため、新宿から相模原線に向かう乗客もこの特急に乗ります。これを分散させるために、準特急橋本行きを増発します。これだと相模原線内の輸送力が過剰になるでしょうから、急行橋本行きを急行(調布から各駅停車)高尾山口行きに振り替えます。この施策によって、都営新宿線から相模原線への速達列車がなくなってしまいますから、笹塚に停車させます。このため、増発する列車が特急ではなく準特急にした理由です。千歳烏山は漁夫の利ですね(笑)。

また、準特急八王子行きと特急橋本行きを入れ替えます。すなわち、準特急橋本行きと特急京王八王子の組み合わせにします。利用が集中する八王子行きに余計な乗客を乗せないということです。

区間急行(調布から各駅停車)高尾山口行きと、急行(調布から各駅停車)高尾山口行きについては、急行でも区間急行でも役割に大差ありません。ダイヤに余裕があるのであれば区間急行として設定すれば良いですし、ダイヤに余裕がなければ急行として設定すれば良いです。仙川利用者については、「となりの千歳烏山に準特急が多く停車するようになりますので、速達性は維持されています☆」と説明しましょう。

京王線の混雑データ

ここまで特定の駅での混雑調査という「狭くて深い」情報を提供してきました。では、公式のデータを基にした「浅いけれど広い」情報はないでしょうか。そのような声に応えて以下のページを用意しました。

京王電鉄京王線(混雑基本データ)

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