小田急5000形の車内

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2020年にデビューし、小田急で徐々に勢力を広げている5000形電車。その5000形電車の車内を紹介します。

写真1. 多摩センターに入線する5000形(新百合ヶ丘から急行)

復習:小田急5000形の概要

まず、小田急5000形の概要を紹介します。

小田急5000形の概要
  • 車体:ステンレス製
  • 車両:4ドアロングシート車(20m車)
  • 編成:10両編成
  • 運用線区:小田急線全線(ただし6両編成が主体の江ノ島線藤沢-片瀬江ノ島には入線の機会は少ない)

小田急5000形は2020年に運転を開始した通勤型車両です。小田急電鉄の通勤車は長らく拡幅車体が採用されてきましたが、標準型の3000形からは通常の民鉄電車と同じ幅になりました。3000形に続く4000形も車体幅は広げられませんでした。地下鉄直通なので拡幅車両は不可能という説明もなされますが、4000形の前身の1000形は拡幅車体だったので、この説明は不正確です。あえていえば綾瀬の先のJR線が対応していなかったのかもしれません(1000形はJR線に乗り入れていませんでした)。

5000形の前の2形式では通常幅の車体を採用していましたが、5000形では小田急電鉄としては久しぶりの拡幅車体になりました。2010年代以降の小田急電鉄では通勤車の分割がなくなったこともあり、10両編成としてデビューしています。

裏を返すと、6両編成しか運転できない江ノ島線の各駅停車と新松田以西の各駅停車には5000形は銃とされないことになります。

なお、4ドアロングシートの構成は従前の車両と同様で、首都圏では標準といえる構成です。

小田急5000形の車内を眺める

御託はこの程度にして、車内を実際に眺めてみましょう。

写真2. 小田急5000形の車内

小田急5000形の車内です(写真2)。4ドアロングシートの配置は首都圏では標準的な割付ながら、3000形や4000形の座席と色相が異なり、オレンジ系の座席が採用されています。

また、床は茶色系で中彩度の色が採用され、オレンジ色の座席と合わせ、暖かみを演出しています。座席の仕切板や貫通扉は透明で開放感を演出しています。

写真3. 別の角度から眺める

別の角度も撮影しました(写真3)。

(参考) 3000形と4000形の車内

写真4. 座席の様子

座席の様子です(写真4)。左側に映っているドアを見ると足元が湾曲しており、座席付近の車体幅が広く取られていることがわかります。一般的な7人がけです。座席の色は彩度が高いですが、床の色と合わせて彩度を低くすると落ち着いた雰囲気になると思います。これは個人の好みですが…。

写真5. 座席を眺める

別の角度から7人がけの座席を眺めました(写真5)。握り棒が2本あり、2人+3人+2人に分割されています。首都圏の最新型に多い配置です。握り棒はつや消しです。個人的にはつやがないほうが上品に思いこの車両の品位を少し上げていると感じますが、人によってその評価はさまざまでしょう。

写真6. 仕切板の様子

座席端部の仕切板です(写真6)。途中まではガラスの板、途中からは木目を意識した色と柄の板です。3000形の木目柄のドアのイメージをここに引き継いでいるのでしょうか。

写真7. 天井の様子

写真8. 天井の様子

天井の様子を別の角度から2枚撮影しました(写真7、写真8)。LED照明が採用されてからだいぶ年月が経過し、LED照明の特性である小型化を生かし、天井と一体型のデザインにしています。個人的には優れたデザインと思います。

写真9. 客用ドアの様子

客用ドアの様子です(写真9)。ドアを含め壁は白色を採用し、空間を広く見せるように工夫しています。

写真10. ドア上の様子

ドア上の様子です(写真10)。現代の首都圏の通勤車としては標準的なLCDモニターを2台採用しています。ドアの上に出っ張りがあり、ラッシュ時にドア付近に立つことになっても体を支えることができ、地味ながら重要な工夫がなされています。

写真11. ドア窓は複層ガラス

ドア窓は複層ガラスを採用しています(写真11)。単板ガラスより保温性に優れ、結露しにくいのが特長です。小田急電鉄では2000形から採用しています。

写真12. ドア付近の雰囲気

ドア付近の雰囲気がわかる1枚を掲載しました(写真12)。多摩線内での撮影ですが、1号車というせいか空いています。これで採算は大丈夫なのでしょうか?

写真13. 車端部

車端部の様子です(写真13)。優先席とわかりやすいよう、青系の座席が採用されています。床の茶色と座席の青がちょっと不調和と感じましたか?これは、黄色に近い色(床)の明度が低く、黄色から遠い色(座席)の明度が高いためです。色彩学の教えるところによると、これはコンプレックス配色です。違和感を感じさせ、優先席と気づかせる小田急の作戦だとしたらさすがです。

貫通路付近はガラスが採用され、開放感を演出しています。同時に柄が描かれ、乗客が(透明の板があることに気づかずに)衝突するリスクを下げています。

写真14. 運転室近くにある車いすスペース

運転室近くには車いすスペースがありました(写真14)。ここが本来の用途で使われている場面をあまり見ないので、収納式の座席を置くと良いと思いますが、途中駅から車いすの乗客が乗ってきたときに座っている人がきちんと立つという保証もないので、座席が省かれたと聞きます。乗客の行動が回りまわって自らの首をしめてしまうと感じるエピソードです。

写真15. 別の車両には車端部に同様のスペース

別の車両には車端部に同様のスペースがあります(写真15)。

写真16. 運転室仕切壁

運転室仕切壁です(写真16)。窓がやや小さく、ここまで非の打ちどころがない5000形の弱点です。もう少し窓が大きいと良かったです。ここの壁も白色で明るさを演出しています。全体的に自然な配色を指向しているように見えました。

(参考)運転室仕切壁の理想像

小田急5000形の車内を眺めてみて

写真17. 小田急5000形は飾り帯が2色に増えた

基本的にそつのない車両の5000形電車。現代の通勤車の条件である4ドアロングシートの枠のなかでは完成度の高い車両に見えました。個人的には個性のとがった車両にも乗りたいですが、日々の通勤などの「道具」として使うにはこの程度の個性のなさが求められるのかもしれません。

個性がとがっていないからといって、決して質が劣ることはありません。この車両のように乗るのにストレスのない車両が増え、通勤電車そのものの質が今後も向上して欲しいと願うばかりです。同時に、速達性などのサービス面の一層の充実をお願いしたいところです。

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