近鉄大阪線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、今里→鶴橋、現場調査結果)

記事上部注釈
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近鉄でも最も長い路線の大阪線。朝ラッシュ時には急行の運転がなく、かわりに快速急行が運転されます。では、その朝ラッシュ時はどのような混雑でしょうか。大阪環状線乗りかえ駅の鶴橋に到着する場面の混雑を確認しました。

写真1. 奈良線と大阪線が同時に到着する場面も多い

近鉄大阪線の朝ラッシュ時混雑状況のまとめ

近鉄大阪線の混雑状況の混雑状況の概要は以下の通りです。

  • 最混雑時間帯はおおよそ7:35~8:34である
  • 快速急行、準急、区間準急の混雑が著しく、普通はそこまで混んでいない
  • その1時間の混雑率はおおよそ93%である

これらの詳細は以下に示します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は近鉄大阪線の鶴橋到着直前の混雑を確認しました。近鉄大阪線の乗客の多くは鶴橋で降車し、大阪環状線や難波方面(難波方面に乗りかえるのは、大阪上本町より鶴橋のほうが便利)に乗りかえます。

朝ラッシュ時の近鉄大阪線の混雑データ

写真5. 鶴橋の光景(向かって左側が大阪線)

まず、朝ラッシュ時の近鉄大阪線の混雑データを示します(表2)。

表2. 近鉄大阪線の混雑状況(朝ラッシュ時、今里→鶴橋、生データ)

近鉄大阪線の混雑状況(朝ラッシュ時、今里→鶴橋、生データ)

明らかに普通が空いています。また、快速急行以外の準急や区間準急もそれなりに混雑していることもわかります。

なお、編成両数に関わらず最後尾の車両は空いている傾向にあります。

近鉄大阪線の混雑状況の分析

写真6. 快速急行にも古豪が運用される

生データを示すだけでは不親切でしょう。親切で有名な私は、混雑状況を分析します(やさしー)。

復習:近鉄大阪線のダイヤパターン

混雑状況は鉄道ダイヤの影響を受けます(逆に鉄道ダイヤは混雑状況を考えて設定されます)。以下の考察でもダイヤパターンを理解していることを前提に記述します。そのため、近鉄大阪線のダイヤパターンを簡単に紹介します。

近鉄大阪線停車駅

図1. 近鉄大阪線の停車駅一覧(近鉄公式サイトより引用)

近鉄大阪線の朝ラッシュ時は快速急行、準急、区間準急と普通が運転されています。急行のほうが停車駅をある程度増やしつつ、遠方区間で各駅にとまることができ、遠方での運転本数を調整しやすいです。しかし、朝夕ラッシュ時はあえて快速急行を運転します。

日中時間帯は需要がそこまで多くないので、急行は6両編成で需要に対応できます。一方、ラッシュ時は8両編成や10両編成が必要です。そのため、急行を8両編成や10両編成に増結する必要があります。ですが、急行停車駅の河内国分や桜井以西の快速急行通過駅は6両編成しか対応していません。そのため、8両編成や10両編成の急行ではなく、快速急行として運転するのです。言いかたを変えると、6両編成では足らないので快速急行として運転し、8両編成や10両編成に輸送力を増強するのです。

快速急行は停車駅を厳選していますので、通過駅をフォローするのが準急です。準急は最長で名張から運転され、快速急行通過駅からの乗車チャンスを確保します。ただし、準急の多くが榛原発着ですので、三本松の停車本数は少ないです。区間準急は準急の停車駅から高安以東の各駅を加えたものです。これは高安-五位堂の各駅に停車する電車の本数を確保するとともに、全体の本数を節約するための措置です。

朝ラッシュ時は10~15分サイクルで快速急行1本、準急と区間準急を合わせて2本、普通が1本運転されることが多いです。ただし、準急や区間準急を1本にするかわりに1サイクルを縮める場合もあります。近鉄大阪線は長距離路線であり、伊勢方面や名古屋方面との調整が必要なためか、きれいな15分サイクルにはなっていません。

