沖縄本島の端にある辺戸岬。地の果てにあり、沖縄らしい自然の中にある魅力ある岬です。そんな辺戸岬への公共交通機関でのアクセスを紹介します。
写真1. 沖縄本島最北端の地、辺戸岬
辺戸岬の概要
まず、辺戸岬の概要を紹介します。
図1. 辺戸岬の位置(googleマップより引用)
図2. (参考)沖縄県で最も北に位置する硫黄鳥島
沖縄本島で最も北に位置する場所であり、沖縄県でもかなり北に位置する場所でもあります(本当の最北は硫黄鳥島、図2)。22km先に与論島がありますが、ここは鹿児島県に属します(このことは意外と知られていません)。沖縄県がアメリカ管理下にあったときは、日本の本土まで約22kmと、意外と「本土」に近かった場所でもあります。
その辺戸岬周辺には都市はなく、辺戸岬そのものも国頭村(「くにがみそん」と読みます)という「村」にあります。国頭村そのものも人口の少ない村ですが、その国頭村の中でも端に位置し、自然の多い場所です。
辺戸岬へのバスアクセス
沖縄県にはまともな鉄道路線はありません。唯一ゆいレールが那覇地区にありますが、当然ながら国頭村にはやってきません。そのため、公共交通機関でのアクセスはバスに限定されます。
そのバスも沖縄県北部の名護市からでも乗りかえが1回必要、那覇市内からだと乗りかえが2回必要です。具体的には以下の通りです。
・那覇市内-名護バスターミナル:111系統、117系統、やんばる急行バス(以上が高速バス)、名護西線(20系統と120系統)、名護東線(77番、名護西線ともに路線バス)
・名護バスターミナル-辺土名(※):路線バスの67系統
※辺土名バスターミナルではなく、辺土名です
・辺土名-辺戸岬:国頭村営バス奥線
これだけ見ると、そこまで難しそうには見えません。しかし、村営バス奥線は予約制のバスが設定されていたりして、公共交通での到達は非常に困難です。そこで、ここでは親切に時刻表を示します。ここでは、名護バスターミナルからの乗りつぎ時刻表を示します(表1、表2)。
表1. 名護から辺戸岬へのバス時刻表
表2. 辺戸岬から名護へのバス時刻表
国頭村営バス奥線は10:00と11:30にオンデマンドのバスを運行するという情報が掲載されていますが、詳細な時刻は示されていません。しかし、村役場に電話したところ、上記時刻を教えてくれました。
予約制のバスに乗る際は、1週間前から1時間前までに国頭村の担当(0980-41-2101)に電話し、乗りたいという意図を伝える必要があります。なお、村民ではなくとも、観光客でも利用可能です(これも電話で確認しました)。
※予約方法の詳細については国頭村の「村営バスの予約乗車について」に記載されています。
ここで気を付けたいのは、村営バスは1/1と1/2が運休であることと、最後の辺戸岬行きに乗ると帰ってこれないという点です。
参考までに、那覇市内から名護への高速バスの時刻表も示します(表3、表4)。
表3. 那覇市内から名護バスターミナルの時刻表
表4. 名護バスターミナルから那覇市内の時刻表
那覇市内から辺戸岬への日帰りを考えると、以下の旅程となりましょう。
(往路)
(平日)県庁北口11:40→名護バスターミナル13:13/13:50→辺土名14:44/15:00→辺戸岬15:34/
(休日)県庁北口11:40→名護バスターミナル13:13/14:00→辺土名14:54/15:00→辺戸岬15:34/
※辺土名で6分の乗りかえは不安がありますが、私はちゃんとできました
(復路)
(平日)辺戸岬16:34→辺土名17:08/17:16→名護バスターミナル18:11/18:45→那覇バスターミナル20:26/
(休日)辺戸岬16:34→辺土名17:08/17:31→名護バスターミナル18:25/18:45→那覇バスターミナル20:26/
※時刻表上は16:34ですが、バスの運転手さんも観光案内所でも16:40に来ると案内を受けました。
実に1日がかりの仕事です。
名護バスターミナルからのアプローチ
では、実際の様子を紹介しましょう。今回は名護バスターミナルを起点に紹介します。那覇市内と名護市内の実際の移動方法は別記事で触れる心づもりです。
ステージ1. 名護バスターミナル→辺土名
写真2. 名護バスターミナル
名護バスターミナルの様子です(写真2)。名護バスターミナルは「街の中心にあり、賑わいを見せる場」ではなく、「バスの車庫の片隅を乗客が利用させていただく」という雰囲気があります。各バス会社の事務所があり、そこで営業活動もしているようですが、彼らの業務の合間に対応するというのが実情でしょう。
写真3. 名護市の観光案内
名護市の観光案内も掲げられています(写真3)。今回は辺戸岬に向かいますが、地図の右上を進むイメージです。もちろん、辺戸岬は遠く、この地図の範囲内にはありません。
写真4. 辺土名線は2番ホーム
辺土名線は2番ホームから発車します。辺土名まではおおむね1時間間隔で運転されており、過疎地帯としては破格の利便性を誇ります。バスが不便というイメージがありますが、路線バスが運行されている範囲であれば、それなりの利便性は確保されています。
写真5. 辺土名行きがやってきた
辺土名行きがやってきました(写真5)。辺土名までは67系統です。ただし、自治体の補助を受けて運行されています。
写真6. 名護市を走る
名護バスターミナルを発車したバスは名護市内を走ります(写真6)。名護バスターミナルからしばらくは市街地を走ります。
写真7. 名護の中心部を走る
名護市の中心部にさしかかってきました(写真7)。このあたりは多くのバス路線が集中します。
写真8. 名護十字路を通過!
名護十字路を通過します(写真8)。このあたりに名護駅がありそうな雰囲気です。もちろん、そんな駅はありません。
写真9. 住宅街を走る
名護十字路を過ぎると、中心部という雰囲気はなくなり、住宅街を走ります。
写真10. 住宅街を走る
(那覇もそうですが)名護はけっこう坂が多い印象があります(写真10)。これでは自転車で移動したくないわけです。
写真11. 小川を渡る
小川を渡ります(写真11)。標高が低くなったような気がします。
写真12. 沖縄らしい風景
沖縄らしい家と緑です(写真12)。12月に行っていますが、本州の夏のような風景が広がります。
写真13. 海が見えてきた
海が見えてきました(写真13)。沖縄らしい海です。
写真14. 沖縄らしい海が広がる
沖縄らしい海が広がります(写真14)。
写真15. 沖縄らしい海が広がる
車窓のお供はずっと海です。これでもかというくらい、海を堪能できます(写真15)。
写真16. 橋を渡る
橋を渡ります(写真16)。
写真17. 雨が降ってきた
急に雨が降ってきました(写真17)。そのため、窓ガラスにも雨粒が垂れます。12月とはいえ温暖な沖縄のことです。この程度の水滴はすぐに乾きます。
写真18. 雨が上がった
もう雨が上がりました(写真18)。雨が上がるのも早いです。
写真19. 虹が出てきた
虹が出てきました(写真19)。虹は微細な水分で光が屈折して生じる現象です。つまり、この空気には多くの水分が含まれているということです。そのため、雨上がりに見られるのです。
このようにして、辺土名(へんとな)に到着です。名護バスターミナルからここまで1080円だったと記憶しています。
ステージ2. 村営バス
次に乗るのは、村営バスです。辺土名で降りて、右後方に村営バスがとまっています。辺土名バスターミナルではなく、辺土名で降りています。
写真20. 村営バス待合室
村営バスの待合室です(写真20)。ログハウス風のかわいらしい建物です。
写真21. 村営バスが停車中
村営バスが停車中です(写真21)。私は右のワゴン車に乗りました。
写真22. 村営バスの時刻表
村営バスの時刻表です(写真22)。運賃の案内はあってないようなものですので、ここではあまり重点を置いて説明することはいたしません。
写真23. 国頭村の風景
ワゴン車に乗ってスタートです。カーラジオから番組が流れてくることといい、ワゴン車に乗ることといい、バスという「公共交通機関」に乗っているのではなく、知り合いの車に便乗させてもらっている雰囲気です。そのため、あまり車窓をとることはいたしませんでいた。
写真24. 国頭村の風景
のどかな風景です(写真24)。
写真25. 国頭村の風景
辺戸岬まで近づいてきました。このあたりは、やんばるの森とされています(写真25)。
写真26. 走り去るバス
こうして辺戸岬に着きました。理論上の運賃は500円と記憶していますが、「いくらですか?」と聞いたら、「いいよ」と返答を受けました。そうなの?
