さよなら!中距離電車の立川発着

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

2026年3月ダイヤ改正は比較的小幅なダイヤ改正ですが、地味なポイントとして中距離電車の立川発着が廃絶されるというものがあります。この点に絞って観察しました。

写真1. 多摩川を渡る普通立川行き

復習:中央線中距離電車の運転系統の変遷

最初に中央線中距離電車の運転系統の変遷をまとめます。もともと、中央線の中距離電車は新宿発着が基本でした。この系統は新宿-八王子で立川のみに停車し、特別快速より停車駅が少なかったのが特徴でした。しかし、中央線快速と同じ線路を走り、かつ短い編成という過密ダイヤの中央線には中距離電車の新宿乗り入れはそぐわず、次第に縮小されました。新宿乗り入れが廃絶(1993年ダイヤ改正)された後も立川発着として残っていましたが、この本数も徐々に減少しました(表1、表2)。この間、中距離電車の三鷹停車(1986年ダイヤ改正)や立川-高尾の各駅に停車するようになり、快速や中央特快に近い停車駅になっていきました。

表1. 高尾以東(除高尾)に乗り入れる中央線中距離電車の始発駅内訳(下り断面)

新宿始発立川始発八王子発
1988年3月改正5本9本1本
1997年3月改正0本13本2本
2006年3月改正0本4本4本
2016年3月改正0本5本4本
2025年3月改正0本2本5本

※2016年以降は豊田始発も八王子始発にカウント

表2. 高尾以東(除高尾)に乗り入れる中央線中距離電車の行先内訳(上り断面)

新宿行立川行八王子行
1988年3月改正4本11本1本
1997年3月改正0本13本1本
2006年3月改正0本5本2本
2016年3月改正0本4本0本
2025年3月改正0本2本0本

車両も115系電車から211系電車に変わってきましたが、これを契機とした運転系統は大きく変わらず、地味ながら立川発着が継続されていました。

しかし、JR東日本八王子支社から衝撃な発表が宣言されました。

普通列車の始発・終着駅を高尾駅に統一します

中央快速線のホームドア整備に向けたダイヤ見直しに伴い、立川駅、豊田駅、八王子駅を始発・終着としている普通列車を高尾駅始発・終着に統一します。

2026 年3月ダイヤ改正について(2025年12月12日付け、八王子支社公式発表から引用)

このような形で高尾以東に乗り入れる普通列車は廃絶されるのです。ホームドア整備と称していますが、特急列車のことも考慮し、立川以西(含立川)のホームドアをロープ式としたら良いのでは?

なお、これによる周囲の時刻も確認します。

表3. ダイヤ改正前の早朝下りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

表4. ダイヤ改正後の早朝の下り時刻(JR東日本公式サイトより引用)

以下の通り読み取れます。

  1. 八王子発6:35については、八王子断面で直前の電車を八王子から3分繰り下げ、八王子からの利用では事実上2分のスピードダウンにとどめる(といっても八王子で3分停車するのはちょっと…)
  2. 立川発6:55については、先行の中央特快(3分直前を走行)に輸送を任せる

朝の下りについては、もともと先行列車との間隔が比較的短いこともあり、影響は比較的小さいと想定されます。よって、立川-高尾の減便にとどまり、補填の増発や運転区間延長はありません。

豊田8:08発についてもこれによる補填はなく(豊田断面で3分前に八王子行きが設定されていますが、この八王子行きの延長運転もありません)、単にマイナスのダイヤ改正という印象です。

表5. ダイヤ改正前の朝上りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

表6. ダイヤ改正後の朝上りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

ダイヤ改正前は立川行きから東京行きに乗りつぐことが可能であり、高尾から東京までの有効列車として機能していました。しかし、ダイヤ改正後は後続の868Tの時刻変更でダイヤホールは10分にとどまるものの、868Tは新宿には先着せず、高尾から新宿・東京への有効列車が1本消滅したことを意味します。すなわち、高尾断面で新宿・東京方面の有効列車がダイヤ改正前の18分(526M(8:18)~812H(8:36発))からダイヤ改正後には21分(846T(8:15発)~812H(8:36発))に開いています。地味ながらも812H通勤特快の混雑を助長するリスクがあります。

