富山駅を楽しむ(21年夏)

記事上部注釈
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北陸地方でも大きなターミナル、富山駅。新幹線の全列車が停車することはもちろんのこと、名古屋方面へのジャンクションでもあり、市内交通と長距離交通のジャンクションでもあります。そんな富山駅を楽しみました。

写真1. 富山の駅名標

復習:富山駅の概要

まず、富山駅の概要を振り返ってみましょう。

富山駅の概要
  • 所在地:富山県富山市
  • 路線:北陸新幹線、高山本線、あいの風とやま鉄道、富山地方鉄道(宇奈月・立山方面と市内線)
  • 規模:2面4線(新幹線)+2面5線(在来線)+3面4線(富山地方鉄道)+市内電車

図1. 富山駅の位置(googleマップより引用)

富山駅の位置を示します(図1)。富山市の中心街のやや北側に位置します。また、新幹線1路線、在来線1路線と第3セクター路線1路線が乗り入れています。新幹線と第3セクター路線が日本海側沿いを東西方向に通り、在来線が富山駅から南方向に延びています。

このほかに地域輸送を担う富山地方鉄道の駅(電鉄富山)があり、立山や宇奈月方面に路線を伸ばしています。このほかに富山地方鉄道は市内電車を運営しており、市内の移動に活用できます。先述の通り、市内中心部は富山駅の南側に位置していますが、市内電車はその「中心部」を通ります。市内電車の多くの系統は富山駅にやってきますので、長距離移動と市内移動のジャンクションと表現することも可能です。

富山という都市規模であれば、ターミナルが集中しているほうが良いでしょう。高速バスの多くも富山駅前に発着し、「富山駅に行けば何とかなる」という安心感があります。

富山地区は「高頻度短編成運転」には積極的ではありません。それでも、あいの風とやま鉄道では毎時2本程度が確保され、最低限のマナーは果たしています。高山本線は過疎地帯を行くので、高頻度運転を期待することが誤りとされます。

実際に富山駅を満喫する

実際に富山駅を満喫しましょう。JRとあいの風とやま鉄道の富山駅、富山地方鉄道の電鉄富山駅、市内電車のターミナルを分けて記しましょう。

JRとあいの風とやま鉄道の富山駅

構内を共用しているJR西日本とあいの風とやま鉄道の富山駅です。在来線はあいの風とやま鉄道の単独駅と解釈しがちですが、在来線に高山本線がやってきている以上、在来線はあいの風とやま鉄道単独ではありません。

写真2. 市街地側から見る富山駅

市街地側(南側)から見てみました(写真2)。手前側に新幹線の駅があり、奥に在来線側の駅があります。

図2. 富山駅の構内図(おでかけネットから引用)

この先の記述をご理解いただくには、構内図があったほうが良いと思います。そのため、構内図を掲載いたします(図1)。

さて、南口から駅に入りましょう。

写真3. 自由通路を歩く

自由通路を歩きます(写真3)。あたたかみのある空間で、冬には良さそうです。私が行ったのは夏でしたが、肌寒くちょうどよかったです。

写真4. 南口を振り返る

南口を振り返ります(写真4)。ガラスが多用された扉があり、開放感を感じます。ガラスの扉?扉?関東の駅にはない設備ですが、北国の駅には珍しくない設備です。冬の寒さ対策で、駅舎とその外は区切られています。

写真5. 自由通路の様子

自由通路の様子です(写真5)。北口に近い箇所にはピアノもありました。私が演奏しても良いですが、騒音にしかなりません…。

さて、ホームに向かってみましょう。

写真6. 在来線のコンコース

在来線のコンコースです(写真6)。ホームは2つですが、5番線まであります。高山本線の列車は短編成なので、ホームの端にあるのです。長野駅の飯山線に似ていますね。

写真7. 1~3番線へのエスカレータ

1~3番線へのエスカレータです(写真7)。私の見た範囲では、このホームは高岡方面行きの列車が使っていました。

写真8. 4、5番線へのエスカレータ

4、5番線へのエスカレータです(写真8)。市振まであいの風とやま鉄道の管轄ですが、基本的には泊までしか行きません。泊からは輸送量が少ないので、えちごトキめき鉄道の1両編成の列車に乗りかえるのが基本なためです。ただし、1日2往復だけは糸魚川直通が用意されています。これは最低限の配慮でしょう。

私が見た限り、4、5番線からの高岡方面行き、1~3番線からの泊方面行きは見られず、方向によって発車ホームを統一しようという努力が見られました。

さて、在来線ホームに上がってみましょう!