なお、朝ラッシュ時の快速急行は最遠でも青山町始発です。これは名張以東では別途区間運転が設定されており、名張で接続します。これは朝ラッシュ時に対応する時間帯の名張以東は早朝に当たり、需要が少ないためと理解しています。

最混雑時間帯の分析

まず、最混雑時間帯を分析しましょう。快速急行~次の快速急行までを1つの時間帯とし、その時間帯の混雑率を算出しました(表3)。

表3. 近鉄大阪線の混雑状況(朝ラッシュ時、今里→鶴橋、時間帯別層別)

近鉄大阪線の混雑状況(朝ラッシュ時、今里→鶴橋、時間帯別層別)

これを見ると、8:04~8:26が最も混雑していることがわかります。また、その前後の時間帯もそれなりに混雑していることもわかります。

一般に朝ラッシュ時の混雑は最混雑時間帯60分間で語られることが多いです。では、どの時間帯が混雑するのでしょうか。8:42~8:56は混雑がゆるいので、ここは最混雑時間帯60分間に含めるのは妥当ではないでしょう。

表4. 近鉄大阪線の混雑状況(朝ラッシュ時、今里→鶴橋、最混雑60分推定)

近鉄大阪線の混雑状況(朝ラッシュ時、今里→鶴橋、最混雑60分推定)

ここで2つの候補を挙げてみました。7:38~8:37も候補になりそうですが、8:36は特急であり、どちらにせよ8:32までになります。そうであれば、7:35も含めるのが自然です。

2つの候補のうち、7:35~8:34が混雑しているので、ここが最混雑60分間として適切と判断しました。

種別ごとの混雑状況

では、その60分間で空いている種別や混んでいる種別はあるのでしょうか。種別ごとに混雑状況を分析してみました(表5)。

表5. 種別ことの混雑状況

近鉄大阪線の混雑状況(朝ラッシュ時、今里→鶴橋、種別ごと)

ダイヤパターンを確認した際、快速急行よりも(準急と区間準急の合計)のほうが本数が多く、驚きました。しかし、利用状況を見てそれが妥当であることがわかりました。準急や区間準急も快速急行に迫る程度の混雑なのです。

一方、普通は空いています。利用状況を考えるともう少し減便しても良さそうですが、これ以上本数を減らすと不便になってしまいます。最低限の利便性を確保するために普通もある程度運転されているのでしょう。

利用状況からダイヤを考える

写真7. 大阪線と奈良線の接続の様子

近鉄大阪線は長距離を結ぶ路線であり、ダイヤを考えるのは一筋縄ではいきません。とりわけ、特急どうしの接続を考えたダイヤであり、その傾向は顕著でしょう。

そうはいっても、複雑なダイヤだと利用しにくいですし、快速急行の所要時間も日中の急行と同等レベル(大和八木→大阪上本町の場合)でしかなく、速達性を失っているのも事実です。

1つの方策は6両編成の準急や区間準急を10両編成に増結し(高安以東の準急停車駅は10両編成対応)、そのぶん運転サイクルを詰めることです。運転サイクルを短縮したぶんだけ普通や快速急行を増発できます。現在、12分サイクルに快速急行1本、(区間)準急2本、普通1本だとすると、10分サイクルに快速急行1本、(区間)準急1本と普通1本とするのです。こうすれば、若干の減便となり、運転間隔が広がり、普通に追いつくことも少なくなります。

とはいえ、このようなダイヤでは多くの準急停車駅にとっては不便なダイヤになるだけです。そのため、現状のダイヤには一定のバランスがとれていると理解できます。そうはいっても、遠距離通勤が多い快速急行の多くがロングシート車であることは再考の余地があります。空いている名張方の4両は原則として3ドアクロスシート車とする工夫も良いのかもしれません。

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