休日日中時間帯の地下鉄銀座線の混雑状況(新橋-虎ノ門、現場調査結果)

記事上部注釈
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東京で最も古い地下鉄の地下鉄銀座線。地上から浅い場所を通り、ホームへのアクセスがラクであることと、古くからの繁華街を通っていることから、1日中混んでいるイメージがあります。銀座線でも一番利用の多い区間である新橋-虎ノ門の混雑状況を確認しました。

※本調査は社会情勢で外出「自粛」が実施される前の2020年1月下旬に実施しました。

銀座線1000系(虎ノ門)

写真1. 銀座線虎ノ門に停車中の1000系電車

休日日中時間帯の地下鉄銀座線の混雑状況まとめ

以下、長い本文を読む気がない人のために、要点をまとめます。

・混雑率は80%程度であり、座席前の吊革の半分弱が埋まる状況である
・渋谷行きは中間の車両が混雑する傾向にある
・浅草行きは最後尾が混雑する傾向にある

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は銀座線で最も利用の多い区間である新橋-虎ノ門で混雑状況を確認しました。

※実際には虎ノ門駅のホームの新橋よりで確認しています

混雑状況の生データ

混雑状況の生データから細かく分析することにします。先に生データを示し、その後にデータを解析します。

地下鉄銀座線はおおむね3分間隔で運転されています。1本だけの確認ですと、突発的に空いている・混んでいるという可能性があります。そこで、上下線それぞれ3本ずつ確認しました。

まずは生データを示します(表2)。

表2. 地下鉄の日中時間帯の混雑状況(新橋-虎ノ門、生データ)

休日日中時間帯の地下鉄銀座線の混雑状況(新橋-虎ノ門、生データ)

昼間としてはだいぶ混雑しています。一部、140ポイント(座席が埋まり、座席前の吊革が埋まる状況)の車両も発生しています。いくら都心部であってもこれは混みすぎでしょう。

銀座線の上野-新橋は大局的にみれば山手線や京浜東北線と並行となっているので、乗客はそこまで集中しません。一方、新橋-渋谷はそのような並行路線がありません(細かなことをいうと青山一丁目-渋谷は半蔵門線と並行していますが)。そのため、乗客が銀座線に集中します。そのような事実を改めて認識いたしました。

浅草行きと渋谷行きで混雑状況に違いはありますが、混雑率はおおむね80%であり、昼間にしてはかなり混んでいることがわかります。

混雑状況の分析

生データだけ示しておしまい、というのも不愛想でしょう。そこで、私なりに混雑状況を分析します。要点は以下の通りでしょう

・渋谷行きは中間の車両が混んでいて、両端の車両が空いているが、その差はそこまで大きくない
・浅草行きは最後尾が顕著に混んでいる

分析の基本は層別です。つまり、何かしらの要素の有無で場合分けするということです。どの列車でも号車ごとの混雑状況の差が顕著でしたので、その点に着目してみましょう。

目立つのは、浅草行きの最後尾が混んでいることです。これは、渋谷駅の構造を考えればすぐにわかります。渋谷駅は移転し、ホームが東側に移っています。一方、渋谷の繁華街は西側です。そうすると、少しでも渋谷の繁華街に近い西側(=浅草行きだと最後尾車両)の車両に集中します。その反面、渋谷行きではそのような傾向はありません。これは、(他の路線の調査でも判明していますが)乗客の多くは下車駅で便利な行動をとるのではなく、乗車駅で便利な行動をとるためです。

渋谷行きは中間の車両が混んでいて、両端の車両が空いています。これは一般的な傾向です。それでも両端の車両がガラガラにならないのは、銀座線が6両編成と短いことと、両端に近い場所に階段がある駅もあるためです。

銀座線渋谷駅

写真2. 渋谷駅を繁華街(ハチ公方面)から見る

※改札を入ったら、手前側の車両に乗りたい人も多いでしょう

混雑状況からダイヤを考える

輸送力増強が望ましい対応です。しかし、施設面の制約から8両編成にすることは難しいでしょう。また、8両編成にしたところで、(浅草行きで)渋谷よりが混雑する傾向は変わらないことでしょう。言いかえると、増結しても空いている車両だけが目立ち、混雑した車両の混雑緩和にはならないということです。

そうであれば、増発です。とはいえ、昼間でも3分間隔で運転しているので、増発(2分30秒間隔にするなど)すると、ちょっとした遅れを引きずってしまいます。したがって、増発も難しいことでしょう。

銀座線や丸ノ内線の混雑緩和のために、多くの地下鉄が建設されてきました。それによって、だいぶ混雑が緩和してきたことも事実です。現実問題としては、これらのバイパス線の活用が重要となるのでしょう。日比谷線では新駅(虎ノ門ヒルズ)が開業します。この新駅の開業によって、銀座線を使っていた利用客の一部が日比谷線にシフトすることもあり得ます。このように、少しずつ周辺路線に乗客を流すことが重要になるのでしょう。

関連情報へのリンク

ここまで特定の駅での混雑調査という「狭くて深い」情報をお届けしました。では、銀座線の基本的な混雑データをまとめた「浅くて広い」情報はないのでしょうか。そのような声を踏まえて、以下のページを作成しました。

地下鉄銀座線(混雑基本データ)

では、朝ラッシュ時の混雑状況はいかがでしょうか。メディアではあまり取り上げられない上野付近の混雑状況を確認しました。

銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町、現場調査)

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