2024年ダイヤ改正での山手線のダイヤを比較する

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減便が多めの2024年のJR東日本ダイヤ改正。山手線も例外ではありません。普段時刻表を意識する路線ではありませんが、その実態を探りました。

写真1. 島式ホームになった渋谷を発車する外回り電車(2023年に撮影)

2024年ダイヤ改正での山手線のダイヤ比較のまとめ

2023年ダイヤ改正以降に顕著な傾向は以下の通りです。

  • 平日の外回りは朝に2本(毎時2本ではない)、夜におおよそ毎時1本削減される
  • 平日の内回りは早朝に1本、夜間に毎時1本削減される
  • 休日は午前中の外回りで毎時3本程度削減(約5分間隔に)される
  • 休日の内回りは朝方で毎時1本程度、夕方で毎時1本程度削減される

詳細は以下の通りです。

2024年ダイヤ改正での山手線の発車時刻比較

写真2. 時間帯の本数調整のために池袋始発も設定される(2023年に撮影)

山手線は周回運転、全列車が各駅に停車ということもあり、特定の駅での発車時刻を比較すると全体的な傾向がみえるでしょう。そう考え、特定の駅での発車時刻を比較しました。参考に、特定の疫病で社会全体が影響される直前のダイヤ改正(2020年3月ダイヤ改正)、減便がスタートしたダイヤ改正(2021年3月ダイヤ改正)の時刻も示しました。

平日の外回り(東京)での比較

外回りの発車時刻を比べます。外回りは朝方の上野→東京の輸送が多いと考え、東側の拠点駅の東京を選択しました(表1)。

表1. 平日外回りの発車時刻の比較(東京)

変化点を列挙します。

  • 朝ラッシュ時におよそ毎時1本削減されている(最ピーク時でも平均3分45秒間隔!)
  • 日中時間帯は増減なし
  • 夕方は増減なし(平均3分20秒間隔)
  • 夜間は毎時1本削減されている

2023年ダイヤ改正までにそれなりに本数が減っているため、朝ラッシュ時の減便は1本でした。かつては2分20秒間隔運転を誇っていましたが、上野東京ライン開業による乗客のシフト(実質13両編成が3分間隔で運転されるので、山手線の輸送力にすると毎時10本以上の増発と同義)もあり、2020年段階でも3分間隔となっていました。

2022年ダイヤ改正で常磐線からの品川行きが日中やその移り変わり時間帯に増発されていることもあり、この程度の本数なのでしょう。

平日の外回りは夕方のほうが本数が確保されていますが、渋谷→新宿→池袋の流動の多さを意識した結果です。環状運転なので東京でも本数を確保せざるを得ず、朝よりも運転間隔が縮まっています。京浜東北線との重複区間で本数がじゅうぶんに確保されているのですから、夕方時間帯の京浜東北線を区間快速運転(秋葉原以南は各駅に停車)し、京浜東北線のスピードアップや人件費削減に踏み切っても良いように考えられます。

東京断面20時台以降の本数削減は新宿断面で21時台ということもあり、それなりに納得できる部分はあります(ただし新宿断面で最後尾車両がそれなりに混んでいるという声も聞きます)。それだけに、混雑する金曜は臨時で大崎から池袋までの区間運転を設定するなどのフォローは必要に感じます。

平日の内回り(新宿)での比較

内回りの発車時刻を比べます。内回りは朝方の池袋→品川の輸送が多いと考え、西側の拠点駅の新宿を選択しました(表2)。

表2. 平日内回りの発車時刻の比較(新宿)

変化点を列挙します。

  • 6時台前半に1本減便されており、10分間隔の時間帯が増えている
  • 平日の夕方以降に毎時1本程度減便されている

乗客が多く影響の大きい時間帯の減便は避けた格好です。すでに平日の昼間は都市内交通としては最大限減便されており(5分間隔)、これ以上の減便は難しいでしょう。ただし、平日の夕方は毎時13本とされ、平均運転間隔は4分を超えています。平日の夕方は最混雑区間ではない駅でも駅員が「混雑しています」と呼びかけている場面も目撃し、これ以上の減便が妥当かは疑問に感じます。

平日の朝方は池袋→新宿→渋谷の輸送力を確保するために本数を確保していますが、東側では輸送力が過剰でしょう。それであれば、京浜東北線の秋葉原以北を快速運転し、京浜東北線の車両や人員の回転を向上させ、トータルとしてのコストダウンにも着目するべき段階でしょう。

土曜・休日の外回り(東京)での比較

写真3. 休日の外回りの様子(2021年に高田馬場4丁目歩道橋で撮影)

山手線は昔から土曜・休日のほうが本数が多い特徴があります。そこで、土曜・休日ダイヤも記載します。平日と同様、外回りを比較します(表3)。

表3. 土曜・休日の外回りの発車時刻の比較(東京)

