フランクフルト空港からベルリンまでICEに乗車しました。ここでは、実際に乗車しないとわからない情報(乗車率や編成の進行方向)を加えつつ、乗車記にまとめます。
日本からベルリンまでの直行便は2018年現在、存在しません。そこで、私は直行便のあるフランクフルトまで移動し、そこから列車で移動することにしたのです。
基本的な情報は以下のリンクからご確認ください(いずれも私がまとめたものです)。ここでは、実際に乗車しないとわからない情報を加えつつ、乗車記にまとめます。
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フランクフルトとベルリンの移動方法についてまとめています。
- 列車の時刻などを知りたい場合は
列車でのフランクフルトとベルリンの移動(時刻表あり、18年対応) - 列車の予約方法を知りたい場合は
【ドイツ列車ネット予約】フランクフルトからベルリンのチケット手配
それぞれ別ウィンドウで開きます。
※海外鉄道旅行全般のノウハウについては、安く海外個人旅行をするための方法(主に鉄道旅行)にまとめました。
フランクフルト中央駅までの移動
私が移動方法の概要でも述べましたが、多くの列車がフランクフルト中央駅から発車します。そこで、フランクフルト空港からフランクフルト中央に移動することにしました。
フランクフルト空港駅でのバリデーション
フランクフルト空港を案内にしたがって進みますと、鉄道駅に到着します。しかし、そこにあるのは「近距離駅」と称される駅であり、フランクフルト市内にしか行けません。その性格上、長距離を移動する鉄道パスのバリデーションはできません。そこで、フランクフルト空港から鉄道パスを使用したい人は長距離駅に向かう必要があるのです。その「長距離駅」は4番線から7番線のことです。
図1. 空港本体から遠い長距離駅(いつものようにgoogleマップを使用するという手抜き作業)
ここで、地図を示しましょう(図1)。空港のターミナルビルは南側にあります。ここから北側にある鉄道駅に向かいます。空港のターミナルビルに近いほう(南側)にあるのが近距離駅、ちょっと離れているのが遠距離駅です。ここまで歩くのです。
では、どの程度時間がかかるのでしょうか?私が乗った航空機は5:25に着きましたが、長距離駅に着いたのは6:15でした。私は手荷物を引き取るのが最後になっていました(私の手荷物しか残っていなかった)が、それでも航空機到着から50分あれば長距離駅に着けたのです。早朝だから入国審査が早いと思いきや、ほとんど窓口が空いていませんでしたので、やはり混雑していました。そのような意味では、「通常」の状態で「ある程度まごついた外国人」の移動時間と考えて良いでしょう。
写真1. フランクフルト空港駅のDB窓口(左手に見える)
近距離駅を過ぎると、エスカレータを使用して道路を超える必要があります。その通路をずっと進むと、ようやくDBの窓口にたどり着けます。遠距離駅から窓口までは10分くらいかかったと記憶しています。6:00を過ぎた時間では窓口は受付開始しており、待つ間もなくバリデーションの手続きが完了しました。まとめると、航空機の到着から60分内外でバリデーションまで完了したのです。ただし、早朝ではなければバリデーションにもう少し時間がかかったのかもしれません。
バリデーションとは、鉄道パスを使用開始する際に行う手続きです。
<鉄道パスには数種類ありますが、いずれも有効期限が定められています。鉄道パス発行の手間を省くためか、鉄道パスそのものには使用開始日は印刷されていません。このため、使用開始日を明確にしなければ不正利用ができてしまいます。これを防ぐために「今日から使用開始します」という証明が必要になるのです。これがバリデーションです。
実際の手続きは、駅で「バリデーションプリーズ」と単語を発すれば処理してくれます。このときには、パスポートが必要ですので、ちゃんと見せましょう。
地方の路面電車の1日乗車券で使用日をコインで削るシステムのところがありますが、それと似たイメージです(この例えがわからない人はスルーしてください)
フランクフルト空港から中央駅までの移動
いよいよ今回の旅行初の鉄道乗車です。フランクフルト空港から中央駅までは鉄道パスを利用するので、何に乗っても構いません(今回は1等用を購入しました)。そこで、適当な時間のICEに乗車することにします。
写真2. フランクフルト空港駅の電光掲示板
電光掲示板を眺めると、6:36発のICEが中央駅(Frankfurt Hbf)を通るようです。とりあえず、私の目的にはフランクフルト中央からどこに行こうと大差ありません。
写真3. フランクフルト空港駅に入線するICE3
そのミュンヘン行きのICEはICE3が使用されるようです。ドイツ中部の大都市からドイツ南部の大都市に行く系統ですね。編成表を見ていたら1等が前になっている手はずで、私は前寄りで待っていました。ところが、放送が入りミュンヘン行きは臨時に16両中8両の向きが変更になっていていました。そのため、2等への乗車です。
私がホームの編成表を見た限り、ベルリン行きを除いてフランクフルト中央駅で1等がホーム先端にかかる(フランクフルト中央駅は頭端式ホームです)ようになっているようです。つまり、フランクフルト中央駅に向かう列車は1等が先頭になることが多いとわかります。この情報を活用して座席の向きを推定したいものです。ただし、今回のように編成の向きが逆になることも多いですから、このような情報はあくまでも参考程度という位置付けでご認識ください。
写真4. フランクフルト市内を眺める
編成表の話が長くなってしまいました。実際に1駅だけ乗車しました。フランクフルト中央から乗車する人も多いですから、空席に座ります。森の中から徐々に開けてきました(写真4)。
フランクフルト中央駅からベルリン中央駅まで実際に乗車する
そのフランクフルト中央駅からICEに乗車してベルリンまで向かいました。さきほどベルリン行きは1等車がフランクフルト中央駅のホーム先頭から離れていると述べました。この列車もその例に漏れず、1等がベルリン行きの先頭になっていました。私が席を確保していたのは9:02発でしたが、7:02発に間に合うので、その列車に乗車します。
写真5. 7:02発の列車もICE3
私が前日にDBのサイトを見たら、9:02発は席が埋まっていて、7:02発は席が埋まっていないことがわかりました。そして、目の前には7:02発の列車が停車しています。そこで、7:02発の展望席に着席することにしました。でも、窓ガラスが曇っていて迫力ある前面展望は楽しめませんでしたが…。
写真6. 展望席の展望(現実)
写真7. 展望席の室内(3列あることがわかります)
展望席から展望を楽しむ
気を取り直して(わずかながら前面展望も楽しめるし)、景色を楽しむことにしましょう。デスクもありますし、進行方向に向いていて窓割も合っているのです。ここまで説明的な文章が続いたので、ほとんど解説なしで車窓を晒すことにしましょう。
写真8. 禿山が見えた!
