2023年ダイヤ改正における中央ヨーロッパの変化を探る(ドイツ、スイス、オーストリア)

記事上部注釈
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2022年12月ダイヤ改正。ドイツでは高速新線が新規開業したという大きな変更点があります。地味ながらもスイスでも重要な変更がありました。ドイツ周辺の中欧地区のダイヤ改正の動きをまとめました。

写真1. フランクフルト空港駅にやってくる列車も影響を受ける(2018年に撮影)

ドイツ

ドイツでの大きな変更点は以下の通りです。

  1. ドイツ南西部のシュトゥットガルト-ウルムに高速新線開通、高速化および増発
  2. 夜行列車ネットワークの拡充(ミュンヘン発着をシュトゥットガルト延長、ドレスデン経由のチューリッヒ-プラハの新設)
  3. ミュンヘン-チューリッヒの国際列車が多客期に2時間間隔に増発
  4. ケルン発着便の一部がハンブルク延長
  5. フルダ-カッセル間の高速線の一時運休(4/1~12月までの予定)

これらについてまとめましょう。

シュトゥットガルト-ウルムの高速新線開業

ドイツ南西部のシュトゥットガルトとウルムの間に高速新線が開業しました。

図1. ウルムとシュトゥットガルトの位置関係(googleマップより引用)

この2地点は特に有名ではないかもしれませんが、ドイツ中西部のフランクフルトとドイツ南部のミュンヘンを結ぶ南北軸に当たります。そのため、この区間の新線建設は輸送改善に重要なインフラです。ただし、実際にはヴェントリンゲンとウルムの間の 60 キロメートルの区間の部分的な完成であり、ヴェントリンゲンとシュトゥットガルト中央駅の間はまだ建設中です。

補足

ドイツに限らず、欧州の高速列車は新幹線のように専用の線路だけを走るのではなく、特定の区間だけ「高速新線」を走ります。日本でいうと、国土の主要な部分に「高速新線」のある在来線特急が走っています。整備新幹線計画でいうところの、スーパー特急に類似しているといえましょうか。

(補足終了)

シュトゥットガルト中央駅は頭端式の駅ですが、ここに地下ホームを建設し、通過型のターミナル駅にしようという計画があります(シュトゥットガルト21)。2025年にこの高速新線と地下駅が開業し、所要時間が短縮されるという計画のようです。

では、そのウルム-シュトゥットガルト間はどのようなダイヤなのでしょうか。基本的に2時間サイクルのパターンダイヤで以下の構成で運転されます。

  • ミュンヘン-フランクフルト中央のICE
  • ミュンヘン-ケルン方面のICE(フランクフルトは空港駅を通り、中央駅は通らない)
  • ミュンヘン-カールカースエのICE

各方面の乗車チャンスは2時間に3本しかありませんが、この区間を高速新線を通らないICE、IC、ECも同等数設定されていますし、ミュンヘン-カールカースエ運転のICEをシュトゥットガルト中央で乗りかえると、フランクフルト中央駅にもフランクフルト空港駅にも向かうことができます。

ウルム-シュトゥットガルトは高速新線経由で42~46分、在来線で58分~62分程度です。また、在来線には直通のREもあり、料金不要列車も確認できます。

ナイトジェットの拡充

写真2. ナイトジェット(夜行列車便)はチューリッヒにもやってくる

ドイツ発着のナイトジェット便はいくつかあります。それらのうち、一部はドイツ南部のミュンヘンを起点にイタリア・スロベニア方面に向かう便があります。

図2. ミュンヘンの位置(googleマップより引用)

  • ミュンヘン-ヴェネツィア(ベニス)
  • ミュンヘン-ザグレブ
  • ミュンヘン-リブリャナ

これらの便がミュンヘン発着からシュトゥットガルト中央発着に延長されています。ただし、ミュンヘンの発着駅は中央駅から東駅に変更されており、ミュンヘンの中心に近い場所から乗れないことに注意です。ミュンヘン中央駅が頭端式ホームであり、方向転換が面倒というのがその理由でしょうが、ミュンヘン中央駅とミュンヘン東駅(付近)を貫通する地下線を建設すれば、ミュンヘン中央駅に寄れるように感じます。

