ウィーンには私鉄があります。多くの優等生的な旅行ブログでは全く触れられていませんが、非常に特徴的な鉄道です。戦後の日本の私鉄の形態を想像させるものです。
バーデン線の概要
地球の歩き方にさらりと路線図だけ掲載されていますが、具体的な情報は書いていませんでした。インターネット先生に回答を求めると、以下の答えが返ってきました。
・区間:ウィーンオパー(オペラ)-バーデン・ヨーゼフ広場
・本数:おおむね15分間隔
・所要時間:64分(快速などの運転はなく、全て各駅停車です)
・料金:5.5€(Siebenhirten駅までウィーンのチケットが有効)
特徴的なことは、途中のSchedifkaplatzまでは専用の線路ではなく、トラムのネットワークを利用していることです。詳しいことは公式サイトでご確認いただきましょう!
図1. バーデン・ヨーゼフ駅の位置(ここの北側にウィーンがあります)
参考までに、バーデン・ヨーゼフ広場駅の位置を示しました。googleでウィーン・オパーからバーデン・ヨーゼフ広場までの経路を検索したら、バーデン線は出てきませんでした…。近くに国鉄が通っていて、スピード面ではかなわないようです。やはり快速(急行でも名称は問いません)を走らせて、120km/h運転を実施すべきですね!
さて、御託はともかく実際に乗ってみましょう!
バーデン線への実乗
始発のオペラ座から乗ってみましょう。
写真1. 青い車体が特徴的なバーデン線
写真2. 乗り降りは厳しい!
バーデン線の車両は青が特徴的です(写真1-2)。赤が特徴的なトラムの中では目立ちますね。ここオパーはトラムの中にちょんといるだけ、間借りしている感があります。
写真3. 地元民ばかりの車内
その車内に入ります。地元民で占められています(写真3)。観光客は相手しない路線なのでしょう。私はウィーンでも有数の観光名所と思うのですが…。
写真4. バーデン線の路線図
路線図が掲げられています(写真4)。これで勉強してください!
写真5. ちょっとした旅行仕様の座席
座席を拡大します(写真5)。テーブルがあり、小旅行にふさわしいですね。
写真6. ウィーン市内を行く
ウィーン市内を走ります(写真6)。このあたりは中心街とはやや離れているものの、街中といった風情ですね。
写真7. トラムの停留所にとまる
この付近はトラムの一員という顔で走っていますから、トラムの停留所にもとまります(写真7)。セクシーな女性がいますね。
写真8. 地下駅もある!
途中に地下駅もあります(写真8)。ヨーロッパのトラムは柔軟で、地下にも入ることがあるのです(ベルリンやプラハにはなかったけど)。
写真9. トラムの分岐がある
トラムが分岐します(写真9)。この付近からバーデン線の専用なのでしょうか?
写真10. 真のウィーンを行く
写真11. 真のウィーンを行く
写真12. マイドリング近くの住宅街
この付近はウィーンの住宅街です(写真10-12)。真のウィーンと呼べる地域です。観光客が立ち入ることも少なく、地元の生活がある場所という意味です。
写真13. マイドリング付近で国鉄をまたぐ
マイドリングで国鉄をまたぎます。このあたりから専用軌道が始まります。路上から解放されたのです。
写真14. ここから専用軌道だ!
この駅から専用軌道です。都心からここまではすいていましたが、ここからは混雑しました。遅い区間には興味を示さずに、その区間を地下鉄などで移動する乗客が多いことに気づきます。
写真15. 国鉄を横に走る
スピードが出てきました。私の記憶では80km/h程度出ていたように思えます。対国鉄の策として、この区間を120km/h運転すべきですね!
写真16. ウィーン郊外の風景
郊外の風景が展開します。観光客的にはつまらない光景ですが、地元の生活はここにあるのです。
写真17. 機関車がいた
機関車がいます(写真17)。業務用なのでしょうか。機関車がいるあたり、ただのトラムではないことがわかります。
写真18. ウィーン郊外-真のウィーン-の光景
写真19. ウィーン郊外-真のウィーン-の光景
ウィーンの郊外を走ります(写真18-19)。このあたりも真のウィーンといえます。
写真20. 途中駅で降りる
写真21. 途中駅で降りる
途中駅で降りました(写真20-21)。ウィーンの72時間チケットが有効な範囲で乗り鉄を楽しもうとしたためです。
写真22. 新型タイプの車両
写真23. 新型タイプの車内
写真24. 新型タイプの運転台
この駅からの折り返しは新型車両に当たりました(写真22)。車内は旅行感があまりありませんね(写真23)。運転台は機能的です。ただし、すりガラスがあり、あまり前面展望は良くありません。
バーデン線は都心側では併用軌道、郊外側では専用軌道を通る路線です。編成の長さも日本の私鉄と比較して短いものです。日本の私鉄も戦後すぐのころまではこのような形態だったと聞きます。その後、編成の増強や併用軌道の解消がなされて現代の姿になっています(汽車由来などこの原則にあてはまらないところもあります)。一方、バーデン線はこのような変化はありませんでした。そのため、昔の日本の私鉄ととらえることもできます。つまり、バーデン線は日本の古き良き姿が残っていると評価することも可能なのです。もう1つの私鉄の進化形態ということです。
オパーでの折り返し
ウィーン・オパーでの折り返しはどのようなものなのでしょうか?
(参考)図2. オパー駅の位置(このあたりにすみれの砂糖漬けが有名な店があります、このようなものを買うのは時間と金のムダ)
写真25.バーデン方面からやってきた
写真26. バーデン方面からやってきた
バーデン方面からの電車がやってきました。停留所の東側からやってきました。撮影したのは夕方でしたが、順光であることから、私が東側を向いていることがわかります。
写真27. バーデン線のホームに停車
ホームに停車しています(写真47)。逆光なので、西側を向いていることがわかりますね。
写真28. トラムは別の線路に到着
トラムと線路を共有していますが、そのトラムのじゃまにならないように専用の線路を使っています(写真28)。トラムは別の線路にやってきます。え?逆方向のトラムは?道路(リンク)の反対側にあるので、一見ここにないように見えます。
写真29. バーデン線はまだ停車中
始発なので、もう少し停車しています(写真29)。停車時間が長いので、別の線路が必要なのですね!
写真30. バーデン方面に向けて出発した
このように西側に向けて出発しました(写真30)。東側から電車がやってきて西側に向けて発車するという運行形態をとっていて、単純な折り返しを行っていません。これはプラハのトラムといっしょですね。
ウィーンの観光名所を見てみましょう!以下のページにまとめています。
前後でこれらを観光しました。
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