大前に行く(1日4本の秘境駅!)

記事上部注釈
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吾妻線の大前、そこは人口の多い関東地方にありながら、本数が少ない駅-秘境駅。そんな駅に行くのはかなりの困難が伴う、とまではいかなくとも簡単にはいきません。その大前に行きました。

大前の基礎知識

図1. 大前駅周辺の地図(いつも通りgoogleマップからの引用)

大前駅は群馬県嬬恋村にあります。googleの口コミには「1日5本しか来ない秘境駅」とありますが、それは完全な嘘です。現在は1日4本しかありません(発車は1日5本あります)!なので、時刻表を確認する必要があります。「時刻表を確認してください」というのはとても不親切ですから、私が簡単に時刻表にまとめました(表1)。1日4.5往復なので、まとめることもそこまで手間がかかりません(笑)。

表1. 大前駅関連の時刻表

一般的な時刻表とは異なり、大前での滞在時間も示しました。これを見ると、20分程度の滞在時間というものが多いですね。東京の趣味者が乗るとしたら、高崎発8:53に乗るのが良いでしょう。ただし、夏場は新前橋発15:20も選択肢に入ることでしょう。なぜなら大前に着くころには真っ暗になっているためです。これでは面白さも半減することでしょう。

新幹線に乗る

このときは特に計画を立てずに「思いつき」で電車に乗ることにしました。大前に行くためには10時ごろに高崎に着けば良いと甘く考えていましたので、時刻表を眺めてびっくりです。高崎発8:53ではないといけないという事実を知ったからです。

これに間に合うには池袋発7:04の湘南新宿ライン普通電車か、上野発6:59の宇都宮線普通電車(大宮で乗り換え)に乗らねばならないのです。私が家を出たのがそれくらいの時刻なので、とても間に合いません。幸い新幹線を利用すれば間に合うことがわかりましたので、大宮から新幹線を利用することにしました。時間短縮が目的ですので、自由席利用としました。

写真1. 秋田方面の新幹線がやってきた

写真2. 後ろはE5系

目的となる列車まで少し時間があり、東北新幹線の発着を拝むことができました(写真1-2)。前7両が秋田行き、後ろ10両が新青森行きです。

写真3. 上越新幹線のE4系がやってきた

そうこうするうちに上越新幹線の列車がやってきました(写真3)。この4分後の北陸新幹線でも間に合うのですが、16両編成でゆとりのありそうな上越新幹線にしました。E4系ですね。

E系の普通車車内を見る

引退が迫っているE4系に当たったので、車内も観察しましょう。

写真4. 階段が迫る出入口

出入口はそこまで広くはありません(写真4)。

写真5. ジャンプシートが存在する

その出入口にはジャンプシートがあります(写真5)。やや混雑したときに有効に活用できそうです。日本の列車は混雑することが前提の設備になっているのです。

写真6. 2階(階上)への階段

写真7. 1階(階下)への階段

階段はらせん状になっています(写真6-7)。らせん状の階段だと客席空間を広く取ることができますので、座席定員を多く確保できるのです。よく見ると、階段と客席にはきちんと仕切扉がありますね。首都圏のグリーン車にもこの点を見習って欲しいものです。

写真8.  詰め込み仕様の2階席

写真9. 詰め込み仕様の2階席

2階席は6列配列で「詰め込む」ことが第1に考えられていることがわかります(写真8-9)。ただし、在来線の2階建て車両とは異なり、天井がすぼまっていない点は好感が持てます。車両限界が在来線とは異なることがわかります。そのため、私は北海道新幹線の夜行列車構想でこの車両をベースと考えたのです。

新幹線からの車窓を楽しむ

大宮から高崎まではトンネルは1つもありません。そのため、車窓を楽しむことができます。

写真10. 関東平野の美しい景色

写真11. 関東平野の美しい景色

写真12. 関東平野の美しい景色

ただし、関東平野の変哲のない景色であることは理解する必要があります(写真10-12)。意外と住宅や工場が多く、産業や生活の場として活用されていることがわかりました。そのようにして高崎についたのです。

高崎に停車中のE4系

写真13. 高崎に停車中のE4系

吾妻線普通電車:ロングシート王国!

そんな高崎からは吾妻線の普通電車に乗車します。私が目星を付けた電車(高崎発8:53)は新前橋始発ではなく、高崎始発ですので新幹線からダイレクトアクセスが可能です。

高崎で並ぶ211系電車

写真14. 高崎で並ぶ211系電車

115系天国だったのは昔の話です。今は211系天国です(写真14)。私が当たった車両はオールロングシート車でした。調べてみたら、高崎に配属されている211系は全てロングシートの3000番台なのですね。高崎地区はロングシート天国なのですね。観光客も乗る路線も含めて一括でオールロングシートなのです。ただし、私の近くに座った女性2人組の観光客は、ロングシートに座りながらガイドブックを楽しげに眺めていたので、私の杞憂かもしれません。

写真15. 川が見える

高崎から渋川まで上越線を走行します。上越線内では住宅と田畑が入り混じった景色が広がります。しかし、渋川を出ると景色が一変します。山あいの景色に変化したのです(写真15)。

