最強の特急列車を考えてみた!

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

近年、趣向は多様化しています。しかし、鉄道車両は画一的で多様なニーズに応えられません。そこで、多様なニーズに応えられる車両を妄想してみました。

251系スーパービュー踊り子(伊豆高原)

写真1. 多様な設備のあるスーパービュー踊り子

前提条件の選定

今回、具体的な路線までは想定しませんが、ビジネス向けの路線ではなく、ある程度観光需要がある路線をイメージしています。例えば、伊豆、箱根、草津などです。

完全なビジネス向けですと、現在の特急列車の車両が適正です。見知らぬ人どうしが同じ空間で移動し、なおかつそれ以上のことを求めない、というビジネス向けであれば、前向きのリクライニングシートでパソコン作業なり、仮眠を取るなり、資料を確認するなりということができるためです。

逆に、JR九州の観光列車のような「その列車に乗るのが目的」とまではいきません。ある程度のビジネス利用ということも考えます。また、上位クラスのみにすることも考えていません。上位クラスのみでは庶民には手が届かず、広く鉄道の魅力を知ってもらうことができないためです。

当然、現在のニーズは多様化していますから、多様化したニーズに応えるためにさまざまな設備を整えることは重要です。

以上を整理すると以下の条件です。

・観光輸送主体だが、若干のビジネスや通勤需要も考慮

・上位クラス(JRでいうグリーン車)だけでなく、一般クラスも設ける

編成構成の決定

ここでは、私鉄特急(※)のことも考えて、6両編成とします。ただし、輸送量が多い路線の場合は適宜7両以上にすると想定しています。

※私鉄の特急は小田急、東武など6両編成が多くあります。

6両編成となれば3M3Tでしょう。つまり、6両中3両は2階建て車両にできます。2階建て車両のほうが定員を多くできるので、それは良い選択です。ただし、4M2Tの可能性も考慮して2階建て車両は2両だけの想定です。

必要な設備の決定

では、どのような設備が求められるのでしょうか。具体的には以下のものでしょう。

・前向きのリクライニングシート

・前向きのグリーン席

・グループ対応の個室(普通個室とグリーン個室を想定)

・売店設備(飲み物と軽食)
 ※ソファを置いてラウンジ的なスペースにすることを想定

・前面展望席

逆に、食堂車までは想定していません。昔は食堂車が連結されていましたが、現在は連結されておらず、運用が特殊になってしまいます。そのため、売店が現実的なラインと考えました。また、前面展望席があるとより「乗りたい」車両になることでしょう。

編成構成を決める

汎用の用途を考えて、6両編成の中で「特殊」な車両はそこまで多くしません。編成中2両は2階建て車両にしましょう。それを3号車と4号車に連結します。

これらの車両は2Fにグリーン席、1Fに個室を設定します。2両のうち1両はグリーン個室、もう1両は普通個室としましょう。個室の需要はそこまで多くないので、普通個室、グリーン個室ともに各1両とするのです。編成の通り抜けは1Fからとして、2Fは行き止まりにします。これは、グリーン席の静寂性を守るためです。

小田急70000形(新宿)

写真2. 運転席が2F、展望席が1Fにあるタイプ(小田急70000形、新宿で撮影)

名鉄1000系(名古屋)

写真3. 運転席が1F、展望席が2Fにあるタイプ(名鉄パノラマスーパー、名鉄名古屋で撮影)

写真4. 運転席は展望席の下にある

両端の車両は展望席を連結します。小田急ロマンスカーのように2Fに運転席があるタイプ(写真2)ですと、運転席への出入りが大変です。そのため、名鉄タイプ(写真3)のほうがオペレーションはラクでしょう(写真4)。

売店はグリーン車の隣の車両に設置します。この車両のもう半分は普通の座席車としましょう。ある程度気軽に利用できるようにするためには、ある程度の定員を確保して採算性を考えることも必要なためです。

お座敷については、普通個室、グリーン個室ともに何部屋は用意します。掘りごたつ式のボックスシートとして、小グループに対応した形にします。現在のお座敷列車は団体向けの設備なので、個人旅行にはふさわしくありません。

各車両の妄想

このような6両編成をもう少し具体的に色付けします。便宜上、1号車~6号車という名称を付けますが、どちら寄りが1号車かどうかということはここでは決めていません。あくまでもコードネーム的なものとご認識ください。

1号車、6号車:展望車付き普通車

1号車は展望席付き普通車です。先頭の20席は2Fに位置し、「展望席」という名称で売り出します。その後ろには普通のリクライニングシートを設置します。展望席は階段状にしますので、展望席が後ろに位置する際は、進行方向を向きません。これは運用するうえではやや厄介です。

