東急大井町線の混雑状況(自由が丘-九品仏、休日日中時間帯、現場調査)

記事上部注釈
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東急の各路線を結ぶ役割のある東急大井町線。その大井町線は田園都市線のバイパス路線としての役割も期待されています。一方、人口の多い品川区、大田区と世田谷区を通る(一部区間は目黒区)ので、地域輸送も重要です。では、その混雑状況はどうなのでしょうか?平日の再混雑区間である自由が丘-九品仏で休日の実態を観察しました。

東急6020系(自由が丘)

写真1. 急行に使われる6020系

東急大井町線(自由が丘-九品仏)の休日昼間の混雑状況

以下、長い文章を読みたくない人のために、簡単に結論をまとめます。

・各駅停車は急行よりも混雑している
・各駅停車は平均すると、座席前の吊革の1/4程度が埋まる混雑である
・急行は平均すると、座席が埋まりドア部分に数人立つ程度の混雑である
・各駅停車は溝の口よりの4号車と5号車が混む傾向にある
・急行は大井町よりの1号車が混む傾向にあるが、各駅停車の4号車や5号車よりも混んでいない

混雑調査の概要

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

調査区間の選定

東急大井町線で一番流動の多い区間は、緑が丘-自由が丘です。しかし、朝ラッシュ時に最も混んでいる区間は隣の自由が丘-九品仏です。ここでは、平日朝ラッシュ時に合わせて、自由が丘-九品仏の混雑を取り上げます。田園都市線沿線からの流動と、二子玉川-九品仏から都心に向かう流れがここで合わさっていて最も混雑するのです。自由が丘は(私には縁遠いですが)休日のお出かけスポットでもあります。そのため、自由が丘周辺が混雑するのでしょう。

調査方法と調査結果

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

混雑調査結果とその分析

生データを示した後に、詳しい分析をしましょう。

混雑状況の生データ

まずは、各列車の各号車ごとの調査結果を示します(表2、3)。各列車の混雑率も示すことにしましょう。

表2. 休日日中時間帯の東急大井町線の混雑状況(下り、自由が丘→九品仏)

東急大井町線混雑状況(休日日中、自由が丘→九品仏)

なお、一部の急行では後ろの車両の測定ができませんでしたが、これは上り(大井町行き)の到着が重なったためです。もう1本の急行の混雑から推定して、これらの車両は100ポイントと統計上は処理することにしました。

表3. 休日日中時間帯の東急大井町線の混雑状況(上り、九品仏→自由が丘)

東急大井町線混雑状況(休日日中、九品仏→自由が丘)

下りと比べて、各駅停車に乗客が集中していることがわかります。2018年ダイヤ改正で各駅停車が増発されましたが、それも納得できる程度の混雑です。

混雑状況の解析

生データだけ示しておしまい、というのはいかがと思います。そこで、私なりに解析してみます。

全体感の把握:種別ごとの混雑状況集計

まず、各車両の混雑などのような細かな要素を省いて、種別ごとの混雑を考えてみます。急行と各駅停車それぞれの混雑状況をまとめました(表4)。ここから外れる箇所については、後の章で個別に考えてみましょう。

表4. 休日日中時間帯の東急大井町線の混雑状況(種別ごとまとめ)

東急大井町線混雑状況(休日日中、九品仏→自由が丘まとめ)

急行よりも各駅停車のほうが混雑しています。特に急行は7両編成でそのうち溝の口よりの車両が空いています。この状況だけ見ると、急行の7両化は無意味であったと評価したくなります。当然、急行の混雑を緩和して、少しでも大井町線利用のメリットを大きくして田園都市線から少しでも乗客を流すためであるとは理解しています。急行よりも各駅停車のほうが混んでいるということは、地域輸送が大井町線の重要な役割であることが読みとれます。平均的には、各駅停車は座席が埋まり、座席前の吊革の1/4が埋まる程度の混雑です。急行は座席が埋まり、わずかに立ちが発生という程度の混雑です。

空いた各駅停車と混んでいる各駅停車が生じるのはなぜ?

