東京でも混雑する路線である地下鉄千代田線。しかし、そんな千代田線にものんびりとした風情の駅があります。そんな駅を紹介します。
写真1. 北綾瀬の駅名標
北綾瀬駅の概要
本記事をお読みいただいている人ならばご存じでしょうが、確認のため北綾瀬駅の概要を紹介します。
図1. 北綾瀬駅の位置(googleマップより引用)
図2. 北綾瀬を強調した路線図(東京メトロの公式サイトより引用)
北綾瀬駅は東京メトロ千代田線の終点の駅です。ただし、2019年3月までは綾瀬以南(北千住方面)への直通運転はなく、綾瀬と北綾瀬の往復でした。もともと綾瀬-北綾瀬の線路は車両基地への通用口という意味合いが強く、旅客運転は千代田線綾瀬開業(1971年)の8年後(1979年)のことでした。
1979年から40年間は綾瀬-北綾瀬は区間運転を行っていましたが、2019年についに北千住方面への直通運転を開始しました。区間運転は3両編成で、北千住方面の直通電車は10両編成です。北綾瀬駅付近にはつくばエクスプレス線の青井と六町があり、両者への対抗措置として大手町直通電車を走らせたのでしょうか。
ただし、北綾瀬への直通電車を増やすと、常磐線直通電車の本数を減らすことになります。そのため、北綾瀬発着の全電車が北千住方面への直通とするダイヤは採用できず、多くの電車が綾瀬行きとなっています。
北綾瀬駅を訪問する
綾瀬に用事のあった私は用事のついでに北綾瀬に行くことにしました。北綾瀬行きは0番線というイメージがありましたが、直近の電車は北千住方面からの直通電車でしたので、4番線からの発車でした。これにはあわてふためきました。0番線に向かって歩いていて、放送が聞こえたので気づきました。
ゆっくり走って、北綾瀬に到着です。
以下、構内を紹介しますが、わかりやすいように東京メトロ公式サイトに記載されていた、構内図を示します。代々木上原よりが南側です。
図3. 北綾瀬の構内図(東京メトロの公式サイトより引用)
北綾瀬のホームの様子
さて、ホームの様子を眺めましょう。
写真2. 車庫に向かって引き上げる回送電車
北綾瀬は1つしかホームがありません。綾瀬-北綾瀬は複線ですが、北綾瀬駅では単線運転なのです。その北綾瀬に着いたら、もたもたしている時間はありません。すぐに綾瀬の車両基地に引き上げます(写真2)。
さて、ホームを見てみましょう。次の電車は3両編成の綾瀬行きです。
写真3. ホームに並ぶ人たち
ホームに並ぶ人たちが多いことが印象に残りました(写真3)。休日の午前中で都心方向に向かう電車の需要が高いことはわかりますが、これでは3両編成では足らなさそうです。
これだけ利用が多ければ、一部を10両編成にする意味もありそうです。
写真4. 電光掲示板の表示
電光掲示板の表示です(写真4)。千代田線は基本的に10両編成なので、編成両数は基本的に表示されませんが、ここでは3両編成と10両編成があるので、乗車位置を示すために両数表示があるのです。
写真5. 3両編成がやってきた
3両編成がやってきました(写真5)。千代田線を走る電車で最も古い形式がクイズに問われたら、小田急4000形(2007年~)ではなく、05系と答えましょう。この車両は千代田線で走る最も古い車両です。調べてみると、05系のトップナンバー車は千代田線を走っており、1988年製造です。
南口を楽しむ
さて、外に出てみましょう。まず、10両編成化を機に設置された南口です。
写真6. 3両編成に対する注意
3両編成の場合、北側に寄せた位置に停車します。これはもともとの出入口が北側にある以上当然の処置ですが、南口から時間がかかるのは事実です。改札口から2分かかるとされています(写真6)。
写真7. 南口の改札の様子
南の改札口の様子です(写真7)。北綾瀬は1面ホームのため、改札階とホーム階以外の段差はありません。これは地味に利用しやすいです。
写真8. 南口の様子
南口を降りると、公園に着きます(写真8)。新しい出口なのか、ガラスが多用されたきれいな建造物です。
中央改札付近を楽しむ
昔からある改札が中央改札です。その付近もリニューアルされて、きれいになっています。その模様を紹介しましょう!