図3. ミュンヘン中央駅とミュンヘン東駅の位置関係(googleマップより引用)

また、チューリッヒ-ベルリンの夜行列車の経路がマクデブルク経由からライプツィヒ経由に変更されます。これは、チューリッヒ-プラハの夜行列車がライプツィヒ経由で新設され、これと連結されるためです。新設の夜行列車の時刻は以下の通りです。

  • チューリッヒ19:59→フランクフルト0:52→ライプツィヒ4:48→ドレスデン7:05→プラハ9:35
  • プラハ18:25→ドレスデン21:10→ライプツィヒ23:46→フランクフルト3:46→チューリッヒ9:05

ミュンヘンとチューリッヒ間の多客期の増発

昔からミュンヘンとチューリッヒ(スイス)の間は国際列車が1日3往復程度運転されていました。ドイツ国内の大部分が非電化だったのですが、ドイツ国内も電化され、リンダウの経由駅も変わり、1日6往復体制となりました。

図4. ミュンヘンとチューリッヒの位置関係

1日6往復に増発され、利用しやすくなったのですが、ミュンヘン発8:55~12:55、チューリッヒ発13:33~17:33の間に4時間のダイヤホールがありました(他は2時間間隔)。この間を埋めるようにミュンヘン発は日曜(ただし、4-10月)に、チューリッヒ発は金曜(4-10月)に増発されます。

いずれの便もミュンヘンとチューリッヒを3時間30分余りで結んでおり、ドイツ南部とスイス北部の行き来に重要な役割を果たしています。そして、オーストリア西部も通り、この列車に乗ると3か国を制覇できる貴重な存在です。

図5. 途中、ブレゲンツ(オーストリア)も通る

ケルン発着便のハンブルク延長

図6. ケルンとハンブルクの位置関係(googleマップより引用)

ケルン-フランクフルト方面を運転している列車の一部がハンブルクに延長されます。実際の時刻表を見ると、バーゼル発5:13(改正前は5:06)のICE206列車がケルン行きからハンブルク行きに延長され、ケルン9:10→ハンブルク13:30が増発になっています。増発された列車は以下の通りです。

  • ケルン9:04→ハンブルク12:58(ケルン始発)
  • ケルン9:10→ハンブルク13:30(バーゼル始発ブレーメン経由)
  • ケルン16:04→ハンブルク20:05(ケルン始発)
  • ハンブルク7:38→ケルン11:58(ブレーメン経由ケルン行き)
  • ハンブルク12:50→ケルン16:57(ブレーメン経由ケルン行き)
  • ハンブルク16:50→ケルン20:57(ブレーメン経由ケルン行き)

この増発によって、ケルン-デュッセルドルフ-ブレーメン-ハンブルクを結ぶICまたはICE(この区間は在来線のためICでもICEでも所要時間は同等)は1時間間隔で運転されることになりました。このほかに、路線の多いルール地方の諸都市を経由する系統も別途運転されます。

補足

ケルンより北側は多くの都市が配置されており、それらを結ぶ鉄道が網の目のように張り巡らされています。そのため、変則的なルートを経由する速達列車も存在します。(補足終了)

フルダ-カッセルの高速線の工事

図7. フルダとカッセルの位置関係(googleマップより引用)

ドイツ中央を南北に結ぶ高速新線がありますが、このうちフルダとカッセルの間が工事のため、変則的なダイヤとなります。フルダとカッセルと言われても実感がわかないと思いますが、ハンブルク-フランクフルト・ミュンヘンを結ぶ重要な幹線上です。また、この区間はフランクフルトとベルリンを結ぶ系統の半数も共有します(もう半数はエアフルトを通り、ここを通らない)。

では、工事でダイヤがどの程度変わるのでしょうか?

