多摩地方を南北に結び、従来行き来が不便だったエリアを結ぶ交通機関、多摩都市モノレール。多摩都市モノレールの混雑に関する情報は多くないですが、ここではその基本データをまとめます。
写真1. 近代的な多摩都市モノレールの駅(多摩センターで撮影)
多摩都市モノレールの基本情報
多摩都市モノレールは上北台から立川駅付近を通り、多摩センターに至る路線です。東大和市、立川市、日野市、八王子市と多摩市を通ります。
多摩地方の貴重な南北軸として機能しており、各所で東西軸の鉄道路線と交差します。交差する鉄道路線は以下の通りです。
- 玉川上水:西武拝島線
- 立川北・立川南:中央本線、青梅線、南武線
- 高幡不動:京王電鉄京王線
- 多摩センター:京王相模原線、小田急多摩線
JRの立川駅に隣接する駅は立川北と立川南があり、その中間でJR線と交差しています。両者の間に駅を設置しても良いのですが、乗客の分散と立川市街地そのもののアクセスを考慮した結果でしょう。
多摩センターは「モノレール」などの冠が付かない、ただの「多摩センター」です。1974年の「京王多摩センター」開設以来、2000年にしてやっとの冠の付かない「多摩センター」駅の開設です。
多摩都市モノレールの混雑データ
多摩都市モノレールの混雑データを示します(表1)。
表1. 多摩都市モノレールの混雑データ
最混雑区間 | 2023年 | 柴崎体育館→立川南 |
---|---|---|
2022年 | 柴崎体育館→立川南 | |
2021年 | 柴崎体育館→立川南 | |
2020年 | 柴崎体育館→立川南 | |
2019年 | 立飛→高松 | |
2018年 | 泉体育館→立飛 | |
2017年 | 泉体育館→立飛 | |
2016年 | 泉体育館→立飛 | |
混雑率 | 2023年 | 93% |
2022年 | 100% | |
2021年 | 84% | |
2020年 | 80% | |
2019年 | 96% | |
2018年 | 93% | |
2017年 | 93% | |
2016年 | 92% | |
最混雑時間帯 | 2023年 | 7:25~8:25 |
2022年 | 7:26~8:26 | |
2021年 | 7:34~8:34 | |
2020年 | 7:25~8:25 | |
2019年 | 7:21~8:21 | |
2018年 | 7:24~8:24 | |
2017年 | 7:24~8:24 | |
2016年 | 7:25~8:25 | |
集中率 | 16.8% | |
流動最大区間 | 立川南-立川北 | |
乗客半減区間 | 玉川上水-桜街道 |
・流動最大区間:当該の路線で最も輸送人員の多い区間(弊サイト独自指標)
・乗客半減区間:流動最大区間の輸送力が半分以下になる、最大流動区間に最も近い駅間を指す(弊サイト独自指標)
※集中率、流動最大区間、乗客半減区間は都市・地域交通年報(平成30年度版)を参考に独自で計算
混雑率の出典は国土交通省発表の資料(2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)、2016年は都市・地域交通年報(平成30年度版)
2019年までは立川より北側、2020年以降は立川より南側が最混雑区間に指定されています。いずれも立川に向かう方向です。環状路線の乗客流動は放射状路線の駅中心の流れですが、多摩都市モノレールもその例に当てはまっています。また、立川の拠点性が高いこともうかがい知れます。
混雑率は90%程度とそこまで高くありません。とはいえ、モノレールの混雑率の実感は普通鉄道のそれとは異なります。人によっては混んでいると感じることでしょう。
断面輸送量が最大の区間は高松-立川北です。興味深いのは、立川北-立川南だけ定期輸送量が多いことです。これは、利立川北も立川南も同じ駅とみなせる制度が起因していることでしょう。どうせ同じ価格の定期を買うのであれば、長いほうがお得です。そのような発想で、1駅先まで買うのでしょう(連絡運輸ではそのような芸当はできませんが)。なお、この次に多いのは、立川南-柴崎体育館です。立川以北よりも立川以南のほうが利用されていることをうかがわせるデータです。
定期利用は放射線と交差する各駅に向かう需要が高く、定期外利用は立川地区に向かう需要が高いです。このようなことがあり、多摩センター付近と玉川上水-上北台の需要は少ないです。特に、玉川上水-上北台は立川北-立川南の半分未満の輸送量です。
東京都の各路線の混雑状況のまとめ
多摩都市モノレール以外の路線の混雑状況はどうでしょうか。路線ごとに最混雑区間と混雑率をまとめました。また、各路線についての混雑基本データへのまとめへのリンクも整備しています。
都市鉄道に関する統計データは以下の書籍を参考にしています。本記事の内容を深く知りたい人はぜひ購入してみてください。(2022年時点で平成30年度版が最新です)