常磐線の混雑状況(朝ラッシュ時、日暮里到着時)

記事上部注釈
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首都圏でも古くから混雑が有名な常磐線(快速)。しかし、現在はJR化後の15両編成化の進展のJR自身の輸送改善、つくばエクスプレスの開業などによるバイパス線の整備。これらによって混雑は緩和しています。では、その常磐線が山手線に到着する駅、日暮里での混雑状況はどうなのでしょうか。実際に現場で調査しました。

※2019年6月2日に追加調査を実施(最後の2本)した結果を反映しています。また、混んだ列車と空いた列車の状態もわかりやすく言葉にまとめています。

E231系常磐線(日暮里)

写真1. 日暮里に到着する上野行き

調査区間の選定

今回は混雑する区間である、三河島(日暮里の1駅郊外側の駅)-日暮里で実際の列車1本1本の混雑を調査しました。具体的には、日暮里到着時点での混雑です。実際の最混雑区間は松戸-北千住ですが、北千住-日暮里もそれなりに混雑していますので、今回は日暮里で調査しました。各列車の混雑を調査しますが、さらに各車両ごとの調査をしています。ここまでやる人はマニア多しといえども、私程度でしょう。

※比較的列車が高速で進入するため、160ポイントと180ポイントの区別はなかなかできませんでした。最混雑列車ではどれもドアが圧迫される状態です。

混雑状況のまとめ

詳細な分析を飛ばしたい人のために最初に結論を示します。

・品川行きは車両問わず混雑しており、ドア部分が圧迫される程度まで混雑している
・上野行きも混雑している車両はドア部分が圧迫される程度である
・ただし、上野行きの13号車から15号車はそこまで混雑していない

実際の混雑状況

実際の調査結果を示します。

調査方法と調査結果

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

実際の混雑状況の生データ

それでは、実際の混雑状況を示します(表2)。なお、いわゆる中距離電車(土浦方面からの電車)については、青で表示しています。

表2. 常磐線の混雑状況(朝ラッシュ時、日暮里到着時)

18.10 常磐線朝ラッシュ時混雑状況(日暮里到着時、2本追加)

180ポイントと160ポイントの区別がつきにくかったので、多くの列車を便宜上160ポイントと評価させていただきました。それでも、私自身の眼を信じて160ポイントということにします。なお、最後の2本は別日に調査しましたが、明らかに170ポイント以上とわかる車両はそのように記録しました。

品川行きの混雑が目立ちます。7:36の品川行きは前の品川行きから20分の間隔が空いていることから、大変混雑しています。その他の詳細は分析は以下に示します。

混雑の分析

さて、実際の生データから分析してみましょう。

上野行きか品川行きで混雑に差はあるのか?

調査していて気がつくのが、上野行きと品川行きの混雑状況の差です。また、快速電車と中距離電車の混雑の差も気になるところです。そこで、各車両の混雑ポイントを混雑率に変換し、その混雑率を層別しました(表3)。

表3. 各列車の混雑率の層別結果

18.10 常磐線朝ラッシュ時混雑状況(日暮里到着時、2本追加、行先ごと層別)

このように層別すると、品川行きの混雑が147%、上野行きの混雑が125%程度であることから、はっきりと品川行きに乗客が集中していることがわかります。ただし、上野行きがガラガラになるほどまでには、混雑にムラがあるわけではありません。この理由として、常磐線からの乗客の1/3が池袋・新宿方面に向かうことがあります。すなわち、常磐線の乗客の1/3にとってみたら、上野行きと品川行きなどどうでも良いのです。このような人たちが混雑する品川行きを自主的に避けて、上野行きに分散していることもあるでしょう。

また、上野発車時点での常磐線の品川行きの混雑を現場調査したことがあります(出勤前に何をやっているのだろう)。この時の結果では、常磐線の品川行きの混雑は比較的ゆるいものでした。このことから、常磐線沿線住民の多くが上野を勤務地としていて、上野までで多くが降りることも読み取れます。

また、同じ上野行きでも中距離電車が空いていましたが、明確な理由はわかりません。到着ホームが特に違うというわけでもありませんから、利用を避ける理由はありません。もしかしたら、直後に品川行きが必ずあるダイヤであるため、後続の品川行きに利用車が流れている可能性があります。

(2019年6月2日追記)

