東京と新潟を結ぶ上越新幹線列車。北陸新幹線の金沢延伸後はやや影の薄い存在になりましたが、それでも首都圏と新潟県を結ぶ高速輸送手段として活躍しています。そんな上越新幹線列車のとき号にのりました。

写真1. 新潟駅に到着したとき303号
注意本記事では、上越新幹線の列車を取り扱います。正確には上越新幹線の列車は東京-大宮で東北新幹線の線路を通ります。そのため、正確には東北新幹線を含めた記述にせねばなりません。しかし、そう記すと宇都宮方面の新幹線列車と混同する可能性があるため、本記事では東北新幹線に乗り入れ、東京を発着する列車については上越新幹線列車と表記しました。
復習:上越新幹線の概要ととき号
最初に上越新幹線の概要と、とき号のあらましを紹介します。
- 区間:大宮-新潟
- 距離:269.5km
- 最高速度:275km/h
- 所要時間:最短1時間30分前後(東京-新潟)、標準2時間程度(東京-新潟)
図1. 上越新幹線の経路(googleマップより引用)
上越新幹線は東北新幹線と乗り入れることを前提に大宮-新潟に建設された新幹線です。東京から大宮は東北新幹線の線路に乗り入れます。このことにより、東北新幹線の東京-大宮は2つぶんの新幹線列車をさばくことになり、ダイヤ上の足かせとなっています。
上越新幹線の最高速度は長い間240km/hでしたが、2023年ダイヤ改正より275km/hに向上されています。その効果は最速達列車に現れています(表1、表2)。
表1. 最高速度向上前後の最速達列車の運転時刻比較(下り)
| ダイヤ改正前 | ダイヤ改正後 | |
| 東京発 | 9:12 | 9:12 |
| 新潟着 | 10:48 | 10:41 |
| 所要時間 | 1時間36分 | 1時間29分 |
表2. 最高速度向上前後の最速達列車の運転時刻比較(上り)
| ダイヤ改正前 | ダイヤ改正後 | |
| 新潟発 | 9:05 | 9:13 |
| 東京着 | 10:43 | 10:44 |
| 所要時間 | 1時間38分 | 1時間31分 |
このように7分短縮されています。新幹線の肝は速度や到達時間であり、それが深度化することは新幹線の機能向上に他なりません。
上越新幹線の列車名は以下の2つです。
表3. 上越新幹線のとき号とたにがわ号
| とき | たにがわ |
| 東京-新潟 | 東京-越後湯沢(高崎) |
| 通過駅ありが多い | 多くの列車は通過駅なし |
JR東日本の新幹線は運転区間による区別をしており、越後湯沢以南で完結する列車をたにがわ号と称し、新潟まで運転する列車をとき号と称しています。
注意点は、通過駅があってもなくても同じ列車名であることです。例えば、とき311号は東京と新潟の間で大宮だけ停車する最速達列車です。それに対し、とき309号は通過駅はありません。たにがわ号は全駅に停車することが基本ですが、ガーラ湯沢まで直通する臨時列車については、熊谷、本庄早稲田と上毛高原を通過します。
このような例外を列挙しなくとも、上越新幹線のとき号は列車によって停車駅が異なることも多く、乗車時に注意する必要があります。ただし、日中の定期列車は熊谷と本庄早稲田以外の各駅にとまる列車が基本であり、臨時列車でなければ比較的単純ではあります。
上越新幹線のとき号に実際に乗る
御託はこの程度にして、上越新幹線のとき号に実際に乗ってみましょう!東京から乗車するより上野から乗車するほうが特急料金が必ず安くなるので、時間をあまり犠牲にせずに少しでも安くしたい場合は、上野から乗車することも1つの選択肢です。

