マクデブルクの市内交通(路線図も収録)

記事上部注釈
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ドイツ中部の拠点の都市のマクデブルク。その市内には多くの路面電車が走っており、市内をスムーズに移動できます。もう少し遠くに行くために使うSバーンも含め紹介します。

写真1. 南北軸を通る路面電車

重要

本記事で詳細に解説しますが、ドイツの鉄道に関する内容を一通り、そして詳しく解説した書籍を出版いたしました。同人誌の流通ルートで販売していますが、いわゆる萌え絵は一切なく一般的な同人誌に嫌悪感を示す人でも抵抗ない内容・体裁になっています。

マクデブルクの路面電車の概要

マクデブルクの路面電車の概要は以下の通りです。

  • アルターマルクトを中心に東西南北に分岐する路線網と考えるとわかりやすい
  • 各系統10分間隔(平日)、15分間隔(土曜の日中)、20分間隔(土曜の朝夜と日曜・祝日)で運転され、アルターマルクト周辺は2系統以上が重なる
  • 運賃は2.5ユーロ(1回券)~6ユーロ(24時間券)程度であり、車内で刻印が必要

詳細は以下の章で記します。

マクデブルクの路面電車の路線網

マクデブルクには路面電車が走っており、それも複数系統あります。

図1. マクデブルクの路面電車の路線図

マクデブルクの路線図はMVB路線図ページに公開されています。

多くの系統を完全に知ろうとすると大変ですが、大まかには以下の通りと考えれば比較的わかりやすいと思います。

  1. アルターマルクト(中心部に上下方向に線が5本束なっている箇所の一番下)を中心に東西南北(東方向は電停2つぶん北に行くが)に伸びている
  2. 南-西、北-東を除くあらゆる方向に直通で行けるように北方向・南方向・東方向・西方向はそれぞれ2系統以上が重なっている
  3. 2でいう「2系統以上」は郊外で各方向に分岐する

この3原則を把握すると、路線図の解釈しやすいと思います。私が見た限り、マクデブルクの中心はアルターマルクトです(マクデブルク大聖堂はその南側にありますが、この付近はあくまでも観光客の「みどころ」です)。そのため、日常利用としてはアルターマルクト付近に向かえば良いということになります。

アルターマルクトから各方向に散るのが最も効率の良い路線網になりましょうが、アルターマルクトから東方向に向かうにはエルベ川が障壁になります。ここには橋がかかっていますが、2023年時点では橋は工事中で通行止めになっており、アルターマルクトから東方向に向かうことができません。そのため、北に2つ目のOpernhausから東方向に分岐しています。

中心部に近いところでは需要が集中し、郊外に行けば行くほど需要は分散します。そのため、本数があまり多くない複数の系統を中心部で重ね合わせ、両者の需要の違いに応えています。どこでも需要が多い、都電荒川線(大塚、王子で乗客が入れ替わるが乗客の総数はそこまで変わらない)とは性格が異なるのです。

実際に路面電車に乗る

では、実際に路面電車に乗ってみましょう!

チケットの購入

写真2. 電停にある自動券売機

電停に自動券売機があります(写真2)。いろいろと書いていますが、欧州のセオリー通り駅であらかじめチケットを買わないと不正乗車とみなされます。ドイツ鉄道などの券売機と異なり、クレジットカードは使えません

写真3. 通常のチケット

年齢によって違いはありますが、成人の場合は1回2.5ユーロです。ちょっと高いように感じます(写真3)。

写真4. 24時間券の設定もある

24時間券の設定もあり、その場合は何回乗ろうと6ユーロです(写真4)。ただし、名前をブロック体で記入する必要があります。私は24時間券を購入しました。

写真5. 車内に刻印機がある

車内に入ったら、刻印機でチケットを刻印します。24時間券であれば、1回目の乗車で刻印さえすれば、次からはこの作業は必要ありません。「チケットを買ったのになぜ刻印するの?」という疑問もあると思いますが、チケットは○○分まで有効という概念があり、使用開始時刻を正確に記録する必要があるためです。

次に「チケット購入時に時刻を刻印すれば良いのでは?」という疑問があると思います。現にそのような運用がなされている都市もあります。これは「チケットを買ってからの時間でなく、電車に乗ってからの時間でカウントしたい」という理由と考えると納得です。チケットを購入してから電車がやってくるまで時間があった場合、利用者の責ではないところで使える時間が減ってしまいます。それは利用者にデメリットが多いので、マクデブルクでは車内で刻印(=乗りたい電車に乗れた時刻)するのでしょう。

運行間隔

写真6. 発車案内

このとき、アルターマルクトから南に2つめのLeiterstraßeにいました。中心部で2系統通っていますが、土曜日ということもあり、各系統15分間隔で合わせて4~8分間隔です。

