813系電車の車内を観察する(2018年撮影)

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九州北部で活躍する通勤電車の813系電車。転換クロスシートが特徴の車内で、車内の色づかいも独特のものがあります。そんな813系電車の車内を観察してみました。

写真1. 門司港に停車中の813系電車

復習:813系電車の概要

まず、813系電車の概要を簡単に紹介します。

813系電車の概要

  • 車体:3ドア転換クロスシート(ロングシートもあり)
  • 編成:3両編成
  • 運行路線:鹿児島本線、日豊本線、福北ゆたか線、長崎本線など

813系電車は1994年~2009年にわたって製造された車両です。基本的な車体構造は変わりませんが、長い間に増備された車両なので、増備される間に仕様が変更されています。そのため、0番台、100番台、200番台、300番台、1000番台、1100番台と多岐に分類されます。ロングシートで製造された車両以外はドア間5列の転換クロスシートです。

写真2. 初期の車両と後期増備車が連結される

当初、813系電車は2両編成でデビューしました。その後3両編成が増備され、2両編成と3両編成が混在することになりました。しかし、これでは運用の制約があります。そこで、初期車に増備車をはさんだ3両編成が登場しました(写真2)。左側が増備車で窓ガラスが黒いのがわかります。

ただし、乗客にとっては2000番が加えられた「輸送力増強」車のほうが違いが大きいでしょう。従来5列あった座席が3列に減少し、ドア付近のスペースが拡大しています。鹿児島本線に817系電車を投入したときのように編成増強しているのであればともかく、減車や減便と引き換えに車両の「輸送力増強」というのは感心しません。

813系の車内を眺める

それでは、そんな813系電車の車内を眺めましょう。今回は主力となる200番台です。

写真3. ドア間に展開する転換クロスシート

ドア間に転換クロスシートが展開します(写真3)。赤い座席と独特の柄の床が印象を強めます。せっかくの新造車ですが、座席割と窓割は一致しません。これは415系1500番台と窓を共通化したためです。811系とともにドア間5列の転換クロスシートなのですから、811系時代から窓割を考慮すれば良かったと表現できます。

写真4. 赤の世界が織りなす世界

813系の前期増備車は座席の彩度が高く、独特の世界が広がります(写真4)。ここで、背もたれの柄が複数あることに気づかされます。

写真5. 座席割と窓割が一致していない

座席割と窓割は一致していません。風景を眺めにくいのも困るのですが、それより困るのがこの写真のように日差しが入る場合です。自分だけがカーテンを閉めるわけにもいかず、快適な空間から遠くなってしまいます。

なお、後期の増備車はスモークガラスを採用し、日差しが入りにくくし、この問題に対して一定の解決策を提案しています。

写真6. 着席時の視点

着席時の視点です(写真6)。JR東海やJR西日本の快速用車両の先入観で「転換クロスシート車=カバー付きの照明」という図式がありますが、その図式が誤りなことに気づきます。813系電車の蛍光灯にはカバーはありません。

また、分割民営化で乗客が増えてきたのを反映してか、座席前に吊革があります。

写真7. クロスシートが並ぶ

車内を別角度から撮影しました(写真7)。赤いクロスシートと青い貫通扉、これが車内に強い印象を与えています。

写真8. 車端部はボックスシート

車端部はボックスシートです(写真8)。よく見ると、進行方向左側にはゴミ箱がなく、右側にはゴミ箱があります。そのため、右側のボックスシートのシートピッチはやや狭めです。そして、ゴミ箱上のカウンターがおしゃれです。

写真9. ボックスシートの様子

ボックスシートの様子です(写真9)。813系(福北ゆたか線の500番台除く)はオールクロスシートというポリシーがあったのでしょうか。後年の「輸送力増強車」のことを考えると、車端部をロングシートにするという選択肢もあったことでしょう。

写真10. 運転台仕切り

運転席の仕切壁です。あまり目立ちませんが、JR九州の車両は高運転台構造で、前方の視界はそれほど良好ではありません。それでも仕切窓を3枚用意し、車内の開放感を演出し、前面展望に配慮していることを読み取れます。ここの扉も青系の色相を採用し、側面ドアの赤と好対照をなしています(厳密には赤と青は補色色相ではなく対照色相です)。

写真11. 前面展望の様子

前面展望の様子です(写真11)。それなりに見えることがわかります。

写真12. 813系電車の方向幕

813系電車の方向幕です(写真12)。種別と行先を別々に表示できます。回送はJRマークとともに表示されるのですか!

813系電車の車内を見てみて

写真13. 後年の増備車は「赤」の彩度が下げられた

車内に強い印象がない首都圏の電車に慣れていると、813系電車の彩度高い空間に驚きました。JR九州は独特の世界を築いているように感じます。ただし、JR他社でも常識となっている転換クロスシート車を採用し、インテリア面では他社レベルに劣らず、サービスレベルは他社に決して劣ることはありません(座席割と窓割が一致しないという面はありますが)。ここで述べた、座席割と窓割が一致しないことは世界標準レベルであることも事実です。

近年の「輸送力増強車」は感心しませんが、これは輸送状況が変わり、ひとえに813系そのものが悪いわけではありません。できれば、「座席増強」改造により、このときの姿を戻し、あこがれの九州の鉄道という姿に復帰してもらいたいものです。

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