  • 午前中に大幅に本数が削られている
  • 午後以降は基本的に本数は維持されている

従来はおおよそ9時以降は「日中」とひとくくりにされ、毎時15本~16本と平均運転間隔は4分未満でした。それが、「午前中」と「午後」に分けられ、土曜・休日の午前中については5分間隔に統一されました。

ここで気になるのは、京浜東北線快速との接続です。田端では山手線はx2分、x7分に発車し、京浜東北線快速はx3分、x8分に発車し、山手線から京浜東北線快速に乗りかえられますが、逆は不可能です(事実上はできるとは思いますが)。浜松町では山手線はx0分、x5分に発車し、京浜東北線快速はx4分、x9分に発車します。京浜東北線快速から山手線に乗りかえられますが、逆は不可能です(これも事実上できると思いますが)。減便するのであれば、京浜東北線の運転時刻を1分後にずらし、相互乗りかえをよりスムーズにし、減便の影響を小さくするべきでした。

夕方の本数が比較的多いのは渋谷→新宿→池袋の需要の多さによるもので、東側は比較的空いていることでしょう。ここも京浜東北線の区間快速運転を検討するべきでしょう。

趣味的な観点では日中時間帯に大崎始発(11:46、12:17、12:32と13:03)が設定されています。

平日の内回り(新宿)での比較

内回りの発車時刻を比べます。平日と同様に新宿で比較します(表4)。

表4. 平日内回りの発車時刻の比較(新宿)

変化点を列挙します。

  • 10時まで毎時1本程度減便され、朝方の需要の少なさに応えた
  • 需要の少なくなる夕方以降(19時以降)は5分~6分間隔にするため、毎時1本程度削減

土曜・休日は西側の需要が大きく(池袋・新宿・渋谷に向かう人が多いでしょう)、この需要に応えた格好です。夕方以降は池袋から渋谷に向かう需要が少ないと読んだのか、5~6分間隔が基本になっています。ここまで減便するのであれば、相鉄直通電車と埼京線の新宿発着をスルー運転し、西側の埼京線停車駅間の需要を埼京線に移行させるなどのフォローが必要に感じます。

2024年ダイヤ改正の山手線の変更点を確認してみて

写真4. 民鉄では本数復帰の流れが出てきたが…(中目黒で撮影)

2024年ダイヤ改正の山手線の変更点を確認しました。利用者の感覚で空いている時間帯をピンポイントで減便し、コスト削減と利便性維持の両立に苦労した様子が見えます。

ただし、これは現状の山手線1周65分を前提とした場合です。高輪ゲートウェイ開業前、ホームドア整備前とはいえ、1周を60分で設定されていた時期もあります。1周60分になったのは車両が取り替えられ、加速力が向上したためです(ATCの改良もあると思いますが)。現在の車両は高速性能が向上し、かつてより走りは期待できます。また、ホームドアが開くタイミングがやや遅く、停車時間をロスしているように感じます。

ホームドアや駅間の走りに手を加え、かつての1周60分運転を復帰させれば(5分間隔で京浜東北線と合致させている平日昼間はともかく)、同じ運用で多くの本数を設定できます。そうすれば、平日夕方の内回りも毎時13本から毎時16本程度に増発できますし、そのほかもピンポイントで増発することも可能でしょう。1周65分から60分にすることは無理でも多少早くすれば、平日夕方の本数維持はできましょう。

また、山手線単独で考え、輸送のトータルコーディネートができていない点も見えます。2022年ダイヤ改正で(減便とは引き換えですが)京浜東北線快速と相互接続するようになりました。これは輸送のトータルコーディネートという観点では大きな進化です。

今後はこれを深度化させる必要があるように感じます。素人レベルで考えられることは以下の2つでしょうか。

  • 朝の北行や夕方の南行で京浜東北線を区間快速運転(秋葉原以南は各駅に停車)し、京浜東北線のコストダウン(所要時間短縮による車両や人件費削減)
  • 埼京線の新宿スルー運転を増やし、埼京線停車駅相互間の需要を埼京線にシフトし、減便しても混雑させない

これからは労働者不足の社会に変化します。頭を使い、輸送のトータルコーディネートを考慮して他線区と連携することが山手線の今後には重要と思いました。

参考:山手線に関する過去のダイヤ改正の記事

山手線については、過去にも同様の記事を執筆しています。

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西日暮里以来の新駅の「高輪ゲートウェイ」が開業しました。では、その開業によって、山手線はどのようにダイヤが変わったのでしょうか。ダイヤ改正前後のダイヤを比較しました。

また、山手線のダイヤについて簡単にまとめています。

東京を1周する山手線。東京の電車の代名詞のように語られ、待たずに乗れる路線の代名詞としても語られる路線です。その山手線もダイヤが決められています。そのダイヤを紹介しましょう。

このほか、山手線の混雑に関する基本的な情報をまとめました。

このページでは山手線の混雑状況について基本的なデータをまとめています。また、私が実際に現場で調査した結果へのリンクも記しています。
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