3月に向けて通勤電車が空く理由

大雪の池袋(山手線)

写真. 1月といえども大雪が降ると混雑する(2018年1月 山手線池袋で撮影)

最近、通勤で使う電車が空いてくる傾向にあります。それもそのはず、3月は1年で最もラッシュ時の混雑がゆるいのです。その理由を考えてみましょう。


そもそも3月は空いているのか

そもそも3月は空いているのか確認してみましょう。

表1. 2015年度(※)鉄道輸送統計年報から抜粋した表
2015年度鉄道統計年報より作成した表
※国土交通省の原データでは「平成27年度」と表記されていますが、弊ブログの方針に基づき、西暦で表記いたします。

ここで、国土交通省の2015年度鉄道統計年報から鉄・軌道旅客輸送総括表の旅客人キロ(民鉄)を抜き出しました。JRだと大型連休の長距離輸送が影響して、通勤客の統計を集計しにくいと感じたためです。

集計の際、以下の点に気をつけました。

1) 月ごとの利用をまとめていた表です。1日当たりに直すために各月の日数で割っています。
2) 2月度(2016年2月)はうるう年のため、29で割っています。

ここで数字が大きいため、2015年度の平均値を1.00とした比率の列を作成いたしました。この数字が高いほど利用の多い月であることがわかります。最後の列に各月の利用の多い順に順位を付けました。

最も少ない月は12月ですが、1-3月も利用は低調です。12月から3月まででワースト4か月を占めています。やはり、2月や3月は利用が少ないのです。

誤りの理由を挙げる

正しい理由を考える前に、世間で言われている誤った理由を検証してみましょう。

誤りの理由1. 4月や10月は転勤で混む

4月や10月は転勤の時期です。そのため、電車が混むという人がいます。これは明確な誤りです。

転勤ということは、通う事業所が変わり(人によっては)住まいも変わることを意味します。特定の個人にとっては大きなできごとでしょうが、全体から見れば、通勤客の再配分にしか過ぎません。それも多くの利用のある首都圏、その揺らぎは相殺されるでしょう(※)。

※多くの利用があると揺らぎが相殺されると考える根拠

この世の中には大数の法則というのがあります。これは、試行回数が多いほど理論上の確率に近づくというものです。例えば、サイコロを振るときに何百回、何千回と振ると1の目が出る確率が1/6に近づくということです。首都圏にも多くの人がいるので、首都圏全体の通勤客の揺らぎはキャンセルされるという考えです。

ここでは転勤を例として紹介しましたが、転職でも同じことです。単に他の事業所が同じ会社か異なる会社かの違いなだけです。

ただし、4月を中心にして首都圏の通勤電車に不慣れなために、乗り降りに時間がかかるという側面はあるでしょう。

誤りの理由2. 学生の長期休みだから

確かにこれも理由としてはそれなりに認められるでしょう。ただし、8月も同様に学生の長期休みです。もしもこれが理由ならは、8月もそのように言われます。実際は8月が言われないことから、この理由は弱いとみることができます。

根拠.定年退職がずれるから

答えは、定年退職の時期です。一般論として、高校なり大学なりを卒業した年の4月に新卒として、どこかの会社に入ります。そして、定年退職の年度に会社を辞めます。定年退職が一律3/31ならば、問題は簡単です。しかし、現実はそうではありません。

定年退職になるのは(会社によって例外はあるでしょうが)、60歳を迎えた月です。例えば、3月に誕生日を迎える人ならば、退職は3月でしょう。しかし、5月が誕生日ならばどうでしょう?そう、退職は5月になるのです。

このように、4月は定年退職者はほとんどいませんが、3月に向かってどんどん定年退職者は増加します。定年退職者が多くなると、会社に行く人は減りますから、通勤客も減少します。

ここでは、新卒から定年までずっと同じ会社で働くことを例に説明しました。途中で転職しようと、どこかに通勤することには変わりありません。そのため、転職の影響は無視できます。転職の理由が無視できることは先に述べた通りですね。

また、会社員から独立する人もいるでしょう。これは独立後に決まった場所に通うのであれば、転勤と同じ扱いで良いですし、全くのフリーならばある意味定年退職と同じです。全員が全員、年度替わりに独立するわけではありませんから、定年退職と同じ議論を展開できるでしょう。

これに学生の長期休みも重なり、通勤電車が空くのでしょう。


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