電車で席を譲る?譲らない?で見落としている視点

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小田急4000形車内

写真. このように空いていれば、そもそも譲る必要は…?(我孫子で撮影)

そもそも座席を譲る・譲らないの問題の根源は?

電車の座席において、ハンディキャップのある人に席を譲る・譲らないという議論が絶えることはありません。例えば、ご高齢の方に席を譲るべき、疲れている人に席を譲るべきなどの議論があります。また、外見からはわからないハンディキャップを抱えている人の存在も無視できません。ここでは各自がそれぞれ考えを持っていることでしょう。私はこれに関してこれ以上の議論をすることをよしましょう。このような議論で抜け落ちている視点があると思うので、私はそこに着目したいのです。

席を譲る・譲らないという議論が巻き起こる理由は、究極的には座席定員以上に乗客が乗車しているという1点に突きます。平日の朝ラッシュ時にこのような状況が発生することはやむを得ないでしょう。しかし、日中時間帯でも常に座席定員以上に乗客が乗車しているという状況はどうでしょう?これは鉄道会社側が座席を充分に供給していないことを意味すると考えます。つまり、優先席問題で一番考えなければならないことは、座席を乗客に譲らせる鉄道会社側の姿勢なのです。

鉄道会社側の努力

とはいっても、鉄道会社も何もしていないわけではありません。例えば、車両の増結による列車1本あたりの座席供給数の増加、あるいは列車の増発による座席供給数の増加によって、少しでも混雑を緩和しようとしている例もあります。ここでは、そのような例を取り上げます。

例1. JR西日本新快速

JR西日本では新快速を運転しています。2011年以降に土日の新快速が12両編成化、さらに2017年に平日の新快速も原則12両編成化(ただし夕方の大阪始発は8両編成※)となって、座席供給数が大幅に増加しています。快速の速達化による混雑の分散という議論もあるのですが、これがなかなか難しいようです。そのため、特にデメリットのない新快速の12両編成化が実施されたようです。

※夕方の大阪始発は増発扱いとなって前列車間隔が短いこと、大阪始発なので大阪をスルーする乗客がいないことから、比較的空いていると判断されたので、8両編成のままなのだと私は推測しています。

例2. 東急田園都市線

東急田園都市線は長らく毎時10本運転でした。2002年のダイヤ改正で毎時12本に増発しました。このときは混雑する急行を毎時2本から毎時4本と倍増させています。このあと、2014年には準急を新設して毎時14本まで増発しています。休日は大井町線直通の急行を設定してさらに本数は多くなっており、二子玉川-長津田では速達列車は15分に2回運転されています。これは2002年以前の4倍にもなっています。

例3. JR宇都宮線・高崎線

10年ほど前の宇都宮線は夕方ラッシュ時でも10両編成が主体でした。それが2005年のグリーン車連結を機会に15両編成が主体となっています。現在は17:30~19:00に東京を通過する列車は全て15両編成となっています。

同様の措置は常磐線(中電)でも実施されています。朝ラッシュ直後の中電を増発したり、夕方時間帯の増結を実施したり(以前は上野発18:30過ぎに11両編成がありました)という努力を行っています。

例4. 小田急電鉄

以前は10分間隔の急行のみの運転でした。これが徐々に増発されて、新宿断面で複々線化直前は毎時9本の急行系が運転されるようになっています。複々線化後は急行と快速急行がそれぞれ10分間隔で運転されるようになります。以前の2倍です。

以前より空いた小田急の急行
写真2. 以前より空いた小田急の急行(登戸で撮影)

4つの事例からわかること

これ以上、増発や増結の事例を出すことは控えましょう。一つ認識したいのは、鉄道会社は少しずつ供給座席数を増加させようとしていることなのです。

利用者ができること

利用者は鉄道会社の努力を待ち望んて、それまでは延々と気まずい思いをしながら、座席を譲る・譲らないという選択をせねばならないでしょうか?それを回避する術が2つ存在します。

空いている車両を選択する

1つ目は空いている車両を選択することです。混んでいる車両は吊革が半分程度埋まるのに対し、空いている車両は空席があることもあるのです。混んだ車両で運良く座れたとしても、席を譲らねばならない場合もあるでしょう。一方、空いた車両であれば他にも空席があれば席を譲るということが不要です。例えば、埼京線であれば新木場寄りの車両ならば空いていますし、宇都宮・高崎線であれば宇都宮・高崎寄りの車両が空いている傾向にあります。

空いている列車を選択する

2つ目は空いている列車を選択することです。比較的混んだ列車が発車した直後に空いた列車がやってくる例も多いです。例えば、朝ラッシュ直後の常磐線ですと、中距離電車(グリーン車付き)は比較的混んでいる一方、取手始発ならば空いています。

座席を譲る必要性がなくなる行動

このように車両や列車を上手に選択することによって、座席を譲る必要そのものがなくなるのです。これも1つの優先席との付き合いかたでしょう。

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