東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(平日日中時間帯、新船橋-船橋、現場調査結果)

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

2020年3月より複線設備をフルに活用し、意欲的なダイヤを始めた東武アーバンパークライン。しかし、日中時間帯はもともと空いている傾向でした。そんな東武アーバンパークラインの混雑状況を確認しました。

写真1. 古豪による普通大宮行きが停車中

東武野田線(東武アーバンパークライン)の日中時間帯の混雑まとめ

東武野田線(東武アーバンパークライン)の船橋断面での混雑傾向は以下の通りです。

  • 急行と普通で混雑傾向に大きな差はない
  • 午前中ということもあり、船橋発より船橋行きのほうが混んでいる
  • 全般的な混雑率は30%強でかなり空いている

詳細は以下の章で記します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回、船橋断面の混雑率を見るために新船橋-船橋の混雑状況を確認しました。

東武野田線(東武アーバンパークライン)の平日日中時間帯の混雑の生データ

写真5. 最新鋭の急行がやってきた

まず、東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況の生データを示します(表2)。列車ごとの混雑率については、計算のしやすさ(混雑ポイントは序列指標であり、足し算ができない)から、混雑率で示しています。

表2. 平日日中時間帯の東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(新船橋-船橋)

また、列車ごとの混雑率を視覚化しました(表3)。

表3. 平日日中時間帯の東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(新船橋-船橋、視覚化)

このように見ると、船橋発よりも船橋行きが1.5倍混んでいることがわかります。一般に午前中は都市部に向かう流れが強く、混雑傾向がここまで異なるのでしょう。

東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(平日日中時間帯)の解析

写真6. 「アーバンパークライン」になってからやってきた車両

上で生データを示しました。しかし、それだけではわかりにくいかもしれません。そこで、以下の章で詳細に解析いたします(やさしー)。なお、列車ごとの混雑を分析するに当たり、弊サイトの指標である混雑ポイントから、一般的な混雑率に変換しています。これにより、序列指標から定量的な指標に変換され、計算などが便利になるためです。

復習:東武野田線(東武アーバンパークライン)のダイヤ

混雑状況と鉄道ダイヤは大きく関わります。そのため、東武野田線(東武アーバンパークライン)のダイヤを簡単に紹介します。

東武野田線(東武アーバンパークライン)は柏で運転系統が分かれており、柏-船橋はさしずめ独自路線です。したがって、ここでは柏-船橋のダイヤを主に紹介します。

日中時間帯は30分サイクルのパターンダイヤで以下の構成です。

  • 急行:大宮-船橋1本、高柳で先行の普通を追い抜く
  • 普通:柏-船橋3本(一部柏を超えて運転される場合もあり)、急行の直前に柏や船橋を出発する便は高柳で待ち合わせ

基本的には普通が10分間隔で運転され、30分間隔で急行が挿入されるダイヤです。急行の速達性を確保するために、柏-船橋の中間付近の高柳で普通を追い抜きます。そのため、普通の運転間隔は完全な10分間隔ではなく、7~13分間隔になる箇所もあります。急行が関与しない普通どうしは10分間隔です。

種別と方向による混雑の違い

まず、種別と方向による混雑の違いを分析します。

表5. 平日日中時間帯の東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(新船橋-船橋、系統ごと)

図1. 平日日中時間帯の東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(新船橋-船橋、系統ごと)

船橋方面行きが混んでいます。それも急行ではなく、普通のほうが混んでいます。これは、急行は新鎌ヶ谷から船橋まで停車せず、船橋よりの急行通過駅の人が普通に乗るためです。もともと新鎌ヶ谷は住宅もなく、昔からの市街地は鎌ヶ谷以南にありました。急行は昔からの市街地を無視するように走っているのです。ここから、柏と船橋の行き来が少ないことがわかります。

それもそのはずです。柏は常磐線沿線、船橋は総武線沿線の都市で、千葉県内でも常磐線沿線と総武線沿線の行き来はそこまで多くありません。いずれも同じ県内で移動するくらいならば東京都内まで移動してしまいます(私にも常磐線沿線住民の知り合いがいますが、船橋・千葉方面への用事はないと言います)。

急行の設定は沿線住民の意識改革も意図して設定されたように感じますが、なかなかそこまでには至らないようです。

号車ごとの混雑傾向

次に、号車ごとの混雑傾向を分析します(表6、図2)。

表6. 平日日中時間帯の東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(新船橋-船橋、号車ごと)

図2. 平日日中時間帯の東武野田線(東武アーバンパークライン)の混雑状況(新船橋-船橋、号車ごと)

柏よりの6号車は空いています。柏でこそ6号車は便利ですが、船橋では6号車は階段に遠く、不便です。このため空いています。今後5両編成化が想定されていますが、この利用状況であれば、不便にならないでしょう。本数維持のほうが重要です。

武蔵野線や新京成線との比較

千葉県北西部で環状軸と機能している武蔵野線、半環状軸として機能している新京成線と混雑状況を比べました(3路線とも松戸市と船橋市を通っています)(表7、図3)。奇しくも全線とも10分間隔が基本であり、混雑状況を比べるのはそれなりに妥当でしょう。

表7. 千葉県北西部の環状軸の混雑度合いの比較

図3. 千葉県北西部の環状軸の混雑度合いの比較

上3つが都心方面からの流れ、下3つが都心方面からの流れで示しました。以下の傾向が読み取れます。

  • 混雑度合は武蔵野線 = 新京成線 < 東武野田線である
  • 新京成線は上下方向による差は小さく(3路線のなかでやや遅い時間帯に調査したからかもしれない)、両方向輸送である

東武野田線は急行運転という出血サービスを行っているためか、やや空いています。武蔵野線は駅間距離が比較的長く、埼玉県方面にもつながる環状軸の王者ということもあり、それなりに利用されています。新京成線は古くからの住宅街を通り、地域輸送として一定の地位を得ているのでしょう(途中駅での乗り降りが多いように感じました)。東武野田線は住宅街としての歴史が浅いためか、比較的閑散としていました。もともと線形は良好ですから、急行運転により環状軸としての活路を見い出だそうとしているかもしれません。

混雑状況から東武野田線(東武アーバンパークライン)のダイヤを考える

写真7. 新鎌ヶ谷北側ですれ違う急行

現在の混雑率32%はそれなりに空いているほうです。普通のみの10分間隔であっても混雑率は45%程度であり、多くの場合で座れるでしょう。ただし、混雑する車両ではしんどいレベルです。このことを考えると、現在のダイヤは適正~やや過剰といえます。

ただし、5両編成化により、最も空いている6号車がなくなります。これで5号車がやや混みますが、これは許容範囲内です。沿線住民(や常磐線沿線や総武線沿線)への意識改革を意図してか、急行が設定されましたが、30分間隔では使いやすいとは言えません。理想をいうと並行する武蔵野線に合わせて10分間隔が理想的です。ただし、これでは輸送力過剰すぎます。やれて20分間隔でしょう。

また、柏付近に目を向けると常磐線沿線だけではなく、つくばエクスプレス線沿いが発展してきています。このような流動を取り込むべく、柏で分断している普通を原則的に直通させ、柏での時刻調整もなくすことも重要でしょう。この取り組みで乗客を多少確保し、次の段階で急行の20分間隔化を目指すべきでしょう。そして、春日部-運河の急行運転により、都市の中心部に直結している外環状線の強みをさらに生かすと良いでしょう。

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