日中時間帯の上野東京ラインの混雑状況(上野-東京、現場調査)

記事上部注釈
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2015年に開業して定着した上野東京ライン。その上野東京ラインの日中時間帯の混雑状況はどうなのでしょうか。特に、運転本数の少ない常磐線の利用状況が気になります。実際に日中時間帯に1時間現場で観察し、その様子を確認しました。

上野6番線から発車する上野東京ライン東京方面行き(E231系)

写真1. 珍しく6番線から発車する上野東京ラインの東京方面行き(調査日にたまたま出くわしました)

上野東京ラインの日中時間帯の混雑状況まとめ

以下、長い本文を読む気がない人のために、簡単にまとめます(すごーい!)

・平均的にいえば、混雑率は40%程度であり、座席が埋まる程度の混雑である
・宇都宮線や高崎線の場合、同系統の運転間隔が30分開いた後の列車が混雑する傾向にある
・常磐線の場合、上りの特別快速に乗客が集中する傾向にある
・6号車~10号車が混雑する一方、1号車、13号車~15号車であれば比較的空いていている

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回の調査は、新規開業区間の東京-上野について行いました。正真正銘の「上野東京ライン」と呼べるのは、この区間のためです。

上野東京ライン(平日日中時間帯)の混雑状況の分析

まず、生データを示した後に、それについて解析いたします。

混雑状況の生データ

上りは1時間サイクルに対して1本足りませんが、調査日に上り列車に遅れが生じていたため、調査しても「いつもの」混雑状況ではないと判断し、省略したためです。上下方向のデータを示します(表2-3)。

表2. 上野東京ライン(下り、東京→上野)の混雑状況

上野東京ラインの混雑状況(東京→上野、平日日中時間帯)

午前中の下りであることから、比較的空いている状態で上野に到着していることがわかります。なお、換算混雑率というのは、10両編成で運転した場合の混雑率を推定したものです。11号車から15号車が空いているので、10両編成で運転しても大きな害がないだろう、という推定です。

表3. 上野東京ライン(上り、上野→東京)の混雑状況

上野東京ラインの混雑状況(上野→東京、平日日中時間帯)

午前中ということもあり、都心に向かう流れが(下りと比べて)大きいことがわかります。こちらも10両編成での混雑率を推定して算出しています。

混雑状況の分析

では、混雑状況を分析します。まず、各路線の混雑状況を示します。日中時間帯の上野東京ラインは10両編成と15両編成が混在していますので、路線ごとの混雑状況を比較するのに不公平です。そのため、10両編成だとした場合の混雑率も示しています。

表4. 各路線の混雑状況まとめ

上野東京ラインの混雑状況(上野→東京、平日日中時間帯、路線ごと)

高崎線が混んでいるように見えますが、これは10両編成の割合が高いためです。平均すると、下りの混雑率は34.1%、上りの混雑率は50.5%です。平均すると、混雑率は40%強であり、座席が埋まる程度の混雑であることがわかります。

表5. 各路線の混雑状況まとめ(10両換算)

上野東京ラインの混雑状況(上野→東京、平日日中時間帯、路線ごと、10両換算)

全て10両編成とした場合の混雑状況です。常磐線の特別快速の上りの混雑が激しいことから、常磐線の混雑率が高く出ています。時間帯的に上りが混んでいますが、平均すると混雑率は60%弱(58.4%)です。下りは47.8%、上りは69.1%です。

混んだ列車の特定

下りでは10両編成での換算混雑率は47.8%、上りは69.1%と出ました。以下の列車が混雑する傾向にあります。

・下りは11:15発の宇都宮線と、11:45発の高崎線が混む傾向にある
・上りは常磐線の特別快速と11:40発の高崎線が混雑する傾向にある

下りの混雑している列車の共通点は同系統で30分開いた後の宇都宮線や高崎線であることです。宇都宮線の東京発車は毎時19分、29分、49分の繰り返しで、高崎線の東京発車は毎時09分、39分、49分となっています。運転間隔は30分-10分-20分の交互となっていて、30分間隔が開いた後の列車が混んでいます。

上りは高崎線では同様の傾向が見られます(11:40発は30分開いた後の高崎線です)が、宇都宮線には同様の傾向は見られません。これは時刻表を見れば納得できます。宇都宮線は大宮基準で毎時02分、23分、53分に上野東京ラインが走ります。毎時23分と53分の間は30分間隔ですが、38分発の上野行きがあり、この上野行きは高崎線の上野東京ラインに接続します。一方、高崎線は大宮基準で毎時13分、33分、43分に上野東京ラインが走ります。毎時43分と次の13分発の間は30分間隔です。この間に上野行きが走りますが、50分発となっています。50分発の後の上野方面行きは13分発と23分も開いてしまいます。そのため、東京方面直通が30分開くと同時に上野までも23分開いて、乗客が集中してしまいます。

