京成線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、現場調査結果、新三河島→日暮里)

記事上部注釈
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東京の下町を通る京成線。京成線の上野よりは速達列車も普通が多く、地域密着の様子を感じます。とはいえ、速達列車が少ないと不便なようにも思えます。そこで、朝の日暮里で実態を確認しました。

京成3700形(日暮里)

写真1. 上野方面の速達列車は通勤特急だけ

京成線の混雑状況のまとめ

京成線(日暮里)の混雑状況の概要は以下の通りです。

  • 通勤特急よりも普通が混んでいる
  • 最後尾車両は空いている傾向にある
  • 最混雑時間帯は7:39~8:38の60分間である
  • 上記60分間の混雑率は93.1%である

詳細は以下の章で記します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は日暮里到着時の混雑を確認しています。京成線の最混雑区間は大神宮下→京成船橋と千葉県内ですが、今回は山手線接続駅の手前を選択しています。

京成線の混雑状況の生データ

まずは7:40ごろから9:00までの80分間の混雑データを示しましょう(表2)。

表2. 京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、生データ)

京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、生データ)

そこまで混んでおらず、座席が埋まる程度の混雑の車両も散見されました。この時間帯の混雑率は85.9%ですが、以下で詳細に解析いたします。

京成線の混雑状況の分析

写真5. 列車が発車してしばらくするとホームから人が消える

さて、生データだけでは混雑状況がよくわからないこともあるでしょう。そこで、親切な私は混雑状況を詳細に分析いたします。

前提知識:朝ラッシュ時の京成線のダイヤパターン

混雑と鉄道ダイヤは大きく関係しています。そこで、京成線の朝ラッシュ時のダイヤを簡単に復習しましょう。

日暮里断面では通勤特急が20分に1本運転されており、その間に普通が4本運転されています。別の言いかたをすると、20分あたり通勤特急が1本、普通が4本運転されています。

なお、青砥以東では速達列車が増えており、快速特急が20分に2本運転されます。ただし、普通は20分に3本の運転です。いいかえると、日暮里にやってくる普通のうち20分に1本は青砥(実際には京成高砂)始発なのです。速達列車の多くが日暮里や上野にやってこないのは、都営地下鉄直通のほうがニーズが高いためです。

青砥から上野まで速達列車が少ないとは言っても、青砥で快速特急を降りると、普通に接続しています。このうち半分は千住大橋で通勤特急に抜かれますが、もう半分は抜かれません。

いいかえると、京成上野に向かう速達列車は通勤特急と、快速特急+普通が20分に1回ずつ確保されていることと同じです。

京成本線のダイヤパターンについて

もう少し詳しくダイヤパターンを述べています。

京成本線(ダイヤパターン紹介)

最混雑60分間の推定

一般にラッシュ時の混雑は最混雑時間60分を抽出します。では、どの60分が最も混雑しているのでしょうか。私が調査を開始した7:39から20分刻み(前述の通り20分サイクルのダイヤのパターンのためです)でカウントしたものと、7:50から20分刻みで分析したものを示します(表3)。

表3. 京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、時間帯別層別)

京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、時間帯別層別)

これを見ると、7:39~8:38の混雑が激しく、その混雑率は93.1%です。最ピークの20分は7:59~8:18の20分間であり、その前の20分もそれなりに混雑していますが、その後の20分はそこまで混んでいません。専門的な言いかたでは、混雑率は時間に対して正規分布曲線ではありません。時間軸を横軸、混雑率を横軸にグラフを描くと、左右非対称なグラフになるのです。

正規分布にならない理由は私たちの行動パターンで説明できます。電車に乗っている人の多くは職場なり学校なりの目的地があり、そこには「開始時間」(勤務開始時間など)があります。多くの場所では「開始時間」のある程度前に顔を出し、「開始時間」直前にピークに達するはずです。そのため、ピーク時間帯を過ぎると、急に空いてくるのです。

種別ごとの分析

京成3500形(日暮里)