この点は単なる合理化であり、合理化のためには乗客の利便性低下には目をつむるJR東日本の姿勢が見えてしまいます。

表7. ダイヤ改正前の夕方下りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

表8. ダイヤ改正後の夕方下りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

全般的に新宿→高尾の所要時間が2分程度増加している点は許容するとして(ホームドア整備のためとしていますが駅間走行速度などの工夫でもう少し対応できないでしょうか)、大きな変更はありません。これはもともと豊田始発が先行の快速の直後を走行していたためです。高尾での接続時間も2分と良好であり、八王子からの所要時間はほぼ同等とみられる点は許容範囲内でしょう。

表9. ダイヤ改正前の夕方下りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

表10. ダイヤ改正後の夕方下りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

ダイヤ改正前は立川19:33発の直前に快速、直後にむさしの号が運転されていました。その隙間を縫って設定されていた印象です。一方、ダイヤ改正後は後続のむさしの号の立川での時刻調整がなくなったように見え、1分スピードアップしています。ここまでダイヤが過密になるのであれば、むさしの号と立川始発をスルー運転することも手ですが(車両を武蔵野線用から変える)、武蔵野線で6両編成を運用するのもそぐわないのでしょう。

表11. ダイヤ改正前の夕方上りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

表12. ダイヤ改正前の夕方上りの時刻(JR東日本公式サイトより引用)

この時間帯も後続の快速の直前を走行しており、高尾→立川の減便による影響はごく小さいと見積もられます。

全般的に中距離電車の立川発着(や八王子発着)は列車群のなかで有用な存在意義を与えられておらず、単に漫然と走らせていた印象が強いです。ゆえに当該列車の高尾以東の減便についても影響が比較的小さいことが読み取れます。これは合理化するうえでは幸いなことでした。

立川発着を実際に眺める

御託はこの程度にして、立川発着(一部八王子発着)を実際に眺めましょう!

断面1. 普通甲府行き(立川始発)

最初に立川始発の普通甲府行きを観察します。

写真2. 立川に表示される普通甲府行き

この日はダイヤが乱れていました。人でごった返す立川駅のなか、普通甲府行きが表示されます(写真2)。

写真3. 普通甲府行きがやってきた

立川の引上線から普通甲府行きがやってきました(写真3)。もっと近づいたときの先頭部を撮影しなかったのかという声もありましょうが、人が多い立川駅、自身の写真より人の流れを止めないことのほうが重要です。

車内は座席が埋まり、若干立ちが生じる程度でした。しかし、その車内も日野で降りる人も多く、彼らにとって立川始発の甲府行きである必要はありません。もしかしたら、東京や新宿に直通しなく、ボックス席の並ぶ車内は「外れ」だったかもしれません。

写真4. 八王子では車内は空いている

八王子到着時の車内です(写真4)。いくら列車群という考えが導入されていなくとも、ここまで空いていると、廃止も当然かもしれません。

動画1. 八王子を出発する普通甲府行き

八王子を出発する普通甲府行きを動画で撮影しました(動画1)。

写真5. このときはモハ211のトップナンバー!

このとき見かけた編成はモハ211のトップナンバーを連結していました(写真5)。

断面2. 普通小淵沢行き(八王子始発)

次に、八王子始発を紹介します。

写真6. 普通6両編成の乗車位置

八王子駅にある普通6両編成の乗車位置です(写真5)。これもダイヤ改正後は不要な情報となり、はがされる運命でしょう。

写真7. 八王子始発の普通甲府行きは4番線

不勉強にして知りませんでしたが、八王子始発の甲府行きは4番線です(写真7)。中線の3番線と思い込んでいただけに驚きました。発車直前までむさしの号大宮行きが停車していました。

