スイスでも使えるユーレイルパス(グローバル)。とはいえ、スイス国内でも使えないエリアがあります。それをまとめてみました。
写真1. 私鉄のZB(ゴールデンパスラインの一部を担う路線)も乗れる(ルツェルンで撮影)
簡単にわかるまとめ
簡単にわかるまとめです。
- 国鉄・私鉄にかかわらず、指定席以外であれば、基本的にどの路線でも乗ることができる
- ただし登山鉄道の多くは追加料金が必要であり、多くの登山鉄道で25%引きの料金が必要
- 都市内交通も基本的に利用できない
全席指定席なのは、氷河急行などの有名な観光列車です。なお、国鉄の特急列車は任意指定制で、「予約席のみ指定席扱い、ほかは自由席扱い」というものです。また、有名な観光列車が運行される路線であっても、普通列車(に相当する列車)は全席自由席です。
復習:ユーレイルパス(グローバル)とは?
図1. ユーレイルパス(グローバル)の有効範囲(ユーレイルパス公式サイトより引用)
まず、ユーレイルパスについて簡単にまとめます。
- 有効範囲:欧州33か国
- 有効期間:1日単位(夜行列車は「到着して降りるまで」1日を延長)
- 乗れる列車:国鉄線全線(国によっては民営化した全国鉄道網-日本でいうJRのような存在-)の全列車(国によっては特急系が全席指定席で、指定席券が必要な場合あり)
- 発売単位:任意の4日~15日(4,5,7,10,15日)または連続15日~3か月(15日,22日,1-3か月)
- 等級:1等または2等
- 資格:33か国非在住者(在住者はインターレイルパスがあります)
ユーレイルパスは欧州(トルコは欧州かどうか議論はあると思いますが)の33か国で使用できる、鉄道の乗り放題チケットです。非常に大ざっぱな書きかたをすると、「欧州33か国で利用でき、特急にも乗れる青春18きっぷ」というイメージです。
「青春18きっぷ」と同じく、任意の1日が有効です。夜行列車については、1日が延長されます。具体的には、夜行列車を降りる駅まで有効です。ジャーマンレイルパスなどでは夜行列車には「19時ルール」があり、19時以降に夜行列車に乗る場合は、翌日にカウントされるのですが、この「19時ルール」とは異なりますので、ご留意ください。
そして、「青春18きっぷ」と同じく、適用期間と適用日があります。青春18きっぷであれば、「12/10~1/10の任意の5日間有効」というような規定があります。それと同じです。4~7日有効のものは1か月間、10日・15日有効のものは2か月有効です。つまり、15日有効のものは任意の2か月(約60日の間の任意の15日で効力を発揮)の間に使えるということです。
有効な路線や列車は該当国の国鉄の原則全列車です。夜行列車も含みます。ドイツのように民営化した国では、国鉄相当(日本でいうJR相当)に乗ることができます。ただし、都市内交通では使えないところが多いです。パリのメトロやドイツ語圏のUバーンでは使えません。とはいえ、国鉄で運営しているSバーンでは使えますし、パリのRERは北駅より郊外よりで使えます(北駅より郊外はフランス国鉄の運営)。
※使用可能な国と鉄道会社のリストは公式サイトのリストをご覧ください。オーストリアから並んでいるのは、英語のアルファベット順のためです(オーストリアはAustriaと書きます)。
1等用と2等用が用意されています。2等用は2等車(日本の普通車相当)、1等用は1等車(日本のグリーン車相当)に乗ることができます。
スイスで使える範囲
写真2. このような美しい景色も楽しめる(ベルンからインターラーケンの列車で撮影)
スイスでは国鉄のほかにも私鉄があります。多くの人があこがれる、氷河急行、ベルニナ急行やゴールデンパスラインはみんな私鉄です。このほか、国鉄線のような私鉄線が非常に多く、私鉄によっては、国際列車を受け入れる路線もあるほどです。
そのため、私鉄に乗れるかどうかは非常に重要なことです。ここで公式サイトのリストをまとめます。
わかりやすい路線図
図2. 公式サイトの路線図が最もわかりやすい!