混雑ポイントに換算すると、品川行きは160ポイント、上野行きは140~150ポイントです。品川行きはドア部分が圧迫される程度の混雑、上野行きはドア部分は圧迫はされない程度の混雑であることがわかります。上野より手前(上野を含む)で降りる人は品川行きを避けると、(号車にもよりますが)ドア部分に立っても圧迫されない程度の混雑で収まることがわかります。そして、14号車に乗ればさらに快適に通勤できます。

号車ごとの混雑状況

今度は号車ごとの混雑状況を分析しましょう(表4)。

表4. 各号車の混雑状況

18.10 常磐線朝ラッシュ時混雑状況(日暮里到着時、2本追加、号車ごと層別)

このように分析すると、1号車から8号車の混雑が激しいことがわかります。ただし、4号車はやや混雑がゆるいです。最も混雑するのは、2号車、3号車と6号車、7号車です。この中では4号車だけが空いています。これは、中距離電車の4号車と5号車にグリーン車があり、この付近を避ける利用車が一定存在するためです。では、なぜ5号車よりも4号車が空いているのでしょうか。これは、我孫子、柏、松戸のような乗客が多く乗る駅の多くが6号車~15号車の間に階段があるため、5号車のほうが便利で4号車のほうが不便なためです。

逆に、14号車と15号車は空いていることがわかります。特に、14号車の空き具合は特別なものです。14号車は吊革が全て埋まらない程度の混雑、15号車は吊革が埋まる程度の混雑で、他の車両よりも空いています。

ラッシュ前とラッシュ最中の混雑差

今回の調査ではラッシュ前の時間帯、そしてラッシュ最中(ラッシュ前半)の混雑を調査しました。この範囲で混雑がピークとなる時間帯はあるのでしょうか。

答えからいうと、今回の範囲内では時間帯による差はありませんでした。これは、ラッシュ直前は利用そのものが少ないものの、本数も少ないために利用が集中すると考えます。いいかえると、ラッシュ前(後もそうでしょう)の本数が足りていないということです。近年、「働き方改革」の影響で勤務時間が早朝にシフトしているとも聞きます。京王電鉄では、ラッシュの前後に特急や準特急を多く設定して、ラッシュ前後の利用意欲を高めています。

常磐線のダイヤを見ると、ラッシュの直前(上野7:18着と7:39着)、直後(上野8:36着と9:05着)には品川直通の間隔が空いており、ラッシュ前後にシフトしにくいという事実も指摘できます。ラッシュピークの増発が無理だとしても、前後については品川直通を増発して欲しいものです。

調査はしていませんが、上野7:39着の電車が混雑していたことから、上野8:36着の品川行きも混雑しそうですね。この列車は前の品川直通から12分の間隔があり、後の品川直通まで28分も間隔が空いています。

コラム.混雑調査の妥当性

ここまでこの混雑調査が適切に行われていると仮定して話を進めました。本当にそれで問題ないのでしょうか。簡単に検証してみましょう。

まず、最新の公的な混雑調査結果によると、常磐線快速(中距離電車も含む)の最混雑区間(松戸-北千住)の混雑は160%と発表されています。一方、今回私が調査したデータでは混雑率136%です。

ここで25%の差がありますが、今回の区間は三河島-日暮里です。北千住でどの程度の差が生じるのかはデータではわかりにくいですが、10%は差が生じるでしょう(これは私のカンです)。つまり、144%程度であると見積もられます。

この程度の差であれば、「素人」の調査としてはじゅうぶんに用をなすことでしょう。日暮里到着時に各号車の混雑を測定する人員があれば、このような悩みからは解放されるのですが、1人で調査する弱点ですね。

常磐線の混雑関連の記事一覧

常磐線の混雑についてまとめています。

・常磐線(混雑基本データ)
常磐線の混雑データについてまとめています。今までの記事が「狭くて深い」内容だとすると、この記事は「広くて浅い」内容となっています。

・【逆ラッシュ】常磐線の朝下りの混雑状況
では、朝の下りの混雑はどの程度なのでしょうか。あまり知られていない方向の混雑を確認しています。この調査と同時に行ったことは秘密です!

常磐線快速の混雑状況(夕方下り、北千住→松戸)
夕方の下りの混雑について調べています。これも「狭くて深い」記事です。

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