2019年3月ダイヤ改正における田園都市線の変化




小田急のダイヤパターン変更や東武の川越特急が注目された2019年3月ダイヤ改正。しかし、それ以外に大きな変化が生じた路線があります。それが東急田園都市線です。どのような変化があったのか見てみましょう。

東武50050系(渋谷)

写真1. 渋谷から大量の乗客を乗せる電車


朝ラッシュ時の変化

ダイヤ改正前後の渋谷到着時刻を並べます(表1)。目立つ変化がある箇所は黄色の網掛けで示しました。なお、この記事では赤字は急行を示し、緑字は準急を示します。

表1. 2019年3月ダイヤ改正前後渋谷到着時刻の比較

19.3ダイヤ改正前後朝ラッシュ渋谷上り時刻

ここでわかるのは、ラッシュピーク時の前後の準急が急行に置き換わっていることです。これにより、長津田や中央林間からの所要時間が短縮しています。例として、以下の3本の所要時間を比べましょう。

(改正前)長津田7:01→溝の口7:21→渋谷7:42
(改正後)長津田7:00→溝の口7:20→渋谷7:40

(改正前)長津田8:20→溝の口8:38→渋谷9:01
(改正後)長津田8:19→溝の口8:38→渋谷8:58

(改正前)長津田8:27→溝の口8:44→渋谷9:05
(改正後)長津田8:26→溝の口8:44→渋谷9:03

いずれも、準急から急行に格上げされた電車については、長津田や溝の口からの所要時間は1~2分短縮されています。これは、桜新町で各駅停車を追い抜くことで、電車1本ぶんのスピードアップとなっているためです。このことで、ピーク時からピーク前後の電車にシフトを促し、ラッシュピーク時の混雑率を少しでも下げようという意図が読みとれます。

ただし、気になることは、長津田→溝の口での所要時間が増えていることです。試しに、ラッシュピーク時の準急で考えてみましょう。
(改正前)長津田7:36→溝の口7:56→渋谷8:19
(改正後)長津田7:35→溝の口7:55→渋谷8:19
渋谷到着時刻が変わっていないにもかかわらず、長津田や溝の口の発車時刻は1分早まっています。これは言いかえると、所要時間が1分増えていることを意味します。これはいただけませんが、遅れると東武線まで遅れが波及するので、遅れ防止のために所要時間を多くとったと理解できます。以前のダイヤ改正(2016年ダイヤ改正)で、遅れ防止のために毎時29本運転を毎時27本運転にしたことも記憶されます。

ラッシュピーク時の本数は変わりません。これは、現在のラッシュピーク時の本数が限界に達しているためです。現在のダイヤは微妙なバランスから成り立っているのです。公称混雑率186%であるほどの混雑であれば、少しの変化でも現在の輸送のバランスが変わってしまうのです。

日中時間帯の変化

ダイヤ改正前後で、急行毎時4本、準急毎時2本、各駅停車毎時8本という本数は変わりません。また、土日には30分間隔で大井町-長津の急行を運転していることにも変わりません。このように平日と休日でパターンが異なるので、それぞれを考察します。

平日日中時間帯の変化

12時台の発車時刻で比べてみましょう。対象とするのは、下りは渋谷、上りは長津田とします。下線で示した電車は渋谷発着を示します。

表2. 平日日中時間帯の渋谷の発車時刻の比較

19.3ダイヤ改正前後日中渋谷下り時刻

全体として、運転間隔が均等になったことがわかります。最も大きいのは7分発と14分発の間にあった7分のダイヤホールが5分に縮まっています。その代償として、急行の15分間隔が崩れていて、12分間隔と18分間隔の交互になっています。ただし、急行の運転間隔が18分開く箇所については、急行の4分続行で準急が運転されており、準急と急行の間隔が14分と、速達列車の最大運転間隔がダイヤ改正前の15分からダイヤ改正後の14分に縮まっており、そこまで問題視する必要はありません。

