このページでは京王電鉄京王線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。また、私が実際に現場で調査した結果へのリンクも記しています。
写真1. 明大前に停車する特急
京王電鉄京王線の基本情報
一般的に京王線と呼ばれる路線ですが、「京王線」の範囲が場合によってばらばら(※)なので、本記事ではあえて「京王電鉄京王線」と記します。
※「新宿-京王八王子を結ぶ京王線単独」という意味、「井の頭線を除く京王電鉄の全路線」という意味、「京王電鉄の全路線」という意味の3つがあります。
京王電鉄京王線は新宿から京王八王子までの路線です。甲州街道沿いを通っており、古い都市が多いです。事実、調布や府中は中央線沿線の各都市よりも人口は多いです。
途中の調布で多摩ニュータウンに伸びる相模原線、終点近くの北野で高尾線、をそれぞれ分岐します。逆にいうと、朝ラッシュ時は調布から合流するぶんも含めて2路線ぶんの乗客がいるということです。
個人的な印象ですが、(井の頭線を除く)京王電鉄は沿線イメージが良くもなければ悪くもない、中堅どころの路線というものです。ゆえに、それなりに利用者も多く、それなりに混雑する路線です。
新宿-笹塚は複々線です。一方は新宿から笹塚までノンストップで結んでいます。もう一方は途中に2駅あり、「京王新線」と呼ばれています。これは「京王新線」の新宿駅が離れていて、「新線新宿」と呼ばれているためです。「京王新線」は新線新宿(=都営線新宿駅)から都営地下鉄新宿線に直通しており、九段下や神保町などのようなビジネス街に直結しています。都営新宿線と合わせて、都心部のオフィス街と多摩地方を結ぶ1つの動脈を形成しているのです。
京王電鉄京王線の混雑基本データ
では、混雑状況データを簡単にまとめます(表1)。
表1. 京王電鉄京王線の混雑基本データ
最混雑区間 | 下高井戸→明大前 | |
---|---|---|
混雑率 | 2023年 | 133% |
2022年 | 129% | |
2021年 | 116% | |
2020年 | 112% | |
2019年 | 167% | |
2018年 | 165% | |
2017年 | 167% | |
2016年 | 166% | |
最混雑時間帯 | 7:40~8:40 | |
集中率 | 21.2% | |
流動最大区間 | 新宿-初台 | |
乗客半減区間 | 調布-西調布 |
・流動最大区間:当該の路線で最も輸送人員の多い区間(弊サイト独自指標)
・乗客半減区間:流動最大区間の輸送力が半分以下になる、最大流動区間に最も近い駅間を指す(弊サイト独自指標)
※集中率、流動最大区間、乗客半減区間は都市・地域交通年報(平成30年度版)を参考に独自で計算
混雑率の出典は国土交通省発表の資料(2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)、2016年は都市・地域交通年報(平成30年度版)
京王電鉄京王線は「混雑が厳しい路線」として取り上げられないので空いているイメージがあります。しかし、現実には最混雑区間の下高井戸→明大前で混雑率160%以上(2019年以前、2020年以降は120%弱)になるなど、決して空いている路線ではありません(首都圏の標準程度の混雑)。良くも悪くも首都圏の標準的な路線です。
郊外側の駅から都心に向かう人が電車に乗りこみます。それが下高井戸まで続きます。下高井戸の次の明大前で井の頭線に乗りかえる人が降ります(京王線沿線から渋谷へは井の頭線が近い)。そのため、新宿から離れた明大前付近が最混雑区間なのです。さらに、笹塚からは複々線区間で新宿に向かう人と都営新宿線沿線に向かう人が分離しますので、もう少しゆとりが生じます。
集中率とはラッシュに集中する割合です。極端な話、集中率が100%であれば、ラッシュ以外に全く使われないということです。20%以下が集中率が低め(朝も日中もまんべんなく利用されている)、30%以上が集中率が高め(ラッシュ以外は空いている)と判断できます。集中率は21%程度とやや低めです。ただし、速達列車を多く運転するというダイヤですので、日中時間帯は電車を選べば空いています。
乗客半減区間は調布-西調布です。調布で京王八王子方面と橋本方面に分岐するため、乗客が分散されるのです。なお、乗客が最も多い区間は明大前-下高井戸ではなく、新宿-初台です。これは、新宿よりだと両方向の流れがあるためなのでしょう。
京王電鉄京王線の混雑状況の現場調査
ここまでは公式の統計データから解析してきました。実際の調査結果は以下のリンクにあります。
京王線の混雑状況(代田橋→笹塚、朝ラッシュ時現場調査、緊急事態宣言解除後)
平日朝ラッシュ時の混雑を実際に確認しました。このときは社会情勢が流動的でしたが、この後の社会情勢の変化に応じてどのように混雑率が変化するかどうかも触れています。当然、このときの種別ごとの混雑などについても触れています。
京王の混雑状況(夕方ラッシュ時、明大前-下高井戸、現場120分調査結果)
平日夕方の混雑はあまり取り上げられません。では、実態はどうなのでしょうか。夕方ラッシュ時に最混雑区間で120分もの間で実際に調査しました。
平日日中時間帯の京王線の混雑状況(明大前-下高井戸、現場調査)
日中時間帯の混雑はどうでしょうか。こちらも最混雑区間の状態を確認しました。意外な種別が空いていることが判明しました。
休日の昼ごろの京王線の混雑状況(明大前-下高井戸、現場調査結果)
休日日中時間帯の混雑はどうでしょうか。特急への混雑が認められました。
東京都の各路線の混雑状況のまとめ
京王電鉄京王線以外の路線の混雑状況はどうでしょうか。路線ごとに最混雑区間と混雑率をまとめました。また、各路線についての混雑基本データへのまとめへのリンクも整備しています。
簡易検索システム
都内から都心の勤務地に勤務する場合の経路と最混雑区間を簡単に判定するシステムを作成しました。
※京王線沿線の人は「世田谷区」とご選択いただくと、スムーズに検索できます。
都市鉄道に関する統計データは以下の書籍を参考にしています。本記事の内容を深く知りたい人はぜひ購入してみてください。(2022年時点で平成30年度版が最新です)