写真9. 美しいドイツの平原
写真10. 美しい花が印象的なドイツの平原
写真11. フルダ通過後の車窓
写真12. 山あいの景色
写真13. 山あいの景色
写真14. 風力発電が見えた!
写真15. 276km/hまで出した!
写真16. 高速新線をかっ飛ばす!
写真17. 高速新線から見える湖
写真18. ハレは晴れ!
フランクフルトとベルリンの間にはそこまで大きな都市はありません(この列車はハノーファー近辺を通りません)。人口が20万人を超えているのは、エアフルトとハレだけです(ライプツィヒも経由しません)。そのため、この両駅にしか停車しません。途中の風景はのどかなものが多いように感じました(写真8-10)。フルダ通過後からエアフルトに停車するまでの間は、平原というよりも山あいという感じです(写真12-14)。東西ドイツという2国家が共存していた時代、この近辺が境界線であったと聞いています。
そのエアフルトを過ぎると、高速新線に入り速度がぐんぐん上がって行きます(写真15-17)。私の記録によると、276km/hまで出ていました。この区間も車窓自体はのどかでした。そして、ハレという都市に着きました(写真18)。ちゃんと晴れていました。ハレは晴れだったのですね!ベルリンに着くのは11時ごろです。そのような時間だと小腹も減ってきます。ハレはベルリンの手前の停車駅でしたので、ここからは食堂車に移動します。
内装を見る
食堂車に行くならば、せっかくなので内装も観察しましょう。
写真19. ICE3のデッキ部分
デッキ部分は美しい木目調の意匠が取り入れられています(写真19)。ICE-Tといい、木目調が好きなのでしょうか?私も木目調が好みなので良いと思いますが…。
写真20. ICE3の1等への仕切扉
ICEではデッキ部分の扉をガラスにしています(写真20)。日本のグリーン車であれば落ち着いた空間を演出するために仕切扉は窓も設けないのですが、ICEではそのようなことはしません。開かれた空間を演出したいのでしょう。
写真21. ICE3の1等の車内(開放室)
ここがその開放的な1等の車内です。横3列の座席が展開します(写真21)。ただし、椅子の向きは変えられませんし、座席割と窓割が一致しないため、「進行方向に向いていない座席」や「窓側なのに外が見えにくい座席」が存在します。これは是正すべきでしょう。
食堂車の現実を感じる
ベルリンに着くのは11時ごろです。そのような時間だと小腹も減ってきます。そこで、食堂車に向かいました。中途半端な時間だから大丈夫だろうと見くびっていましたが、混んでいたため着席できませんでした。1等も乗車率90%程度でしたからね。食堂車のカウンター近くにミニバー的なスペースがあります。そこで、そこに着席しました。
写真22. ミニバーの内装
ここで、衝撃的な内容が伝えられました。都合によりドリンクとパンしか供給できないとのことです(フランクフルトを早朝に出発したためでしょうか)。つまり、縮小営業とのことです。ここで私は「縮小営業には縮小注文で返す」と信念を胸に置いてコーヒーとクロワッサンだけで粘りました。このようにしてベルリンまでたどり着いたのです。首都東京を出てから実に21時間のことです。
写真20. ベルリンに着いたICE
参考リンク
今回、旅行した国、ドイツ。そのドイツを鉄道で旅行するうえでの基本的なノウハウをまとめました。
さて前後は?
フランクフルトからベルリンまでICEに乗る:今ココ!
ベルリン観光のおすすめスポットとモデルコース(18年ベルリン観光)→
(ベルリン観光で最初に行ったところ)ポツダム広場と技術博物館(2018年ベルリン観光)→
※それぞれ別ウィンドウで開きます。
★この旅行の全体像を旅行後の感想といっしょに簡単にまとめています。
ヨーロッパ5か国旅行のまとめ(振り返り)