武蔵野線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、東浦和→南浦和、現場調査結果)

記事上部注釈
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東京地区には東京都区内を中心にそこから伸びる放射軸の路線が多くあります。一方で、その放射軸を結ぶ環状軸の路線は多くありません。その環状軸の路線で最も規模の大きい武蔵野線の混雑状況を観察しました。

写真1. 南浦和を発車する電車

武蔵野線の混雑状況のまとめ

武蔵野線の混雑状況の概要は以下の通りです。

  • 全般的に混雑率は133%程度である
  • 混雑時間帯は8:20ごろまでであり、それ以降になるとやや空く傾向にある
  • 全般的に混んでいる車両・空いている車両というのはないが、あえていえば5号車と6号車が空いている

詳細は以下の章でまとめます。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は、武蔵野線の最混雑区間ともされる東浦和→南浦和の混雑を確認しました。この区間が最混雑区間になっているのは、埼玉県東側の住宅街から京浜東北線(南浦和乗りかえ)や埼京線(武蔵浦和乗りかえ)の人がこの区間に集結しているためです。

武蔵野線(平日朝ラッシュ時)の混雑状況の生データ

写真5. 南浦和で乗客を降ろして発車!

平日朝ラッシュ時の武蔵野線の混雑状況の生データを示します(表2)。なお、1本目の電車が発車後に途中駅(南越谷→東川口)で異音を感知(カラスとの接触のようです)した影響で、2本目の電車から遅れています。

表2. 武蔵野線の混雑状況の生データ

武蔵野線の平日朝ラッシュ時の混雑状況の解析

写真6. 上下電車がすれ違う

生データだけでは不親切でしょうから、親切で有名な私は混雑状況を分析いたします(やさしー)。

生データでは混雑ポイント(=観測しやすい)を導入していますが、解析では混雑率に変換し、それを計算することにしています。これは混雑ポイントが順序尺度(160ポイントが80ポイントの2倍にならない)に対し、混雑率が比例尺度(160%は80%の2倍)であり、統計処理をしやすいためです。

復習:武蔵野線のダイヤパターン

混雑はダイヤに依存します(逆にいうとダイヤも混雑を考慮して作成されます)。そこで、武蔵野線のダイヤパターンを簡単に紹介します。

武蔵野線は西船橋より東側で京葉線に直通し、その方向は2つに分かれます(その二股の裂け目にあるのが二俣新町というのも面白いです)。ただし、府中本町-西船橋の武蔵野線区間においてはそのような差異はありません(基本的に途中駅始発・終着もありません)。また、南浦和近傍で京葉線の行先の違いによる混雑の差異は小さいでしょう。そのため、京葉線区間での違いはここでは触れません。

朝ラッシュ時の武蔵野線は4~5分間隔で運転されています。ただし、ピーク時間帯を外れると間隔がやや開きます。

また、朝ラッシュ時に1本だけ武蔵野線から東北本線に入る「しもうさ号」の大宮行きが設定されています。その「しもうさ号」は海浜幕張方面から武蔵浦和までは各駅にとまります。そのような意味で、南浦和や武蔵浦和で京浜東北線や埼京線に乗りかえる人にとってみては、普通の武蔵野線と異なる点はありません。

このほかに違いはありません。簡単に理解するには、各駅にとまる電車が約5分間隔で運転されている、と単純化して理解することです。

時間帯ごとの混雑状況

まず、混雑時間帯を知るために時間帯ごとの混雑状況を分析します。通常は「8:00~8:10の混雑は××%」というようにExcelで集計します。ただし、今回の分析は単純にいきません。2本目から列車に遅れが生じ、そのぶん各駅に乗客が溜まっており、2本目と3本目は溜まった乗客のぶんだけ列車は混んでいます。

では、どの程度混んでいるのでしょうか。それは各駅の遅れを合計し、各駅での乗車数の比から求めることができます。しかし、各駅の遅れを集計したところで、各駅の乗車数の比を知らないわけですから、この作業は徒労に終わります。ただし、1つ確実なことがあります。多くの人は列車遅れ程度で予定をキャンセルしません。したがって、朝ラッシュ時の乗客は朝ラッシュ時に運ばれることでしょう。いいかたを変えると、いつもより混んでいる電車の「混んでいる度合」といつもより空いている電車の「空いている度合」は同じということです。

表3. 時間帯による混雑率の違い

南浦和発車時点での遅れ(私が計測)による南浦和断面での列車間隔から、混雑率を推定しました(表3)。ここで注目いただきたいのが一番下の補正合計です。9:19には遅れはほぼ解消していましたから、この時間までで列車に乗りたい人は(当初の予定ではないにしろ)どれかに乗れたでしょう。そのため、遅れがあってもなくても7:10~9:19に乗れた人の数は同じと推定しています。これが補正合計の意味です。

細かな割り振りは多くの路線で混雑を見てきた私の勘ピュータです。もしかしたら、遅れの情報を家で受け取った人が迂回路を選択したために8:20~8:39の混雑が普段よりも低いのかもしれません(迂回路の選択は上記勘ピュータには入っていません)。