写真2. 上野駅の様子
上野駅の様子です(写真2)。このときは、上越新幹線(北陸新幹線も含む)は19番線、東北新幹線は20番線と使い分けされていました。誤乗防止の1つの工夫と思います。ただし、先発のとき53号と次発のとき303号が4分続行で、駅員さんがくりかえし案内していました。
電光掲示板を見ると7:06~7:30まで4分間隔で続行していますが、7:26発は存在しません。これは、東京7:20発かがやき503号が上野を通過するためです。電光掲示板にもやまびこ123号を乗車するように記載されていました。東北新幹線や上越新幹線では同方向であれば特急料金は通しで計算しますので、乗りかえによる金銭の負担はありません。

写真3. とき303号が入線!
とき303号が入線します(写真3)。この列車の停車駅は独特で、大宮から越後湯沢までノンストップで走った後、越後湯沢から各駅に停車します。群馬県との相互利用を断る停車駅です。直前にたにがわ401号が設定され、群馬県との行き来はそちらを利用して欲しいという意図でしょう。乗客の多い朝時間帯ならではの停車駅です。

写真4. 上野を発車!
上野を発車します(写真4)。意外に思うかもしれませんが、上野は2025年末時点で唯一の地下に位置する新幹線駅です。

写真5. 高架区間に上がる
上野駅近傍の地下区間は、在来線の日暮里付近で終了し、高架区間に上がります(写真5)。

写真6. 避暑旅の宣伝
車内に目を向けると避暑旅の宣伝がありました(写真6)。平均気温を示し、データに基づいた宣伝で好感を持てます。私がこの列車に乗った2週間後にもっと北に向かったことはまた別の話です。

写真7. 埼京線と並走
在来線でいう赤羽を過ぎ、埼京線と並走します(写真7)。

写真8. 武蔵浦和を通過!
埼京線でいう武蔵浦和を通過します(写真8)。新幹線の武蔵浦和駅の設置というのは、放射軸との交点でそれなりに利用者を見込めそうですが、ここに停車することはすなわち東京都内との所要時間増加を意味します。現実的には武蔵野線電車の大宮直通を増強することが良いでしょう。

写真9. まもなく大宮に停車!
まもなく大宮に停車します(写真9)。

写真10. 大宮に停車
大宮に停車します(写真10)。多くの人が列車を待っています。7月下旬の土曜の朝といえ、多くの人がわがとき号に乗ってきました。何があるのだろう?3連休でもないし…。

写真11. 山形新幹線列車とすれ違う
山形新幹線列車とすれ違います(写真11)。私の脳内はいまだに400系のシルバー/グリーンの塗装なので、この配色は違和感があります。

写真12. 埼玉県の住宅街を走る
埼玉県の住宅街を走ります(写真12)。

写真13. 本庄早稲田を通過!
本庄早稲田を通過します(写真13)。日中時間帯は上越新幹線列車は本庄早稲田を通過します。北陸新幹線列車には準速達型のはくたか号と地域輸送型のあさま号があり、あさま号に本庄早稲田の輸送を分担いただく形のためです。

写真14. 線路が増える
関東平野を走っていると、建物と線路が増えました(写真14)。群馬県でも有数の都市、高崎です。

写真15. 高崎を通過!
わがとき303号はそんな交通の要衝の高崎を通過します(写真15)。高崎から新潟方面は先発のたにがわ号を使うということです。

写真16. 建物も多い
高崎を通過後も建物も多いです(写真16)。車窓のこちら側は県庁所在地の前橋市方向という事情もあるのでしょう。

写真17. 緑が多くなってきた
新幹線の速度で約10分走ると、緑が多くなってきました(写真17)。いよいよ上越国境の山間部です。

写真18. 山間部を走る
山間部を走ります(写真18)。このような風景を眺めると遠くに来たと実感します。

写真19. 上毛高原を通過!
上毛高原を通過します(写真19)。ここからは長いトンネルです。

写真20. トンネルを出て新潟県に入る
トンネルを出て新潟県に入ります(写真20)。厳密にはトンネルの中で県境を通過していますが…。

写真21. 越後湯沢に停車!
越後湯沢に停車します(写真21)。車内放送で「FUJI ROCK FESTIVALに向かうお客さま、忘れ物にお気をつけください」という旨の案内がありました。やたらと混んでいたのは、音楽フェスティバルに向かう人が多かったためか!