  • 2時間に1本のフランクフルト空港-ベルリンの系統がフランクフルト空港-ゲッティンゲンで区間運休し、ゲッティンゲン-ベルリンの区間運転(2時間に1本のフランクフルト中央-ベルリンは通常運行)
  • 上記措置のため、フランクフルト中央-ベルリン(エアフルト経由でカッセルを通らない系統)の速達便(2時間に1本)をフランクフルト空港発着に延長し、フランクフルト空港からベルリンの乗車チャンスは維持
  • フランクフルト中央-ベルリン(カッセル経由)の所要時間は15~20分程度増加
  • 毎時1本のハンブルク-フランクフルト方面は本数維持、ただし所要時間は45分程度増加
  • 毎時1本のハンブルク-ミュンヘン方面は本数維持、ただし所要時間は45分程度増加

フランクフルト-ベルリンについては所要時間は15分程度の増加ですが、ハンブルク-フランクフルト・ミュンヘンの所要時間は45分程度も増加しています。この差異はフランクフルト系統は工事区間を通らずにギーセンを経由しているためです。

スイス

写真3. インターラーケン東付近の風景(ゴールデンパスラインの風景の1つ)

スイスの主要トピックは以下の通りです。

  • 週末に限り、ジュネーブ-クールの直通便を設定
  • ゴールデンパスラインの直通便を設定(シーズンは1日4往復、そのほかは1日1往復)
  • ビュル-ブロの線路を狭軌から標準軌に変更し、ベルン直通を設定
  • アルトシュテッテン-ブフスの工事によるバス代行

ジュネーブ-クールの直行便を設定

図8. チューリッヒとクールの位置関係(googleマップより引用)

クールはスイス東部にある場所です。スイス最古の都市としても知られています。しかし、それよりも氷河急行やベルニナ急行の始発としてのほうが有名かもしれません。そのクールにはスイス最大の都市のチューリッヒから直通があります。基本的に毎時1本の国内列車と2時間に1本のドイツ直通が運転されます。毎時1本の国内列車はスイス北部のバーゼルから直通します(ドイツ直通もバーゼル直通という意味では同じですが)。

今回のダイヤ改正で週末に限り、国内列車の発着駅が1日2往復だけジュネーブに振り替えられます。つまり、

  • ジュネーブ-チューリッヒ-ザンクトガレン
  • バーゼル-チューリッヒ-クール

の組み合わせが、

  • ジュネーブ-チューリッヒ-クール
  • バーゼル-チューリッヒ
  • チューリッヒ-ザンクトガレン

に振り替えられるということです。なぜか、バーゼル-ザンクトガレンを直通しません。

JR西日本の神戸線、東西線、宝塚線の普通が大阪方面-宝塚方面、東西線方面-神戸方面の組み合わせで運転されているところ、特定の時間だけイレギュラー的に大阪方面-神戸方面、東西線方面-宝塚方面に組み替えられ、東西線-宝塚方面はなぜか尼崎乗りかえになる、というイメージでしょうか。

これによる特定区間のダイヤが変わることはありません。「時刻も異なる別系統に組み替えるので、時刻も変わるのでは?」という感想を持ちがちですが、スイスでは拠点駅にほぼ同時に到着し、同時に発車します。そのため、組み合わせを変えたところで、時刻を変えなくとも良いのです。

運転系統の一部変更は、クールへの集客なのでしょうか。ジュネーブ系統はベルン(スイスの首都)、ローザンヌ、ジュネーブとスイスの主要都市が並び、直通列車設定による集客を狙っているのでしょうか。

図8. ジュネーブとチューリッヒの位置関係(googleマップより引用)

ゴールデンパスラインの直通便を設定

写真4. 新型車両による直通運転が開始された(写真はMOB鉄道公式サイトより引用)