各駅停車のほうが混んでいるとはいえ、空いた各駅停車と混んだ各駅停車があることがわかります。それはなぜでしょう?まず考えられるのは、前の各駅停車との間隔です。これでは急行が入った場合は若干結果が異なることでしょう。そこで、前の各駅停車の間隔と急行の間隔を平均した値を実質的な前列車間隔と(ここで勝手に)定義することにしました。各駅に向かう乗客のうちいくらかは急行に乗るということです。では、実質的な前列車間隔と混雑率の関係を示しましょう。

東急大井町線各駅停車の前列車間隔と混雑率の関係

図1. 各駅停車の実質的な前列車間隔と混雑率の関係

勝手に定義した実質的な前列車間隔ですが、混雑率の違いを説明する程度にはなっています。つまり、単純な前列車間隔である程度混雑がわかるというものです。

混雑する車両と空いている車両

では、混雑している車両と空いている車両を見てみましょう。各駅停車は溝の口よりの車両が混んでいて、急行は大井町よりの車両が混んでいるという逆の傾向があります。そのため、それぞれ別個に見ていきましょう。

表5. 東急大井町線混雑状況(休日日中、九品仏→自由が丘、車両位置ごと)

東急大井町線混雑状況(休日日中、九品仏→自由が丘、車両位置ごと)

急行は1号車と2号車が混んでいて、6号車と7号車が空いています各駅停車は4号車と5号車が混んでいて、1号車が空いています。急行も各駅停車も利用できて、なおかつ次が急行か各駅停車かわからない場合は1号車が良いでしょう。なぜなら、急行のほうが空いていて、各駅停車の5号車と急行の1号車を比べると、急行の1号車のほうが空いているためです。また、各駅停車の本数が多いこともあります。

ここで、重要なことに気づかされます。急行は1号車のほうが混んでいるということは、大井町からの利用の割合が高いことを示します(大井町の出口は極端に1号車が利用しやすいです)。一方、各駅停車は1号車はそこまで混んでいません。これは、大井町までの利用がそこまで多くないことを示しています。そのような傾向と各駅停車のほうが混んでいるということを組み合わせると、大井町からの自由が丘以遠への利用はそこまで多くないこともわかります

ダイヤ案を考える

現在は急行が毎時4本(15分間隔ではなく、30分に2本)、各駅停車が毎時10本というダイヤです。急行が空いている以上、これ以上急行の本数を増やすことは得策ではありません。また、各駅への利用が多いことから、大井町から二子玉川までの先着列車の本数(有効列車の本数)を第一に考えることも得策ではありません。現在は各駅停車が混雑しています。本来であれば、各駅停車をもう少し増発するのがベストです。また、田園都市線のバイパス路線ということも考えると、急行は15分等間隔がベストです。

田園都市線を基準にすると、二子玉川を毎時07分と22分(とその30分後)に発車すれば良いですから、各駅停車は毎時09分、14分、17分というところでしょう。毎時09分発は溝の口と二子玉川の間で急行に抜かされます。そのため、同区間では田園都市線の線路を走行するのがベストです。14分発は大井町まで逃げ切ります。17分発は旗の台で抜かされます。休日は急行は半数が長津田まで直通していますが、平日も同様にするべきでしょう。長津田までの直通が不経済であれば、鷺沼までの直通でも構いません。鷺沼で田園都市線の各駅停車に接続できるので、それなりの効果が期待できるのです。上りはこの裏返しのダイヤとするのです。

各駅停車を毎時12本とすることで、急行の15分間隔を取り戻すことができ、各駅停車の間隔もそこまで開くことがないことも確認できました。また、二子玉川で田園都市線の準急にも接続できて、速達列車のリレーも復活します。このようなダイヤはあくまでの私案ですが、このように各駅停車の混雑を緩和しつつ田園都市線との良好な接続を保ってもらいたいものです。

大井町線の混雑基本データ

ここまで東急大井町線の混雑に関して、特定の駅での混雑調査という「狭くて深い」情報を提供しました。では、一般的な統計を基にした混雑に関する情報、つまり「浅いけれど広い」情報はないのでしょうか。そのような声にお応えして、以下のページを用意いたしました。

東急大井町線(混雑基本データ)

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