写真9. 富山の駅名標

富山の駅名標です(写真9)。

写真10. 富山の駅名標

富山の駅名標です(写真10)。さきほどの写真との違いはわかりましたか?先ほどの写真は緑色、こんどの写真は青色です。これは、海側から見た山を意識したか、山側から見た海を意識したかの違いです。つまり、線路の山側は青色、海側はみど色の配色になっているのです。

写真11. ホームを眺める

ホームを眺めます(写真11)。近代的なデザインですね。

写真12. 新幹線ホームから在来線ホームを眺める

新幹線ホームから在来線ホームを眺めます(写真12)。新幹線よりも少し低い位置を通っています。さっきの車両とカラーリングは異なりますが、これはIRいしかわ鉄道のものです。在来線の列車の多くは富山-金沢通しで運転されますから、相互直通運転の形態なのです。

写真12. 旧型車両もやってくる

あいの風とやま鉄道の主力車両は521系ですが、413系電車も運用されています。521系電車の3ドアに対し、2ドアと乗降性は劣りますが、3両編成という編成の長さでカバーしている形です。

写真13. 高山本線の列車が停車していた

2番線は高山本線のりばです(写真13)。ここから越中八尾までは1時間程度の間隔で最低限の本数は確保されていますが、その先の猪谷まではかなり本数が少ないです。なお、名古屋までの特急は東海車で1日4往復の設定です。

さて、新幹線ホームの様子はどうでしょうか。

写真14. 新幹線ホームと自由通路の間の様子

新幹線ホームもシンプルなものです。当然、その間の通路もシンプルです(写真14)。

写真15. 新幹線ホームの様子

新幹線ホームの様子です(写真15)。それにしても「黒」を意識していますね。富山のラーメンを意識したと勘ぐってしまいます。私が見た限り、11、12番のりばは東京方面行き、13、14番のりばは金沢方面行きです。

新幹線ホームはJR西日本管轄なので、自動放送は「のりば」であり、在来線ホームはあいの風とやま鉄道の管轄なので、自動放送は「番線」なことが印象に残りました(余談ですが、本記事でもそう書き分けています)。

電鉄富山駅の様子

では、電鉄富山の様子はどうでしょうか。

写真16. 富山駅から電鉄富山駅を眺める

富山駅から電鉄富山駅を眺めます(写真16)。富山駅の南口から左手にあります。

写真17. 商業ビルと同居

商業ビルと同居しています(写真17)。電鉄富山駅の駅ビルのテナントにはみやげ屋はなく、地元住民が使うための施設という印象を受けました。

写真18. 電鉄富山駅の入口

電鉄富山駅の入口です(写真18)。

写真19. 電鉄富山の様子

電鉄富山の様子です(写真19)。小規模ながらターミナル駅の風格があります。

写真20. 時刻表

富山地方鉄道の時刻表です(写真20)。富山地方鉄道は宇奈月方面、立山方面と南富山経由の3系統があり、幹線的な路線は宇奈月方面です。日中時間帯でも毎時2本以上が確保されています。

写真21. 頭端式ホームに停車中の電車

頭端式のホームに停車中の電車です(写真21)。これは富山地方鉄道オリジナルの車両です。

写真22. 頭端式ホームから発車した電車

西武からの車両も活躍していました(写真22)。特急用の車両という認識でしたが、普通電車に使っていました。

写真23. 京阪からの車両が停車中

京阪からの車両も活躍しています(写真23)。2両編成でも空いていました。本線格の宇奈月方面は途中まであいの風とやま鉄道と並走しており、そちらのほうが所要時間も短いです。また、私が訪問した日が雨天ということもあり、自然が満喫できる宇奈月方面へのニーズが低かったという側面もありましょう。

