平日夕方ラッシュ時の西武新宿線の混雑状況(高田馬場→下落合、現場観察結果)

西武新宿から東京都23区の北西部を経由して埼玉県まで伸びる西武新宿線。西武池袋線よりも地味なイメージがありますが、人口の多い杉並区を通るだけあって混んでいるイメージもあります。実際はどうなのでしょうか。最混雑区間の高田馬場→下落合で実際に調査しました。

※本調査は社会情勢がやや落ち着いた時期である2020年6月の最終週に実施しました。

西武鉄道10000系(下落合)

写真1. 夕方ラッシュ時では特急も戦力の一員

平日夕方ラッシュ時の西武新宿線の混雑状況まとめ

以下、長い本文を読む気がない人のために、要点をまとめます。

・混雑状況は急行 > 準急 > 各駅停車である。
 
・先頭側の車両の混雑が激しく、後ろよりの車両はそこまででもない

・1時間に1本しかない拝島ライナーは満席である

・全体の混雑率はだいたい95%~100%である

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊ブログではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊ブログでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は西武新宿線で山手線のターミナル駅である高田馬場と、その1つ本川越よりの駅である下落合の間である、高田馬場-下落合で調査しました(実際は下落合で確認していますが、以下の記述ではわかりやすさを重視し、高田馬場の時刻を示しています)。

混雑状況の生データ

夕方ラッシュ時はおおむね30分サイクルです。そのため、最低限30分の調査は必要でしょう。そのため、本調査では2サイクルぶんの60分間の状況を確認しました。その2サイクル後に10分調査を続行しました。したがって、70分間の調査を実施したことになります。

混雑状況の生データから細かく分析することにします。先に生データを示し、その後にデータを解析します。まずは、生データを示します(表1)。

表1. 西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、生データ)

西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、生データ)

号車ごとで混雑状況が異なり、各駅停車が空いていることがわかります。混んでいる種別の混んでいる車両(先頭よりの車両)でも150ポイントとドア部分の圧迫は生じない程度であることがわかります。

全体の混雑率はだいたい95~100%程度です。

混雑状況の分析

西武40000系回送(下落合)

写真5. 拝島ライナーの送り込みは回送運転(下落合)

生データだけ示しておしまい、というのも不愛想でしょう。そこで、私なりに混雑状況を分析します。要点は以下の通りでしょう。

・混雑状況は急行 > 準急 > 各駅停車である。
 ※混んでいるのを避けたければ各駅停車による移動が良いということです。

・先頭側の車両の混雑が激しく、後ろよりの車両はそこまででもない

・1時間に1本しかない拝島ライナーは満席である

分析の基本は層別です。つまり、何かしらの要素の有無で場合分けするということです。どの列車でも号車ごとの混雑状況の差が顕著でしたので、その点に着目してみましょう。

なお、混雑ポイント(=目に見える様子)でデータを採取していますが、混雑ポイントは計算に不向きです。そこで、計算しやすい混雑率に換算してデータを処理しています。

種別ごとの混雑状況

西武2000系(準急拝島、下落合)

写真6. 下落合をさっそうと通過する準急

明らかに急行が混んでいて、各駅停車が空いています。そして、準急はその中間程度の混雑です。では、種別ごとの混雑はどの程度なのでしょうか。(特急と拝島ライナーを除く)調査した21本を対象に混雑率を算出しましょう(表2)。

表2. 西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、種別ごと)

西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、種別ごと)

急行の混雑率が115%程度、各駅停車の混雑率が75%程度と、1.5倍の開きがあります。準急は105%程度と急行よりはやや空いています。これは停車駅の違いよりも行先の違いが関与している可能性があります。準急は急行より3駅しか停車駅が多くなく、速達性にさしたる違いはないからです。

時間帯ごとの混雑状況から最混雑時間帯を探る

では、どの時間帯が混みあうのでしょうか。おおむね30分サイクルですから、30分ごとに分析するのが良さそうです。そこで、30分ごとに分析しました。また、最後の19:01~19:10の10分間を評価するのに、同じく10分間の平均混雑率も算出しました(表3)。

表3. 西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、時間帯別)

西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、時間帯別)

18:01~18:30の30分間よりも18:31~19:00の30分間のほうが混んでいます。では、19:01~19:30のほうがより混んでいるのでしょうか。データがない以上、断言はできませんが、推定は可能です。

幸いなことに、19:01~19:10については調査をしています。この10分間の混雑状況を18:01~18:10と18:31~18:40と比べれば良さそうです(この3つの時間帯は特急が入っているという共通点がありますので、比較が可能です)。すると、19:01~19:10は18:31~18:40よりもわずかに空いていることが判明しました。つまり、19:01~19:30は18:31~19:00よりも空いていることが推定できます。

以上から、最混雑時間帯は18:31~19:00の30分間であると推定できます。これは、都心の会社を17:30~18:00に出発することを考えると、辻褄も合います。つまり、高田馬場断面で18:16~19:15が最混雑60分間と推定することができます。確かに、この時間帯までは列車本数も確保されています。