写真6. 古豪3500形による普通がやってきた

では、通勤特急普通のどちらが空いているのでしょうか。種別ごとに分析してみましょう。ここでは、先の章で「混雑時間帯」と決めた7:39~8:38の60分間に絞って分析しています。

表4. 京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、60分間、種別での層別)

京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、60分間、種別での層別)

通勤特急のほうが空いています。このような実態があるからこそ、普通が20分に4本、通勤特急が20分に1本という比率が成立するのでしょう。

車両ごとの分析

では、どの車両が混んでいるのでしょうか。最混雑60分間での各車両の混雑率をまとめました(表5)。

表5. 京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、最混雑60分間車両別)

京成線混雑状況(朝ラッシュ時、新三河島→日暮里、現場調査結果、最混雑60分間車両別)

基本的に1号車と3号車が空いています。ここで興味深いのは、2号車と4号車がそこそこ混んでいるのにも関わらず、3号車が空いていることです。ある程度以上の混雑であれば、自主的に分散乗車されるのですが、京成線はそこまで混んでいないのでしょう。

もっとも、この傾向は日暮里手前のものであり、最混雑区間の京成船橋手前では異なる挙動を示すでしょう。

普通の中の混雑差

普通は20分に4本設定されていますが、その中での混雑差はどうでしょうか。京成線の普通はしょっちゅう速達列車に抜かれますから、乗り通す人はそこまで多くないはずです。したがって、始発駅の違いを意識することはなさそうです。最も違いが生じるのは、京成高砂から上野までのダイヤでしょう。

特に、(日暮里基準で)以下の2本が特徴的でしょう。

  • パターンA:通勤特急直後の普通は唯一追い抜かれる
  • パターンB:通勤特急の2本前の普通は京成高砂で快速特急の接続を受け、上野まで逃げ切る(疑似速達便)

この2本に特異な傾向があれば、何らかの特徴があると読み取れるでしょう。そこで、上記パターンAとパターンBを見てみましょう。

  • パターンA:ほかの普通に比べて混雑していない。これは千住大橋まで前列車間隔が短く、集客力に劣るためでしょう。
  • パターンB:前列車間隔の割には、ほかの普通に比べて混雑している。これは短距離客のほかに長距離客も加わるためでしょう。

ここからいえるのは、普通にも長距離客が乗っているであろうという事実です。

混雑状況からダイヤを考える

写真7. 普通に8両編成が充当されることもある(ただし最混雑時間帯ではない)

さて、現在の混雑状況からダイヤを考えてみましょう。現在の混雑状況は通勤特急 < 普通 です。そのため、通勤特急の本数が少ないことも納得できるように思います。したがって、普通の運転間隔を均等にすることが輸送改善につながる程度であり、現状で問題ないということです。

しかし、これは現在の流動を前提とした話です。混雑を分析している際に、快速特急の接続を受ける普通が混雑するという事実にたどり着きました。これは、上野までの速達列車が求められている証拠でもあります。

では、どうすれば良いのでしょうか。通勤特急の増発が適切でしょう。京成高砂以東では通勤特急快速特急を各10分毎に運転すれば、現在の快速特急の時刻調整もなくなります。増発となる通勤特急を千葉方面始発とすれば、新たな市場も開拓できましょう。千葉方面から都営地下鉄直通は総武線快速と競合し、所要時間は劣勢に立たされますから、千葉方面は日暮里・上野に照準をしぼるほうが都合が良いのです。

現在の京成ダイヤでは、朝夕の京成上野方面の速達性はないがしろにされています。今後はこの点の配慮もなされるとより良いと思いました。

京成線の混雑データ

ここまで特定の駅での混雑調査という「深くて狭い」情報をお伝えしました。では、「浅くて広い」情報はないのでしょうか。そのような声にお応えして、以下の記事を用意しました。

京成本線(混雑基本データ)

このページでは京成本線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。

また、混雑に関する一般的な傾向をまとめました。

電車の混雑の一般的な傾向

多くの通勤電車は朝ラッシュ時に混んでいます。多くの現場で調査した結果からみられる一般的な傾向をまとめました。
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