急行の所要時間を見てみましょう。ダイヤ改正前の3分発の急行は中央林間まで39分、18分発の急行は中央林間まで36分です。平均37.5分ですね。一方、ダイヤ改正後の6分発の急行は中央林間まで38分、18分発の急行は中央林間まで39分です。平均38.5分ですね。つまり、平均1分所要時間が増えています。

表3. 平日日中時間帯の長津田の発車時刻の比較

19.3ダイヤ改正前後日中長津田上り時刻

こちらは、そこまで発車時刻が変わっていません。下りと同様に急行の中央林間から渋谷までの所要時間を計算すると、ダイヤ改正前は37.5分でダイヤ改正後は38.5分となっており、こちらも平均1分所要時間が増えています

休日日中時間帯の変化

12時台の発車時刻で比べてみましょう。対象とするのは、下りは渋谷、上りは長津田とします。

表4. 休日日中時間帯の渋谷の発車時刻の比較

19.3ダイヤ改正前後休日日中渋谷下り時刻

平日ダイヤとあまり変わりませんが、大井町線急行に接続する各駅停車は枠で囲んでいます。こちらも、平日と同じような変化です。渋谷から中央林間までの急行の所要時間は、ダイヤ改正前は40.5分、ダイヤ改正後も40.5分と所要時間の変化はありません。

表5. 休日日中時間帯の長津田の発車時刻の比較

19.3ダイヤ改正前後休日日中長津田上り時刻

平日ダイヤとあまり変わりません。大井町線急行は枠で囲んでいます。こちらも、平日と同じような変化です。中央林間から渋谷までの急行の所要時間はダイヤ改正前の38分からダイヤ改正後の39分に1分増えています。

夕方ラッシュ時の変化

夕方ラッシュ時の時刻についても比べてみましょう。ここでは、渋谷発17:00~20:00とします。

表6. 夕方渋谷の発車時刻の比較

19.3ダイヤ改正前後夕方渋谷下り時刻

下線は渋谷始発を示します。これを見ると、17時台に2本、18時台に1本増発されていることがわかります。いずれも増発した列車を黄色で示しましたが、全体的に間隔を詰めて1本をねじ込んだ感じです。

増発したということは所要時間の増加が気になります。そこで、所要時間を比較してみましょう。17:30、18:30、19:30ごろの急行を取り上げて、それぞれの所要時間を比較してみます。

(改正前)渋谷17:30→長津田18:04→中央林間18:11
(改正後)渋谷17:30→長津田18:04→中央林間18:12

(改正前)渋谷18:32→長津田19:07→中央林間19:14
(改正後)渋谷18:29→長津田19:07→中央林間19:15

(改正前)渋谷19:28→長津田20:04→中央林間20:10
(改正後)渋谷19:33→長津田20:11→中央林間20:18

これらの平均をとると、長津田まで2分程度増加、中央林間まで3分程度増加というのが現状です。これは間隔を詰めているため、急行がすぐに各駅停車に追いついてしまい、それだけ徐行することが増えることを示しています。

2019年3月ダイヤ改正のまとめ

朝ラッシュ前後の準急をにすることで、少しでも朝ラッシュピーク時から前後の時間帯にシフトさせようという意図を感じます。また、朝ラッシュ時に混雑がひどいぶん、夕方は少しでも増発して混雑を緩和して「朝は混むけど、夕方はそこまで混まないようにするから許してね☆」という意図も感じます。

このように、限られた設備で快適にしようという努力が見えるダイヤ改正です。しかし、その裏側では所要時間の増加という負の側面も見えてしまいます。その増加ぶんは中央林間まででも2分程度でしかありませんが、混んだ電車の中で過ごす時間そのものが増えるのは事実です。田園都市線の輸送力はかなり限界に達していることがわかります。現在は大井町線へのシフトで対応していこうという方向です。それでも沿線から都心方向に向かう乗客の多くは田園都市線を利用することでしょう。また、大井町線へのシフトで空いたら、「田園都市線が空いたから田園都市線沿いに住む!」という人も現れることでしょう。田園都市線沿線は人気の路線ですが、人気がゆえになかなか混雑が緩和せずに、所要時間も増えるというジレンマもあるのです。

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