銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町、現場調査)




東京で(そしてアジアでも)最も古い地下鉄路線は銀座線です。その銀座線は古いがゆえに小さな車両の6両編成と輸送力も小さいです。ゆえに、後発の地下鉄が続々と建設されました。では、後発の地下鉄路線が建設された現在、どのような混雑状況でしょうか。山手線の最混雑区間にほど近い上野広小路と末広町の間の混雑を実際に見てみました。どの列車が混んでいるのか、どの車両が混んでいるのかも判明しました。

銀座線上野広小路駅

写真1. きれいにリニューアルされた上野広小路駅のホーム


地下鉄銀座線(上野広小路→末広町)の平日朝ラッシュ時の混雑状況

以下、長い文章を読みたくない人のために、簡単に結論をまとめます。

・上野広小路発車時点で朝8:20ごろが混雑のピークである
・混雑率は135%程度であり、平均的にとらえると、吊革が埋まる程度で人で圧迫されるほど混んでいない
・最後尾(浅草より)が最も混雑し、渋谷より4両はほとんど混雑状況に差は見られない

混雑調査の概要

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊ブログではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊ブログでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回の調査区間は並行する山手線の最混雑区間とされている御徒町付近に近い、上野広小路(JR御徒町に対応)→末広町(JR秋葉原に遠くもない)としました。公式発表の最混雑区間は赤坂見附付近とされていますが、これは渋谷方面から都心方面に向かう人の流れです。逆に、浅草方面から都心方面に向かう人で混雑する区間が示されていませんので、今回は私の独断と偏見で状況を確認する区間を選ばせていただきました。

地下鉄銀座線の混雑調査結果とその分析

生データを示してから、その分析を行います。

混雑の生データ

生データを示します(表2)。

表2. 銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町)

銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町、生データ)

混雑状況を軽く眺めると、8:20ごろが最も混雑が激しく、最後尾車両が一番厳しい混雑であることがわかります。上野始発は他の電車よりも空いていることも読み取れます。ラッシュ時の時間帯を何時にするかの定義もあるでしょうが、7:57~8:37の40分間の結果から読み取ると、混雑率は132%程度となります。統計上の混雑率はピーク時間帯60分となるでしょうから、実際には今回の調査結果よりも混雑率が下がり(今回の混雑よりも混んでいない時間帯を含むため)、130%弱となりましょう。ここでは混雑率130%と読みとることにします。

混雑状況の分析

では、混雑状況を分析してみましょう。まずは、時間帯でどれほど混雑状況が異なるのか改めて分析します(表3)。

表3. 銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町、時間別層別)

銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町、時間別層別)

基本的に10分間隔で区切っていますが、それだと最後の1本だけ別枠になってしまいますから、その1本についてはまとめました。10分間隔で区切ると、8:16~8:25の10分間が最も混雑することがわかります。8:21発が最も混雑する電車なので、この分析内容には納得できます。

この4つの時間帯について混雑率を並べると、きれいな山型のグラフが作成できます。これは、8:21発を山とする正規分布とも読み取れ、統計の知識から考えると8:21発が最混雑列車であることは明らかです。混雑を避けたければ、上野広小路断面で8:10~8:30を避ければ良いことがわかります。

次に、号車ごとの混雑状況を分析します(表4)。

表4. 銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町、号車別)

銀座線の混雑状況(朝ラッシュ時、上野広小路→末広町、号車別層別)

浅草よりの車両が最も混雑しています。これは上野での構造が影響している可能性を指摘できます。上野でJR線(とりわけ宇都宮・高崎・常磐線)から乗りかえる人はどうしても進行方向後ろよりが便利です。そのような人が多いために、浅草よりが混雑するのです。渋谷より4両はそこまで混雑状況に差はありませんが、あえていえば4号車が空いています。ただし、この程度であれば、その4両のどこを選んでも問題なく、むしろ各自にとって便利な車両を選ぶほうが理にかなっています。

ダイヤを考える

銀座線は比較的ゆとりのある混雑であることがわかりました。そうはいっても、ヨーロッパの主要都市よりも混雑しているのも事実です(ヨーロッパ大陸で一番の大都市であるベルリンでも空いていました)。そのような意味では、さらなる混雑緩和が求められることも事実です。

現在、銀座線は1時間に29本運転されています(上野広小路7:50~8:49で計上)。これは125秒間隔にすぎません。丸ノ内線では2分以下の間隔で運転していた時期もあります。丸ノ内線よりも車両が小型で間隔が詰められるので、銀座線であれば120秒間隔が可能でしょう。そうすれば、現在の混雑率130%が126%まで緩和します。これでは大したことはなさそうですが、4%でも混雑緩和は混雑緩和です。高度経済成長期にバイパスとなる日比谷線、千代田線が開業し、21世紀になってからも半蔵門線(押上延伸)、つくばエクスプレス、上野東京ラインという路線も開業し、銀座線そのものは空いてきました。これにあぐらをかかずに更なる混雑緩和も目指してもらいたいものです。

コラム:混雑のピークの際立ちと混雑路線
今回調査した区間は時間帯によって混雑が異なる傾向を示しました。一方、三田線では朝ラッシュ時のどの時間帯でも混雑が見られました。言いかたを変えると、三田線では乗る電車の時間を10分変えたところで、混雑がそれほど変わらない一方、銀座線では乗る電車の時間を10分変えると、混雑が全く変わるということです。

どちらも東京の都心に向かうことは変わりません。例えば、三田線の大手町と銀座線の日本橋は徒歩圏内です。これで地域特性が大幅に変わるとは考えにくいです。これは、自主時間差通勤という考えで説明できます。自分にとって最適な時間帯の電車が混んでいれば、やむなく前後の電車を使います。一方、最適な時間帯の電車が混んでいなければ、前後の時間帯の電車を使うことはありません。三田線は混んでいるので、前後の時間帯の電車を使うことでしょう。一方、銀座線は比較的空いているので、前後の時間帯にシフトしません。

ということは、別の考えもできます。三田線のような路線で(8両編成化などの)混雑緩和策をとった場合、全体的に混雑が緩和するのではなく、ピーク時はわずかな改善にとどまり、ピーク時をやや外した時間帯はそれなりに改善がみられるということです。これはピーク時に乗ることができるようになって、自主時間差通勤をやめたということです。このように、混雑を見る際は、単なる平均値だけでなく他の要素も見たほうが良いのです。



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