車両の端部に乗降扉を設置する一方で、普通席と展望席の間には乗降扉を設けません。これは、今後設置が進むホームドアに対応したものです。

普通車の座席定員は28名程度でしょうか。

2号車:売店付き普通車

半分程度は普通車、半分程度は売店と数席のソファを備えたフリースペースとします。東武スペーシアの例から考えると、座席は7列、定員28名程度でしょうか。

売店スペースにはテーブル付きの座席は設けず、あくまでも料理待ち用のソファのみを設置することを想定しています。

TGVの車内(飲食スペース)

写真5. 売店付き車両のイメージ(TGVの車内)

3号車:グリーン個室付き2F建て車両

TGVの車内(全体)

写真6. 2階のイメージ(TGVの車内)

この特急の目玉となる車両です。2Fは2列+1列の座席配置のオープン配置、1Fは2列+1列の向かい合わせという想定です。シートピッチ1160mmとすると、グリーン席は8列、つまり24席設置することになりましょう。荷物置き場は出入口周辺に設置しましょう。

1Fは向かい合わせのボックスシートを想定しています。大型のテーブルを備え、背後に荷物置き場を備えた個室にします。8室設置し、1室の長さは2320mm(=1160mm×2)とします。ボックスシートのシートピッチは1800mmあれば充分ですから、背後の500mm程度は荷物置き場にできます。一般的な個室居酒屋のような仕切を設けて、ある程度プライベートな空間とします。

このうち半数はお座敷タイプとして、テーブルの下に靴置き場を設置します。自家用車にはない「靴を脱いでくつろぐ」空間として、自家用車と差別化します。

両車端部は台車があり、2F建てにはできません。その寸法は4330mm程度です。片方は客用扉+洗面所となりますが、もう片方は客席にできます。ここに2号車のミニラウンジと連続した空間として、ミニラウンジを設置することも手です。

座席定員は1F、2Fともに24席の合計48席です。特急列車のグリーン車としてはそれなりに定員が確保できるでしょう。

4号車:普通個室付きの2F建て車両

この特急の目玉となる車両です。2Fは2列+1列の座席配置のオープン配置、1Fは2列+1列の向かい合わせという想定です。シートピッチ1160mmとすると、グリーン席は8列、つまり24席設置することになりましょう。

1Fは向かい合わせのボックスシートを想定しています。3号車と異なるのは、シートピッチが狭く、2列+2列なことです。シートピッチは1800mm程度と想定でき、合計10部屋です。10部屋のうち4部屋はお座敷タイプとして、自家用車と差別化することにします。

両車端部は台車があり、2F建てにはできません。その寸法は4330mm程度です。片方は客用扉+洗面所となりますが、もう片方は客席にできます。ここには変則的な座席配列のグリーン個室を設置しましょう。イメージモデルは787系のグリーン個室です。1Fに設置したグリーン個室と差別化するために、DXグリーン個室としましょう。

定員はグリーン車24名+普通個室40名+DXグリーン個室4名=68名とかなりの数字になります。

5号車:一般座席

意外と少ない一般座席です。1両まるまる普通車です。車椅子対応お手洗いや車椅子対応座席を設置し、コンプライアンス上の要請を満たします。E353系の2号車と同等の設備でしょうから、座席定員も同程度の48名となりましょう。

インテリアカラー

インテリアカラーについてはさまざまな意見がありましょう。個人的には、余計な装飾の少ない車両が望ましく感じます。ましてや、窓の周囲を余計な装飾で飾ることは論外です(写真7)。

赤系の座席が富士山に映える

写真7. 窓枠を余計な装飾で飾ってしまった例(富士山ビュー特急で撮影)

個人的には、中欧風のややシックな装いが好みです(中欧にお座敷車両が合うかはともかくですが)。

ICE-Tの車内(貫通路付近)

写真8. 中欧風の車内(ICEで撮影、ドイツは中央ヨーロッパなの!)

座席の色をワインレッドにすれば完璧です!ただし、この点は好みもありましょうから、私より見識の高い人の意見が反映されることになりましょう。

最強の特急列車のまとめ

今回は最強の特急列車を考えてみました。前面展望、広いグリーン席、売店、ミニラウンジ、個室、お座敷などの多様な設備も設けつつ、ある程度の座席定員を確保(6両編成で284名)できました。この数字はそこまで悪い数字ではありません。そのため、汎用特急としても利用でき、特定の系統の全列車をこのような車両に統一することができます。また、多客期やラッシュ時などは増結用4両編成を連結するなどの工夫をとることもできます。

今後のニーズはさらに多様化することが予想されます。私案のような「いかにも盛りだくさん」の車両にする必要はありませんが、リクライニングシート車の一部をボックスシートの個室にするなどの、プライベートな空間にするという配慮はあっても良いでしょう。

現在の特急車は「上質な普通」をデザインコンセプトにしていると理解していますが、多様化する需要にも配慮いただきたいものです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする