さよなら!中央線名古屋地区の10両編成

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

2022年3月12日。例年あるダイヤ改正の時期で、多くの路線で車両の引退などがあります。この中で地味ながらも非常に重大な変化がある路線があります。その路線の特定の情景に目を向けてみましょう。

写真1. 10両編成の先頭にセントラルライナー用の車両が立った!(大曽根で撮影)

復習:中央線名古屋地区の編成

写真2. 日中時間帯は4両編成も存在する

中央線名古屋地区(名古屋-中津川)はあまり注目されないものの、名古屋都市圏の重要な通勤路線です。沿線にはベッドタウンが並び、並行路線がないため、輸送量は多いです。

そうはいっても、ベッドタウンが並ぶという性質ゆえ、日中時間帯の利用は少ないです。そのため、朝は10両編成が必要ですが、日中時間帯に10両編成は必要ありません。編成両数が少なくても本数が多いほうが便利です。

そのため、21世紀に入ったころは、2両編成、3両編成、4両編成などを組み合わせ、以下の編成両数が組成されていました。

  • 3両編成
  • 4両編成
  • 6両編成
  • 7両編成
  • 8両編成
  • 10両編成

2012年3月ダイヤ改正で7両編成が廃止されました。そして、いつの間にか日中時間帯の3両編成が消えています。2001年~2021年に113系電車の引退や213系電車の転属により、2022年年初時点では以下の編成があります。

  • 211系3両編成(オールロングシート車)
  • 211系4両編成(オールロングシート車)
  • 313系2両編成(転換クロスシート車)
  • 313系3両編成(転換クロスシート車)
  • 313系4両編成(転換クロスシート車)

313系3両編成は一般タイプと元セントラルライナータイプの2種類が存在しますが、ここでは単純にまとめました。これらを駆使し、以下の編成両数を組んでいます。

  • 4両編成
  • 6両編成
  • 8両編成
  • 10両編成

10両編成であれば、2両+4両+4両か3両+3両+4両が考えられますが、その組み合わせは多様です。2両編成は313系にしかないものですが、3両編成や4両編成は211系にも313系にもある組成です。そのため、2両+4両+4両の組み合わせは理論上は4通り、3両+3両+4両の組み合わせは理論上8通り(元セントラルライナー用を区別しない場合、考慮すると18通り)となり、単純に12通りの組み合わせです。

ここでは3両+3両+4両という組み合わせを考えましたが、現実には4両+3両+3両という組み合わせも考えられ、組み合わせは多様にわたります。

とにかく、中央線名古屋地区は2~4両編成を組み合わせて4~10両編成を組成するという、編成組成の多様性が趣味的な楽しさでした。

ただし、3両編成と7両編成の廃止によって多少の合理化がなされていたのは事実です。

315系の投入

写真3. 金山での告知(8両編成になる旨の告知)

2012年以降、中央線名古屋地区の普通・快速は211系と313系による併結運転がなされてきました(2012年以前は213系も運用されていました)。しかし、ここに転機が訪れます。

211系老朽化に伴う315系電車の登場です。211系電車は3両で単独運用されることはないので、当初は4両編成と6両編成で211系を置き換えるものと思っていました(すぐに4両編成と8両編成しか投入されないと発表されましたが)。しかし、そのようなことはなく、313系電車を含めて置き換え、中央線名古屋地区を8両編成に統一することになりました。

2022年3月ダイヤ改正時点では、315系電車への置き換えは完了しませんが、既存の車両も含めて8両編成に統一されます。

確かに中央線名古屋地区のように6両以上の運転が常態化すると、短編成を組み合わせるのは不合理です。中間に入る運転室が少ないほどコストダウン(運転席には高価な機器が多い)になりますし、客室スペースを広げることも可能です。

また、旧型車両との併結を前提とすると、旧型車両に対応するための機器が別途必要です。連結運転しないことを前提とすると、それを省略することも可能なので、そのような意味でも合理的です。

では、乗客目線ではどうでしょうか。

  • 朝ラッシュ時:10両編成から8両編成に減車となり、サービスダウン
  • 日中時間帯:平均するとおおむね6両編成なので、8両編成になるのはサービスアップ
  • 夕方ラッシュ時:平均するとおおむね7両編成なので、8両編成になるのはサービスアップ

ここで、JR東海は乗客側に不利にならないように解決策を用意しました。それは、朝ラッシュ時の増発です。確かに5分間隔で10両編成で運転されているのが5分間隔で8両編成になるのはサービスダウンです。しかし、4分間隔で8両編成だとどうでしょうか。輸送力は変わらず、待ち時間が減るぶんサービスアップです。快速のスピードダウンはありますが、これは315系統一のあかつきには120km/h~130km/h運転によるスピードアップを期待することにしましょう。

それでも、中央線名古屋地区から10両編成が消えるのは事実です。また、211系と311系が連結されることによる多様性が失われるのもまた事実です。

さよなら、10両編成

さて、実際に10両編成の姿を見てみましょう。

写真4. 大曽根から見える10両編成

大曽根に入線する10両編成の姿をとらえました(写真4)。

写真5. 10両編成が近づいてきた

その10両編成が近づいてきました(写真5)。

写真6. 10両編成が朝の大曽根に並ぶ

10両編成が朝の大曽根に並びます(写真6)。このとき私はホームの名古屋よりに立っていましたが、朝ラッシュ時には313系(クロスシート車)は比較的空いている名古屋よりに連結されることが多いです。

写真7. 名古屋寄りに211系が連結されることもある

とはいっても、名古屋寄りに211系が連結されることもあります(写真7)。

写真8. 電光掲示板に表示される誇らしい10両編成

電光掲示板にも10両編成が誇らしげに表示されています(写真8、大曽根)。

写真9. 夜間の電光掲示板(千種で確認)

何も10両編成は朝ラッシュ時だけの特権ではありません。夜間時間帯にも確認されています(写真9)。翌朝の10両編成のために夜間でも10両編成で運転されてるのでしょうか。

せっかくなので、動画でも紹介しましょう!

動画1. 千種駅発車の様子

夜間の千種を発車する様子です(動画1)。

動画2. 大曽根にやってきた回送列車

大曽根にやってきた回送列車です(動画2)。

なお、中央線名古屋地区から10両編成がなくなることはたいへん重大なことですが、電車を利用している人はそのような感傷的な気持ちは感じられず、駅や沿線で写真を撮影しているファンを見かけることもありませんでした。むせび泣くなどさまざまな感情をあらわにする利用客やファン、そして感が極まったあまりに秩序を失う駅や沿線、という光景も覚悟していただけあり、いささか肩透かしを食らったのも事実です。

中央線(名古屋地区)から10両編成が引退するにあたって

写真10. 夕方の6両編成は問題!(千種で撮影)

JR東海が中央線(名古屋地区)から10両編成の運転をとりやめ、4両編成や6両編成の列車も含めて8両編成に統一することには一定の合理性があり、決してサービス低下になりません。特に、夕方の6両編成が8両編成に変わることは朗報でしょう。今回の8両編成への統一(10両編成の廃止)「大は小を兼ねる」姿勢の表れで、JR東海が編成両数を臨機応変に対応させるという姿勢を捨てた1つのターニングポイントに当たります。

中央線名古屋地区の通勤電車が8両編成に統一され、それが当たり前に根付いたその日、中央線名古屋地区に10両編成が存在していたことは忘れ去られ、歴史の隙間に埋もれるのです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする