接続風景~ハノーファー駅(ドイツ連邦共和国)

ベルリン中央駅周辺を行くICE

写真1. ベルリン中央駅付近を行くICE

大都市が1つだけではなく、国内のあらゆる箇所に散らばるドイツ。そんなドイツの鉄道網は日本とは異なり、都市間を相互連絡する路線網となっています。そのため、複数の系統の接続も重要です。重要な系統が接続する駅での接続はどのようになっているのでしょうか?


接続風景とは

異なる路線だけれども、関係が深い2路線。これらの路線の結節点ではどのような接続が行われているのか(あるいは直通しているのか)、それを探るシリーズが「接続風景」です。この2路線、そしてジャンクションの選定は私が実施いたします。

概要紹介:ハノーファーとは

ハノーファーについて簡単に紹介しましょう。このページでは鉄道ダイヤを解析することが目的としていますので、観光ガイドなどは一切掲載しません。
※ハノーバーと呼ぶ人もいますが、どちらでも構いません。弊ブログではハノーファーと表記することにします。

ドイツの鉄道網

ハノーファーの位置づけを見る前に、ドイツ鉄道の路線網を復習しましょう。ドイツの鉄道網は地方に広がる都市を相互連絡するようなものとなっています。東京に集中する日本の鉄道網とは違うのです(日本であれば東京連絡を念頭に置いている路線が多いでしょう)。

その中で、重要な路線を2つ取り上げましょう。なお、ここでは正式な路線名にはこだわっていません。東京-福岡まで1本の系統としてみなすようなものです。

ケルン(デュッセルドルフ)-ベルリンの路線

ドイツの産業の中心地であるルール地方と、首都ベルリンを結ぶ路線です。鉄道ジャーナル2015年2月号にも取り上げられています。鉄道ジャーナルの文言を借りると、「東海道線のような路線」とのことです。確かに、私が乗車した際は席も相当埋まっていました。ルール地方の入口のハムでケルン発着の編成とデュッセルドルフ発着の編成を切り離します。ケルン・デュッセルドルフ-ベルリンを16両編成が1時間に1本往来するレベルの路線です。

ハンブルク-ミュンヘンの路線

ドイツでも有名な港町(ドイツは海に面しているんですよ!)であるハンブルクと、南ドイツの中心のミュンヘンを結ぶ路線です。東西ドイツに分断されていた時代は、人口1位の都市(ハンブルク)と人口2位の都市(ミュンヘン)を結んでいた路線でもあります(※)。途中のフルダで経済の中心地であるフランクフルトへの路線が分岐します。

ハンブルク-ミュンヘンは8両編成が1時間に1本に運行される程度の輸送密度です。ハンブルク-フランクフルトは14両編成が1時間に1本運行される程度の輸送密度です。合計すると、南北軸は11両編成が1時間に2本運行される程度の路線ということです。

※東西ドイツに分断されていた時代、西ベルリンはハンブルクよりも人口が多かったです。しかし、西ベルリンは正式には西ドイツ領ではありませんでした。アメリカ、イギリス、フランスの占領地でした。

ハノーファーの位置

カンが鋭い人であればお気づきでしょうが、ハノーファーはこれら2路線が交差する駅です。ドイツの地図を見てみましょう(図1)。


図1. ハノーファーの概念図

ケルンからベルリンまでの東西軸と、ハンブルクからミュンヘンまでの南北軸が交差する駅、そこがハノーファーなのです。ハノーファーの南側のフルダ(地図でいうと「ドイツ」のドの文字の下あたり)でフランクフルトへの路線が分岐しています。ハノーファーじたいが人口50万人の都市ですので、基本的は通過しません。

実際の接続ダイヤを見る

ハノーファーの位置付けがわかったところで、実際のダイヤを見てみましょう。

ハノーファーの発車時刻を見る

まずは、各系統の発車時刻を見てみましょう。東西系統を1つ、南北系統を2つをセレクトしました。一部の系統(ケルン方面-ライプツィヒ)などは省略しています。また、わかりやすくするために、10時台を例示しています。到着ホームも示しましたが、東西系統と南北系統では別のホームのようですね。4、7、9、12番線とも別のホームのようです(Googleマップにはそうありました)。ここでは、わかりやすくするためにフランクフルト以南まで直通する場合もフランクフルト発着のように書いています。

ケルン-ベルリンの系統

・ケルンからベルリンに向かう系統(ICE855)がハノーファー(9番線)に10:28に到着し、10:31に発車します。
・ベルリンからケルンに向かう系統(ICE652)がハノーファー(12番線)に10:28に到着し、10:31に発車します。

※両方向ともに同時刻に到着、発車しています

ハンブルク-ミュンヘンの系統

・ハンブルクからミュンヘンに向かう系統(ICE583)がハノーファー(4番線)に10:22に到着し、10:26に発車します。
・ミュンヘンからハンブルクに向かう系統(ICE986)がハノーファー(7番線)に10:32に到着し、10:36に発車します。

※ミュンヘンからの列車が到着する1分前に東西方向の系統(ケルン-ベルリン)が発車し、ミュンヘンへの列車が発車する2分前に東西方向の系統が発車します。何と非情なダイヤなのでしょうか。

ハンブルク-フランクフルトの系統

・ハンブルクからフランクフルトに向かう系統(ICE575)がハノーファー(4番線)に10:38に到着し、10:41に発車します。
・フランクフルトからハンブルクに向かう系統(ICE674)がハノーファー(7番線)に10:17に到着し、10:20に発車します。

※ハンブルクからの列車が到着する7分前に東西方向の系統(ケルン-ベルリン)が発車し、東西方向への列車が到着する8分前にハンブルクへの列車が発車します。これは非情なダイヤ…と思いきや、ハンブルク方面への接続はハンブルク-ミュンヘンが担っていると考えればそこまで問題は大きくありません。

接続の様子を観察する

たまたまなのか、狙ったのか、東西系統のハノーファー到着/発車時刻が同じですので、考察しやすいですね。各方面からの乗り換えについて考えてみましょう。

ケルン/ベルリンとハンブルクのチャンネル

・ケルンやベルリンからの列車は10:28に到着します。ハンブルクへの列車は10:36に発車します。つまり、8分の乗り換え時間で乗り換えられます。
・ハンブルクからの列車は10:22に到着します。ケルンやベルリンに向かう列車は10:31に発車します。つまり、9分の乗り換え時間で乗り換えられます。

ケルン/ベルリンとハンブルクのチャンネルは乗り換え時間10分以内と接続は良好です。

ケルン/ベルリンとフランクフルトのチャンネル

・ケルンやベルリンからの列車は10:28に到着します。フランクフルトへの列車は10:41に発車します。つまり、13分の乗り換え時間で乗り換えられます。
・フランクフルトからの列車は10:17に到着します。ケルンやベルリンに向かう列車は10:31に発車します。つまり、14分の乗り換え時間で乗り換えられます。

ケルン/ベルリンとフランクフルトのチャンネルは乗り換え時間15分以内と接続はそれなりに良好です。

ケルン/ベルリンとミュンヘンのチャンネル

・ケルンやベルリンからの列車は10:28に到着します。ミュンヘンへの列車は11:26に発車します。つまり、58分の乗り換え時間で乗り換えられます。
・ミュンヘンからの列車は9:32に到着します。ケルンやベルリンに向かう列車は10:31に発車します。つまり、59分の乗り換え時間で乗り換えられます。

ケルン/ベルリンとフランクフルトのチャンネルは乗り換え時間が55分以上と接続は最悪です。ただし、以下の2点の理由からこの接続の悪さはあまり問題にならないでしょう。

1) ハノーファーからある程度の距離(フルダ、ハノーファーから235km)までであれば、フランクフルト経由の系統がカバーする
2) それ以上離れた場所(ニュルンベルクやミュンヘン)であれば、わざわざハノーファー乗り換えを選ぶ必要がなく、ケルンやベルリンから直通する系統がある

発車時刻の再現性

私が時刻表を見た感じでは、ハノーファー断面で8:00~21:00で同様なパターンです。つまり、1時間間隔で同様の接続風景が展開するのです。

ハノーファーをスルーする系統

ハノーファーをスルーするフランクフルト-ベルリンの系統

実は、フランクフルトとベルリンのチャンネルはそこまで重要ではありません。ハノーファーの近くを通るものの、ハノーファーを経由しない、フランクフルト-ベルリンの系統が存在するのです。この系統は1時間に1本運転されています。2時間に1本はフランクフルト中央駅を経由せず、フランクフルト空港駅を経由します。フランクフルト中央駅にいると2時間のダイヤホールが生じそうですよね。しかし、案ずることはありません。フランクフルト空港駅発着の列車が走る時刻に近接して、ハノーファー周辺を経由しないエアフルト経由の列車が運転されるのです。この列車はフランクフルト中央駅とベルリン中央駅を結びます。

エアフルトも乗り継ぎの1つのポイントです。

じゃあハノーファー乗り継ぎに意味があるの?

フランクフルトとベルリンの直通があるということは、ハノーファー乗り換えの意味はあるのでしょうか?乗り継ぐことにより、後の直通列車よりも早く目的地に着くのであれば、意味があると判断できます。では、実際に調べてみましょう。

まずは、フランクフルトからベルリンです。

フランクフルト7:58→ハノーファー10:17/10:31→ベルリン12:09(乗り継ぎ利用)
フランクフルト8:14→ベルリン12:30

直通を利用するよりも早く出発できて、早く到着しています。つまり、この乗り継ぎパターンは有用な場合もあるのです。ただし、9:02~19:02で2時間間隔に発車する速達便がありますので、その直前の列車は利用価値はないのです。

次に、ベルリンからフランクフルトです。

ベルリン8:51→ハノーファー10:28/10:41→フランクフルト13:00(乗り継ぎ利用)
ベルリン9:04→フランクフルト12:56(ただし土日のみの運転)

直通列車のほうが遅く発車できて、早く到着できます。ただし、この直通便は土日のみの運転ですので、平日はこのパターンが有効ですね。なお、ベルリン9:04発の列車は2時間間隔ですので、(10:04発が存在しない直前の)9:49発などはこの乗り継ぎパターンは有用なのです。

何を言っているかわからない?簡単にいうと、別系統で所要時間が短い列車が運転される直前に、フランクフルトなりベルリンを発車する場合は乗り継ぎは有効ではなく、そうでない場合は有用なのです。つまり、ハノーファーで乗り換えることにより、実質的にフランクフルト-ベルリンの増発をしているのです。

まとめ

ハノーファーはドイツの東西軸と南北軸が交差するといっても過言ではありません。このジャンクションでは、おおむね10~15分以内で別系統の接続が実施されています。接続しない系統もありますが、そもそも接続しなくても影響が大きくないことがわかりました。この接続風景が毎時展開されています。このようにして、地方都市と地方都市の行き来がしやすくなり、鉄道網の維持・発展に寄与しているのです。また、需要の多いフランクフルト-ベルリンの補完という重要な役割も担っています。


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