わかりやすい路線図が公式サイトに掲載されています。これが全てです。以下の章で簡単に解説します。
追加料金なしで利用できる鉄道
まず、追加料金なしで乗れる鉄道をまとめます。
- AB:アッペンツェル鉄道 (Appenzeller Bahnen)
- アーレ ゼーラント交通 (Aare Seeland Mobil)
- BDWM 交通 (BDWM Transport AG)
- BLS AG(ゴールデンパスラインの一部を担う路線もあり)
- BLT:バーゼルラント交通局 (Baselland Transport AG)(バーゼル市内交通は利用不可)
- ベルニナ エクスプレス (Bernina Express)(有名なベルニナ急行)
- CJ:ジュラ鉄道 (Chemins de Fer du Jura)
- FART:ティチーノ州地域鉄道 (Ferrovie Autolinee Regionali Ticinesi)
- FW:フラウエンフェルト-ヴィル鉄道 (Frauenfeld-Wil-Bahn AG)
- グレッシャー エクスプレス (Glacier Express)(有名な氷河急行)
- LEB:ローザンヌ-エシャラン-ベルシェ鉄道 (Chemins de Fer Lausanne-Echallens-Bercher)
- MBC:ビエール-アプル-モルジュ鉄道 (Chemin de fer Bière-Apples-Morges)
- MGB(氷河急行が運転される路線の一部を運営する会社)
- MOB および MVR(ゴールデンパスラインの一部を担う路線を運営する会社)
- NStCM:ニヨン-サンセルグ-モレ鉄道 (Chemin de Fer Nyon-St. Cergue-Morez)
- RA:レギオンアルプス (RegionAlps)
- RhB:レーティッシュ鉄道 (Rhätische Bahn AG)(氷河急行とベルニナ急行を運転する会社)
- SOB:南東鉄道 (Südostbahn)
- SSIF:アルプス山麓鉄道 (Società Subalpina di Imprese Ferroviarie)
- トゥルボ鉄道 (THURBO AG)
- TMR:マルティニ地域交通 (Transports de Martigny et sa Regions)
- TPC:シャブレ公共交通 (Transports Public du Chablais SA)
- TPF:フリブール公共交通 (Transports Public Fribourgeois)
- トラヴィス社 (TRAVYS SA)
- TRN:ヌーシャテル地域交通 (Transports régionaux neuchâtelois)
- WB:ヴァルデンブルガー鉄道 (Waldenburgerbahn)
- WSB:ヴィネンタル-ズーレンタル鉄道 (Wynental- und Suhrentalbahn)
- ZB:ツェントラル鉄道 (Zentralbahn AG)(ゴールデンパスラインの一部を担う路線)
多くの鉄道路線を並べましたが、ある程度の距離を走る路線は問題なく使えます。つまり、登山鉄道や都市内交通を利用しない限り、(指定席が必要な列車でなければ)スイス全土で使えるということです。
割引料金で利用できる鉄道
次に、追加料金なしで使えないが、全額支払う必要もない鉄道会社をまとめます。
- ASM Aare Seeland(アーレ ゼーラント):リガーツ(Ligerz) - テッセンベルク(Tessenberg)(25%引き):ビール湖近くです
- BET ベルクバーネン(Bergbahnen)(25%引き):ルツェルン南の山岳鉄道です
- BGF ベルクバーネン(Bergbahnen)(25%引き):インターラーケンの南にあります
- BOB ベルナー オーバーラント鉄道(Berner Oberland Bahnen)(25%引き):インターラーケンの南にあり、BGFへのアクセス路線でもあります
- HB ハーダーバーン(Harderbahn)
- JB:ユングフラウ鉄道 (Jungfraubahn)(25%引き)
- LSMS:この路線もインターラーケンの南にあります
- PB:ピラトゥス鉄道 (Pilatusbahn)(50%引き)
- RB:リギ鉄道 (Rigi Bahn)(50%引き):リギ山への路線で、私も乗っています
- SMF (シュテックアルプ(Stöckalp) - メルヒセ(Melchsee) - フルット(Frutt))(25%引き):ルツェルンの南、インターラーケンの東にあります
- SMtS(25%引き)
- SthB:シュタンザーホルン鉄道 (Stanserhorn Bahn)(25%引き):ルツェルン近くのロープウェイです
- WAB:ウェンゲンアルプ鉄道 (Wengeralpbahn)(25%引き):インターラーケンの南にある路線です
これらの路線は山岳鉄道であり、その多くが25%引きです。50%引きなのが、ピラトゥス鉄道とリギ鉄道だけであり、リギ鉄道はスイストラベルパスであれば、追加料金なしで乗れるということで、優秀な鉄道だと思います!
スイストラベルパスだとどうなの?
では、スイストラベルパスではどうなのでしょうか?それについてまとめました。
では、両者を比較するとどうなのでしょうか?
鉄道パスでのスイス旅行の比較(スイストラベルパスとグローバルパスを比較)
ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。
Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト
また、その予約にはクレジットカードが便利です。
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