写真7. 発車時刻表

写真8. 発車時刻表

発車時刻表です(写真7、写真8)。中心部は2系統以上が重なっていますので、日曜日(本数が少ない)でも12分以上待つことはありません。さすがに2系統が3分-17分間隔のような不等間隔ではありません。日曜日は商店も閉まっており、みんな家にいるので本数が少ないのでしょうか。

写真9. 1系統と4系統の時刻表

アルターマルクトに来ました。1系統と4系統の時刻表です(写真9)。平日10分間隔、日曜・祝日20分間隔、土曜の日中15分間隔の原則は変わりません。

写真10. 6系統の時刻表

6系統も同じような運転間隔です(写真10)。

写真11. 9系統の運転間隔

9系統についても本数はそう変わりません(写真11)。8系統は特殊な系統で通学用の性質が強く、運転本数はわずかです。観光客的には8系統はないものとして認識すれば問題ないのでしょう。

路面電車からの風景

路面電車からの風景を紹介します。

写真12. マクデブルクノイシュタットにやってきた1系統

マクデブルクノイシュタットに1系統がやってきました(写真12)。この写真の右側にSバーンの駅があります。

写真13. 市街地を走る

市街地を走ります(写真13)。

写真14. 市街地にも緑が多い

市街地にも緑が多いです(写真14)。

写真15. 中心部は歩行者と路面電車専用!

中心部は歩行者専用です(写真15)。中心部は5系統が重なりますので、電車の待ち時間を気にすることもなく良いですね!

写真16. 中心部を走る

中心部を走ります(写真16)。

写真17. アルターマルクトに到着!

アルターマルクトに到着です(写真17)。このときは日曜の朝でしたので、電車も空いていました。

写真18. 路面電車の車内

路面電車の車内です(写真18)。クロスシート主体です。

アルターマルクトでの風景

アルターマルクトはマクデブルク市電の心臓部ともいえる場所です。ここから南方向と西方向に分岐し、北方向は南方向・西方向からの電車が合流します。

写真19. 3連接車体が北方向から西方向に向きを変える

3連接車体の電車が北方向から西方向に向きを変えます(写真19)。

写真20. 南方向(大聖堂方面)と西方向(中央駅方面)は線路が別

アルターマルクトから南方向はすぐに2方向に分かれます。そのため、方面別にホームが分かれてます。乗り間違い防止に役立ちそうです。

写真21. アルターマルクトを別の角度から撮影

電車が少ない、この構図のほうがわかりやすいでしょうか(写真21)。交差点を曲がる電車は歩道側から乗ります。進行方向右側にしか扉はありません。欧州に多い、運転席が片方にしかなく、終点でループする形態です。

写真22. 5時間後にはデモが来ていた

それから5時間後に再び訪れたら、デモが来ていました(写真22)。通りを占拠しており(警察への届け出はあったことでしょう)、路面電車が通るであろう通りも動けません。

写真23. 電車は足止め!

電車は足止めを余儀なくされました(写真23)。4本もの電車が几帳面にとまっています。これらの電車はこちらに向かう向きで動くのですが、こちらに向けている側面(進行方向左側)にドアがないことがわかります。

マクデブルクのSバーン

ドイツの近郊電車といえばSバーンです。ベルリンのSバーンが有名ですが、そのSバーンはマクデブルクでも走っています。

図2. マクデブルクのSバーン(wikipediaより引用、Von Arbalete - Eigenes Werk, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=31245331)

マクデブルクのSバーンは1系統のみです(図2)。その名もS1系統です。中央よりやや下側の灰色の部分がマクデブルク市内です。その太字がマクデブルク中央駅です。

他の系統が60分間隔なのに対し、S1系統は30分間隔が基本です(末端は60分間隔)。Sバーンは山手線のようなものと聞いていると30分間隔というのは違和感があります。そのようなときはSバーンは東京地区の「電車」と置き換えると納得できます。東京の「電車」もいろいろあり、青梅線末端や鶴見線では60分間隔も見られると考えると、30分間隔の「電車」も納得できるでしょう。

写真24. Sバーンがやってきた

せっかくなので、Sバーンに乗ってみましょう!ベルリンのSバーンはいつでも乗れますが(はい?)、そのほかの中都市のSバーンはなかなか乗れません。観光の時間を割いてでもSバーンに乗車するのはもはやマナーです。

写真25. Sバーンの車内

Sバーンの車内です(写真25)。欧州では地下鉄でもクロスシートが見られますので、Sバーンがクロスシートであっても疑問はありません。

写真26. Sバーンの車内

少し角度を変えて車内を撮影しました(写真26)。日本の電車と異なり、吊革がないことがわかります。

写真27. マクデブルク中央駅を発車!

マクデブルク中央駅を発車しました(写真27)。

写真28. 線路が分岐する

線路が分岐します(写真28)。欧州の鉄道のうらやましい点は、線路に恵まれており、う回路が整備されていることです。

写真29. 貨物駅を通過!