ゴールデンパスラインというのは、スイス中央部のルツェルンからスイス西部のモントルーまで向かう、景勝ルートの1つです。

しかし、ルツェルンからモントルーまでの直通はなく、以下の構成になっています。

  • ルツェルン-インターラーケン東
  • インターラーケン東-ツヴァイジンメン
  • ツヴァイジンメン-モントルー

図8. ゴールデンパスラインの位置(ツアー募集サイトより引用)

マイリンゲン(Meiringen)で方向が変わっていますが、これは地形によるもので、運転系統が分かれているわけではありません。

では、なぜ直通していないのでしょうか?その理由は簡単で、真ん中のインターラーケン東からツヴァイジンメンは標準軌、他の区間は狭軌で直通できないのです。これらは鉄道会社も異なり、中央部分も私鉄なのですが、中央部分は国鉄列車が多く乗り入れており、私鉄であることに気づかないくらいです(列車によってはドイツ直通もある)。

しかし、現代の技術は発展しており、フリーゲージトレインを運転し始めます。それが、インターラーケン東とモントルーの直通です。

車両の運用の関係か、常時運転するのは1日1往復に限定されます。シーズン中は1日4往復に増発されます。直通列車を活用すると、ゴールデンパスラインの乗り通しが便利になります。

  • ルツェルン7:06→インターラーケン東8:55/9:08→モントルー12:20(シーズン中は2、5、7時間後に設定あり)
  • モントルー9:35→インターラーケン12:50/13:06→ルツェルン14:55(シーズン中は2、5、7時間後に設定あり)

1日4往復とは少ないように見えますが、従来の乗りかえが必要な便は1時間間隔で走っており、従来便の減便はありません。ツヴァイジンメン-モントルー間のゴールデンパスパノラマミックは継続されています。

※新型車両に関する情報は公式サイトより入手できます。

ブロとビュルの間の標準軌化

スイスの鉄道路線は基本的に標準軌です(氷河急行で有名な路線などは狭軌ですが)。そのため、拠点に向かうには標準軌のほうが合理的です。

図9. ブロとビュルの位置関係(googleマップより引用)

この1つの事例にブロへの路線が挙げられます。この路線はもともと狭軌でしたが、標準軌への改軌が完了し、ベルンへの直通が開始されました。ブロからビュルまでは30分間隔ですが、その列車の全てがフリブール(ドイツ語ではフライブルク)に直通します。そして、60分間隔でベルンに直通します。フリブールからベルンまではスイスの最重要幹線ですから、本数もそれなりに確保されています(ノンストップの速達列車だけでも30分間隔を確保)。

情報

上でフリブール(ドイツ語ではフライブルク)と記しました。この意味について補足します。ご承知の通り、スイスにはスイス語はありません。地域によって使用している言語が異なり、ドイツ語、フランス語、イタリア語、そしてロマンシュ語です。

図10. スイスの言語分布(スイスに関するサイトから引用)

例えば、チューリッヒ、ベルンはドイツ語圏に位置し、ローザンヌやジュネーブはフランス語圏に位置します。ベルンとローザンヌの間に位置するフリブールはドイツ語圏とフランス語圏の境界にあり、双方の言語での呼びかたがあります。フリブールはフランス語表記、フライブルクはドイツ語表記です。同様の例にビール(フランス語)/ビエンヌ(ドイツ語)があります。

欧州には、同様の場所が多くあります。ポーランドの港湾都市のグダンスク(グダニスクと表記されることもある)はドイツ語でダンチヒですし、イタリアのヴェネツィアは英語ではベニスです。(補足終了)

スイス東部の工事によるバス代行

Altstätten と Buchs の間の路線が 2 月 27 日から 10 月 29 日まで鉄道通行止めとなり、ルートのアップグレード作業が行われます。鉄道の代替バスは閉鎖中に運行されます。

図11. アルトシュテッテンとブフスの位置関係(googleマップより引用)

この区間は1時間間隔で所要時間16分のIR(日本でいう急行列車あるいは多停車型の特急)が運転されています(このほかに1時間間隔の地域列車のSバーンがあるようです)。2/27~10/29までバスで代行しており、以下の構成です。