空いている車両と混んでいる車両

西武30000系と西武2000系(西武新宿)

写真5. 西武新宿で発車を待つ急行(左)と各駅停車(右)

生データを見ると、車両による混雑が大幅に異なることがわかりました。では、どの車両が空いていて、どの車両が混んでいるのでしょうか。急行、準急、各駅停車それぞれで車両ごとの混雑を分析しました(表4)。

表4. 西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、車両別)

西武新宿線夕方ラッシュ時混雑調査結果(高田馬場→下落合、車両別)

先頭よりの車両が混んでいて、最後尾の車両が空いています。これは、高田馬場の構造が大いに関係します。高田馬場のメインの改札は本川越よりにあり、東西線や山手線との乗りかえもこちらが便利です。そのため、高田馬場で乗る際に便利な先頭車が混雑するのです。

西武新宿で便利なのは最後尾車両ですが、西武新宿から乗る人はそこまで多くありません。実際の統計データを眺めると、西武新宿で乗る人の2倍が高田馬場で乗りこみます。そのため、高田馬場の影響が出やすいのです。また、高田馬場のホーム幅がそこまで広くない点も見逃せません。高田馬場で最後尾車両に乗ろうとしても、ホームの電車待ちの列に阻まれて勧めないのです(西武鉄道は通行ゾーンを区切るなど可能な努力はされていますが)。

拝島ライナーの利用状況

拝島ライナーは毎時1本に過ぎませんし、車両も微妙です。そのため、利用客はそこまでいないとタカをくくっていました。しかし、実際には非常に利用されていて、ほぼ満席でした。小平までの指定席料金が300円なので利用しやすいのかもしれません。

特急小江戸もよく利用されていました。確かに西武新宿18:00は空席も見えましたが、これは通勤利用にはやや早いという事情もありましょう。この後の2本は満席でした(2本とも同じような席が空いていましたので、これは予備席なのでしょうか)。

新型肺炎ウィルスによる利用減の考慮
世間では新型肺炎ウィルスの脅威が語られていて、その影響で在宅勤務や時差通勤が叫ばれています。その影響を考えなければなりません。

実際に在宅勤務や時差通勤の影響で7:30~9:30の都営地下鉄の利用者はおおむね33%減少しています。つまり、朝ラッシュ時の混雑はだいたい従来の2/3です。この人たちがそのままの行動様式で夕方ラッシュ時を利用すれば、夕方ラッシュ時も2/3になるはずです。

多くの人にとっては新型肺炎ウィルスの脅威は、症状そのものよりも「陽性」となることによる社会的影響でしょう。そのような場面では「仕事中に感染しました」というよりも「夜の街で感染しました」という事態を避けたいと考えるでしょう。

このため、普段であれば職場から寄り道をする人であっても、まっすぐ帰る人の割合は多いことでしょう。したがって、夕方早めの時間帯の電車は混んでいて、深夜の電車は空いていることが予想されます。

以上2点を考慮すると、普段よりも10%~20%前後は空いていることが予想されます(単純に33%減少ではない)。これは当分続くでしょう。それが変わるとしたら、新型肺炎ウィルスの脅威が語られなくなる時です。

夕方ラッシュ時のダイヤを考える

各駅停車が空いていて、急行が混んでいる、という現実を見ると、各駅停車の本数を減らして、かわりに急行を増発することが最も単純な解決策です。

急行は1時間に5本しかなく、日中時間帯の6本よりも少ないです。また、準急は1時間に4本ですが、これはこれで適正でしょう。各駅停車は1時間に8本ありますが、6本でじゅうぶんです。

そうであれば、急行10分間隔、各駅停車10分間隔をベースとしたダイヤはいかがでしょうか。また、30分間隔の特急、60分間隔の拝島ライナー、30分に2本の準急も考慮する必要があります。また、速達性に優れた快速急行を運転することも良いでしょう。つまり、以下の構成とするのです。

・特急:30分間隔で運転

・快速急行と拝島ライナー:合わせて30分間隔で運転

・急行:おおむね10分間隔で運転

・準急:30分に2本運転

・各駅停車:ほぼ10分間隔で運転

急行→各駅停車→準急→特急→急行のサイクル:11分サイクル
急行→各駅停車→準急→急行のサイクル:10分サイクル
急行→各駅停車→拝島ライナー(または快速急行)→急行のサイクル:9分サイクル

このようにすれば、準急が救済に入るサイクルは急行の運転間隔を10分か11分として、準急が入らない場合は急行どうしの間隔を9分にしています。これで急行の混雑は均等になるはずです。

また、急行拝島行きが意外と混んでいる事実も明らかになりました。このため、増発する急行は拝島行きが良いでしょう。本川越方面へは快速急行が増発なので、悪い話ではありません。

混雑基本データへのリンク

ここまで特定の駅での混雑調査という「狭くて深い情報」をお伝えしました。では、公式データをわかりやすくまとめたデータはないでしょうか。そのような声にお応えして、以下のページを作成しました。

西武新宿線(混雑基本データ)

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