ベルリンといえばベルリンの壁というイメージでしょう。そのベルリンの壁は全てが壁であったわけではなく、一部は厳重な検問を実施する検問所として開放されていました(ベルリンの壁の管理者である東ドイツ政府としては、自国民が西ベルリンにさえ行かなければ問題ないと考えていました)。その検問所で最も有名な場所を訪問しました。
16年夏ドイツ鉄道旅行記~ベルリンの壁:イーストサイドギャラリー
ベルリンの壁について、私がちゃんとした説明を実施しています。
- 東西ドイツと東西ベルリンの関係
- 東西ドイツの境界が封鎖されてもなぜベルリンの行き来が自由だったか
- そもそも境界を封鎖する必要があったのか
- ベルリンの壁崩壊の前段階と壁崩壊
このような疑問が晴れると思います。多くの説明はこの全ての疑問に答えていません。ならば私がきちんと答えようと思ったのです
チェックポイントチャーリー
チェックポイントチャーリーへの道
そのベルリンの壁の有名な検問所であるチェックポイントチャーリーに向かいました。一般的には、Kochstraße駅からすぐ(本当にすぐ!出口を出たらチェックポイントチャーリーなのです!)のアクセスであることから、U6で向かうのでしょう。しかし、私は前後の行程上、ポツダム広場駅から徒歩でアクセスしました。
図1. ポツダム広場とチェックポイントチャーリーのアクセス
図の左側にあるのがポツダム広場(Pozudamer Platz)、右下にあるのがチェックポイントチャーリーです。私はこの道を東に向かって進み、南に曲がるように向かいました。何枚かベルリンの美しい街並をご覧いただきましょう。
写真1. モールオブベルリンの賑わった様子
写真2. ベルリンの美しい街角
写真3. 連邦参議院の荘厳な建物
私が歩いた側ではないほうに、モールオブベルリンというションピングモールがありました(写真1)。その周辺の美しい街角を歩きます(写真2)。何も知りませんでしたが、連邦参議院の横を通ったようです(写真3)。ここで南側に曲がり、日本よりも広い空を感じながら、目的地のチェックポイントチャーリーに近づきます。でも、なぜ空が広く感じるのだろう?3秒程度迷ったあと、電柱がないことに気がつきました(ただし私は電柱がある景観も嫌いではありません)。このあとに訪問した都市も含めてみんな電柱がなかったのです。
そのような貴重な考察を獲得して、チェックポイントチャーリー付近に着いたのです。
ベルリンの壁の現役時代を体感する
ベルリンの壁の現役時代を体感できるスポットがありました。THE WALL - asisi Panorama Berlinというものです。詳細な情報は上記リンク(公式サイトへのリンクです)から入手してもらうとして、ベルリンの壁現役時代の雰囲気を味わえる施設です(写真5)。
写真5. THE WALL - asisi Panorama Berlinの外観
写真6. THE WALL - asisi Panorama Berlinのホール
ここと近くの展示場のセット券を購入して、中に向かいます。余談ですが、ベルリンウェルカムカードを所有していたら25%引きになるようです。ただし、私のようなただの市内交通チケット所有者は何も割り引かれませんでした(窓口で確認)。
展示物を見てびっくりです(写真6)。パノラマ写真がある他に、音が再現されていました。この光景は西ベルリン側から壁を通じて東ベルリンを眺めたものです。落書きが描かれた壁(落書きができる=西側)の向こうに無人地帯があり、その先にもう一枚の壁があります。その向こうには東ベルリンが広がっています。戦後の荒廃した建物がほぼそのまま残された東ベルリンが印象に残りました。音は少なく、ひっそりした感じが描かれています。これは独特の雰囲気ですから、ベルリンを訪れたら1度行く価値はあるでしょう。
また、入口を入ってすぐは歴史的な映像を流していました。
THE WALL - asisi Panorama Berlinのとなりには冷戦に関するビデオが流れている施設(BlackBox Cold War)もありました。歴史的に貴重な映像が流れている(1945年ベルリン市街戦からだと記憶しています)のですが、いかんせん日本語ではなかったので意味がわかりませんでした。THE WALL - asisi Panorama Berlinに行けば充分でしょう。
チェックポイントチャーリーの光景
写真7. チェックポイントチャーリーの位置(THE WALL - asisi Panorama Berlinの正面に示されていたもの)
チェックポイントチャーリーは東西ベルリンの境界-それもアメリカ管轄地区とソビエト管轄地区-に位置します(写真7)。何枚かの写真を掲載しましょう。
写真8. アメリカ管轄地区に入るとの表示
チェックポイントチャーリーはアメリカ管轄地区とソビエト管轄地区の境界に位置します。そのため、「あなたはアメリカ管轄地区に入ろうとしています」というような表示がありました(現在はどちらもドイツ管轄地区です、写真8)。その警告表示が英語、フランス語、ロシア語で大書きされており、ドイツ語表示が小さく書いてあります。ベルリンが4か国による占領状態であったことを示す掲示ですね。
写真9. 有料の写真撮影を実施する観光客