貨物駅を通過します。当初はこのあたりのアイヒェンヴァイラーで降りる予定でしたが…。

写真30. 郊外に出てしまう

郊外に出てしまいます(写真30)。後でわかったことですが、アイヒェンヴァイラー駅は工事のため列車がとまりません!

写真31. 次の駅で下車!

次の駅で下車しました(写真31)。

図3. この駅の位置(googleマップより引用)

地図でも街から離れたことがわかります(図3)。

写真32. 行ってしまった!

行ってしまいました(写真32)。ここに取り残されました…。

写真33. 湖と団地の競演

幸いなことに(寒いながらも)天気が良い日でした。ここで周囲の風景を少しだけ眺めます(写真33)。このようなことを考えなければここに来ることもなかったでしょう。旅は一期一会なのです。

写真34. 利用者の姿を見つけた!

利用者の姿を見つけました(写真34)。利用者の姿を見ると安心します。

写真35. 電車がやってきた

引き返す電車がやってきました(写真35)。これで1駅のマクデブルクノイシュタットに戻ります。

写真36. マクデブルクノイシュタットに到着

マクデブルクノイシュタットに到着しました(写真36)。無理やり和訳すると、マクデブルク新市街とでもいえましょうか。ICやICEを除くと、こちらに向かうすべての系統が停車します。路線図上はマクデブルクの副都心的な駅にも見えます。

写真37. 駅舎の様子

駅舎の様子です(写真37)。ちょっと荒れていますね。駅舎そのものは味があるので、きれいに手入れすれば、見違えると思います。

写真38. 古い駅舎

古い駅舎です(写真38)。味があるのですが、それ以上に荒廃しています。googleの口コミはひどいものです(ドイツ民主共和国:旧東ドイツのことです)。

ドイツの駅地獄へようこそ。荒れ果てた駅で降りることができます。マクデブルク ノイシュタットのプラットホームでは、まだほとんどライヒスバーンの時代にいるように見えます。マクデブルクのノイシュタット駅は、実際には美しくしっかりとした造りの建物です。ドイツ民主共和国時代、ライヒスバーンには建物を維持するための資金や物資がほとんどありませんでした。再統一後も事態は好転しませんでした。落書き、落書き、蹴られた玄関ドア、尿の臭い。

第二次世界大戦を舞台にした戦争映画を撮るとしたら、駅は(残念ながら)最高の場所です。

googleの口コミ

写真39. その駅の出入口

その出入口です(写真39)。写真で見る限り良いんですけどね!

このようなことは実際に降りてみないとわかりません。そのような意味では非常に勉強になる体験でした(日曜の朝だからか、危険なことは一切ありませんでした)。

マクデブルクの公共交通に乗ってみて

写真40. マクデブルクのSバーン

マクデブルクの路面電車とSバーンに乗ってみました。路面電車は縦横無尽に走っており、それなりに便利でした。また、市の中心にも人が多くいて、活気を感じました。一方、Sバーンは路面電車よりも本数が少なく、駅の雰囲気も微妙で利用しにくい面も感じました。このことを通じ、鉄道の利用のしやすさはそれ単体の利便性だけでは決まらないという側面を改めて実感しました。

重要

今回の旅行でクレジットカードとインターネット環境の重要性を認識しました。私は以下の2つを手配しましたが、類似のサービスであれば問題ないと思います。

補足

本記事ではマクデブルクの交通網の基本しか記載していません。マクデブルクに関する別観点の記事については以下の記事をご覧ください。

マクデブルク中央駅

ドイツ中部に位置する都市のマクデブルク。その中央駅はマクデブルク中央駅です。現在の交通のメインルートは通りませんが、依然として大きなジャンクション駅です。そんなマクデブルク中央駅を楽しみました。

マクデブルクの街歩き

ドイツ中部に位置するマクデブルク。中世から歴史ある都市ですが、戦後に再開発された街でもあり、その姿には一定の魅力があります。そんなマクデブルクを街歩きという形で観光しました。

マクデブルクの宿泊施設:アートホテルマクデブルク

ドイツ中部のマクデブルクに位置するアートホテルマクデブルク。このホテルは独特のホテルであり、宿泊するだけでも特別な体験を味わえます。そんなアートホテルマクデブルクを堪能しました。

マクデブルク水路橋

川と運河。通常、これらは交差したり分岐したりするものです。しかし、世界には川と運河が立体交差する場所もあります。ドイツに大規模な立体交差があります。その立体交差を訪問してみました。
前後を読みたい!

(←前) マクデブルクの街歩き

マクデブルクの市内交通:現在地

マクデブルクからポツダム(ベルリン方面)への列車旅(次→)

★全体のまとめ:23年GWドイツ・スイス旅行のまとめと振り返り

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