写真16. だんだん山あいに入っていく

写真17. 美しい橋も見える

写真18. どんどん山あいに入る

どんどん山あいに入ります(写真16-18)。吾妻川の上流に向かって進んでいるのです。

写真19. 長野原草津口付近で旧線に合流する

岩島から長野原草津口まではダム建設に伴い、新線に移行した区間です。その区間の終わりで旧線と合流しました(写真19)。

写真20. 万座・鹿沢口付近の集落

そこから再び昔の線路に戻ります。長野原草津口の奥で主要駅の万座・鹿沢口に停車しました。高架の1面1線の駅で、現在は無人駅です。特急がきた時代もありましたね。

1駅乗って終点大前に到着です。

大前散策

大前駅周辺を散策してみましょう。

写真21. 本数の少ない時刻表

まずは帰りの時刻を調べます(写真21)。やはり22分の滞在時間です。あまり近くを歩けませんね。

写真22. 駅近くの側道(駅から徒歩3分!)

写真23. 駅前1等地!

駅前を歩いてみましょう(写真22-23)。駅前といえどもあまり住宅はありません。駅前の1等地なんですけどね。

写真24. 大前の駅名標

写真25. 駅前の吾妻川に架かる橋

駅前に吾妻川が流れています(写真25)。その吾妻川に橋があり、橋を渡ると国道に通じています。時間の関係上、国道まで足を伸ばすことを断念しました。

写真26. 橋から見える川

橋から川を見ることができます(写真26)。この道路は歩行者と自動車は分離されていませんが、そこまで危険はありません。自動車がほとんど通らないのです。

写真27. 美しい211系電車

211系電車も撮影できます(写真27)。

写真28. 代行輸送を示す案内

吾妻線はどうしても運休しやすい環境にあります。そのため、代行輸送が日常的に行われていることがうかがえます(写真28)。

写真29. 線路は少し奥まで伸びている

線路は大前駅の少し先まで伸びています(写真29)。このおかげで7両編成の特急列車もここに引き上げることが可能です。なお、ここ大前では乗車券を売る設備はおろか、無人駅整理券発行機さえありません

特急草津に乗る

長野原草津口まで211系電車で移動し、そこから特急に乗り継ぎました。

長野原草津口までの移動

211系車内

写真30. 211系の車内

大前ではガラガラでしたので、車内を撮影することができました(写真30)。私はトイレ前のクロスシートに陣取りました。

写真31. 吾妻川の景色

そんな座席から景色を眺めます(写真31)。これはクロスシートから眺めたものです。そうして、長野原草津口に着きました。

長野原草津口駅舎

写真32. 長野原草津口の駅舎

長野原草津口では1回改札を出て、駅前に出ます。その際に、自由席特急券と乗車券を購入することもできました。

写真33. 長野原草津口の駅前

長野原草津口の駅前は大したものはありません。吾妻川があるだけです(写真33)。草津温泉との間はバスが通っています。次々と駅にバスが来ます。特急列車の発着に合わせてバスが運行されているのです。自由席待ちの人は改札前に並ぶシステムです。しかし、三連休の最終日といえども夏だったので、空席がありました。夏に温泉に行く人はそう多くないでしょうからね。

651系の観察

651系の外観

写真34. 651系の外観

いよいよ特急草津とのご対面です。自由席は前よりにありますから、そこまで歩く必要があります。

651系の車内

写真35. 651系の車内

651系の車内

写真36. 651系の車内

塗装こそ変更されたものの、スーパーひたち時代の内装はそこまで手を加えられていません(写真35-36)。この時代の車両はデッキと客席の仕切扉などが色付きであることが特徴です。

651系の車内

写真37. ゴミ箱があるデッキ部分

この時代の特急車は原則として2ドアです。その代償としてデッキは狭くなっています(写真37)。現在は2人が通れる幅のドアを設置するかわりに、ドアを1つに絞っています。

特急草津の道中:長野原草津口から大宮

写真38. 川を渡る

写真39. 川沿いを行く

写真40. 川を渡る

吾妻線は吾妻川沿いを走る路線です。そのため、吾妻線内は吾妻川の表情を楽しめます(写真38-40)。

写真41. 群馬県の拠点、高崎に停車

その後、渋川で乗客を集めて、高崎に向かいます。渋川でも座席は埋まりません。その後、高崎に着きます(写真41)。新幹線に乗りかえる人がいるためか、少しだけ空きました。

写真42. 八高線の特別塗装車

高崎では八高線の特別塗装車が確認できました(写真42)。八高線電化前まで活躍していた車両のカラーですね。

写真43. 貨物駅を見る

写真44. 川を渡る

写真45. 東京近郊の駅を通過

このように高崎線を進みます(写真43-45)。せっかくだから深谷か本庄に停車させれば、利用しやすくなるのにね。

写真46. 鉄道博物館の前を行く

大宮停車直前で鉄道博物館の前を行きます(写真46)。でも駅はありません。川越線か高崎線に駅を設ければ、両線も儲かるのにね!

写真47. 大宮に到着

このようにして大宮に到着です(写真47)。

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