検問所であった小屋が再現されています。ここでは記念撮影が行われていました(写真9)。もちろん、有料です。かつての資本主義と社会主義がにらみ合う緊張の最前線(※)は、資本主義の小金稼ぎの場に変身していました。
※1962年、チェックポイントチャーリーでアメリカ軍の戦車とソビエト軍の戦車がにらみ合うという事態が発生しています。
写真10. アメリカ兵の写真
アメリカ兵の写真が掲げられていました(写真10)。この反対側の面にはソビエト兵の写真が掲げられていますが、ソビエト兵の写真を撮影するには、道の真ん中から撮影しなければなりません。この道路は信号がないため渡るのが精一杯です。そんな中、撮影はとてもできません。そのため、ソビエト兵の写真はありません。
多くの旅行ブログでは「東西ドイツの境界の写真でーす♥こっちにアメリカ兵の写真がありますね!こっちにはソビエト兵の写真がありますね!昔はここを無許可で通ろうとしたら射殺されたんです!平和な今に感謝ですね~」というようなコメントがなされています。でも誰も東西ドイツの境界なのになぜアメリカとソビエトの兵隊の写真があるのでしょう?そんな解説をしてくれているところは皆無です。そのような背景を私が説明しましょう。
東西ベルリンは、実質的には東ベルリンは東ドイツ領、西ベルリンは西ドイツ領でした。しかし、形の上では、東ベルリンはソビエトによる軍事占領、西ベルリンはアメリカ・イギリス・フランスによる軍事占領でした。ソビエトは東ドイツに実質的な運営を任せ、アメリカ・イギリス・フランスは西ドイツに実質的な運営を任せたのです。これらの軍事占領はドイツ再統一(=東ドイツ消滅)まで続きます。チェックポイントチャーリーはベルリンのアメリカ占領地区とソビエト占領地区の境界でしたから、アメリカ兵とソビエト兵の写真があるのです。
写真11. 南側から眺める
そんな地帯を南側から眺めます。現在は平和な街角に過ぎません。ここにカフェチェックポイントチャーリーがありました。冷戦の跡でも何でも商売に使おうとする資本主義経済の図太さを読み取ることができました。
遊覧気球に乗る
正式名称は、WELT Balloon Berlin Service LLCです。サービスの詳細は公式サイトからご確認いただく(別ウィンドウで開きます)としましょう。簡単に述べると、高さ150mのところからベルリンの街並みを楽しめるというものです。煙と何とかは高いところに昇るということわざどおり、高所恐怖症なのに私は23ユーロを支払って乗船したのです(まさにBAKA!)。
写真12. 気球の外観
この気球に乗ります(写真12)。チェックポイントチャーリーに行った日に乗ろうとしましたが、若干風が強かったため、運行されませんでした。翌日、晴天に恵まれましたので、乗船できました。特に待つこともありませんでした。
写真13. 少し浮き始める
写真14. もう少し浮き始める
気球が浮き始めました(写真13-14)。この時点では私はまだ余裕でした。
写真15. 高さが上がっていく
写真16. 高さが上がっていく
だんだん高度が増してきました(写真15-16)。少しずつ怖くなりました。
写真17. もう少しで高さ150m
写真18. 気球の中央部から地上が見える
高さが150mに達しようとしています(写真17)。気球の中央部に行けば安心?そんなのは甘いです。中央部からも下が見えるのです(写真18)。この写真は網にピントが合ってしまったのでそこまで怖さを感じないでしょうが、若干の揺れがある現場では怖さを感じました。
ここからは、周囲の街並を眺めることで、ベルリン市の都市構造を解析してみましょう!
写真19. 北西方向を眺める
まずは北西方向をご紹介しましょう(写真19)。中央部にはガラスばりの建物があります。これはベルリン中央駅です。ここは鉄道ブログなので、この写真の紹介は外せません。ベルリン中心部の北西側にベルリン中央駅があるのですね。緑地が見えますが、これはティアーガルテンです。ベルリンは中心部に広い緑地があります。わが首都東京にもありますよね。人はそれを皇居と呼びます。
写真20. 北東方向を眺める
北東方向を眺めます(写真20)。北西方向とは異なり、多くの建物がひしめいています。写真の中央部にある塔はベルリンテレビ塔です。このあたりがベルリンの中心ともいえましょう。
写真21. 東方向を眺める
もう少し時計回りに視点を移しましょう。こちらは東方向です(写真21)。中心部からはやや南側になります。中心部の南側は住宅がひしめいています。無機質な高層アパートがひしめいていることから、このエリアは旧東ベルリンエリアとわかります。
写真22. 南方向を眺める
南方向に視点を移します(写真22)。こちらは郊外の趣が漂います。
写真23. 西方向を眺める
西方向を眺めます(写真23)。こちらには近代的なビルがありますね。ここがポツダム広場付近です。それでも東京のように現代建築がひしめく都市ではありません。古い建物を残そうとする意志を感じます。
写真24. 下を眺める
下方向を眺めます。やはり怖いですね…。
ベルリンの観光名所を見てみましょう!以下のページにまとめています。
ベルリン観光のおすすめスポットとモデルコース(18年ベルリン観光)
ベルリン観光では、前後でこれらを観光しました。
(次)ウンター・デン・リンデン周辺の観光(ベルリン大聖堂など)(18年ベルリン観光)→
※別ウィンドウで開きます。