市内電車の光景

市内電車のターミナルもあります。市内電車は富山駅の真下に位置し、新幹線などからの乗りかえも便利です。市内電車の行先は以下の通りです。

  • 南富山方面
  • 富山大学方面
  • 環状線(いわゆる左回りだけ)
  • 岩瀬浜方面

このうち、北側に延びる岩瀬浜方面以外はすべて南向きです。そのため、方向転換が頻繁に生じます。日中時間帯の本数を簡単に整理します(いずれも発車ベース)。

  • 南富山方面:毎時12本
  • 富山大学方面:毎時6本
  • 環状線(いわゆる左回りだけ):毎時4本
  • 岩瀬浜方面:毎時4本

南側は毎時22本、北側は毎時4本ですから、毎時18回は折り返しです。それだけ折り返すのです。のりばは以下のようになっています。

図2. 富山駅ののりば(地鉄公式サイトより引用)

さて、実際に観察してみましょう。

写真24. 駅名標と路線図

駅名標と路線図です(写真24)。線路は2本だけですが、線路を南北に区切り、ホームを左右に振り分け、岩瀬浜方面・南富山方面・富山大学方面・環状線とのりばを分けています。

写真25. 1~4番線の様子

1~4番線の様子です(写真25)。

写真26. 1~4番線の様子

新幹線側から1~4番線の様子を撮影してみました(写真26)。基本的に南側の3方向は1~4番線(南側のホーム)に発着します。一方、岩瀬浜行きは5番線か8番線から発車します。5番線と8番線はホームが異なります。6、7番線からの乗車にしたほうがホームが統一されて親切と思いますが、そうしなかった理由はあるのでしょうか。

行きかう電車を眺めてみました。

写真27. 南富山行きが停車中

南富山行きが停車中です(写真27)。この車両はもともとセントラム(環状線)用に投入されたと聞きますが、明らかに環状線に関係ない系統に使用されています。2020年3月の南北直通を機に車両運用が柔軟になったように見えます。

写真28. 南富山行きがやってきた

南富山行きは5分間隔です。そのため、さっきの電車が去った後もすぐにやってきます。今度は旧式の車両がやってきました(写真28)。明らかにJRに喧嘩を売っている文字列を読み取れます。

写真29. 大学前行きがやってきた

今度は南富山とは反対の富山大学方面行きがやってきました(写真29)。この車両は超低床車が導入される前の新車、いわゆる軽快電車ですね。私が見た限り、これらの2車種は岩瀬浜や環状線とは関係ない系統に使用されます。

写真30. 岩瀬浜行きがやってきた

岩瀬浜行きがやってきました(写真30)。この車両は富山ライトレールが導入した車両です。とはいえ、先ほどの車両と仕様は同一です。当時は富山ライトレール(富山駅の北側の路線の運営主体)と市内電車(富山駅の南側の運営主体)が異なっており、線路もつながっていませんでした。しかし、現在の直通化を見据えていたのです。先見の明です。

写真31. 環状線がやってきた

環状線がやってきました。この系統は岩瀬浜に入りませんが、旧富山ライトレールの車両が使われています(写真31)。なお、富山ライトレールは南北直通化に先駆けて富山地方鉄道に編入されています。路線の合併に先駆けて組織の合併をしたほうが、混乱は避けられるのは明らかですからね。

環状線と岩瀬浜方面は超低床車であることが前提です。しかし、もともと両者の車両の仕様は同じでしたので、これらが混同されるのは特に問題ありません。ただし、環状線の本数が以前の10分間隔から15分間隔に減便されたのは感心しません。超低床車の運用範囲が広がったために、超低床車が必要な環状線の本数を減らしたということでしょうか。

富山駅を訪問してみて

今回は高架になって変身した富山駅を訪問してみました。機能的でコンパクトながら狭さを感じさせない駅でした。また、新幹線と市内電車の乗りかえが非常にスムーズであり、駅としての機能が十二分に発揮していることもわかりました。

一方、電鉄富山駅は地元の人が主に使う性質でした。そのため、電鉄富山駅の商業ビルにも観光客向けのテナントはありませんでした(本記事には詳細には書いていませんが、自由通路の東側に観光客向けの店が立ち並んでいます)。

富山駅は地方の駅としては(各方面の本数などの不満もありますが)、非常に利便性の高い導線が確保されています。これからも、いたずらに機能を分散させず、富山駅に集約したターミナル機能を維持してもらいたいものです。

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