  • アルトシュテッテン-ブフスの代行バス(60分間隔、所要時間33分)
  • ザンクト・マルグレーテン-ブフスの代行バス(60分間隔、所要時間48分)

この区間は国際列車が走っていない(国際列車が設定されているのはブフス以南)ですので、長距離輸送の影響は大きくないのでしょうか。

オーストリア

レイルジェット(ウィーン中央)

写真5. ウィーン中央駅に停車中のレイルジェット(チェコ車、2019年に撮影)

あまり知られていませんが、オーストリアは中欧にある国で、鉄道網もそれなりに発達しています。そして古都ウィーンとアルプス山脈と観光資源が豊富な国です。

  • ウエストバーンの増発
  • リンツ-グラーツの直通列車増発
  • 朝時間帯のウィーン-フィラハの増発

ウエストバーンの増発

写真6. ウエストバーンが停車中のウィーン西駅

欧州の鉄道は「オープンアクセス」と言って、多くの鉄道会社が参入できるようになっています。いうなれば、JR東日本の東海道線の線路上に湘南快速鉄道という会社が「湘南快速」を走らせ、JR東日本と客を取り合うという展開です(東海道線と京急がライバル視されるが、両者は別の線路を通っており、欧州のライバルとは一味違う)。

その1つがオーストリアでネットワークを形成するウエストバーンです。ウィーンから見て西に向かうので、このような名称を付けたのでしょうか。

基本的にウィーン西駅(中央駅ではない!)とザルツブルクを30分間隔(ただしたまに60分間隔の箇所がある)・2時間半(国鉄の所要時間は中央駅から2時間25分~2時間53分)で結んでいるので、駅の立地以外では互角です。そのウエストバーンはミュンヘンまで1日4往復、インスブルックまで1日2往復延長されます。時刻表で比較したところ、60分のダイヤホールをいくつか埋めたところでしょうか。

(参考)図12. ウィーンとザルツブルクの位置関係(googleマップより引用)

グラーツ-リンツ間の増発

昔はオーストリア帝国は中欧に君臨する国家でした。その名残もあり、オーストリアを中心とする中欧地区(除ドイツ)はウィーンを中心とする鉄道網が形成されています。南のトリエステ(現・イタリア)、東のブダペスト(現・ハンガリー)、北のプラハ(現・チェコ)といった具合にです。そうした視点でオーストリアの鉄道網を見ると、ウィーンを中心とする放射軸と、それらを連絡する環状軸に分けられます。

図13. グラーツとリンツの位置関係(googleマップより引用)

オーストリアの環状軸は多くの系統がありますが、その1つにグラーツとリンツの系統があります。オーストリア第2の都市(グラーツ)と第3の都市(リンツ)を結ぶ系統ですが、従来は1日2.5往復しかありませんでした。これが1日4往復まで増発されています。

  • グラーツ6:56→リンツ10:04
  • グラーツ12:56→リンツ16:04
  • グラーツ16:56→リンツ20:04
  • グラーツ18:56→リンツ22:04
  • リンツ5:57→グラーツ9:03
  • リンツ7:57→グラーツ11:03
  • リンツ11:57→グラーツ15:03
  • リンツ17:57→グラーツ21:03

ただし、この程度の運転頻度では利用しにくいです。せめて2時間間隔に増発いただきたいものです。とはいえ、グラーツ-ウィーンは1時間間隔、ウィーン-リンツは1時間に2本+2時間に1本(ドイツ直通)が運転されており、乗りかえも同じ駅(ウィーンマイドリング)でそこまで不便ではないのかもしれません。

グラーツからリンツまでウィーン経由で向かうとどうでしょうか。

  • グラーツ7:25→ウィーンマイドリング9:55/10:02→リンツ11:38
  • リンツ7:32→ウィーンマイドリング8:58/9:05→グラーツ11:34