常磐線の上り特別快速が混雑するのは、北千住で快速(取手まで普通)上野行きと接続するためです。こうすることで、通過駅の我孫子・天王台ばかりだけなく、取手以北の有効列車が30分開き、前の快速に乗るべき人もこの特別快速に乗るのです。そうして、乗客が集中してしまいます。下りの特別快速にそこまで乗客が集中しないのは、松戸で接続するのが取手行きなので、我孫子・天王台の利用客こそ乗るものの、取手以北の乗客が乗らず、そこまで乗客が集中しないのです。

号車ごとの混雑状況

次に、号車ごとの混雑状況を簡単に分析します(表6-7)。

表6. 号車ごとの混雑状況(東京→上野)

上野東京ラインの混雑状況(東京→上野、平日日中時間帯、号車ごと)

1、2号車と12号車~15号車が空いていて、6号車が顕著に混んでいます。10号車は9号車よりも混んでいますが、これは10両編成の10号車が混んでいるためです。10両編成の10号車には11号車~15号車で待っていた人も乗りこみ、混雑する傾向があります。

表7. 号車ごとの混雑状況(上野→東京)

上野東京ラインの混雑状況(上野→東京、平日日中時間帯、号車ごと)

1号車と11-15号車が空いています。一方、2号車から10号車はまんべんなく混んでいます。下りよりも利用客が多く、自然と利用者が分散していることがわかります。

上り・下りのトータルで考えると、6号車~10号車が混んでいて、1号車と13~15号車が空いている傾向にあります。10両編成であれば1号車、15両編成であれば1号車、13号車~15号車を狙えば快適に移動できます。ただし、駅でホームを歩く必要があります。

ダイヤ案を考える

利用状況からダイヤを考えてみましょう。15両編成の11号車~15号車は利用されていません。ということは、あってもなくても同じことです。宇都宮・高崎線の場合は、10両編成の場合の混雑率は60%程度です。60%というのは、ドア部分に立ちが発生し、なおかつ座席前にもわずかながらに立ちが生じる状態です。これでも耐えることはできるでしょうが、東海道線方面の混雑を考えると、しんどいものがあります。であれば、毎時1本存在する宇都宮線や高崎線の上野発着を、上野-平塚(輸送力過剰が懸念されるのであれば大船折り返しでも良いでしょう)に延長するのも手です。

例えば、平塚-東京-大宮で7.5分の等間隔運転(ただし、東海道線内の快速運転や特急待ちで間隔が前後する箇所もありましょう)とし、宇都宮線の2本連続と高崎線の2本連続の交互にします。そして、15分間隔で大宮で湘南新宿ラインと相互連絡とします。時刻は適当ですが、このようなイメージです(表8)。

上野東京ラインの発車時刻イメージ

00分と07分は宇都宮線、15分と22分は高崎線の列車を運転します。07分と22分は大宮で別系統の湘南新宿ラインに同一ホームで接続します(下線は相互接続することを意味しています)。宇都宮線は07分発と30分発で23分の間隔が開きますが、急ぐ人は22分発の高崎線に乗って大宮で乗りかえることが可能ということです。22分発が宇都宮線と同等の機能を有しますので、30分発は実質的に8分間隔なのでそこまで混まないであろう、という目算です。高崎線でも同様の考えが成立します。湘南新宿ラインの立場からすると、15分間隔で宇都宮線にも高崎線にも向かうことができるということになります。

可能であれば、湘南新宿ラインも7.5分間隔として(現在の毎時4本ではやや輸送力が足らないため)、大宮で相互接続というのが一番便利です。湘南新宿ラインのうち半数を快速運転とすれば、宇都宮線、高崎線ともに利便性が向上します。そうすれば、上野東京ラインは完全に15分間隔にできます。宇都宮線2本連続と高崎線2本連続という不自然なことをする必要もなくなります。

常磐線の東京直通が30分間隔(特別快速通過駅は60分間隔)というのも不親切な話です。毎時3本(特別快速通過駅でも毎時2本)が最低限のラインでしょう。最低でも毎時1本、品川-上野を延長運転するのが自然なところです。

このようなダイヤにするには関係各所との調整が必要で、そうたやすいものではありません。しかし、それでも待ち時間を均等にして混んだ列車と空いた列車が極力発生しないように、ダイヤを上手に組んでもらいたいものです。

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