ダイヤ改正後は八王子行きが高尾行きに延長されます(八王子まで逃げ切りから立川特急待避に変更)。今回のダイヤ改正で中距離電車の減便を快速電車の延長運転で手当てした例です。このようなフォローは積極的に案内したほうが良いと思うのですが、それをやると減便ぶんが目立つからやらないのでしょうか。

写真8. 普通小淵沢行きがやってくる

17:01に快速八王子行きが3番線に入線、その2分後に特急甲府行き、さらに5分後に普通小淵沢行きが続きます(写真8)。事実上、東京発小淵沢行きが八王子で特急退避するようなものです。八王子止めから普通甲府行きに乗りかえる人で車内はそれなりに混雑しました。ただし、次の西八王子で多くが下車しました。これらの人にとっては八王子始発の中距離電車である必要はありません。

動画2. 八王子発車後の様子

八王子発車後の様子を動画で収録しました(動画2)。このモーター音が中距離電車である1つの証拠でしょう(通勤電車では205系が同様の走行音ですが、ご存じの通り205系電車は中央線快速では運用されませんでした)。

写真9. 高尾でも下車が多い

高尾でも下車が多いです(写真9)。八王子から乗る人の多くは高尾までで下車することが明らかとなりました。そうであれば、ダイヤ改正後の快速電車の高尾延長のほうが親切です。

断面3. 普通立川行き(甲府始発)

最後に普通立川行きを眺めました。

写真10. 普通立川行きの表示

高尾駅の表示です(写真10)。普通立川行きの表示はダイヤ改正後にはなくなります。

写真11. 6両編成の普通立川行きが入線してきた

6両編成の普通立川行きが入線しました(写真11)。

写真12. ダイヤ改正後は眺められなくなる立川の行先表示

ダイヤ改正後は眺められなくなる普通立川行きの表示です(写真12)。高尾発車時は席はほぼ埋まっており、特に高等学校から帰宅する人が多くみられました。ただし、乗客は八王子でおおむね入れ替わり、立川発着の意義は薄く感じます。

写真13. 立川では回送表示に変わった

立川では回送表示に変わりました(写真13)。544Mにも乗客はそれなりに乗っていましたが、人が多く通る、ジャンクション駅立川では相対的に544M利用客の影は薄く、立川の雑踏に紛れました。

写真14. 211系と立川の駅名標

211系と立川の駅名標です(写真14)。この組み合わせもじきに廃絶されます。

立川発着の中距離電車の廃絶について

写真15. 高尾に停車中の普通長野行きと大月直通を示す電光掲示板(2024年に撮影)

長らく継続された立川にやってくる中距離電車という光景がなくなることによるショック、それによりむせび泣くなどさまざまな感情をあらわにする利用客やファン、そして感が極まったあまりに秩序を失う駅や沿線といった光景を覚悟していました。最悪、国家安全を最重視し、撮影途中で撮影禁止が宣言され、趣味活動が取り上げられるという事態も1つのシナリオとして組み込んでいました。しかし、そのような光景も想像でしかなく、肩透かしを食らったのも事実でした。これはすでに立川発着の影が薄いことを示しているかもしれません。

かつては新宿発着の中距離電車が発着していました。これは快速電車の大月直通に変化しました。これにより、高尾-大月の各駅から新宿直通は維持され、さらに東京まで直通するようになりました。これは1つの進化です。このような進化の過程で中距離電車の立川発着は廃絶されます。このように輸送体系は少しずつ変化し、このような感傷的な気持ちは時代の隙間に埋もれるのです。

ただし、これは中央線快速が都市圏輸送に特化したことを意味するシグナルでもあります。多様なニーズに応えることを事実上放棄した瞬間でもあります。三鷹-立川の複々線が完成していれば、都市圏輸送と中距離輸送を両立していた可能性も指摘されましょう。交通機関の1つのモードでもある鉄道、その輸送品質の大部分はインフラに起因するという事実を突きつけるエピソードとも感じました。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする