京王8000系電車の車内(リニューアル後)

記事上部注釈
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京王8000系。京王電鉄の京王線系統の主力車両の1つです。登場してしばらく経過していますが、リニューアル工事を受け、現代的な車内にリフレッシュされています。そのような京王8000系の車内を探索しました。

写真1. 南大沢に停車中の京王8000系電車

補足

今回の観察対象は8704Fと称される編成です。

復習:京王8000系の概要

まず、京王8000系の概要をまとめます。

京王8000系の概要
  • 形態:4ドアロングシート
  • 車体:ステンレス製
  • 製造初年:1992年
  • 編成:10両編成または8両編成
  • 運用:京王電鉄の京王線系統(動物園線には原則として入線しない)

写真2. 先頭車から中間車に改造された部分

京王8000系は1992年に登場した車両で1999年まで増備が続けられてきた車両です。20世紀末に増備された車両です。当初は4両編成、6両編成、8両編成が投入されましたが、後年に4両編成と6両編成は10両編成に改造され、中間運転台は客室化改造を受けています。

後年に改造するくらいであれば最初から10両編成として新製投入したほうがトータルコストは節約できましたが、当初は休日の特急が京王八王子編成と高尾山口編成に分割していました。そのため、4両編成と6両編成に分割できたほうが都合が良かったのです。これは2001年のダイヤ改正で高尾線急行と相模原線特急を入れ替え、高尾線準特急と相模原線急行(調布で特急連絡)に入れ替えたことで、休日に高尾山口発着の特急を設定する必要がなくなっています。

2013年よりリニューアル工事(車体修理工事)が実施され、客室についても現代的なものに改められています。

京王電鉄の井の頭線を除く、京王線系統に使われています(※)。ただし、ワンマン運転の関係上、動物園線には基本的に乗り入れません。また、地下鉄には直通しませんので、都営線内で見かけることもありません。

※井の頭線は線路幅が異なり、京王線系統と車両は完全に分離されています。

京王8000系の車内を観察する

御託はこの程度にして、実際に車内を観察しましょう。

写真3. 京王8000系の車内

京王8000系の車内です(写真3)。茶色の床、緑色の座席、白色の壁が目につきます。京王8000系の特徴の戸袋窓は残され、窓の多い車内です。袖仕切りが大型で2000年代後半の主流のデザインです。ドア間7人掛け、車端部4人掛けの京王の伝統的な座席配置です。

写真4. 京王8000系の車内

別の角度から撮影しました(写真4)。空いていると座席の鮮やかな緑色が印象に残ります。床の茶色が濃淡に分けられており、着席客が足を伸ばさないような心理的な仕掛けがなされています。

写真5. 7人掛けの座席

7人掛けの座席です(写真5)。よく見ると、座席には柄があります。また、座席には立客用のバーがあり、首都圏の民鉄では標準的な4+3人掛けで分割しています(JR東日本車は2+3+2で分割)。少しかための座席です。適正な柔らかさの範疇でしょう。

写真6. 座席の柄に注目

座席の柄に注目しました(写真6)。幾何学模様といえましょうか。似た色を使っており(彩度は同じで類似の色相に見えます)、癖の少ない配色だと思います。木々の緑をイメージしたのでしょうか。

写真7. 袖仕切りの内側

袖仕切りの内側です(写真7)。90年代後半までの車両は握り棒が直線的でしたが、2000年代後半以降の車両は握り棒が曲線になっている傾向があります。この車両は2010年代からリニューアルされていますので、2000年代後半以降の考えが踏襲されているように見えます。

写真8. 天井の様子

目線を上に向けました(写真8)。壁も天井も白くしており、明るい車内を目指したことがわかります。また、ツヤあり(=表面の凹凸が少ない)壁としており、汚れを取りやすい設計にしています。

写真9. 天井に目線を向ける

天井に目線を向けます(写真9)。なかなか白い車内です。

写真10. 天井を眺める

天井を別の角度から眺めました(写真10)。広告も掲示されています。この写真は夏に撮影しましたが、夏らしい中吊り広告です。

写真11. 車端部の様子

車端部の様子です(写真11)。優先席は座席の色が明らかに異なり、一目でわかります。また、吊革も黄色で区別されており、そこからも判別できます。

写真12. おもいやりゾーンがある

一部の車端部はおもいやりゾーンが設置されています(写真12)。車いす対応の設備です。なるべく座席を提供するという意味で考えると、折り畳みの椅子を設置したほうが良いと思いますが、車いすの乗客が来た際に座っている人の対応が迫られるという課題もありました。おもいやりの難しさが感じられます。

写真13. おもいやりゾーン

おもいやりゾーンの様子です(写真13)。乗客におもいやりをお願いするのであれば、立客が少なくなるような鉄道会社のおもいやりも期待したいです。

写真14. 客用ドアの様子

客用ドアの様子です(写真14)。ステンレスむき出しのドアではなく、白い化粧板が貼られています。ステンレスむき出しの冷たさを感じず、良い意匠だと思います。モダンな車両を目指すのであれば、ドアを黒くすることも興味深いですが、コンセプトにそぐわなかったのでしょう。

ドア上に電光掲示板が設置されています。3色LEDで種別、行先などの情報が流れます。スクロールで多様な情報を流すことができます。近年主流のLCD画面には情報量で劣りますが。

写真15. 客用ドアの様子

別の客用ドアの様子です(写真15)。このドアの上を見ると、電光掲示板は設置されていません。電光掲示板が設置されたドアは半分です。混雑していると文字情報を見逃しそうです。

写真16. ドア付近の床

ドア付近の床です(写真16)。黄色が目立ちます。相鉄20000系のようにもう少し控えにすると印象面では大人しくなりますが、機能面との両立が難しそうです。

写真17. ドア窓は複層ガラス

ドア窓は複層ガラスです(写真17)。競合相手の中央線快速のE233系電車、小田急電鉄の2000形以降は複層ガラスなので、京王もそのレベルに追いついたといえましょうか。複層ガラスは単板ガラスより結露しにくく、乗客的にも助かります。

写真18. 運転席仕切り壁

運転席仕切り壁です(写真18)。3枚窓があり、前面展望は良好です。京王には地下区間も多いので、地下区間だけ選択的に幕を閉める機能があればベストです。

写真19. 前面展望を堪能する

前面展望を堪能しました(写真19)。なかなか迫力ある風景が広がります。

京王8000系の車内を眺めてみて

写真20. 南大沢に停車中の京王8000系

京王8000系。当初の斬新な外観デザインは今でも色あせていません。その外観とともに、内装は2013年以降にリニューアルされ、現代でも遜色ない車内に仕上がっています。特に簡素な感じもなく、自然をイメージさせるさわやかな色合いで京王線を走っています。2023年現在、車両数は9000系列よりやや少ないですが、当面の間は京王線の主力車両として、(ある意味)9000系よりも新しい車内で地道に運用されるのでしょう。

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