山手線のダイヤを2001年からまとめます。
写真1. 大塚に停車中の山手線外回り(2017年に撮影)
補足管理人の所蔵時刻表の関係により、2001年～2019年については定点(2001年7月、2007年4月、2008年7月、2010年8月、2013年4月、2015年～2019年は毎3月ダイヤ改正)の紹介とさせていただきます。
ダイヤパターンとは？
都市鉄道のパターンダイヤを簡単にまとめたものです。都市鉄道ではダイヤは繰り返し単位になっており、そのようになっているダイヤをパターンダイヤと称します。また、パターンダイヤの周期をサイクルと呼びます。本記事はダイヤの繰り返しの単位とその内訳から、その路線のダイヤの骨格を理解することを目的としています。
例えば、20分に急行1本と各駅停車2本ならば、「20分サイクルのパターンダイヤでその内訳は急行1本と各駅停車2本」と表現できます。原則をつかむために、基本的には朝ラッシュ時上り、日中時間帯、夕方ラッシュ時下りについて述べます。
なお、厳密には大きいサイクルで論じるべき部分もありますが、厳密さを無視すると小さなサイクルで論じることができる場合もあります。この場合、小さなサイクルを疑似サイクルと称します。先の例だと、実は急行が1時間間隔で遠方に向かう場合、厳密には60分サイクルです。しかし、遠方に直通するか否かがあまり重要視されない場面だと、20分サイクルと考察することも可能です。このような場合、疑似20分サイクルと称するということです。
本記事でも用語へのリンクは用意いたしますが、以下の記事で鉄道ダイヤに関する用語をまとめています。
山手線の平日朝ラッシュ時のダイヤパターンの変遷
2001年時点では朝ラッシュ時の1周の所要時間は64分でした。両方ともに2分30秒間隔の運転です。
2007年(～2010年も含む)の時点では1周は62～63分で運転間隔は2分30秒間隔でした。外回りは2010年時点で25運用、内回りは24運用でした。
2013年では1周が63～64分に伸びており、外回りが25運用で平均運転間隔は2分30秒をわずかに上回っています。内回りは24運用で平均運転間隔は約2分39秒です。
2015年では1周が65～66分にさらに伸びており、外回りが25運用で平均運転間隔は約2分37秒、内回りが24運用で平均運転間隔は約2分43秒です。2015年3月に上野東京ラインが開業し、宇都宮･高崎･常磐線から山手線(と京浜東北線)への乗りかえ需要が減り、大幅に混雑が緩和しています。
2016年(～2018年)では両方向とも24運用(平均2分43秒間隔)になっており、外回りの混雑緩和に伴う「適正化」がなされました。
2019年には1周の所要時間が67～68分とさらに伸びました。一方、運用は外回りが23運用、内回りで24運用で平均運転間隔が外回りが約2分56秒、内回りが約2分48秒と外回りはかなり間延びしています。確かに2017年の上野東京ラインの大増発により、外回りへの負荷が下がっていました。
山手線の日中時間帯のダイヤパターンの変遷
2001年時点では1周の所要時間は61分で16運用(土曜･休日は20運用)で平均運転間隔は3分48秒程度(土曜･休日は3分3秒程度)でした。
2007年(～2010年)時点では1周の所要時間は60分で15運用(土曜･休日は19運用)で平均運転間隔は4分00秒(土曜･休日は3分10秒程度)でした。この間にE231系への置き換えにより1分ながらスピードアップし、運用を減らしても平均運転間隔はほぼ保たれました。これが正しいコスト削減の方法です。
2013年時点では1周の所要時間が61分で運転間隔が平日が平均4分04秒、土曜･休日は平均約3分13秒でした。2010年よりホームドアが付き、所要時間が増していることがわかります。
2015年(と2016年)時点では1周の所要時間が63分で、運転間隔が平日は平均4分08秒(15運用)、土曜･休日は平均約3分19秒(19運用)でした。
2017年3月時点では1周の所要時間は63分で、運転間隔が平日は平均4分08秒(15運用)、土曜･休日は19運用で平均約3分19秒(外回りは18運用で3分30秒)でした。上野東京ラインの定着で上野→東京の混雑が緩和されたという判断で土曜･休日の外回りの減便に及んだのでしょうか。
2019年3月時点では1周の所要時間は65分で、運転間隔が平日は4分20秒間隔(15運用)、土曜･休日は外回りが18運用、内回りが20運用でした。ここで所要時間が増え、内回りの新宿→渋谷の混雑に対応し、内回りの運用を増やしているのがわかります。平均運転間隔は外回りは約3分37秒、内回りは3分15秒です。環状運転で理論上は両方向の本数を合わせる必要はありませんが、上下線で運転本数が異なるダイヤも珍しいでしょう。
山手線の平日夕ラッシュ時のダイヤパターンの変遷
2001年時点では1周の所要時間は64分、21運用で平均運転間隔は3分3秒程度です。19時台から徐々に入庫電車が設定され、これ以降徐々に本数が減ります。
2007年(～2010年)時点では1周の所要時間は62分、20運用で平均運転間隔は3分06秒です。入庫電車は20時台以降の設定となり、2001年時点よりも夜遅くまで均一なサービスがなされていることがわかります。
2013年時点では1周63分、20運用で平均運転間隔は3分09秒です。2015年(～2018年3月)時点では1周65分で、20運用で平均運転間隔は3分15秒です。ホームドア設置で所要時間が増し、それにともない徐々に運転間隔が広がっています。
2019年3月時点では1周67分、20運用で平均運転間隔は3分41秒です。高輪ゲートウェイ開業の準備などで(2020年の高輪ゲートウェイ開業で所要時間は変わっていない)所要時間が伸びていますが、2007年よりも所要時間が5分も増していることはやや残念です。
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