日本全国で活躍していた40系気動車シリーズ。それらは両運転台・片運転台で3種類に分けられます。大都市圏近郊で使われたキハ47に焦点を当て、その車内を紹介しましょう。
写真1. JR西日本のキハ47は基本的に赤系のカラーリング(東萩で撮影)
復習:40系気動車の概要
40系気動車は日本の多くの路線に導入されました。その区分は多岐に渡りますが、主要な違いはドアの開閉方式と運転台の数です(表1)。
表1. 40系気動車の区分(大まか)
形式 | ドア | 運転台 |
---|---|---|
キハ40 | 片開き | 両運転台 |
キハ47 | 両開き | 片運転台 |
キハ48 | 片開き | 片運転台 |
該当なし | 両開き | 両運転台 |
※JR西日本は改造によって、「両開きかつ両運転台」車両を編み出しています。キハ41形と呼んでいます。
これを見ると、両開き扉かつ両運転台の車両はありません。両開きが求められる路線は乗客が多く、1両編成の必要はない(2両編成以上が必要ということ)という判断なのでしょう。
キハ47形は両開き扉かつ片運転台ということで、最も利用が多い路線を念頭に置いた車両ということがわかります。では、3両編成以上の場合は?これは運転台付きの車両をつなげば良いだけです。もっと利用の多い路線であれば電化され、長編成の電車が投入されるので、一般型ディーゼル車両は輸送量の多い路線のことを考えなくて良いのです。
40系気動車が投入された当時(1977年~1982年)は国鉄時代で、このような標準的な考えで車両設計・投入がなされたのでしょう。
キハ47形の車内
さて、実際に車内を見てみましょう!
写真2. 下関側先頭車の全景
下関側の先頭車の全景です(写真2)。窓枠は新しくなっているものの、昔ながらのボックス席が並んでいます。
写真3. 京都・神戸側先頭車の全景
前述の通り、キハ47形は2両編成です。もう1両の先頭車に向かってみました。すると、長いロングシートが並び、ボックス席は16席しかありません(写真3)。
写真4. 下関側先頭車の車端部
ロング化改造がなされていない車両は、車端部にもボックス席がありました(写真4)。
写真5. 京都・神戸側先頭車の車端部
京都・神戸側先頭車の車端部です(写真5)。ここもロングシートです。気持ち程度のボックス席だけを残した感じがします。
写真6. キハ47 2012の表示
この車両の番号を記録にとりました。キハ47 2012です。
写真7. キハ47 2012の車端部
国鉄時代にはトイレ前はボックスシートとして、座席に座っている人とトイレに入る人の視線が交わらないようにする、という配慮があったと聞きます。しかし、JR西日本はそのような従来の常識にはこだわらず、ここもロングシートに改造しています。
写真8. 車端部のロングシートの様子
車端部のロングシートの様子です(写真8)。端にデッドスペースがありますね。機器類が入っているのでしょうか。
写真9. トイレ前の屑物入れ
トイレ前に屑物入れがあります(写真9)。通勤車両にこのような設備が付いているのは新鮮に感じます。通勤車両の1つとはいえ、長距離移動も考慮されているのでしょうか。
写真10. ドアの様子
両開きのドアです(写真10)。国鉄型の気動車の多くはステップがありましたが、キハ47形も例外ではありません。
写真11. 運転台仕切り窓
運転台仕切り窓です(写真11)。もともとワンマン運転を考慮した車両ではなく、最前部の客用ドアと運転席の間に距離があります。また、ワンマン運転を考慮していなかった車両がゆえに、運転室と客室の仕切り窓は小さいです。
写真12. ドアはボタンで開閉
ドアはボタンで開閉します(写真12)。半自動モードでも手で開く必要はなく、そのような意味では親切な改造です。
写真13. ボックスシートの様子
ボックスシートの様子です(写真13)。一般的なものです。やや古さを感じさせます。
写真14. 網棚と妻面の壁
網棚と壁面の壁を撮影してみました(写真14)。JR西日本のリニューアル車のカラースキームが採用されていますが、山陽地区の113系・115系電車と異なり、網棚は原型のままです。
写真15. 天井を眺める
天井を眺めましょう(写真15)。白系の色の天井で、暗さを感じません。妻面の壁がシックな色なのに暗さを感じなかったのは、この影響が強いのかもしれません。
写真16. 天井を眺める
別のアングルから天井を眺めました(写真16)。
写真17. トイレの外観
トイレは京都・神戸側先頭車にあります(写真17)。
写真18. トイレの様子
トイレは国鉄型の面影を強く残しています。銀色の便器で形状は和式です(写真18)。
写真19. 別のアングルからトイレを撮影
別のアングルからも撮影しました(写真19)。
キハ47形の車内を見てみて
今回、山陰本線の旅でキハ47形に出会いました。古い車両であっても半自動ドアボタンの設置や、車内の壁面のカラースキームの変更など、「JR西日本の新車」に合わせようという努力を感じることができました。とはいえ、山陽地区の電車と異なり、座席がボックスシートのままだったり、網棚は昔ながらの形状のままだったりと、手抜きリニューアルを感じさせる部分があったのが事実です。
今後、新車が投入されるでしょう。ローコストであっても快適性を重んじる車両を投入してもらいたいものです。227系電車や521系電車と肩を並べる車両を期待したいものです。
ここで引き合いに出した山陽地区のリニューアル車の内装は以下の記事へ!
この車両が使われている列車にも乗っています。