写真9. 北綾瀬の駅舎を眺める
環状7号線あたりから駅舎を眺めてみました(写真9)。
写真10. 環状7号線側から駅舎に入る
環状7号線側から駅舎に入りました(写真10)。右前方に改札があります。南口と異なるのは、地上に改札口があることです(南口はホーム階に改札がある)。
写真11. 改札が現れた!
改札がありました(写真11)。駅員さんも配置されているように記憶しています。環状7号線より北に位置する北口は住宅が少なく(=車両基地があるため)、南口は公園があるので人口が少ないです。そのため、中央改札が最もにぎわっているように感じました。
写真12. 改札周辺の様子
改札周辺の様子です(写真12)。万人受けするシンプルなデザインが採用されていることがわかります。
写真13. ホームから中央改札側を眺める
ホーム側から中央改札側を眺めます(写真13)。副都心線の駅のように新しい感じがします。2019年の10両編成対応を良い機会に現代的にリニューアルしたのでしょうか。
北口を眺める
さて、最後に環状7号線を越えた場所にある北口を眺めましょう!
写真14. ホームから眺めた北改札
ホームの先端に北改札があります(写真14)。ガラスが多用されていて、明るい通路です。
写真15. 道路側の出入口
道路側の出入口です(写真15)。住宅街に向かう小道に延びている印象があります。
写真16. 環状7号線の横断歩道
北口から中央改札方向を向いてみました(写真16)。従来は道路の向こう側にしか改札がなく、場合によっては駅との行き来に信号待ちが重なりました。新しく改札ができたことにより、環状7号線の北側と駅の行き来も信号にわずらわされることがなくなりました。
番外:車両基地のほうに歩く
車両基地のほうに歩いてみました。
写真17. 5000系のお出まし!
線路からエアー音が聞こえてきました。その方向を向くと、5000系が発車するところでした(写真17)。
写真18. 5000系のお出まし!
せっかくなので、もう1枚撮影しました(写真18)。というより、まだ残されていたの?
写真19. 後ろを振り返る
後ろを振り返ってみます(写真19)。高架駅からほぼ地上の車両基地に向けて勾配があることがわかります。
写真20. 車両基地を眺める
この北側に歩道橋があります。意外と車両基地の写真を撮影しにくいですね…(写真20)。
写真21. 北綾瀬駅を眺める
北綾瀬駅を眺めてみました。ちょうど05系が停車していました(写真21)。
北綾瀬駅を訪問してみて
千代田線単独駅では唯一の高架駅(※)の北綾瀬駅。2019年ダイヤ改正後は10両編成の直通電車もやってくるようになりました。休日の午前中という混む時間帯とはいえ、都心に向かう直通電車は座席の半分程度が埋まる程度の利用も見られました。直通電車の本数が限られているとはいえ、都心のあらゆる場所に1社の運賃で行くことができる事実は大きいです。ましてや、直通電車に乗ることができれば、東京メトロの各駅に乗りかえ1回以内で向かうことができます。
※千代田線の高架駅は綾瀬と代々木上原も他にありますが、綾瀬はJRとの共同使用駅、代々木上原は小田急との共同使用駅なので、単独駅としては北綾瀬が唯一になります。
改札口の増設や駅舎のリニューアルという地道な改善がなされていることも現場に行ってわかりました。鉄道ネットワークの充実にはこのような地道な改善の積み重ねが重要なのでしょう。大都市ではまだまだ鉄道は捨てたものではないと実感した次第です。