2019年度→2020年度の混雑率の減少率を考察する

記事上部注釈
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2020年度の混雑率が公表されましたが、2019年度のそれと比べてどのように変化したのでしょうか。東京23区の路線で、その変化をまとめてみましょう。

京王5000系急行(笹塚)

写真1. 2020年の緊急事態宣言解除後の京王線は空いていた(笹塚で撮影)

まずは生データ!

減少率が大きい順に並べ、トップ3を抽出してみました。

・第1位:地下鉄東西線(高田馬場→早稲田)
・第2位:東海道線(川崎→品川)
・第3位:総武線各駅停車(錦糸町→両国)

では、逆に減少率の小さい順トップ3はどこでしょうか。

・第1位:都営三田線(西巣鴨→巣鴨)
・第2位:京成本線(大神宮下→京成船橋)
・第3位:都営浅草線(本所吾妻橋→浅草)

地下鉄東西線(西側)、東海道線、総武線(各駅停車)は減少率が大きく、都営三田線、京成本線、都営大江戸線は減少率が少ないということです。

減少率の大きな路線群と少ない路線群の比較

中央線E231系(新宿)

写真2. この車両が運ぶ人はだいぶ減少した(新宿で撮影)

では、減少率の大きな路線群と少ない路線群に分け、何か傾向がないかを探ってみましょう。多くの路線では減少率が30%~40%ですので、30%未満と40%以上について抽出してみます。

減少率の大きな路線群

減少率の大きな路線は、以下の通りです。

・地下鉄東西線(高田馬場→早稲田)
・東海道線(川崎→品川)
・総武線各駅停車(錦糸町→両国)
・総武線快速(新小岩→錦糸町)
・横須賀線(武蔵小杉→西大井)

減少率の少ない路線群

減少率の小さな路線は、以下の通りです。

・都営三田線(西巣鴨→巣鴨)
・京成本線(大神宮下→京成船橋)
・都営浅草線(本所吾妻橋→浅草)
・都営大江戸線(中井→東中野)
・小田急小田原線(世田谷代田→下北沢)
・都営新宿線(西大島→住吉)
・日暮里舎人ライナー(赤土小学前→西日暮里)
・地下鉄南北線(駒込→本駒込)
・東急東横線(祐天寺→中目黒)
・東急目黒線(不動前→目黒)

減少率の大きな路線と小さな路線から見る傾向

てっきり都心のオフィスに近い路線の混雑が緩和して、郊外路線の混雑が激しくなっているというイメージがありました。しかし、実際には会社による違いが如実に表れる結果でした。

JRの混雑率が大幅に下がり、都営地下鉄の混雑率があまり下がらない傾向を読み取りました。これには多くの要因が考えられますが、その1つが混雑率の算出方法を変えた可能性があり得るというものです(以下は私の想像です)。

私は多くの路線の混雑を実際に観察していますが、都営地下鉄の混雑は(公式発表の数値よりも)混んでいて、JR東日本の混雑は(公式発表の数値よりも)空いている傾向がありました。通常の時期であれば、このような補正は難しいです(前年との整合性を取らねばならないため)。しかし、このような輸送状況が大幅に変化したときは、補正するチャンスです。

また、地下鉄東西線は大学がオンライン中心になったことは無関係ではないでしょう。西側の最混雑区間の近くにはマンモス大学があります。通学生が減少した影響は大きいでしょう。逆に、京成本線の混雑率低下が小さかったのは、当該区間が郊外に位置しており、在宅勤務に不向きな業種の利用が多かった可能性を指摘できます。

混雑の減少具合から見る傾向

京成3000形(勝田台)

写真3. 京成本線は23区の民鉄の中で減少率が最も少なかった

混雑の減少具合をマクロに見てみました。路線ごとの違いよりも会社ごとの違いのほうが大きい印象がありました。また、多くの路線で減少率は30%台を記録していました。この調査は2020年9月~11月の平日に行われた流動調査の結果を反映しています(すべてがそうとは限りませんが)。この時期はそこまで感染症が流行しておらず(東京でも飲食店の時間制限がなかった時期と記憶しています)、「特段の減少」が見られた時期ではありません。

逆にいうと、このような時期でも利用客の1/3が消えてしまっています。2021年は徐々に通勤客が復活していますが(「宣言」中でもそこまで通勤客は減っていません)、それでも2019年の利用に戻ることはないでしょう。少なく見積もっても、10%の減少です。

これだと、鉄道会社の採算性は悪化してしまいます。とはいえ、低コストにする方法はあります。2020年以降、朝ラッシュ時の客扱いによる小さな遅延は減っているように思えます。ということは、従来よりも停車時間が少なくできます。そうすれば、運転に必要な車両や人員はわずかであっても減らせるはずです。

今後はこのような方策で、より低コストで運営し、そして所要時間短縮によるサービス向上も目指してもらいたいものです。

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