写真22. 人々が大量に下車する
人々が大量に下車しました(写真22)。E7系の定員は924人ですが、その輸送力が発揮された瞬間です。

写真23. 上り東京行きが到着した
反対側には上り東京行きが到着しました(写真23)。

写真24. 越後湯沢を発車!
越後湯沢を発車します(写真24)。ここまでは高崎を通過する速達性を発揮していましたが、新潟県内は各駅に停車します。大手民鉄の無料列車の速達列車のように郊外側は各駅に停車する停車駅選定です。

写真25. 緑深い光景を走る
緑深い風景のなかを走ります(写真25)。緑の濃さは初夏~夏の旅行の醍醐味に感じます。この季節の場合、暑さの避けかたが1つのポイントです。

写真26. 浦佐に停車!
浦佐に停車します(写真26)。上越新幹線は豪華な配線で、このような途中駅にも律儀に通過線があります。

写真27. 山間部を抜ける
山間部を抜けてきました(写真27)。

写真28. 長岡の市街地が見えてきた
長岡の市街地が見えてきました(写真28)。

写真29. 長岡に停車!
長岡に停車します(写真29)。現在は見る影もありませんが、かつては北陸方面への結節点でした。1997年のほくほく線開業でその役割は越後湯沢に移り、2015年の北陸新幹線金沢開業でダイレクトに変わりました。

写真30. 長岡に停車!
その長岡に停車します(写真30)。北陸新幹線が開業したいま、上越新幹線が「新幹線」であった必要があるか(狭軌高速新線でネットワーク性を維持)を考えてしまいます。

写真31. 平野部を走る
平野部を走ります(写真31)。
動画1. 新幹線走行の様子
この区間の走行の様子を動画で撮影しました(動画1)。

写真32. 燕三条に停車!
燕三条に停車します(写真32)。通過線のほかに待避線もある豪華な配線です。現代の視点からすると、過剰な設備に見えますが、建設当時は羽越新幹線なども構想にあったはずです。このように考えると、適正な設備規模を事前に予測するのは難しいことを実感します。

写真33. 上り東京行きがやってきた
上り東京行きがやってきました(写真33)。あまり著名でない駅であってもそれなりに利用者が存在し(このような駅は自動車での乗り付けが便利な側面もあります)、高速鉄道の需要の底堅さを感じます。

写真34. 建物も多い
新潟に近づくと建物も増えてきます(写真34)。

写真35. 新潟駅南側は再開発がなされる
新潟駅南側は再開発がなされています(写真35)。

写真36. とき303号の表示
とき303号の表示です(写真36)。

写真37. 多くの人が下車
多くの人が下車しました(写真37)。特に大きなイベントが開催されている様子はありませんでしたが、それでもこれだけ多くの人が乗っており、上越新幹線の需要の底堅さを実感しました。
上越新幹線に乗ってみて

写真38. 定員900名以上の列車が4分間隔で続行するのは新幹線の大きな強みだが
今回、東京都内から新潟まで上越新幹線で移動しました。北陸新幹線が開業したいま、新幹線のなかでは存在感がやや薄い存在と表現することもできます。ただし、その需要はそれなりにあり、決して新幹線としての役割を終えたわけではありません。
他方、現代の視点で考えると、新幹線を独自規格で建設することで、在来線との直通運転を捨てました。とりわけ、羽越方面への乗りかえが必須となっている点はネットワーク性という意味で犠牲が生じている側面も否定できません(これが北陸新幹線敦賀開業時の乗りかえの負担の遠因となっている)。また、越後湯沢以北の過剰設備などによる建設費増大による「新幹線不要論」という潮流になった点もありましょう。
そのような現代の視点で考えると、上越新幹線を在来線の高速新線として建設された世界線を妄想したくなります(東京側は東北新幹線を3線軌条で乗り入れ列車と貨物線経由の新宿方面発着に分散)。新幹線という専用の高速新線が必要な需要の下限近くという実態を見て、このようなことも考えてしまいました。