なお、帰りは16:34に辺戸岬を出て、18:30ごろに名護まで戻ってきました。
辺戸岬を楽しむ
とりあえず、辺戸岬に着きました。ここは沖縄本島最北端の地です。最北端らしい「最果て」を堪能してみましょう!
辺戸岬を散策する
写真27. 駐車場から岬まで歩いてみる
さあ、駐車場から岬まで歩いてみましょう(写真27)!最果ての割には人が多いです。風が強いです。
写真28. 遊歩道が登場!
遊歩道が登場しました(写真28)。バスで来た人も、自家用車で来た人も、仲良くお散歩です。
写真29. 遊歩道を歩く
緑が多いです(写真29)。12月でもここまで緑が多いのです(それでも沖縄含めて「記録的な寒さ」でした)。
写真30. 最果ての感がある
最果ての感があります(写真30)。もう少し進んでみましょう!
写真31. 石碑登場!
石碑があります(写真31)。沖縄県がアメリカを管理していた時代、「本土復帰」を願って、ここでイヴェントが行われたこともあると聞いています。
写真32. 与論島が見える
与論島が見えます(写真32)。この与論島は鹿児島県にあり、沖縄県の本土復帰前はこの海が「国境」でした。
写真33. 鳥の像がある!
この先に鳥の像があります(写真33)。気になるので行ってみましょう!
写真34. 波が高い
波が高いです(写真34)。たまに水しぶきがかかってきました。
写真35. 遊歩道を歩く
遊歩道を歩きます(写真35)。
写真36. 鳥の像に近づく
鳥の像に近づきます(写真36)。
写真37. 鳥の像
鳥の像です(写真37)。ヤンバルクイナでしょうか。
写真38. 辺戸岬の証拠!
辺戸岬に来た証拠です!
写真39. 辺戸岬の証拠!
このようなものもありました(写真39)。一般的に沖縄本島(おきなわほんとう)と言っていますが、地理用語では沖縄島(おきなわじま)です。そのため、ここでは「沖縄島最北端の地」と書かれています。
写真40. 崖が険しい
崖が険しいです(写真40)。このような険しい場所だと、「最果て」という感覚を強くします。
辺戸岬観光案内所で学ぶ歴史
ここ辺戸岬には観光案内所があります。
図3. 辺戸岬観光案内所の位置(googleマップより引用)
辺戸岬観光案内所の位置を示します(図3)。建物の少ない辺戸岬のことです。見つけるのは大して難しくありません。1Fでは自然や歴史に関する展示、2Fは喫茶室、3Fは展望スペースです。
写真41. 歴史に関する展示がある
写真42. 歴史に関する展示がある
歴史に関する展示があります。いろいろ学びましょう!(写真41、写真42)
写真43. 歴史に関するビデオ
歴史に関するビデオもあります(写真43)。語り手がやんばるの森という斬新な切り口です。歴史に翻弄された地域であることがわかります。
写真44. 飲食店もある
なお、観光案内所のカフェが閉まっていたら、こちらの喫茶店もあります(写真44)。風を防ぐことができて、飲食も可能なスペースです。
辺戸岬に行ってみて
辺戸岬は単に「沖縄の最北端で鹿児島県が見える」という好奇心、そして「意地で公共交通機関で往復する」という使命感で向かった場所です。
最北端だからといって何か特別なものあるわけではありません。しかし、そこには素晴らしい大自然がありました。また、村営バスの実態に触れ、都会の交通機関と異なることにも気づかされました。そして、観光案内所で地域の歴史を知ることができました。
なかなか行くことが厳しい場所ですが、行って損することはありません。可能であれば、バスで向かい、公共交通機関の維持・発展に貢献いただければと思います。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
辺戸岬へのアクセスと訪問(バス時刻表も掲載)←今ココ!
今回の旅行記全体を知りたい人はこちら!
※それぞれ別ウィンドウで開きます。