とにかく、この混雑状況をグラフで示します。

図1. 武蔵野線の時間帯別の混雑状況

8:00を過ぎると急に空いている傾向にあります(図1)。東京駅周辺の仕事場に通うとした場合、乗りかえた京浜東北線が東京に着くのは(武蔵野線を降りてから)約45分後です。東京駅に8:45に着くと考えると、だいぶ遅い印象があります。これが空く理由でしょう。

9:00前に混んでいるのは、10時出勤の人の影響なのでしょうか。

ラッシュ時のピークは60分間とされます。今回は7:20~8:19の60分としました。この混雑率は133%です。遅れの影響があれど、普段からこの程度なのでしょう。

号車ごとの混雑状況

7:20~8:19の60分間の各車両の混雑状況はどうでしょうか。武蔵野線は集客条件が同一ですので、(列車1本1本の混雑状況がいつもと違っていたとしても)60分間の集計は単純に集計して問題ない(※)でしょう(表4)。

※列車1本1本の誤差はある程度あっても、ここでは合計ですので、プラスの誤差とマイナスの誤差が相殺されるという考えです。

表4. 号車ごとの混雑状況

これではわかりにくいかもしれませんから、グラフにもまとめます(図2)。

図2. 号車ごとの混雑状況

以下の状況が読み取れます。

  • 車両による顕著な混雑差はない
  • ただし、後ろ寄りの2号車と3号車はやや混んでいる傾向にある
  • 前寄りの5号車~7号車はやや空いている傾向にある

写真7. 各駅の階段の位置

その理由は南浦和と武蔵浦和の階段の位置を見れば納得できます(写真7)。南浦和で便利な位置は後ろ寄りで武蔵浦和で便利なのが先頭車両なのです。車両ごとの混雑のかたよりから推測するに、北朝霞や西国分寺まで乗る人は少なさそうです。確かに武蔵野線に乗っていると、南浦和や武蔵浦和で乗客の多くが入れ替わります。

混雑状況から武蔵野線のダイヤを考える

写真8. しもうさ号の大宮行きを見送る人々

現在の武蔵野線の混雑状況は「混雑がやや厳しいが何とかなる」レベルです。遅れたときこそ、混雑率160%越えの車両が散見されますが、それはあくまでも突発的なことです。そのため、(何とか乗ることができ、輸送そのものは成立する以上)混雑は適正なレベルと評価することも可能です。

ただし、そこには快適さはありません。快適に利用するのであれば、現在の平均4.5分間隔から4分間隔に短縮し、混雑率を135%程度から110%程度に緩和するのも最低限のマナーです。ただし、武蔵野線はもともと貨物列車が主体で設計された路線です。したがって、地下鉄路線のように2分間隔は対応していません。でも、4分間隔ならばできましょう。それと同時に最高速度もある程度向上させ、全線の所要時間を多少短縮し、必要な車両や人員を最小限に留めるのも手でしょう。

あくまでも通常の武蔵野線が主体で、(ある程度均質なサービスをするという意味合いで)大宮直通は毎時1本程度でじゅうぶんでしょう。ちょうど大宮行きが発車する際も立ち会ったのですが、多くの人が乗らずに見送る様子を確認できました(写真8)。この様子を見ると、武蔵野線に求めている機能はあくまでも郊外と郊外の連絡であり、大宮への輸送はそこまで求められていないことが示されたのです。

将来的には相模線・川越線・八高線の強化による武蔵野線外側の環状軸の強化(大宮-川越-八王子-橋本の直通があると良いという妄想)、東武アーバンパークラインの野田市内の複線化による速達化、そして環状8号線や7号線の地下鉄実現による武蔵野線内側の環状軸の強化が望ましいのでしょう。

武蔵野線の混雑に関する記事

ここまで特定の駅・特定の時間帯という深くて狭い情報をお伝えしました。では、武蔵野線全体の混雑に関する情報はないのでしょうか。

そのような浅くて広い記事をご用意しました!

武蔵野線(混雑基本データ)

首都圏をぐるりと回り、半環状線を形成する武蔵野線。開業当初は40分間隔だった路線も新駅開業や沿線の宅地化により、利用が増えてきました。そんな武蔵野線の混雑データをまとめました。
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コメント

  1. セロトア より:

    (コロナの影響も残ってるかもですが)昔と比べるとかなり改善された方だと思いますね
    10年ほど前は完全に身動き出来ない状態もあった頃から、拡張車体の導入等もあって体感的には楽になった感じです
    むしろ個人的には夕方ラッシュ以降の本数があまり多くなく、20時以降も比較的混雑してる事が多いのが不満といったところですかね

    • tc1151234 より:

      セロトアさま、コメントありがとうございます。

      確かに拡幅車両の導入による立席スペース確保は重要な改善点と思われます。

      また、ご指摘の通り夕方ラッシュ以降の本数がそこまで多くない点も問題になるのでしょう。武蔵野線は乗客にとっては混雑する時間が短く(乗りかえ駅で乗客の多くが入れ替わる現象は肌感覚であります)、混雑による不快感の継続時間が短いこと、乗りかえ駅全てで混雑緩和すると他の区間が空いてしまうこと(例えば南浦和、南越谷、新松戸、西船橋のそれぞれで同じ時間が混雑するので、特定の駅をフォローすると別の乗りかえ駅で空いてしまう)があるのでしょうが、毎時8本程度(最混雑区間の南浦和-東浦和の最ピーク時は毎時9本)を確保してもらいたいものですね。