確かに1時間程度余計にかかりますが、1時間間隔の運転頻度が確保され、そこまで悪い選択肢ではありません。

ウィーン経由だと遠回りがより目立つ、グラーツ-ザルツブルクについてはおおむね2時間間隔の乗車チャンスを確保しています。

重要

先の乗りかえパターンで、ウィーン中央駅ではなく、ウィーンマイドリング駅での乗りかえというテクニックを紹介しました。これは簡単な理由です。ウィーン中央駅からグラーツ方面に向かう列車も、リンツ方面に向かう列車もウィーンマイドリングを通ります。そのため、ウィーン中央駅で乗りかえると、ウィーンマイドリング-ウィーン中央の複乗が発生し、旅程の効率も高くありません。

そのため、複乗を避けるために乗りかえにウィーンマイドリングを選択するという高等テクニックを発揮しました。中央線名古屋地区と東海道線快速を乗りついで、多治見方面-豊橋方面に向かう際に名古屋でなく金山で乗りかえるといえばわかりやすいでしょうか?このように複乗を避けるやりかたは旅程立案の奥義とされます。

ウィーンマイドリング

写真7. ウィーンマイドリング駅の様子(2018年に撮影)

朝時間帯のウィーン-フィラハの増発

今回のダイヤ改正でウィーンとフィラハの列車が1往復増発されました。

図14. フィラハとウィーンの位置関係(googleマップより引用)

フィラハはオーストリア南部の都市で、イタリアとスロベニアに近い場所に位置します(図14)。フィラハは(東欧方面-)ウィーン-イタリア方面の軸と、(西欧方面-)ザルツブルクースロベニア方面の軸が交差する場所にあり、交通の要衝ともいえる場所です。

そんなフィラハとウィーンの間は終日2時間間隔で所要時間4時間30分程度で結んでいます。今回の増発は以下の通りです。

  • ウィーン9:18→フィラハ13:48
  • フィラハ6:13→ウィーン10:42

いずれも乗客が多く見込まれる時間帯で、2時間間隔のちょうど中間に挿入され、乗客の多い時間帯の1時間間隔を確保する目的に読み取れます。

乗客の多くない時間帯は2時間間隔ですが、乗車チャンスは2時間間隔より多く確保されています。ウィーンからフィラハの乗車チャンスは以下の通りとなっています。

  • ウィーン10:18→フィラハ14:46(直通)
  • ウィーン10:58→ブルック・アン・デア・ムーア12:57/13:06→フリーザッハ14:55/15:08→フィラハ16:39
  • ウィーン11:28→ザルツブルク13:53/14:12→フィラハ16:43(別経路)
  • ウィーン12:18→フィラハ16:46(直通)

では、逆方向はどうでしょうか。

  • フィラハ11:14→ウィーン15:42(直通)
  • フィラハ11:16→ザルツブルク13:48/14:07→ウィーン16:32(別経路)
  • フィラハ11:20→フリーザッハ12:56/13:04→ブルック・アン・デア・ムーア14:54/15:02→ウィーン17:02
  • フィラハ13:14→ウィーン17:42(直通)

一応、2時間に3回の乗車チャンスとは表現できます。間隔は2分、4分、114分と「3回」というには語弊はありますが…。

なお、クラーゲンフルト-ウィーンでは25分、95分ともう少しまともな運転間隔にはなります。

2023年のダイヤ改正のまとめ

写真8. ウィーン中央駅にやってきたオーストリア車(手前)とドイツ車(奥)

2023年の新ダイヤ。中欧地区は増発の話が多く、鉄道がますます活発になっている様子がわかります。これは鉄道輸送を鉄道会社に100%任せず、国がサポートしているという要因もありましょう。この良し悪しは立場や価値観によって変わるでしょう。

日本の鉄道サービスはこれらの国々に劣ることはないと思います(新幹線の3分続行などの頻発運転や広いシートピッチは魅力的です)。このような国々の勢いも日本に欲しいとも思ってしまいました。

ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。


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